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Accountant's magazine vol.39

-アカウンタンツマガジン-
2016年12月01日発行

会計プロフェッションによるコラム「Accountant's Opinion」

第17回「公認会計士は、会計的知識は当然、企業・社会への深い見識を持つべき」

青山学院大学大学院
会計プロフェッション研究科教授・博士八田 進二

東芝の不正会計問題に関する第三者委員会報告書がいかに“不十分”なものだったかについては、以前も述べた。ところで、この手の企業不祥事の“総括文書”には、判で押したように「内部統制が十分に機能していなかった」ことが、事件の背景として語られる。では、“内部統制”とは何か?

それに求められる構成要素として、まず①“統制環境”、すなわち、経営者の企業経営に対する考え方や理念が明確になっていなければならない。そのうえで②“リスクの評価と対応”がきちんとできているか、③会社内の権限や責任関係が明確になっているか、例えば会社の組織図や規定集をしっかり整備するといった“統制活動”は十分なのか、が問われる。さらに、④常に真実の情報が作成され、適時かつ適切にコミュニケートされる“情報と伝達”が機能しており、⑤内部監査など、社内の独立の部署業務をきちんとチェックする“モニタリング”の体制が整っていることも必要だ。以上はいわば国際標準なのだが、“日本版”には、さらに、⑥情報漏洩などを防ぐための“ITへの対応”が加えられている。

さて、内部統制に関して基本的なことを話したのには理由がある。一般に、“内部統制の不備”を指摘する第三者委員会の報告書や有識者のコメントでは、いったい内部統制の構成要素のどこに問題があったのか、掘り下げられることは稀なのだ。それでは再発防止を見据えた総括として、不十分だといわざるをえない。

そもそも、①~⑥の要素は並列的に捉えるべきものではない。最も重要なのは、①の統制環境で、法律に例えればこれが憲法にあたる。②以下は、それに基づいて具体化される要素と考えればいい。

統制環境をさらにかみ砕けば、経営者の哲学とか倫理観、そこから導かれる経営方針や戦略といったものになるだろう。それが組織の末端にまで浸透し、みんなが同じ価値観、同じ目線で業務を遂行している状況こそが、“理想的な統制環境”なのである。

しかしながら、今の日本の企業で最も大きな問題は、この統制環境の脆弱さにあるといえる。そこに続発する不祥事の根本原因がある、と思われる。

確かに経営者の意識を変えるのは難しい。そもそも定量的な検討が可能なリスクの評価と対応、統制活動あるいはモニタリングなどと異なり、経営哲学や倫理観は定性的で、評価自体が一筋縄ではいかないからである。だが、そこにメスを入れない限り、“有効な内部統制の実現”は絵に描いた餅にすぎない。

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Profile

青山学院大学大学院 会計プロフェッション研究科 教授・博士 八田 進二

青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授・博士八田 進二

慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(プロフェッショナル会計学・青山学院大学)。2005年より現職。現在、金融庁企業会計審議会委員、金融庁「会計監査の在り方に関する懇談会」及び「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」のメンバーを兼務し、職業倫理、内部統制、ガバナンスなどの研究分野で活躍。

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