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Accountant's magazine vol.13

-アカウンタンツマガジン-
2012年08月01日発行

会計プロフェッションによるコラム「Accountant's Opinion」

第13回「日本贔屓の米国人CFOから聞いた、IBMのドラマティック・イノベーション」

経済・金融・経営評論家/前金融監督庁(現金融庁)
顧問金児 昭

私が出会った多くのCFOの中から、印象に残る人物を紹介する本企画。2回目にご登場いただくのは、アメリカ人、ブライアン・ジョンソン氏である。簡潔なプロフィールは、1990年に米アイ・ビー・エムに入社。予算管理担当者としてニューヨーク本社のほかアジア・太平洋地区など世界の様々な地域、ポジションを経験し、2005年からは、日本アイ・ビー・エム執行役員管理担当に着任。一度本社に帰ったのち、11年に日本法人に戻り、専務執行役員CFOに就任、現在に至っている。

今年の春、縁あって週刊『経営財務』(税務研究会)の企画でインタビュアーとしておうかがいしたのが、ジョンソン氏との出会いだった。初めて会って話を聞くうち、私だけではなく同行した誰もが、彼に惚れこんでしまった。経営者としての資質もさることながら、大変な親日家でもあるジョンソン氏の“人となり”が、人種の壁を超えて、こちらの心に語りかけてくるように感じたのだ。

ジョンソン氏は、若かりし頃、宣教師として福井県の武生市(現・越前市。私が勤務していた信越化学工業のメイン工場の一つがある)を訪れ、2年間暮らしている。その間、例えば道を尋ねれば手を引いて連れていってくれるような日本人の親切に数多く触れたため、彼は日本贔屓になったという。そんな彼だからこそ、「自由9:自己規律1」の日本の「経理・財務」に対する理解も深いものがあり、経営に生かしていることがわかった。

驚いたのは、IFRS導入準備についての質問に対する返答だ。「米国同様、日本もIFRS導入が先延ばしになるようですが、弊社はすでに米国基準と日本基準両方で経営管理をしているので、プロセスやシステム面での心配はありません」。

要するに、会計基準に関しては日本だろうが米国だろうがIFRSだろうが、「何でもすぐに対応できます」ということである。IFRS導入が叫ばれた時、個々の企業にとって、多少は大変な思いも避けられまいと考えていた。ところが、「問題なし」と言われるのである。

そんな自信の裏づけとなっているのが、IBM本社が90年代半ばから推進した、グローバルレベルでの組織・プロセスの統合だ。これにより、それまで多国籍企業として各現地法人独立で営まれていたファイナンス(日本流にいう経理・財務)のプロセスは、統一された。勘定科目や経理・財務システムが、グループ内ですべて同じになったのである。例えば以前なら、本社のCFOから「交通費はどうなっている?」と問い合わせがあっても、「交通費」の内容が国によってバラバラだった。変革により、アクセス権のある人なら、誰がどこからアクセスしても、共通基準のデータを把握できるようにした。IBMの決算をすべてクロージングするのに数週間かかっていたのが、変革後はわずか3日で概要がわかるまでに短縮。経理・財務に関するこれほどまでにドラマティックな変革には、そうそうお目にかかれない。

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Profile

経済・金融・経営評論家/前金融監督庁(現金融庁) 顧問 金児 昭

経済・金融・経営評論家/前金融監督庁(現金融庁)顧問金児 昭

1936年生まれ。東京大学農学部卒業後、信越化学工業に入社。以来38年間、経理・財務部門の実務一筋。前金融監督庁(現金融庁)顧問や公認会計士試験委員などを歴任。現・日本CFO(経理・財務責任者)協会最高顧問。著書は2012年5月現在で、共著・編著・監修を含めて131冊。社交ダンス教師の資格も持つ。

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