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「第二期 第6回基調講演 女性専門職業人が判断を下す時の課題」
参議院議員・公認会計士・税理士
竹谷 とし子
藤沼塾レポート
中央大学 名誉教授
北村 敬子
私が大学を卒業したのは、1968年だ。3年生の時に、当時の公認会計士資格二次試験に合格していたが、迷った末に会計士ではなく、大学で研究者になる道を選んだ。会計事務所に就職すること自体、けっこう大変な時期で、特に女性にとっては狭き門だった。
さて、昨年、日本公認会計士協会の会長に関根愛子さんが就任した。協会の70年近い歴史の中で、初めての女性会長である。また、今年に入って、協会内に委員27名、オブザーバー1名からなる女性会計士活躍促進協議会が設置され、7月に1回目の会合が持たれている。この分野で、女性の活躍の場が広がるのはもちろん喜ばしいことで、期待もしている。ただし、現状は女性にとって正直厳しい。今お話しした協議会も、委員の多くは女性であるにもかかわらず、委員長が男性というのは、少し情けない気もするのだ。
現状を数字で見てみよう。公認会計士協会の会員数は、2000年以降特に増え続け、当時約1万7000人だったのが、今年6月末現在で2万9000人超となった。では、女性比率はというと、12年の14.2%から16年の14.6%へ、この間、僅かながら増えたものの、2割に遠く及ばない状況だ。同じ時期、会計士試験合格者に占める女性比率を見ると、12年18.5%、16年は21.3%。やはり低さは変わらないものの、さきほどの数字と比べると、「試験には合格したけれど、会計士の道は諦める」という人が、女性は男性よりも多いことがわかるだろう(いずれも内閣府共同参画局調べ)。
では、女性は会計士に向かないのか?米国の文献だが、「会計士に必要とされる能力」に関する面白い分析がある(日本公認会計士協会近畿会女性会計士委員会訳『アメリカ女性会計士の歩み』)。
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中央大学 名誉教授北村 敬子
きたむら・けいこ/1968年、中央大学商学部卒業。70年、同大学大学院商学研究科修士課程修了。73年、同大学大学院商学研究科博士課程単位取得退学。81年から商学部教授、97年、中央大学商学部長、2004年、中央大学副学長。専門は会計学、研究テーマはキャッシュフロー割引計算。