熱き会計人の転機
テクネ監査法人
代表パートナー 公認会計士前田 昌太朗
2019年に独立したのはどんな経緯だったのですか?
前田ある程度準備はしていたのですが、1年半過ぎたところで予想を超え、生活に不安が出るほど貯蓄が減ってしまいました(笑)。そのため、代表と相談して関与の仕方を変えさせてもらいました。その後、他社からCFOの誘いもありましたが、アグリメディアへの転職は自分を懸けての選択でしたので、それらのお誘いはお断りして、独立することにしました。
独立を機に改めて自分の原点を確認し、やはり自分はスタートアップ・ベンチャーに対するIPO支援がしたいと。特に17年頃から“監査法人難民”が問題になっていました。IPOをするためには監査法人と契約する必要がありますが、当時9割のシェアを誇っていた大手監査法人は、リスクが高く、報酬も安い仕事は請けたくない。それなら内部統制を整えるなどしっかり準備をしてから監査法人にアプローチする必要がある。そのお手伝いをしようと考えたのです。
そんな思いから、21年、テクネ監査法人を設立しました。自分が主体となりベンチャーを支援するようになって思うのは、トーマツの静岡事務所や東京事務所TS事業部が手がけていた“トータルサービス”の考え方に自分は色濃く影響を受けているということ。あらゆるサービスを提供して、企業の経営課題をワンストップで解決できるようになりたい。そのために、監査法人が必要でした。テクネ監査法人では、主に東証グロースに加えて、TOKYO PRO Marketの上場を目指す企業を支援する方針です。将来有望な企業が増えていると感じますし、これまでの自分たちの経験・知見を生かせるマーケットだと考えています。
今後の展望をどのように描いているのでしょうか?
前田かつてはベンチャーにフォーカスしていましたが、今は少し対象を広げて、社会に対してよいことを大きく長く続けたい会社に照準を当てています。このような会社の支援を通じて社会に好循環を生む事業を増やして、直接・間接問わず関係者全員が利益を得て笑顔になれる社会をつくるためのお手伝いができればと考えています
若き公認会計士にアドバイスをお願いします。
前田私は、就職して社会経験を積んでから公認会計士を目指しました。そのため「何のために公認会計士になるのか」、この理由が明確でした。一方、今は在学中に資格を取得する若い人たちが増えているようです。もし、自分の働き方に悩む“キャリア迷子”になっているなら、改めて“何のために”の部分をしっかりと考えてみてはどうでしょうか。お金のためでも家族のためでもいい、自分が公認会計士として働く理由を見つけられると、自分の未来の方向が定まると思います。できれば、社会をよりよくする理由を見いだせることを願っています。
テクネ監査法人代表パートナー 公認会計士前田 昌太朗
テクネ監査法人
私もトーマツ出身です。在所当時は業務をともにする機会がなかったのですが、監査もしながらベンチャーのサポートもしている前田は、フロアでも目立つ存在で、自宅が近所だったこともあり、個人的な付き合いが続いていました。
前田から監査法人設立の話を持ちかけられたのは、私がトーマツを退所して独立した頃。前田の熱い思いに賛同し、参画を決めました。改めて彼の仕事ぶりを見ると、大きな武器になっているのは優れた“ビジネス感覚”だと思います。それは、監査の仕事しかしてこなかった公認会計士にはなかなか持ち得ないもの。おそらく前田は、トーマツ時代にあまたのベンチャーを支援するなかで、その力を身につけていったのでしょう。ビジネス感覚に根ざした鋭いコメントは、私たちが支援しているベンチャーにも刺さっていると思います。