- vol.74
-
「「第2の創業」がスタート!グローバル事業のさらなる伸長を数字で支える要石に」
日立建機株式会社
財務本部
経理・財務最前線
中外製薬株式会社財務経理部
新型コロナウイルス感染症の治療薬でも注目される、国内大手製薬企業・中外製薬。その財務経理機能は、本社で決算や税務、財務、予算などを担うメンバーと、研究開発、生産、営業等、バリューチェーンの各所でビジネスファイナンスを担当する「ファイナンス・ビジネスパートナー(FNBP)」とに分かれる。同社財務経理部長の臼田和也氏は次のように語る。
「FNBPには、中外製薬のビジネスが好きで、ミッションやビジネスを理解している“人財”を登用し、ファイナンスの知識は後で学んでよいとしています。一方、本社の財務経理部門は、伝統的な財務経理機能を担うチームとして、新卒採用と並行して中途採用も積極的に行い、最新のスキルとナレッジを維持するよう務めています。もっとも、20~30代であれば中途採用後にビジネスファイナンスに異動する将来もありますので、最終的には、その人の希望に沿ったキャリアを選べるような育成を方針としています。そのために、半年に一度は約50名全員と面談を行っています」
臼田氏自身は、日系大手電機メーカーを皮切りに、複数の米国系企業で勤務。その目には、中外製薬の財務経理の特徴はどう映っているのか。
「企業における財務経理部門の基本的機能は、多くの会社で変わらないと思います。しかし、ビジネスファイナンスの領域は製薬業界ならではの特徴があると感じます。例えば、新薬の研究開発には10年以上かかり、私が過去経験した業界に比べ、収益化までの期間が決定的に長い一方、成功確率は2万5000分の1と言われています。不確実性の高いプロジェクトへ継続的に投資をしていく環境のなかで、イノベーションを支えるファイナンスのあり方を、常に考えています」
また中外製薬はスイスのバーゼルに本拠を置くロシュ・グループの一員でもある。財務経理部からも2〜3年単位で人財を派遣するなどの交流を行いつつ、スイス本社のファイナンスコミュニティと中外のファイナンスコミュニティをつないでいる。
「日本の上場企業でありながら同時に外資系企業の日本法人でもある。日本企業としてのオペレーションと外資系企業のオペレーションが混在していることや、コミュニケーションすべきステークホルダーの幅が広いことも特徴だといえます」
この記事の続きを閲覧するには、ご登録 [無料] が必要です。
財務経理部長臼田 和也
1997年、大学卒業後、日系大手電機メーカーに就職。その後、複数の米国系企業に勤務。一貫して財務経理畑を歩んできた。2019年、中外製薬株式会社に入社。20年4月、財務経理部長に就任。