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Accountant's magazine vol.29

-アカウンタンツマガジン-
2015年04月01日発行

会計プロフェッションによるコラム「Accountant's Opinion」

第7回「不正リスク対応能力をさらに磨き、監査の質向上に貢献していこう」

青山学院大学大学院
会計プロフェッション研究科教授・博士八田 進二

会計監査業界には、30年来、“期待ギャップ”という言葉がある。監査人=公認会計士の側の役割の認識と、企業をはじめとする利用者が監査に求める役割期待に対する認識の間にズレがある、という意味である。1980年代から問われ続けた“ギャップ”の際たるものは、2つある。企業の存続可能性、すなわち“ゴーイングコンサーン”および、“経営者の不正”に対する、監査人の関与に関してだ。

90年代後半、三洋証券、北海道拓殖銀行、山一證券といった大手金融機関が、相次いで破たんした。いずれも本決算を締めた後、わずか半年余りの“寝耳に水”の出来事。「こんなことになるのを、監査人はわかっていたはずだ。どうして決算の時に、その“危険性”を指摘しなかったのか」という声が出るのも、ある意味、当然だろう。

企業内で発生する様々な不正に関しても、これまでの監査はほとんど“無力”であったと言われている。多くの場合“重要事項”に当たらない、従業員による“少額の不正”を見抜けないのはまだしも、経営者自らが絡むような大掛かりな不正も、監査で摘発されることはほとんどない。

これに対し、監査人サイドは、次のように反論する。

前者については、「我々の仕事は、“過去の数字”の信頼性を検証するものであり、将来の予測についてメッセージを出すことではない。企業にとって不利な情報を発することで、取り付け騒ぎにでもなったら、どうするのか」。また後者に関しては、「我々は、財務諸表の全てを精査するわけではない。たまたまサンプルに引っかかれば、会計不正を見つけることができるだろうが、そのために監査を行っているのではない。そもそも不正の防止、発見は、企業の内部統制の問題ではないか」。

この“ギャップ”が延々埋まらないのは、両者の認識に、それぞれ一定の“理”があるからだろう。正直、監査が利用者の期待に100%応えるのは、難しいのかもしれない。

ならば、ということで、米国で88年にスタートしたのが、不正の防止、発見、調査の専門家である「公認不正検査士」(CFE=Certified Fraud Examiner)という資格制度である。実は2006年からは、日本でもこのライセンスが取得できるようになり、すでに1000人を超えるCFEが、国内に誕生している。

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Profile

青山学院大学大学院 会計プロフェッション研究科 教授・博士 八田 進二

青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授・博士八田 進二

慶應義塾大学大学院商学研究科 博士課程単位取得満期退学。博士(プロフェッショナル会計学・青山学院大学)。2005年より現職。 現在、日本内部統制研究学会会長、金融庁企業会計審議会委員を兼務し、職業倫理、内部統制、ガバナンスなどの研究分野で活躍。

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