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Accountant's magazine vol.56

-アカウンタンツマガジン-
2020年01月01日発行

会計プロフェッションによるコラム「Accountant's Opinion」

「第三者委員会に独立性はあるか?監査法人による監査を参考にすべき」

大原大学院大学 会計研究科 教授
青山学院大学 名誉教授 博士(プロフェッショナル会計学)八田 進二

ここ数年、東芝、神戸製鋼所、日産自動車、関西電力といった日本を代表する企業、厚生労働省という中央官庁まで、不正の連鎖が止まらない。組織の不祥事が世間に知れると、自分たちでの検証もせず、直ちに外部有識者などによる「第三者委員会」が組織されるのも恒例となった。その設置の目的は、不正の原因を突き止め、責任の所在を明らかにし、再発防止策を提言すること、というのが一般の受けとめだ。では、彼らはそうした負託に応えているのか? 残念ながら「ほとんどにおいてノー」と言わざるを得ない。真相究明どころか、責任も曖昧なままの報告書をまとめて一件落着を図る、問題組織にとっての“禊のツール”になり果てている、という由々しき実態があるのだ。

“第三者”を謳う以上、問題を起こした組織からは完全な独立性を有していなくてはならない。にもかかわらず、例えば厚労省の「毎月勤労統計」が15年近くにわたって歪められていた事案の「特別監察委員会」の委員長には、同省から年間23億円の助成金をもらっている独法の理事長が、堂々と“指名”された。案の定、その報告書は、「組織的隠蔽とは?」を自ら定義したうえで、「それはなかった」と結論付ける出鱈目さが、世間の失笑を買う。だが、笑ってばかりはいられない。おかげで肝心の事件の真因、責任問題は曖昧なまま、今日まで放置されることになったのだから。同委員会は決して例外ではなく、独立性を疑う第三者委員会は、山ほどある。

該当案件に切り込める“専門性”も不可欠のはずだが、やはり「異議あり」のケースが少なくない。そもそも私がこの問題に関心を抱くことになったのは、あまた発生する会計不正に関する第三者委員会に、会計の専門家である会計士の姿が見えず、大半が弁護士で占められている実情に、強い違和感を覚えたからである。

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大原大学院大学 会計研究科 教授 青山学院大学 名誉教授  博士(プロフェッショナル会計学) 八田 進二

大原大学院大学 会計研究科 教授青山学院大学 名誉教授 博士(プロフェッショナル会計学)八田 進二

慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得。博士(プロフェッショナル会計学・青山学院大学)。青山学院大学経営学部教授、同大学院会計プロフェッション研究科教授を経て、名誉教授に。 2018年4月、大原大学院大学会計研究科教授。日本監査研究学会会長、日本内部統制研究学会会長、金融庁企業会計審議会委員等を歴任し、職業倫理、内部統制、ガバナンスなどの研究分野で活躍。

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