公認会計士「研修出向制度」体験者リポート
株式会社クラレ
経理・財務本部 経理部水地 一彰
経理部での具体的な仕事の中身を教えてください。
水地例えばIFRSの導入だとか、ある一つの課題を与えられるのではなく、普通に伝票をつけたり開示書類をつくったりという経理業務と税務の仕事が半々、というスタンスで仕事をしています。そうした通常業務をこなしつつ、ミーティングなどを通じて専門家としての視点で意見を言ったり解決策を提案したり、というのが自分に望まれている役割ではないかと思っています。
化学メーカーであるクラレは、サプライ・チェーンの川上に位置し、取引先も多岐にわたります。また、グローバル化が急速に進展、かつ、各事業部が多角化する事業を主体的にハンドリングしているため、情報のすべてがすぐに本社経理部に集約されるわけではありません。決算間近になって、大きな問題が上がってくることもあります。それを会計上しっかり手当てし、さらに税務面でも不利にならないように処理していくというのは、けっこう骨の折れる仕事。でもそれだけにやりがいを感じるし、うまくいった時の達成感には、何物にも代えがたいものがありますね。ある案件についてみんなでディスカッションして理論づけていく面白さは、監査法人時代にはなかったものです。
今後の課題、目標について教えてください。
水地仕事は経理と税務が半々と言いましたけど、実は税務に関しては、まだ先輩社員の方々に“おんぶに抱っこ”の状態で、問題点が上がってきても自分では結論が出せず、メッセンジャー的なことしかできていないのが実情です。グローバル化を進めるうえで、国際税務への対応も非常にクローズアップされてきていますし、これではまずい。しっかり勉強して、税務の業務についても「水地が来てくれてよかった」と言われるようになりたいと思っています。
実際、会社にはそうした問題意識を理解していただき、研鑽の機会も与えられています。海外子会社の経理担当者を集めたミーティングを行った時には、移転価格税制についてのプレゼンを英語でやるよう、指名されました。自分の英語力自体が怪しいうえに、税制の知識もまだまだ稚拙でしたが、やったおかげで大変勉強になりました。そうした期待に応えられるよう、とにかく主体的にものごとに取り組んで、経理部で本当に信頼される存在になりたいですね。
最後に、会計士へのメッセージをお願いします。
水地出向してよかったなと思うことの一つは、自分のどんな価値を発揮すれば会社に貢献できるのか、という視点が持てたことですね。先に出向した監査法人の先輩たちの言っていたことは正しかった。「どうしようか悩んでいるのだったら、思い切って一度外に出てみたら」と僕も勧めたいと思います。
株式会社クラレ経理・財務本部 経理部水地 一彰
株式会社クラレ執行役員 経理・財務本部長
経理部には現在3名の会計士がいる。いずれも日本CFO協会の「出向制度」で来てもらった人たちだが、みんな優秀なうえにオープンマインドに取り組んでもらっており感謝している。
経理・財務の仕事には判断上のグレーゾーンがつきものだ。例えば従来はある会計情報を開示すべきか否かは実務慣行に従うことが多かったが、事業のグローバル化や会計制度の改革など環境が大きく変化するなかで明確な開示基準を持つ必要性が強く意識されるようになった。しかし、いかんせん我々実務家はそうした理論的な改革の話になると弱い。その点、水地さんの専門家としての提案はいつも目からウロコで大きな刺激になっている。「出向制度」のおかげで内部のディスカッションの質も高まり組織も活性化した。とにかくやってみようの精神で利用し始めた制度だが、今後も大いに活用したい。