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独学は可能⁈ 40歳からの税理士試験合格法

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50歳から税理士試験の勉強を始め、55歳で合格された宮本晃さん。66歳を迎えた現在も税理士として活躍されています。その勉強法や合格を勝ち取るための考え方、コツなどのお話をうかがいました。

社会人の方で、これから税理士を目指そうと考えている方、すでに目指している方は参考にされてください。

目次

■40歳を超えてから、税理士試験に合格するのは可能なのか?

■40歳から税理士を目指すことのメリット、デメリット

■40歳を過ぎてから合格するために重要なこと

■税理士試験合格後のキャリアについて

■40歳を超えてから、税理士試験に合格するのは可能なのか?

わたし自身が50歳で税理士試験の勉強を始め、55歳で合格しましたので、可能かどうかと問われれば「可能です」とお答えします。ただし、周りからは非常に厳しい言葉もいただきましたし、決して簡単な道ではないと思います。

現状の税理士試験とは違った部分もあるかもしれませんが、わたしの経験が少しでも皆様の参考になればと思い、お話させていただきます。

40歳からとなると、社会人としての経験を積んでからの資格試験勉強になりますので、有利な点もあれば、不利な点もあると思います。

(1)40歳からの挑戦が有利な点

まずは、どの業界であれ実際に実務経験があるということが有利な点です。わたしが試験を受けた当時の税理士試験は、理論問題がより具体的なケーススタディに落とし込むような記述解答に変更になった頃でした。

そういった問題では社会人経験がある方が、自分自身の実務経験からも記述できますので、学生と比べてアドバンテージがある部分だと思います。実は、わたし自身、大学は商学部であったにも関わらず「売上」「仕入」「経常利益」等が何を意味するのか、社会人になるまでよくわかっていませんでした。

また報告書等の文章の書き方なども社会人として身につけているかと思いますので、そのあたりは最初から有利な点でしょう。

(2)40歳からの挑戦が不利な点

不利な点ですが、やはり記憶力の低下ではないでしょうか。

税理士試験は、税法の条文が頭の中にすべて入っているという前提のため、どうやって条文を覚えるかには大変苦労しました。

いかに理屈をつけて覚えるか、語呂合わせ、さらには自分の経験に結びつけながら深いところまで理解するなど、様々な工夫をして勉強したものです。

今までの仕事で売上や利益の概念を理解しているので、応用問題にも対応できることなどは助かった部分ですが、年齢的な記憶力低下のハンデは、なんとか社会人経験と工夫で乗り切らなくてはならないと思います。

■40歳から税理士を目指すことのメリット、デメリット

わたしの場合は親から継いだ事業が立ちいかなくなり、50歳の時に一念発起して税理士を目指すことにしたという、普通とは少し違った経緯になります。

(1)40歳からの挑戦のメリット

税理士は学生時代から資格試験の勉強をして、専門学校を卒業し、そのまま会計事務所などに就職したという方が多い業界なので、事業会社での勤務経験がない方も多くいらしゃいます。

税理士になってからの話になりますが、そういった方に比べると事業会社の経験があることで数字の裏を読み解く力は強いのではないでしょうか。クライアントに対し、実務に基づいたアドバイスもできるのではないかと思います。

また税理士のクライアントには様々な業種の方がいらっしゃいます。自分が社会人として関わったことのある業種の方だと理解も早いですし、個人的な見解ですが税理士にとって社会人経験は大きなプラスになるのではないでしょうか。

もちろんキャリアとしても、40歳からでも税理士資格を取得することで、定年のない働き方ができるということは大きなメリットだと思います。

(2)40歳からの挑戦のデメリット

デメリットとしては、やはり家族の理解を得るための努力が必要ということでしょうか。

勉強中は収入も不安定になるため、結婚している場合は家族の理解と協力が必要不可欠ですし、最終的に合格するかしないかで収入面にも大きな違いが出てくるため、大変なプレッシャーがかかります。当然、試験勉強中の金銭的な負担も大きいです。

また40歳を超えてからの転職活動では、採用側はより年齢の若い方を求めていることが多いため、かなり厳しいものになることを覚悟しなくてはならないと思います。

■40歳を過ぎてから合格するために重要なこと

(1)働きながら勉強するのか、仕事を辞めてからにするのか

仕事を辞めて勉強をするのが時間的には余裕がありますが、その間の収入はどうするのかという問題があります。もちろん仕事をしながら合格できればよいのですが、その場合は勤務先に理解がない場合はかなりの負担になるでしょう。

