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Accountant's magazine vol.4

-アカウンタンツマガジン-
2011年02月01日発行

会計プロフェッションによるコラム「Accountant's Opinion」

第4回「偶然だった"経理・財務マン"への道」

経済・金融・経営評論家/前金融監督庁(現金融庁)
顧問金児 昭

今回は、今まであまり公にしたことのなかった、信越化学工業入社当時(1961年)の話をしてみたい。全くの門外漢だった私が、経理・財務の道に進むことになったいきさつについてである。入社後の4年間、私は同社の子会社2社に出向していた。1社目は社員7人の信越共同建設で、1坪物置のセット販売を。2社目が社員150人の信越ポリマーで、ポリバケツなどの販売を行っていた。のちに本社で経理・財務の担当になったのは、ほとんど偶然だった。

ある日、信越共同建設に税務調査が入った。ところが、部長以下全員が、税務署員との対応など皆目わからない。そこで、新人の私が一人で相手をするよう命じられた。とはいえ、やはり税務も会計もチンプンカンプン。せめて格好だけでもと、会社のそろばんを携え、待ち構える税務署員の前に座った。しかし、それがいけなかった。

「そのそろばんは、あなたのですか?それとも、会社の備品?」。いきなりそう聞かれた私は、胸を張って「これは経理の宝です。3500円もしたんですよ」と返答した。すると、即座に「否認!」である。当時、3000円以上の備品は固定資産とみなされ、課税の対象だった。そもそも「ヒニン」の意味さえわからない私が、そんなことを知る由もない……。

その税務調査は1週間も続いた。こちらに知識がない以上、正攻法で対応していたら、どうなるかわからない。一計を案じた私は、2日目以降、朝から夕方まで、税務調査とは無関係の話題で話を継いだ。中身を具体的に語るのは理由あって差し控えるが、彼が興味を持つ話題を聞き出し、その話題について徹底的に調べ、家に帰れば「予習」して翌日に備える毎日の繰り返し。そうやって、とうとう1週間を乗り切った。結局、「否認」は、そろばんの3500円のみ。実は、赤字会社だったから、税金を取られる心配もなかったのだが……。そして、このやり取りを、傍らで見守る人物がいた。調査の途中から援軍に来られていた、当時本社の顧問税理士・公認会計士の原勘助先生である。

私が本社に戻った1965年、親会社が東京国税局の所管になった。それまでの税務署とは、税務調査の厳しさが違う。社内に税務専任の担当者が一人必要になり、当時の古沢正明経理部長が、グループ会社の状況にも詳しい原先生に、「誰か、“戦える”人材を知らない?」と聞いた。「税務・会計のことなど全く知らないのに、税務調査を乗り切った人間が建設子会社にいた」と、白羽の矢を立てられたのが、私だった。

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Profile

経済・金融・経営評論家/前金融監督庁(現金融庁) 顧問 金児 昭

経済・金融・経営評論家/前金融監督庁(現金融庁)顧問金児 昭

1936年生まれ。東京大学農学部卒業後、信越化学工業に入社。以来38年間、経理・財務部門の実務一筋。前金融監督庁(現金融庁)顧問や公認会計士試験委員などを歴任。現・日本CFO(経理・財務責任者)協会最高顧問。著書は2010年1月現在で、共著・編著・監修を含めて120冊。社交ダンス教師の資格も持つ。

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