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Accountant's magazine vol.31

-アカウンタンツマガジン-
2015年08月01日発行

会計プロフェッションによるコラム「Accountant's Opinion」

第9回「若くて優秀なプロなどいない。入り口の高等教育を徹底すべき」

青山学院大学大学院
会計プロフェッション研究科教授・博士八田 進二

前回に続き、公認会計士を育てる教育体制について述べてみたいと思う。

所属大学で公刊している会計専門誌『青山アカウンティング・レビュー』の特集で、「監査は不正を見抜けるか?」と題する対談を、ビジネス弁護士の草分けといわれる久保利英明氏と行った時のこと。現行の司法試験制度に変更された折、受験資格を得るためには原則として法科大学院修了が条件となったが、一部「予備試験」制度が残された。久保利氏は、法科大学院の位置付けが極めて中途半端なものになってしまったことに対して、大変な危機意識を持たれていた。経済的に厳しい人にも道を開くことなどを目的に残された予備試験だが、それに合格すれば、誰でも法科大学院を経ずに抜け道として受験資格が得られることから、結局は従来同様の“偏差値重視のペーパー試験”を認めるようになってしまったのである。

確かに、予備試験の合格は狭き門ではある。しかし、勉強ができて要領がよければ、学部在学中に予備試験に受かる人間がいても、不思議ではない。そもそも、そうした“学校秀才”は、本試験にも強い。「せっかく法科大学院をつくり、ある程度時間もかけて幅広い知識、見識を持った倫理観の高い法律家の卵を育てることにしたのに、その狙いに逆行するではないか」というのが、久保利氏の言いたいことだった。「まったくそのとおり」だと思うと同時に、正直「弁護士は、会計士に比べれば、まだまし」という感想も持った。曲がりなりにも、今も法科大学院が司法試験受験の“メインストリーム”としての地位を保っているのだから。

ひるがえって、会計士試験の受験に「会計大学院を修了すること」といった縛りは、一切ない。それどころか、現行の会計士試験に関しては、何らの受験資格要件も規定されていない。だから、“頭のいい”ティーンエイジャーが、平気で受かったりする。だが、そうしたレベルの会計士に対して、例えば、今とりわけ強調されている“会社経営者や監査役との質の高いコミュニケーション”が、期待できるのだろうか?答えは、火を見るより明らかだろう。私が経営トップだったら、そんな会計士の監査は御免こうむりたい。私は、そうした優秀な若者が本来の役割を果たし得ないという不幸を真剣に憂えるのである。ビジネスに関する深い教養と高度な倫理観を備えずとも、“超難関試験”を突破したということで、周囲からは、チヤホヤもされるだろう。若くして“勘違い”に陥るのは、決して幸福なことではないはずなのだ。

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Profile

青山学院大学大学院 会計プロフェッション研究科 教授・博士 八田 進二

青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授・博士八田 進二

慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得満期退学。 博士(プロフェッショナル会計学・青山学院大学)。2005年より現職。現在、日本内部統制研究学会会長、金融庁企業会計審議会委員を兼務し、職業倫理、内部統制、ガバナンスなどの研究分野で活躍。

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