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Accountant's magazine vol.29

-アカウンタンツマガジン-
2015年04月01日発行

会計士の肖像

「とにかく監査で考え抜く。それを全うして初めて、会社のリスクを診立て、自分なりの見解を持つことができる」

株式会社プルータス・コンサルティング
代表取締役中嶋 克久

出向で、監査以外の分野を経験。“企業評価”のプロに

入所8年目も終盤を迎えていた93年8月、中嶋に一つの転機が訪れる。日本最大のベンチャー・キャピタルである日本合同ファイナンス(現ジャフコ)への出向を命じられたのである。そこでは、公開コンサルティング部課長代理として、同社の投資先の上場準備に携わる。

普通であれば、監査法人でもIPO部門のメンバーが出向くべきポジションです。実はバブル崩壊の余波もあって、青山監査法人の重要戦略を担っていたIPO部門が所内でちょっとゴタゴタしていた。だから、監査にいた私に、白羽の矢が立ったのだと思います。まあ、“受身的”ではあったけれど、この時、監査とは違う世界に飛び込んだことが今につながったのは、いうまでもありません。

ジャフコでの業務は、一言でいえば、上場の審査基準である、安定的な利益を生み出せるだけの体質の構築です。管理体制、今でいう内部統制の仕組みをつくり、きちんと業績管理ができるようにし、組織的運営に必要な規定を整備し、といった一切合財についてアドバイス……と言うは易しですが、ずっと監査だけやってきた人間にとっては、またしても“ゼロからのスタート”なんですよ。

しかも、IPO支援会社が、ほとんど存在しない時代でしたので、周りを見渡しても、IPOコンサルの経験者なんて、そうはいないわけです。最初は正直、“見よう見まね”で上場まで持っていった、というのが実情でしたね。

ここで学んだことの一つが、仮に的確な話をしていたとしても、相手に理解してもらえなかったら、それはアドバイスにはならない、ということです。目の前にいるのは、会計に関しては素人。監査法人のコンサルが経理畑の人と話すのとは、わけが違います。一から説明するのはストレスフルで、そこを適当に流す人が、同業にも多いように感じます。でも、私は真正面から説明するよう、心がけました。そうするうちに、だんだんアドバイスの勘所みたいなものが、わかるようになっていったんですよ。

ジャフコの出向期間は2年でしたが、法人に戻ってからも、上場準備会社の会計監査、上場コンサルを中心とした業務に就きました。そこでは、安定株主づくりやストック・オプションを活用した幹部社員の採用などの上場に向けたスキーム、すなわち資本政策案件を100社ほど担当し、またグローバルな企業価値評価のプロジェクトにもかかわりました。振り返れば、この時期に、自分の中で今の会社のビジネスモデルにつながるスキルが蓄積されつつあったんですよね。

社会的な“追い風”も吹きました。01年の商法改正で、新株予約権と種類株の活用可能性が広がり、上場前の資本政策に関するルールも大幅に規制緩和されたのです。02年6月には、法改正も踏まえた、そこまでの資本政策に関するアドバイスの集大成として、部下たちとの共著で『資本政策の考え方と実行の手順』(中経出版)という本を出しました。この手の書物としては、異例の売れ方をしたんですよ。それだけ、「的確でわかりやすいIPOの指南」に対するニーズが高かった、ということでしょう。

02年7月、中嶋は預金保険機構に出向する。公的資金による銀行の資本増強業務に携わるためだ。預金保険法、銀行法、会社法など幅広い専門知識を要する仕事だったが、ここでも、後につながる重要な気づきを得る。金融工学の知識、スキルの重要性だ。

政府は金融システムに重要な問題があれば銀行に必要な資本増強を行うため、公的資金により銀行の発行する優先株などを引き受けます。これらを管理し、処分の仕方を考えるのが、私のミッションでした。

忘れられないのは、在職中の03年5月、日本初の金融危機対応会議が開かれ、その場でりそな銀行に対する2兆円の公的資金投入による資本増強が決まったこと。その時、普通株式と優先株式の引受業務を担当できたのは、今でも大きな財産だと感じています。

事ほど左様に、任されたのは、我が国の金融システム安定化に欠かせない仕事。そういう視点で必要なプレーヤーを考えていくと、会計士のほかに、弁護士、そしてもう一役、優先株式などの価値を算定する評価モデルをつくれる金融工学の専門家が不可欠だ、ということが見えてきたのです。自分が今までやってきたことに、そのスキルがプラスされれば、もっと世の中のニーズに応える仕事ができるかもしれない、という思いが芽生えたのも、この出向期間のことでした。

Profile

株式会社プルータス・コンサルティング 代表取締役 中嶋 克久

株式会社プルータス・コンサルティング代表取締役中嶋 克久

1961年7月29日
岩手県宮古市生まれ
1984年3月
中央大学商学部会計学科卒業
1985年9月
公認会計士第二次試験合格
1985年10月
青山監査法人プライスウォーターハウス
(現プライスウォーターハウスクーパース)に入所
1989年8月
公認会計士登録
1993年8月
日本合同ファイナンス株式会社
(現株式会社ジャフコ)へ出向(~1995年)
2000年7月
野村證券株式会社法人開発部に常駐派遣
(~2002年)
2002年7月
預金保険機構へ出向(~2004年)
2005年10月
現事業の母体となる有限責任事業組合
事業価値研究所を発足
2008年7月
前身会社の会社分割により、
株式会社プルータス・コンサルティングを
設立し、代表取締役に就任

[主な著書]
『資本政策の考え方と実行の手順』(共著:中経出版)、『企業価値評価の実務Q&A』(共著:中央経済社)、『ゴーイング・コンサーン早わかり』(共著:中経出版)、『種類株式・新株予約権の活用法と会計・税務』(共著:中央経済社)、『ストック・オプション会計と評価の実務』(共著:税務研究会出版局)、『戦略資本政策(新時代の新株予約権、種類株式活用法)』(共著:中央経済社)。

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