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経理職の自己PR例文集|転職活動で求められるアピールポイントを紹介

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2025年7月4日ジャスネットキャリア編集部

経理職への転職を検討している方にとって、自己PRは採用の成否を分ける重要な要素です。経理という専門性の高い職種では、単に「数字に強い」や「責任感がある」といった抽象的な表現では採用担当者の心に響きません。具体的な実績と経験に基づいた説得力のある自己PRが求められます。

転職市場において経理職は常に一定の需要がありますが、同時に競争も激しい職種でもあります。そのため、他の候補者との差別化を図るためには、自分の経験やスキルを効果的にアピールする自己PRの作成が不可欠です。本記事では、経理職の転職活動で成功するための自己PR作成のポイントから具体的な例文まで、包括的に解説していきます。

目次

■経理職の自己PRを書く際の基本ポイント

(1)具体的な経験を盛り込む

経理職の自己PRでは、抽象的な表現ではなく具体的な業務経験を詳しく記述することが重要です。単に「経理業務を担当していました」と書くのではなく、どのような規模の会社で、どのような業務を担当し、どのような課題に直面してそれをどう解決したのかまで詳細に記載する必要があります。

例えば、月次決算業務を担当していた場合は、何社の子会社を含む連結決算だったのか、決算スケジュールの短縮にどのように貢献したのか、使用していた会計システムは何だったのかなど、採用担当者が業務の難易度や規模を具体的にイメージできる情報を含めることが大切です。

また、経理業務は多岐にわたるため、自分が担当していた業務範囲を明確に示すこともポイントになります。売掛金・買掛金の管理、固定資産の管理、税務申告業務、予算管理、資金管理など、それぞれの業務で培った経験やノウハウを具体的に示すことで、採用企業での即戦力としての価値をアピールできます。

(2)成果を数字で示す

経理職の自己PRにおいて数値での成果表現は極めて重要です。経理職は本来数字を扱う職種であるため、自分の実績も数値で示すことで説得力が格段に向上します。ただし、単に大きな数字を並べるのではなく、その数字が示す意味や背景、そしてそれがどのような価値を企業にもたらしたかを明確に示す必要があります。

業務効率化の成果であれば、作業時間の短縮率や処理件数の増加、コスト削減効果などを具体的な数値で示します。例えば「請求書処理の自動化により月次作業時間を30%短縮」「経費精算システムの導入により年間200万円のコスト削減を実現」といった表現が効果的です。

また、チームマネジメントの経験がある場合は、管理していた部下の人数や、月次決算・年次決算を何営業日で締めたか、それを見越して部下のスケジュールをどう管理したのかなども重要な数値指標となります。これらの数値は、候補者の責任範囲や業務レベルを判断する重要な材料となるため、正確に記載することが大切です。

(3)募集要項など企業のニーズに合わせた内容

転職活動では、応募する企業ごとに自己PRをカスタマイズすることが成功の鍵となります。経理職の求人票には、その企業が求める具体的なスキルや経験が明記されていることが多いため、それらの要件に対して自分の経験がどのようにマッチするかを明確に示す必要があります。

例えば、IPO準備中の企業であれば内部統制の構築経験や監査法人対応の経験、国際展開を進める企業であれば連結決算や国際会計基準の知識、成長企業であれば予算管理や資金調達の経験などが重視されます。自分の経験の中から、その企業のニーズに最も適合する部分を選び出し、それを中心とした自己PRを構成することが肝心です。

また、企業の規模や業界特性に応じて、アピールするポイントを調整することも必要です。大手企業では標準化された業務プロセスでの経験が重視される一方、中小企業では幅広い業務への対応力や柔軟性が求められる傾向があります。

■経理職に必要なスキルとそのアピール方法

(1)会計ソフトやITツールの使用経験

現代の経理業務において、ITスキルは必須の要件となっています。会計ソフトの操作経験は基本的な要件として、どのようなシステムをどの程度使いこなせるかを具体的に示すことが重要です。単にソフト名を列挙するだけでなく、そのシステムを使ってどのような業務を効率化したか、どのような機能を活用したかまで詳しく記載します

例えば、会計ソフトの導入プロジェクトに参加した経験がある場合は、要件定義から運用開始までのプロセスでどのような役割を果たしたか、導入後の効果はどうだったかを具体的に説明します。また、複数の会計システムの使用経験がある場合は、それぞれのシステムの特徴を理解し、状況に応じて最適なシステムを選択できる能力をアピールできます。

クラウド会計ソフトやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツールの活用経験も近年注目されているスキルです。これらのツールを使って業務の自動化や効率化を実現した経験があれば、DX(デジタルトランスフォーメーション)に積極的に取り組める人材として高く評価される可能性があります。

