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建設業経理士2級とは?難易度・勉強時間・取得方法まで転職に役立つ情報を徹底解説

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2026年4月27日 ジャスネットキャリア編集部

建設業の経理職への転職を調べていると、必ず目にするのが「建設業経理士」という資格の名前です。しかし「日商簿記と何が違うのか」「どのくらい難しいのか」「仕事をしながらでも取れるのか」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

建設業の経理は業界特有の会計処理が多く、他の業界にはない専門性が求められます。その入口として最初に目指すべき資格が、建設業経理士2級です。本記事では、資格の概要から合格率・勉強時間・具体的な学習方法まで、転職に直結する情報をまとめてお伝えします。

未経験から建設業界を目指したい方は 【未経験から建設業経理へ!仕事内容・スキル・年収まで徹底解説】 もぜひ参考にしてください。

目次

■なぜ建設業経理士2級が転職で重視されるのか

建設業経理士2級が転職市場で高く評価される背景には、業界固有の制度的な事情があります。建設業許可を持つ企業は、公共工事の入札に際して「経営事項審査(経審)」と呼ばれる審査を受けることが義務づけられています。この審査では、企業の財務状況や技術者数などが点数化されますが、在籍する建設業経理士1級・2級の有資格者の人数も評価対象のひとつになっています。つまり、有資格者が多いほど会社の審査点数が上がり、公共工事の受注で有利になるという仕組みです。

この制度があるため、建設業の経営者にとって「経理担当者に建設業経理士2級を取得させること」は実利のある投資であり、多くの企業が資格取得を積極的に奨励しています。資格手当を設けている会社も珍しくなく、求人票に「建設業経理士2級以上、歓迎」と明記されているケースも頻繁に見られます。

転職を考えている方の視点で言えば、この資格は「建設業界で長く経理として働く意志がある」ことを客観的に示せるシグナルになります。未経験から応募する場合でも、取得済みであれば採用担当者の目には「準備ができている人材」として映るため、書類選考の段階から差別化になります。

■建設業経理士とはどんな資格なのか

建設業経理士は、建設業振興基金が実施する建設業の会計に関する検定試験で、1級から4級までの4段階に分かれています。1級・2級合格者には「建設業経理士」の称号が与えられ、3級・4級合格者は「建設業経理事務士」となります。受験資格は特になく、学歴や実務経験に関わらず誰でも希望の級を受験することができます。

転職の観点では、2級以上の取得が実質的なターゲットになります。 3級・4級は経審の加点対象にならないため、採用側の評価もそれほど高くありません。一方で1級は財務諸表・財務分析・原価計算という3科目をすべて合格する必要があり、難易度も時間も相当かかります。建設業経理の経験がない段階から挑戦するなら、まず2級を目指すのが現実的なルートです。

試験は年2回、3月と9月に実施されており、全国の主要都市で受験できます。試験時間は2級が90分、出題形式は記述・計算問題が中心で、100点満点のうち概ね70点以上の得点で合格となります(合格基準は公式には非公開ですが、正答率70%以上が目安とされています)。受験料については物価の影響などで変動することがあるため、受験を申し込む際は必ず建設業振興基金の公式サイトで最新情報を確認してください。

■合格率からみる難易度はどのくらいか

近年の合格率推移を見ると、建設業経理士2級は概ね30〜40%台で推移してきましたが、2024年(第37回)の合格率は28.1%と、前年の32.4%からやや低下しています。回によって合格率の振れ幅は大きく、難易度の安定性という点では注意が必要です。とはいえ、全体として「3人に1〜2人は合格できる試験」という水準を維持しており、しっかりと準備をすれば十分に狙える資格です。

他の資格との比較で難易度感をつかんでおくと、「日商簿記2級>>建設業経理士2級>日商簿記3級」という序列で捉えると感覚に近いとされています。 日商簿記2級を持っている方にとっては、建設業経理士2級の内容は工業簿記の知識と重なる部分が多く、勘定科目が建設業特有のものに置き換わっている程度の違いと感じる方も多いようです。一方で、まったく会計の知識がない状態から挑戦する場合は、試験範囲が広いうえに計算問題の正確さも求められるため、計画的な学習が欠かせません。

近年は出題傾向が変化し、原価計算や財務諸表まわりの問題が増えて「思ったより難しかった」という声も見られます。「簡単に取れる資格」と油断せず、本番を意識した過去問演習をしっかり積むことが合格の鍵になります。

■日商簿記との違いはどこにあるのか

⑴日商簿記を持っていれば建設業経理士は不要?

「日商簿記を持っているなら建設業経理士2級は不要では?」と思う方もいるかもしれません。しかし両者は対象範囲と目的が明確に異なります。

日商簿記は商業・製造業・サービス業など幅広い業種に対応した汎用性の高い資格です。企業の規模や業種を問わず通用するため、経理職全般において最も認知度が高い資格といえます。一方、建設業経理士は最初から建設業を前提に設計されており、工事原価の管理や建設業特有の勘定科目の処理など、建設業界の実務にそのまま直結した知識が問われます。

具体的な違いとして分かりやすいのは勘定科目の違いです。一般的な「売掛金」は建設業では「完成工事未収入金」になり、「仕掛品」は「未成工事支出金」に対応します。また「完成工事原価」という科目は、材料費・労務費・外注費・経費を工事別に集計した建設業独自のものです。こうした科目は日商簿記では学びません。

⑵キャリアの方向性で取得の順番を考える

キャリアの方向性によってどちらを優先するかは変わります。建設業界の経理として長くキャリアを築く意向があるなら、転職前の段階から建設業経理士2級の取得を目指すことに大きな意義があります。他業界への転職の可能性も残しておきたい場合は、汎用性の高い日商簿記2級を先に取得し、その後に建設業経理士2級を上乗せするという順序が合理的です。