どのように勉強を進めるのか、これは本当に人ぞれぞれだと思います。

(2)受験科目の選択

税理士試験合格となるには、必須科目である会計科目「簿記論」「財務諸表論」の2科目と、選択必須科目である「法人税法」「所得税法」のいずれか1科目以上を含む、税法3科目の合計5科目に合格することが必要となります。

わたしの場合は、簿記論・財務諸表論・消費税法・法人税法・固定資産税を取得しました。

法人税法・消費税法は税理士になると必ず必要となる知識ですし、一般の税理士事務所にとっては即戦力と評価いただく可能性が高いゆえ、取得しておいた方がよいのではないでしょうか。

そのほかの科目に関しては、40歳を過ぎてからの勉強の場合、年齢のデメリットがありますので、とにかく税理士になることを最優先にして得意なものを選んだ方がよいと思います。

(3)シングルマスター、ダブルマスターを目指すべきか

税理士試験は原則として5科目の試験に合格しなければいけませんが、大学院に通うことによって科目の受験を免除できるルートがあります。

1つの大学院を卒業することで、5科目のうち1科目を免除することができ(通称シングルマスター)、また2つの大学院を卒業することで、5科目のうち2科目を免除することができます(通称ダブルマスター)。

わたし自身も簿記論に大変苦戦しまして、一時期は簿記論だけのために大学院への進学も考えました(運良く5年目でようやく簿記論に合格しました)。

大学院では税理士試験以外の勉強も深めることができます。大学院によって内容は異なりますが、実際に税理士になると必要になる租税法、国税通則法なども勉強することができ、判例研究などもしますので、資金に余裕のある方は検討してもよいかもしれません。

(4)モチベーションの保ち方は?

わたしの場合は一人でコツコツと勉強することが非常に苦手でしたので、専門学校へ入学しました。クラスでは最年長でしたが友人にも恵まれ、一緒に勉強したり、情報交換をしたり、試験科目を教え合ったりしたことが、モチベーション維持には大変有効でした。

その時の受験仲間とは今でも付き合いがありますし、仕事でも助け合ったりしています。

(5)勉強法

まれに独学で合格するような方もいますが、よほどの強い意志とスケジュール管理能力、集中力がないと難しいのではないでしょうか。独学の場合は、問題集をすべて自分で用意することになりますが、必ずしも市販のものが最新の試験問題に対応しているわけではありません。そのあたりにも注意が必要です。

わたしの通った専門学校では、その年の試験委員の専門分野、論文に基づく対策問題なども作ってくれましたし、最近の試験の出題傾向を反映した授業なども行っていました。今はオンラインでも授業は受けられますが、わたしはリアルな対面授業を受けることで、より理解が深まったと思います。わからなければすぐに先生に質問できる環境だったことも大変よかったです。

毎日、授業がある訳ではないのですが、仕事をせず受験勉強に専念していた年は、スケジュール的には朝から学校で授業を受け、自習室で勉強をして夕飯までには帰るというような、規則正しい学生の生活を送っていました。

■税理士試験合格後のキャリアについて

働きながら税理士資格を取得し、事業会社から税理士事務所へ転職する方も多数いらっしゃいます。40代からの資格取得の場合、大手の税理士法人などではすでに相応の経験と立場を持っている方がほとんどの年代のため、中小の税理士法人や個人の会計事務所への就職がメインになるかと思います。

年齢で面接に進めないなどもありますので、焦ってあまりおすすめできないような事務所に就職してしまわないよう注意が必要です。転職エージェントを利用するなどしましょう。

また、独立開業するにしても、自分自身がこの分野で頑張っていきたいという目標を持ち、専門性に特化した勉強なども必要になるかもしれません。事業会社と違い定年はないため、自分の裁量で働き続けることができるのは大きな魅力です。

それまでの社会人経験を活かした分野で税理士資格が活かせるような職種への転職や、中小企業の経営改善や事業再生を行っているコンサルタント会社なども選択肢に入るかもしれません。

わたしの経験が皆さんの参考になれば幸いです。

執筆者プロフィール

宮本 晃(みやもと あきら)
税理士

昭和32年和歌山市生まれ。早稲田大学商学部卒、伊藤忠商事(株)、家業を経て、税理士試験に合格。

税理士事務所に勤務後、平成26年に新宿にて税理士事務所を開業。

その間、事業再生アドバイザー(金融検定協会)、事業再生士補(日本ターンアラウンド・マネジメント協会)等の資格を取得。

今までの経験を活かし、窮境状態にある中小企業の経営者にも常に寄り添う「税理士の赤ひげ先生」を目指しています。

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