(2)Excelなどのデータ分析能力のアピール

Excelスキルは経理職にとって基本的なスキルですが、単に「Excelが使える」と記載するだけでは不十分です。どのような関数やツールを使いこなせるか、どのような分析資料を作成した経験があるかを具体的に示すことが重要です

高度なExcelスキルとしては、ピボットテーブルやマクロの活用、複雑な関数の組み合わせによるデータ分析、グラフや表を使った視覚的な資料作成などがあります。これらのスキルを使って、経営陣向けの分析資料を作成した経験や、業務の自動化を実現した経験があれば、それを具体的に説明します。

また、ExcelだけでなくPowerBIやTableauなどのBIツールの使用経験があれば、より高度なデータ分析能力を持つ人材としてアピールできます。これらのツールを使ってダッシュボードを作成し、経営の意思決定をサポートした経験は特に価値が高いといえます。

(3)コミュニケーション能力の重要性

経理職は数字と向き合う業務が中心ですが、実際の業務では社内外の様々な関係者とのコミュニケーションが必要不可欠です。監査法人や税理士との対応、他部署との調整、経営陣への報告など、適切なコミュニケーション能力なしには業務を円滑に進めることができません。

特に、複雑な会計処理や財務状況を分かりやすく説明する能力は大切です。専門知識のない相手に対して、図表やグラフを使って視覚的に説明したり、具体例を交えて理解しやすく伝えたりする経験があれば、それを具体的にアピールします。

また、プロジェクトチームでの協働経験や、他部署との業務改善プロジェクトでの調整役としての経験なども、コミュニケーション能力を示す重要な材料となります。これらの経験を通じて、どのような成果を上げたかを具体的に示すことで、単なる事務処理担当者ではなく、組織の発展に貢献できる人材であることをアピールできます。

■経理経験者向けの自己PR例文

(1)業務改善の実績をアピールする例

前職では中堅商社の経理部門に5年間勤務し、月次決算業務の効率化に注力してきました。入社当初は月次決算に15営業日を要していましたが、仕訳入力の標準化やチェック体制の見直しを提案・実行し、最終的に10営業日まで短縮しました。特に、各部署からの売上データを効率的に集約するためにExcelマクロを用いた自動集計システムを構築し、作業時間を大幅に削減。ヒューマンエラーの防止にもつながりました。また、業務マニュアルの整備により属人化を解消し、チーム全体の生産性向上にも貢献しました。これらの取り組みにより、月間の残業時間を延べ50時間削減するなど、働き方改革にも寄与しています。こうした経験を通じて得た改善力を、御社でも発揮したいと考えています。

(2)チームリーダーとしての経験を強調する例

前職では製造業の経理部門で主任として5名のチームを率い、売掛金・買掛金管理業務を統括してきました。メンバーの経験に応じた業務配分と指導を行い、処理精度や対応力の向上に努めました。新人には段階的に学べるOJTプログラムを構築し、ベテランには分析業務や改善提案の機会を提供することで、チームのモチベーションとスキルの底上げを図りました。その結果、月次の売掛金残高照合における差異率を0.5%から0.1%に改善。また、税制改正や会計基準の変更に対応するための勉強会も定期的に開催し、組織としての対応力を高めました。マネジメント経験と育成力を、貴社でも活かしたいと考えております。

(3)IPO準備に関する経験を伝える例

前職のIT企業では、IPO準備プロジェクトの中核メンバーとして2年間にわたり内部統制の構築と運用に携わりました。会計システムの導入、内部統制文書の整備、監査法人との調整など多岐にわたる業務を担当しました。中でも、案件ごとにばらつきがあった売上認識プロセスを、収益認識基準に基づいてルール化し、判断フローを策定。さらに内部統制を設計し、月次でのモニタリング体制を構築しました。監査法人との四半期レビューでは、財務数値の根拠資料の準備や説明、指摘事項への改善対応も担い、最終的に重要な不備なくIPOを達成しました。上場企業レベルの統制構築や監査対応の実務経験を、御社でも活かして貢献したいと考えております。

■未経験者向けの自己PR例文

(1)関連資格を活かした自己PR

経理職は未経験ですが、簿記1級および税理士試験の簿記論・財務諸表論に合格しており、会計・税務に関する知識は十分に習得しています。資格取得の過程では、連結決算や税効果会計といった実務で求められる高度な論点についても学び、経理実務への対応力を高めてまいりました。現職の営業職では、月次売上の分析や予算管理を担当し、Excelによるデータ分析や関数の活用、資料作成を日常的に行っています。顧客別・商品別の収益性分析や、季節要因を考慮した売上予測モデルの構築など、数値を多角的に捉える力には自信があります。また、社内の業務改善プロジェクトでは営業プロセスの見直しを提案し、受注から売上計上までのリードタイムを平均3日短縮しました。この経験から、業務フローを論理的に分析し、改善策を立案・実行する力を身につけました。経理職への転職を通じて、これまで培った分析力・改善提案力を専門性の高い会計業務に活かし、企業の成長に貢献していきたいと考えております。

