公認会計士「研修出向制度」体験者リポート
武田薬品工業株式会社
経理部(税務)海老澤 淳
具体的には、どのような仕事を担当されているのでしょうか?
海老澤武田薬品工業単体の税務申告業務がメインです。それ以外に、移転価格やタックスヘイブンなど国際税務に関する業務にもかかわっています。また、社内各部門からの税務に関する質問への対応も多いです。
税務はもちろん初体験ですよね。
海老澤松山事務所時代に担当したクライアントは中小企業も多く、どの会社も会計より税務を重視していたのです。上司からも「会計士とはいえ、税務の話ができなければ相手にされない」と諭されていました。なので実は、公認会計士になってすぐ税務の勉強を始めていたのです。
では、自信があったと。
海老澤国内の税務業務に関しては多少の自信がありましたが、赴任してすぐにヘコみました(笑)。税務チームのメンバーは、この道20年以上というベテランばかりで、37歳の私が最も若輩です。特に国際税務に関する知識やスキルは自分とはレベルが違い過ぎました。着任後、1カ月で十数冊の専門書を読むなど、猛勉強するしかありませんでした。ちなみに、チームには私以外、公認会計士や税理士の資格保有者はいません。資格など、実務にはさほど関係ないと実感しています。
武田に出向して、さらに税務を学ぶ日々を過ごしているのですね。
海老澤当然ですが、税務は業績に密接にかかわってきます。従って、税務にどれだけ詳しくても、事業に精通していなくては話になりません。定期的なミーティングの場で報告される事業の情報を聞くことが、いい勉強になっています。例えばPE(恒久的施設)やVAT(付加価値税)など知ってはいましたが、武田薬品工業のようなグローバル企業にとっては大変重要なものであることを改めて認識しました。そういう意味でも、税務について幅広く学べる環境に身を置かせてもらっていると感謝しています。
残りの出向期間でどんなことを身につけたいと考えていますか?
海老澤より深い税務知識と、もうひとつは英語です。経理部でも海外拠点などとのやり取りが頻繁にあり、周りの部員はごく普通に英語でコミュニケーションしています。私は、メールでの対応はできても、電話では満足に話せません。出向期間中に追いつこうと猛勉強中です。そして、ここでの得難い経験を少しも無駄にせず、よりクライアントの立場に立てる公認会計士になりたいと考えています。
最後に、後進へのメッセージを。
海老澤ほとんどの上場企業が国際的な事業を展開しているので、今後、出向を望むなら、英語の勉強を始めておくべきです。また、事業会社に出向すると、ビジネスを中から見られることに加え、同業他社との横のつながりも生まれます。ビジネスパーソンとしての幅を広げてくれる、素晴らしい機会だと思います。
武田薬品工業株式会社経理部(税務)海老澤 淳
武田薬品工業株式会社経理部長 コーポレート・オフィサー
当社は、2008年にミレニアム・ファーマシューティカルズ社を、2011年にはナイコメッド社を買収するなど、大型のM&Aを手がけ、対応国が28カ国から一気に70カ国に広がった。もちろん、今もグローバルの事業展開は加速している。
それに伴い経理業務も拡大し、即戦力として活躍してくれる優秀な人材を求めていた。もう一つ、国際化の進展とともにダイバーシティ化を推進し、多様なキャリア人材を採用して、変化に強い組織づくりを行うことが全社の方針となった。そんなタイミングで研修出向制度ができたことを知り、会計知識を備えたプロフェッショナル人材を迎えたいとお願いしたわけだ。
海老澤君には、国内の税務申告の責任者になってもらっているほか、国際税務もサポートしてくれているが、期待どおりの活躍をしてくれている。職場の評判もよく、安心だ。異業界で活躍した経験を取り入れることで、当社の守備範囲が広がる効果も生まれると思う。