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Accountant's magazineとは

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Accountant's magazine vol.23

-アカウンタンツマガジン-
2014年04月01日発行

会計士の肖像

「公認会計士の仕事は、実に楽しい。そこで得た様々な情報を血肉とし、経験を重ねていくと、人生は豊かになる」

宮内公認会計士事務所
所長宮内 忍

外資系を経て独立。社会福祉会計の先駆者として歩み始める

宮内がCPAを辞めた頃、業界は第一次就職難。それまでの売り手市場は姿を変え、好きに就職できる時代ではなくなっていた。28歳の宮内にはことさら門戸が狭く、行き場として求めたのが外資系だった。入所したのは、デロイト・ハスキンズ・アンド・セルズ会計士事務所(現有限責任監査法人トーマツ)。結果として、宮内はここで、のちの礎となる貴重な体験を積んだ。

ハスキンズも刺激的で、とてもいい場所でした。というのも、当時、会計学の本や専門誌を片っ端から読破していた私は、天狗状態だったんですね。大学教授たちが書いている文章を読んでも、自分が考えもつかないような論理には、もう出合えないと思っていたから。実際、女房は私のことを「鼻持ちならない」と言ってたし(笑)。それがハスキンズには、私が想定できない世界で会計を構築できる人たちが、何人もいた。それが現場というものです。まさしく天狗の鼻は折れたし、謙虚になることの大切さを教わりました。

当時のハスキンズは、自分で監査手続きを作成するスタイル。当然、標準監査手続きというプログラムは用意されているんだけど、それとは別に、クライアント個々に合った手続きを自分で考えて、承認をもらい、実行するわけです。今の人たちは“お仕着せ”のものが多いでしょうが、私は監査業務における創造性を養うことができた。

それともう一つ、いい経験となったのは、アジア開発銀行という国際金融機関の監査に従事したこと。ペンション・プランであるとか、日本でもその後広がっていく会計領域を、先取り的に体験することができました。これはパブリックの分野なので、現在、私がメインフィールドにしている非営利・公会計のベースになるものを、おぼろげながらも会得できたのです。

本当は、ハスキンズには最低でも5年間はいるつもりだったのですが、税理士事務所をやっていた女房が、子育てで仕事にパワーが割けなくなって。私としても時間を自由に使えるようにと、独立を考えるようになったのです。

「公認会計士宮内忍事務所」を開所したのが79年、追って2年後には「福祉会計サービスセンター」を設立。ここから、宮内は社会福祉会計のパイオニアとして歩み始める。契機となったのは76年、それまで官庁会計だった社会福祉法人に、複式簿記会計が導入されるという行政指導通知が発出されたこと。この通知に従わなければならない法人に対し、会計専門家による実務研修が必要となった際、宮内らは「わかりやすい研修」を武器に、新しい領域を切り拓いていったのである。

義父が東京都社会福祉協議会の事務局長をやっていたので、その縁で、76年に示された社会福祉法人の経理規程準則を渡されたんです。「ひもとくように」と、女房から。「私は売り込むのは得意だけど、勉強は得意じゃないから」、私にやれと言う(笑)。まだハスキンズにいて時間に余裕がなかったので、CPAの優秀な同僚である山本嘉彦君、皆川明良君を引きずり込んで、勉強してみることにしたんです。

ちなみに山本君は、若くして公認会計士協会学術賞を取った人物で、頭がよすぎて、言っていることがちょっと人には理解できないという、いわゆる天才。私は時間をかけて、やっと彼の通訳を務められるまでになったんだけど(笑)。まぁそれは余談として、山本君が、くだんの経理規程準則を分解して整理し直し、我々はそれを必死に読み解いていったのです。

そして何とか「こういう恰好がいい」とまとめたものを手に、厚生省(当時)で提案させてもらったら、そのわかりやすさを高く評価していただいた。それから声がかかり、社会福祉法人に向けた実務研修に出向くようになったのです。76年の後半期に、手分けをしながら延べ8000人ほどの研修を担当しました。それが、私たちのスタート。

とはいえこの頃、社会福祉法人には会計専門家と顧問契約を結ぶ習慣などなかったから、先行きは全然見えなかった。仕事で報酬の話になると「え?ボランティアじゃないの?」となる。私たちは「フィールドを間違えたか」と言ってたものです。幸い、東京都が福祉に力を入れていたので、本当に少しずつ仕事の機会が増えていったという感じですね。社会福祉に詳しい会計専門家はどこにもいなかったから、結果、オンリーワンになったのです。

2000年に介護保険制度が施行されたことで、法人側も自由度が増し、報酬も得られそうだと、いろんな会計事務所がこの新領域に入ってきたのですが、結果としては、我々にとってさほどの脅威にはならなかった。社会福祉の世界は、運営する種別によって管轄行政が違うし、指導内容や会計基準も異なってくるから、それはもう複雑で手間がかかる。腰を据えてやる人たちが、なかなか出てこないんですよ。法律上でも規制緩和や構造改革など、福祉を取り巻く環境は激変しています。でも、だからこそ、私たちは第一人者としてこの世界の安定と発展のために尽力すべきだと考えているのです。

Profile

宮内公認会計士事務所 所長 宮内 忍

宮内公認会計士事務所所長宮内 忍

1947年6月7日
東京都足立区生まれ
1970年3月
中央大学商学部
会計学科卒業
1972年10月
公認会計士
第二次試験合格
東京CPA専門学院(現東京CPA会計学院)講師
1975年9月
デロイト・ハスキンズ・アンド・セルズ会計事務所(現有限責任監査法人トーマツ)入所
1976年9月
公認会計士登録
1979年9月
公認会計士宮内忍事務所開所
1981年7月
株式会社福祉会計サービスセンター設立
1992年6月
センチュリー監査法人
(現新日本有限責任監査法人)代表社員就任
2003年6月
あずさ監査法人
(現有限責任あずさ監査法人)代表社員就任
2004年3月
宮内公認会計士
事務所開所
2005年7月
日本公認会計士協会 副会長就任

[役職など]
「文部科学省・国立大学法人会計基準等検討会委員」「総務省・地方独立行政法人会計基準検討会委員」「文部科学省・国立大学法人評価委員会委員」「文部科学省・独立行政法人評価委員会委員」「地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター監事」「NHK情報公開・個人情報保護審議会委員」「金融庁・行政事業レビュー等外部有識者」「総務省・政策評価・独立行政法人評価委員会・独立行政法人評価分科会長」「経済産業省・独立行政法人評価委員会委員」「株式会社博報堂DYホールディングス監査役」「財団法人日本ユニセフ協会監事」など多数

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