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「アジア13市場17拠点に事業を拡大し、超急成長。アジアを代表する企業へ!」
AnyMind Japan株式会社
Finance
経理・財務最前線
株式会社ニチレイ経理部
とはいえ、経理人材全員が等しく事業会社での経験を積めるとは限らないという制約もある。それでもなお、人材供給の期待に応えるため、人材育成のさらなるスピードアップは従前よりの課題だ。
これを受け現在は、事業会社で生じた様々な事例をデータベース化し蓄積、部内で共有できる仕組みの整備を進めている。また各グループリーダーが社員一人ひとりに対してキャリア計画を立案し、どんな経験をさせて育てるかを検討。通信教育やDVDを用いた学習などにも力を入れているという。
「月1回、勉強会も開催しています。例えば、初めて償却資産税を扱った新人が、その経験を同世代の前で発表する。こうすれば1人の経験を皆でシェアできるわけですね。中堅社員も、年に数回、事業会社での社内講習の講師として、時節にあったテーマで発表しています」
経理部のスタッフに期待するのは「第一にコミュニケーション力」と安田氏は明言する。
現在、経理部内の有資格者は1割程度。
「年々、経理業務は高度化しており、資格保持者をキャリア採用するケースも増えてきました。例えば、監査法人や税理士法人で働いていた30代の方であるとか。コミュニケーション力があって事業会社と話ができれば、早い段階でプロジェクト参加や、部下のマネジメントもお任せしたいと思っています」
10年前に持株会社体制に移行してから、新たな課題も生まれたのだという。
「経理部門はシェアードサービス化の後、持株会社に入りましたが、一連の経理業務を進めるには、事業会社にも経理部とやりとりする管理系担当がいて、その先には企画や営業機能があります。彼らと我々経理部との役割分担や責任範囲が、規程などを設けてはいても、事業とその業務が変化する中でわかりづらくなってきています。『お互いがどういった基準・根拠に則って処理して会社情報を手渡しているのか』という共通理解が徐々に薄れてきているように感じます。より適正でスピーディな経理業務を進めるうえで、この部分の再確認と再整理を急がねばなりません」
経理部長安田 一彦
やすだ・かずひこ/1984年3月、早稲田大学商学部卒業。同年4月、日本冷蔵(現・ニチレイ)入社。関西経理室、本社主計第一課を経て、92年よりオーストラリア現地法人へ出向。帰国後の98年、経理部、経営企画部を経て、2012年、事業経営支援部長に就任。14年4月、経理部長に就任した。