(2)他業種での経験を活かすアプローチ

前職では小売業のバイヤーとして3年間勤務し、仕入れから販売までの流れを管理する中で、売上原価や在庫回転率など、数値に基づく管理業務を経験してきました。月次の仕入れ計画では販売データや市場トレンドを分析し、発注量を最適化。在庫回転率を前年比15%改善し、キャッシュフロー向上に貢献しました。仕入先との交渉ではコスト構造を分析し、Win-Winの関係を築きながら仕入原価を削減。さらに、店舗業務の効率化にも取り組み、人件費の最適化提案も行いました。こうした数値分析力やコスト管理の視点は、経理業務にも通じる強みだと考えております。単なる記帳にとどまらず、経営に貢献する経理担当者として成長していきたいと考えています。

■自己PR作成時の注意点

(1)誇張しない、正直な内容を心がける

自己PRでは自分を良く見せたいという気持ちから、つい実績を誇張してしまいがちですが、これは絶対に避けるべきです。特に経理職では、面接で具体的な業務内容について詳しく質問されることが多く、実際の経験と異なる内容を記載していると、すぐに見抜かれてしまいます。

数値を用いる際は、その数値が正確であることを確認し、可能であれば裏付けとなる資料を準備しておくことが重要です。例えば、「経費を20%削減した」と記載する場合は、その期間、対象範囲、比較基準を明確にし、どのような施策によってその成果を達成したかを具体的に説明できるようにしておく必要があります。

また、チーム全体での成果を個人の成果として記載することも避けるべきです。チームでの成果については、その中での自分の役割と貢献度を正確に記載し、謙虚さと誠実さを示すことが重要です。

(2)企業文化に合った表現を選ぶ

同じ経理職でも、企業によって求められる人物像や価値観は大きく異なります。伝統的な大企業では堅実性や正確性が重視される一方、ベンチャー企業では積極性や革新性が求められる傾向があります。応募企業の企業文化や価値観を事前に調査し、それに適合した表現を選ぶことが重要です。

企業のホームページや採用情報、社員インタビューなどを通じて、その企業がどのような人材を求めているかを把握し、自己PRの文体や強調するポイントを調整します。例えば、革新的な企業では「従来の手法にとらわれず、新しいアプローチで業務改善を実現した」といった表現が効果的ですが、保守的な企業では「確実性を重視し、リスクを最小限に抑えた改善を実施した」といった表現の方が好まれる場合があります。

また、業界特有の専門用語や慣習についても理解しておくことが重要です。金融業界と製造業界では、同じ経理職でも求められる知識や経験が異なるため、業界に適した表現を心がけることで、その企業への本気度と適性をアピールできます。

■転職エージェントのサポートを受ける

経理職の転職活動において、転職エージェントの活用は非常に有効な選択肢です。自己PR作成に不安がある方や、より客観的な視点でのアドバイスを求める方にとって、プロのサポートは大きな価値をもたらします。

特に経理・会計分野に特化した転職エージェントを利用すると、経理職に特化した質の高い求人を紹介してもらえます。また、特化型転職エージェントを利用する最大のメリットとして、経理職の転職市場に精通したコンサルタントから専門的なアドバイスを受けられることが挙げられます。

自己PR作成の段階では、経験豊富な転職エージェントが候補者の経理に関連する経験やスキルを整理し、最も効果的なアピールポイントを見つけ出して自己PRの作成サポートをしてくれます。

■まとめ

経理職の転職における自己PRは、単なる自己紹介ではなく、採用企業に対する価値提案書として位置づけることがポイントです。具体的な経験と数値に基づく実績を軸に、応募企業のニーズに合わせてカスタマイズした内容を作成することで、他の候補者との差別化を図ることができます。

経験者の場合は、これまでの実績を具体的な数値とともに示し、どのような価値を企業にもたらすことができるかを明確に伝えることが重要です。未経験者の場合は、他職種での経験や保有資格を経理業務にどのように活かせるかという観点から、将来性と学習意欲をアピールすることが効果的です。

最も重要なのは、誠実性と正確性を保ちながら、自分の強みを最大限にアピールすることです。経理職は企業の財務情報を扱う重要な職種であるため、信頼性の高い人材であることを示すことが何よりも大切です。本記事で紹介したポイントと例文を参考に、自分らしい魅力的な自己PRを作成し、転職活動の成功につなげていただければと思います。

執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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