新規登録 求人検索
新規登録

「簿記2級、受かる気がしない…」と思ってしまう5つの理由と解決策

写真1

簿記講師 鯖江 悠平

簿記3級に合格し、勉強したことを忘れないうちに簿記2級を目指す人も少なくないでしょう。

しかし、簿記3級はあくまでも入門編。特に対策をせずに独学で、簿記2級にチャレンジしてしまうと、「思っていたより難しく、何度も落ちてしまった」という事態になりかねません。

ここでは長年、会計専門学校で簿記講師を務める鯖江悠平さんに、「簿記2級が難しいと感じてしまう理由とその解決策」について教えていただきました。

あなたの合格の可能性をあげることができると思いますので、ぜひ参考にしてください。

目次

■「簿記2級、受かる気がしない」理由

■ 簿記2級に合格するための5つの対策

■ まとめ

■「簿記2級、受かる気がしない」理由

(1)理由その1:簿記3級と同じ感覚で学習している

簿記3級は、まずは簿記の学習をしてみようと思う人のための入門編であり、とりかかりやすいです。合格率は平均で40%前後。基礎レベルにあたりますので、初学者でも計画的に学習を進めれば独学でも十分に合格できると思います。

しかし簿記2級の合格率は平均で20%前後。簿記3級レベルを理解している人たちが、さらに学習を続けて試験を受けている状態にもかかわらず合格率は下がっています。つまり、単純計算でも2倍は難しくなっていると考えてください。実際にはもう少し難易度は高いでしょう。

これらを踏まえ、簿記3級と同じ感覚で学習するだけでは2級合格が難しいことが分かります。当然、簿記3級より学習量が増えるので同じような学習時間では合格できないことも理解しなければならないと思います。

(2)理由その2:簿記2級に追加された新しい論点により学習範囲が広がっている

出題範囲で、日商簿記1級から2級へ移行した代表例として、外貨建取引、リース取引、税効果会計、連結会計などがあります。1級での出題ほど難易度は高くはありませんが、学習範囲が広がることにより、受験生の負担になっているのではないかと思います。

その中でも特に苦手な方が多いのが、連結会計ではないでしょうか。連結会計について下記に対策を書きましたので、苦手な方はぜひ参考にしてください。

(3)理由その3:避けて通れない工業簿記が試験科目になる

簿記2級になると避けては通れないのが、工業簿記です。

工業簿記は、注文を受けてから製品の製造にかかる個別原価計算や規格品製造にかかる総合原価計算を学習します。また、実際の製造活動が目標どおり行われているかをチェックする標準原価計算や短期的な利益計画と結びつく直接原価計算なども学習します。

今までの商業簿記に新しく学習分野が追加されるということに抵抗感を覚える人もいるかもしれません。

(4)理由その4:簿記3級の理解が表面的である

もともと経理部で働いていて知識があったなどの理由で、簿記3級はそこまで学習しなくとも合格された方もいるかもしれません。それが簿記2級になり、3級で学習しているはずの基礎をおろそかにしてしまい、応用することができなくなる現象が「表面的な理解」です。

簿記3級のように授業を受ければ、すぐに問題が解けると思っているとこの現象に陥りがちです。まずは授業を受け、それに対する復習・演習を重ねることで簿記の実力は身につきます。

3級取得の時点で合格だけを目的にしてしまい、理解が難しい論点などをおろそかにしてしまう学習をしていると、2級の合格はできないものです。

(5)理由その5:過去問が非公開になった

残念ながら2021年度以降、1級以外の統一試験の過去問は公開されていません。またCBT方式で受験する場合は、受験者によって問題が異なっているため、出題された問題が公開されることもありません。

このことから、どのような問題が出題され、どのレベルまで学習する必要があるのか知ることができません。それによって、対策を講じにくいと感じる方もいるのではないでしょうか。

■ 簿記2級に合格するための5つの対策

ここでは、上に挙げた「受かる気がしないと感じてしまう5つの理由」のそれぞれに対応する対策をお伝えしようと思います。

(1)簿記2級の難易度を正しく理解する

簿記3級を取得している場合でも、簿記2級に合格するためには最低300~350時間の学習時間が必要だと言われています。簿記3級の学習時間が初学者なら80~100時間程度と言われていることを考えれば、実に3倍の学習時間の確保が必要になると理解しましょう。

さらに合格率は簿記3級に比べると単純計算で半分になっていますので、そのくらいレベルの高い試験であるという心構えを持ちましょう

具体的な対策としては、難易度を理解し必要な学習時間について見直してみましょう。受験時期を決め、1日に取り組む学習時間を逆算してみるのも一つだと思います。

(2)苦手な方が多い連結会計をマスター

新しく試験範囲となった連結会計は簿記2級の試験では頻出問題で、かつ出題されると点数のボリュームもある論点となります。苦手だからと避けずに演習を繰り返しましょう。

この連結会計の難点は、個々の連結修正仕訳はそれほど難しいと感じることはなくとも、いざ総合問題を解いてみると何から手を付けてよいのか分からなくなりがちなところです。

