【企業のステージ別】経理部門リーダーに求められる役割と業務内容プライム上場編

経理部門のリーダーに求められるものは、企業の規模によって大きく異なります。

現在、あなたが経理部で働いているとしても、将来的なキャリアは今の会社で役職をあげていくだけではありません。経理のキャリアには様々な可能性があり、そのためには自分がなりたい姿をイメージして経験を積んでいくことが重要なのです。

今回は水・環境関連のコンサルタント業務を行っているプライム上場企業である株式会社NJSにて、経理部の決算グループリーダーを務める成瀬良訓さんにお話をお伺いしました。

弊社は1951年の創設以来、水と環境のコンサルタントとして地域における上下水道の普及と技術者の育成を目指し、事業を推進してきました。現在では主要都市はもちろん、出張所は全国各所にあり海外との取引も積極的に行っています。

弊社のビジネスは主に水・環境関連のコンサルタント業になります。水に関するインフラのライフサイクル（企画・建設・維持管理・改築）に合わせて、様々な技術とサービスを提供しています。

具体的には上下水道の設計業務や水質・下水道管の調査業務、計画策定、災害対策、ソフトウェアの提供など、水に関する業務は多岐にわたります。

経理部の役割は、主に決算業務と税務申告業務になります。伝票入力から単体・連結決算・開示・税務申告まで経理部で行っています。

また、関係会社や海外プロジェクトとの伝票や決算書のやり取りも経理部が主となり実施しています。経理部の構成としては決算グループ7名、財務グループ5名、部長を含めて全部で13名の部署になっています。

わたしは決算グループのリーダーとして主に決算の取りまとめや監査対応、税務申告などの業務を行っています。また、通常業務以外にも、各種新会計基準への対応など幅広く業務を行っています。

わたしは大学の経営学部を卒業したあと、地元の自動車部品メーカーに入社しました。そこで自ら希望した経理部に配属されてから約20年弱、ずっと経理で働いています。

経理を希望した理由ですが、性格的にデータ分析などが以前から好きだったため、自分なりに適性を考えた結果です。

当時は経費の伝票入力からスタートし、単体決算、連結決算など財務会計まわりを一巡してから、徐々に管理会計にも関わるようになりましたね。

子会社は世界中に複数あり、入社10年目くらいからは会計ソフトの導入などで海外出張の機会も多くありました。2017年には経理マネージャーとして、2年間インド駐在も経験させていただきました。

長年経理として働いてきて、経理の「企業活動について数字を使って俯瞰的に見ることができるところ」が自分に合っているのだなと感じています。

自分の仕事について考える時、その時の職種・置かれた環境にのみ目が行きがちですが、経理という仕事は数値を通して客観的に会社を見ることができます。

お客様、社員、株主様といった様々な角度から物事を考える必要があるので、「企業活動全体を知り、全体最適を目指したい」わたしにとっては、とても合っている仕事だと感じています。

前の会社に約17年間在籍したあと、現職に転職しました。

前職では海外駐在や様々なプロジェクトなど多くを経験させてもらったことで、自分の世界観がとても広がったことを覚えています。自分の経験値が増えていく中で置かれた環境・立場には満足していたものの、もっと多くの世界を見てみたいという想いも募っていきました。

新型コロナウィルス感染症が始まった2020年、各社採用をストップするなか、幸運にも現職から転職のオファーをもらい、思い切って転職を決意しました。

情報をいかにわかりやすく関係者に伝えることができるか、というのは経理をやっていると誰もが思うところだと思います。経理はあえて難しくしているような用語が多いため、ありのまま説明しても内容を理解してもらえない場面が多くあります。

そのため接する方々にはいかにわかりやすくイメージしやすい形で伝えられるかをいつも考えています。

また、海外とのやり取りが発生する業務の場合、文化的慣習や言語が異なるので、お互いの認識が合っているか都度確認しながら進めないといけません。

最後の最後で大どんでん返しが待っている可能性もあるので、常に注意を払い密なコミュニケーションを取るよう心掛けています。

企業が成長していくためには、「従業員全員が同じ方向を見ていること」が必要になります。我々グループリーダーはその調整役という立場で、経営陣に対して意見を伝え、部下に対しては会社の意向や方針を伝えたり、実務のサポートをしたりします。

会社経営のパイプ役として苦労も伴いますが、やりがいを感じる部分でもあります。

今後は企業の成長に積極的にかかわっていけるような経理として、活動していきたいと思っています。

現在会社としては創業75年、増収増益で成長を続けることができていますが、例えば収益化が難しい海外プロジェクトの強化や、東証が求める株主様への開示の拡充など、変化が激しい社会に対応できるよう経理としての幅を広げたいと考えています。

具体的に考えるとまずは経理システムの一元化などでしょうか。他の部署も巻き込みながら標準化したシステムを作りたいと思っています。そのための下地として部下への教育やマインドセットなど、できるところからどんどん取り組んでいきたいと思います。