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Accountant's magazine vol.46

-アカウンタンツマガジン-
2018年02月01日発行

会計プロフェッションによるコラム「Accountant's Opinion」

第24回「監査への信頼が揺らいでいる――。会計士はもっと危機感を持つべき」

青山学院大学大学院
会計プロフェッション研究科教授・博士八田 進二

これまでも再三取り上げた「東芝問題」は、2017年10月に東証が「特設注意市場銘柄」の指定を解除し、当面上場維持の公算が大きくなったとして、“ヤマは越えた”との見方も広がった。そんな容易な話ではない。会計監査の観点からすれば、この事案は巷の人々に監査制度の存在自体に疑問を抱かせるほどのダメージを与え、その危機は現在進行形なのである。

過年度の有価証券報告書の訂正などで一件落着とも思われた問題が再燃したのは、4月に前年度の四半期決算がPwCあらた監査法人の“意見不表明”のまま、つまり“無限定意見”が付かず公表されたことにある。

整理しておくと、通常、有価証券報告書には、監査人の“適正意見”が付く。これには「ほぼ満点です」という“無限定適正意見”のほかに、“除外事項を付した限定付適正意見”がある。“監査手続”や“監査範囲”が制約されたり、会計処理の一部に不満足な事項がある場合などに表明されるものだ。いずれにしても、財務諸表全体に影響を及ぼさず、除外事項の影響などが明示されることによって、財務諸表の利用者の意思決定への有用性は保持される。監査人の評価は、これらの“適正意見”か、あるいは“不適正意見”しかない。後者と判断されたら、当該企業は上場廃止になる可能性が高い。

では、“意見不表明”とはどういうことか?言葉どおり、「監査人の意見が示されない」ことである。かつては“無意見報告書”といわれていたのだが、要するに“監査未了”なのだから、出てきた監査報告書には、事実上何の意味もないことになる。監査意見を表明するのに必要な確たる証拠等が得られないのであり、監査人にとっても大変不幸なことである。しかし、今般の東芝の場合、率直にいって、プロフェッショナルとしての責任の下に、監査法人はいずれかの意見を表明することができたのではないかと思われる。

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Profile

青山学院大学大学院 会計プロフェッション研究科 教授・博士 八田 進二

青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授・博士八田 進二

慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(プロフェッショナル会計学・青山学院大学)。2005年より現職。現在、金融庁企業会計審議会委員、金融庁「会計監査の在り方に関する懇談会」及び「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」のメンバーを兼務し、職業倫理、内部統制、ガバナンスなどの研究分野で活躍。

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