ありきたりかもしれませんが、特に総合問題の問題演習を重ねることが連結会計をマスターするポイントになるかと思います。

また連結会計以外にも、苦手な論点の学習は、理解できるまでに相当な時間を要することになります。しかし簿記2級では論点が満遍なく出題されます。得意な論点で点数を稼ぐという考え方では、簿記2級に合格するのは難しいと思いますので苦手を克服することも重要です。

ついつい苦手な論点を後回しにしてしまう方は、この記事を見終わったら苦手な論点に5分取り組みましょう。

(3)工業簿記は得点源になる

簿記2級から追加される工業簿記ですが、実際に学習してみると「意外とこちらの方が得意かも」となる方は少なくありません。商業簿記に苦手意識がある方も、工業簿記は「べつもの」と思って学習することも必要かと思います。

工業簿記は「一連の流れ」や「論点の基礎」が特に大切であり、流れに沿った問いを聞かれることが多いです。

この特徴から、問題の流れを掴むことができるようになると、検定において大きな得点源となります。また、工業簿記を得点源にすることができれば、簿記2級の合格可能性をグッとあげることができます。

工業簿記に苦手意識のある方は、まずは「一連の流れ」をマスターしましょう。

(4)簿記3級の内容である基礎を復習する

これまで何度も書いてきましたが、やはり簿記を得意にするためには、基礎をしっかり学習することです。3級の問題を解くうえでは気にならなかったが、2級になると手も足も出なくなった方は基礎をおろそかにしている可能性があります。

簿記2級では基礎をしっかり理解し、そのうえで応用問題が出題されることも少なくありません。

2級になり手も足も出なくなった方は、思い切って3級の内容から復習してみるのも1つかと思います。

(5)公開されているサンプル問題を必ず解いてみる

過去問は非公開になりましたが、商工会議所がサンプル問題を公開しています
これは必ず解いてみましょう。

●簿記 商工会議所の検定試験 サンプル問題
https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/sample

さらに苦手な論点については、問題集を買って解く、無料で公開されている問題を解くなど対策を取りましょう。基礎や理論をインプットしてもアウトプットが十分にできていないと、いざ検定を受けても問題を解ききれないということが起こりえます。

また、ジャスネットでも、わたしが問題制作に関わったこのような動画講座(無料)が公開されています。

■ まとめ

いかがでしたでしょうか。

さらに試験直前になったら、実際と同じ試験時間の90分で問題にチャレンジし、自分なりの時間配分などの戦略を立てることも必要です。また試験中、「わからない問題はとりあえず飛ばす」「難しい問題でも部分点を狙う」など、自分の中でルールを決めておくと、当日焦らずに対応できるかもしれません。

簿記2級の難易度はあがっていますので、「受かる気がしない…」と弱気になることもあるかもしれません。しかし、あきらめず勉強すれば結果は必ずついてきます。

ぜひこの記事を参考に、頑張っていただきたいと思います。

執筆者プロフィール

鯖江 悠平(さばえ ゆうへい)
簿記講師

簿記専門学校卒業後、専門学校の簿記会計講師を担当。

これまで簿記会計の授業だけではなく、テキストや問題集等の教材開発、学生の就職相談や卒業生の転職相談など幅広く業務に携わっている。

10問の質問に回答するだけで、
性格タイプやキャリア志向が明らかに!

働き方を診断する
(無料)

よく読まれている記事

カテゴリー

経理転職に関するカテゴリーごとにまとめたページです。

10問の質問に回答するだけで、
性格タイプやキャリア志向が明らかに!

働き方を診断する
(無料)

新着記事一覧

執筆者一覧を見る

10問の質問に回答するだけで、
性格タイプやキャリア志向が明らかに!

働き方を診断する
(無料)

経理向け新着求人

経理の求人一覧

10問の質問に回答するだけで、
性格タイプやキャリア志向が明らかに!

働き方を診断する
(無料)

経理の転職成功事例

経理の転職成功事例一覧

経理転職Q&A

経理の転職Q&A

10問の質問に回答するだけで、
性格タイプやキャリア志向が明らかに!

働き方を診断する
(無料)

会計人の人生観・仕事観を紹介「Accountant's Magazine」最新号

「Accountant's Magazine」は、著名な会計プロフェッションにスポットをあて、その人生観・仕事観を紹介。会計・経理分野に従事する人と仕事の将来像を提示する、読者と共に考えるヒューマンドキュメント誌です。今なら新規登録していただくと、「Accountant's Magazine」(WEB版)の全記事を無料で閲覧することができます。

新規登録をしてWEBマガジンを読む(無料)

関連コンテンツ