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伝票とは?その種類と業務内容をポイント解説

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ここでは「経理事務の経験がない」方のために、そもそも会計伝票とは何か、それをどのように処理すればよいのか、などをわかりやすく簡単に説明いたします。

経理の基本とも言える会計伝票の処理について、理解する手助けになれば幸いです。

税理士 小島 孝子

■伝票とは?

経理業務において『伝票』と呼ばれるものは「会社内におけるお金の流れを1件ずつ詳細に記録したもの」になります。会計上の取引について、「いつ、だれと、どのような取引が行われたのか」を記載した帳票のことです。

新しい取引を書き起こすことを“起票”と呼びます。経理事務の経験がない方にもわかりやすい例で言うと、レストランで食事をした際に会計伝票を持って支払いをしますよね。レストランを利用した「日付」、何を食べたかという取引内容である「摘要」、「金額」が記載されています。

経理業務ではこうした取引を、「勘定科目」という分類項目を使って伝票に起票していきます。

作成された伝票をもとに、すべての取引を勘定科目ごとに分類し、『総勘定元帳』が作成されます。総勘定元帳は会社のすべての取引が網羅されたものであり、その作成元となる伝票が非常に重要なものだとわかっていただけましたでしょうか。

経理の仕事とは、「会社のお金の流れをすべて記録する」ための仕事だと言えるでしょう。

■伝票式会計とは?

会社の取引は、どのようにすべて記録すればよいのでしょうか。

実は取引内容の記録は、伝票を使って記録する『伝票式会計』のほかに、すべての取引を日付順に記録する『仕訳帳』という方法があります。

経理のデジタル化の波はどんどん進んでおり、現在は上記のような作業を手書きの伝票を作成して行うことはほとんどありません。『伝票式会計』を採用していると言っても、実務は会計ソフトへの入力がメインになっています。

経理の現場ではいまだに「伝票を切る」「伝票を入れる」「伝票を起こす」などの用語が使われることがありますが、これも昔からの名残りで、すべて「会計ソフトで仕訳入力をする」という意味と同じです。

会計ソフトへの入力が、昔の経理処理でいうところの、1枚ごとの手書きの伝票の記載に置き換わったということです。初心者のうちはイメージすることが難しいですが、会計ソフト上の1仕訳は、1枚の伝票に対応しており1枚ごとに紙で出力することも可能です。

さらに昨今のシステムでは銀行口座の取引明細データが直接、会計ソフトに反映され、自動で仕訳までされるようになっています。経理における入力業務というのはいずれ淘汰される運命にあると言ってよいでしょう。

だからといって、すべての取引が自動化されることはありません。経理業務は、今後、自働でうまく処理できなかった複雑な取引を判断するという部分が中心になりますので、これから経理職を目指す方は、それができるよう簿記の基礎的な知識は身につけておく必要があると思います。

■伝票式会計で使用する伝票

経理の現場では、手書きの伝票を見る機会は少なくなっていますが、会計ソフトの入力はこれまでの手書きのルールをベースに行われることが多いため、伝票式会計に関する基本的な知識が必要になるケースもよくあります。

そこで、伝票式会計に利用する伝票の特徴を見ていきましょう。

伝票式会計に使用する伝票は、主に以下の5種類です。

  • 入金伝票

    入金伝票とは、実際に会社にお金が入ってくる取引を記録するためのものです。商品を販売して対価を受け取った場合や、サービスを提供してお金を支払ってもらった場合などに使用します。

  • 出金伝票

    出金伝票は支払いを行った時に起票する伝票です。交通費や交際費、会社の備品などを現金で支払った場合や、買掛金を現金で支払った時などに使用します。

  • 仕入伝票

    仕入伝票は、仕入取引を記録するための伝票です。5伝票制でのみ使用します。

  • 売上伝票

    売上伝票は、事業売上が発生した取引を記録する伝票です。これも5伝票制のみで使用します。

  • 振替伝票

    振替伝票は、上記(入金、出金、仕入、売上)にも使えますが、主にそれ以外の取引内容の記録に使う目的の伝票です。どのような仕訳にもオールマイティに使える伝票と覚えておきましょう。

現在は、会計ソフト内のそれぞれの伝票に取引を入力するだけで、すべての取引が総勘定元帳にも反映される仕組みになっています。

■伝票式会計の種類

伝票式会計では、何種類の伝票を使用するのかで方法が分かれます。

1伝票制は、仕訳の煩雑さや集計の手間などから、近年はほとんど採用されていません。

3伝票制を採用する企業が多く、買掛金での売買が多い企業などは、5伝票制を採用しているところが多いようです。

  • 1伝票制

    「振替伝票」(仕訳伝票と呼ばれることもあります)のみを利用。すべての取引を振替伝票で起票します。

  • 3伝票制

    「入金伝票」「出金伝票」「振替伝票」の3種類を利用します。入金、出金以外の取引は、すべて振替伝票で起票します。

  • 5伝票制

    「入金伝票」「出金伝票」「振替伝票」「仕入伝票」「売上伝票」の5種類を利用します。入金、出金、仕入、売上以外の取引は振替伝票で起票します。

■経理業務における伝票

経理事務の最初の主な業務は、「仕訳入力」になります。

伝票式会計における「起票」であり、帳簿を作成するための基本的な作業です。勘定科目は「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」といったグループに分かれています。

各会社で使用している会計ソフトの種類はそれぞれ違うと思いますが、基本的な概念は同じなので、一度覚えてしまえばどのソフトでの経理業務にも対応できると思います。

また経理初心者が混同しやすいものとして、『伝票』と『請求書』があります。

『請求書』とは取引における決済が発生した時点で相手に送付する、またはこちらが受け取って支払いをするために必要な事項が記載された書類です。

どちらの場合も金銭の出入りがある以上、『伝票』は必ず起票する必要があります。会計ソフトを使っている場合は、請求書を発行するとそれに対応した伝票は自動で起票されます。

■「伝票式会計」の経験を活かしたその後の仕事は?

経理業務における会計伝票の処理は、基本中の基本です。

しかし先ほども述べた通り、経理業務の入力作業は今後、ますます縮小していくでしょう。これまで、紙で発行していた請求書などもデータでのやり取りが当然になり、人間が入力をせずとも仕訳まで済んでしまう取引も増えるため、入力業務のために多数の人員は必要ない時代になると思います。

しかし、経理のない会社というものはありませんし、経理部で働くうえで仕訳の知識は必須です。

また、経理の基本を理解した上で、業務上のミスに気がついたり、効率化を提案できるような人材はどんな会社でも必要とされるものです。経理が専門的なスキルであることは間違いないでしょう。

経理の知識を深めることは、あなたの企業人としての価値を高めることだと理解し、ぜひ研鑽に励んでください。

執筆者プロフィール

小島 孝子(こじま たかこ)
税理士

神奈川県出身。税理士。
早稲田大学在学中から地元会計事務所に勤務。その後、都内税理士法人、大手税理士受験対策校講師、大手企業経理部に勤務したのち2010年に小島孝子税理士事務所を設立。幅広い実務経験と、講師経験から実務家向けセミナー講師多数担当。「実務」と「教えるプロ」の両面に基づいたわかりやすい解説に定評がある。実務においては、街歩き、旅行好きの趣味を生かし、日本全国さまざまな地域にクライアントを持つ、自称、『旅する税理士』。

著書

3年後に必ず差が出る20代から知っておきたい経理の教科書(翔泳社)2014年
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簿記試験合格者のためのはじめての経理実務(税務経理協会)2016年
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関連サイト

小島孝子税理士事務所(Facebook)
(※外部サイトに遷移します)

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