学習の順序として実務的なのは、日商簿記3級(または同等の基礎知識)を固めてから建設業経理士2級の学習に入るルートです。 建設業経理士2級の試験は日商簿記3級レベルの知識を前提としており、仕訳の基本が入っていないと試験範囲の理解に時間がかかります。逆に3級レベルの基礎がある状態で学習を始めれば、建設業独自の部分への集中力が高まり、学習効率が上がります。

■どのくらいの勉強時間が必要なのか

必要な勉強時間は、学習を始める前の会計知識の水準によって大きく異なります。目安として以下の3段階で考えると計画が立てやすいでしょう。

⑴会計・簿記初心者の場合

会計や簿記をほとんど学んだことがない状態から始める場合、必要な勉強時間は100〜150時間が目安で、学習期間は約3ヶ月が想定されます。1日平均1〜2時間の学習を確保できれば、働きながらでも十分に取り組めるペースです。日商簿記3級を取得済み、または同等の基礎知識がある場合は60〜100時間、学習期間は1〜2ヶ月程度に短縮できます。日商簿記2級を取得済みの場合はさらに短縮でき、建設業特有の部分に集中した学習で50時間前後が目安とされています。

⑵勉強時間の確保

勉強時間の確保という点でいえば、「1日1.6時間を90日続けると150時間」という計算になります。朝の通勤時間に30分、昼休みに20分、帰宅後に30分確保するだけで合計80分になり、週末の学習を合わせれば十分に達成できるペースです。「まとまった時間が取れないから資格が取れない」という思い込みは、この資格に関しては当てはまりません。コツコツ積み上げることで、働きながら十分に取得を目指せる資格です。

■どのような勉強方法が合格への近道か

⑴独学でも合格できるのか

結論として、独学でも十分に合格できます。市販のテキストと過去問集を活用すれば、予備校や通信講座を使わずに合格している人は多くいます。ただし、 簿記の基礎知識がまったくない状態から独学で挑戦する場合は、最初の段階で日商簿記3級相当の学習から始めることを強くおすすめします。 基礎の仕訳が入っていないと建設業経理士2級の学習がスムーズに進まず、途中で挫折しやすくなります。

独学の学習進め方としては、テキストを1〜2周して全体像をつかんだうえで、早めに過去問演習に移行するアプローチが効果的です。最初のテキスト読みは完全な理解を目指す必要はなく、「こういう内容が出るのか」という全体感を把握することを優先します。その後、過去問を繰り返し解くことで出題パターンが見えてきて、理解が定着していきます。過去問を何周もこなすうちに「この問題はあのパターンだ」という感覚が育つのが、建設業経理士2級の試験の特徴です。

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⑵通信講座を利用する場合

独学に不安がある方や、最短距離で合格したい方には通信講座の活用も有効です。代表的な選択肢としては資格の大原などが挙げられます。費用は数万円台が一般的で、教材の質や問題集の充実度という点では独学との差があります。仕事が忙しく学習時間の確保が難しい方は、カリキュラムに沿って効率的に進められる通信講座を選択肢に入れてみてください。

■試験対策の具体的なポイント

⑴問題の傾向

建設業経理士2級の試験は過去問と類似した問題が繰り返し出題される傾向があります。そのため、過去問を繰り返し解いて出題パターンを体に染み込ませることが最も有効な対策です。特に注意すべきは、計算問題でのケアレスミスです。電卓を使った計算が多い試験であり、桁数の多い数字を扱う場面では転記ミスや入力ミスが起きやすくなります。電卓の操作に慣れるための反復練習も学習の一部と考えておくとよいでしょう。

⑵出題の配点

出題の中でも配点が高いのは精算表です。精算表の問題は建設業特有の勘定科目が多く登場し、ミスが連鎖して大量失点につながるリスクもあります。テキスト学習と並行して精算表の問題演習を早めに始め、慣れる時間を十分に確保することが合格率を上げるポイントになります。未成工事支出金・完成工事原価・完成工事未収入金といった頻出科目については、意味と動きをきちんと理解したうえで問題を解くことが重要で、単なる暗記では本番で応用が利かなくなります。

■建設業経理士2級を取得すると転職でどう変わるか

建設業経理士2級の資格は、転職の場面で複数の形で効果を発揮します。

まず最も直接的な効果は、求人応募の際の「足切り突破力」です。建設業の経理求人には「建設業経理士2級以上歓迎」という条件が明記されているものが多く、資格を持っていることで書類選考の通過率が上がります。未経験からの応募であれば特に、「資格を持っている未経験者」と「資格を持っていない未経験者」では書類上の評価が大きく変わります。

次に、入社後の年収・待遇への影響です。経審の加点資産になるため、中小規模の建設会社では特に有資格者が少なく、社内での希少性が高くなります。資格手当を設ける企業では月数千円〜数万円の手当が付くケースもあり、長期的に見れば取得コストをはるかに上回るリターンになります。

また、資格が「転職前に取得済み」でなくても効果はあります。面接や職務経歴書の段階で「現在建設業経理士2級の取得に向けて学習中です(〇月の試験を受験予定)」と記載することで、業界への本気度と自己研鑽の姿勢を伝えることができます。採用担当者からすれば、学習中の状態でも「入社後すぐ使える人材になる」という期待値が生まれるため、転職活動と並行して学習を進めることは十分に意味があります。

■学習スケジュールの立て方

試験は3月と9月の年2回あるため、どちらを目標にするかによってスケジュールが変わります。

⑴3月試験を目標にする場合(12月〜3月の約3ヶ月)

12月は簿記の基礎固めとテキスト1周目に充てます。年明け1月からは過去問を本格的に開始し、問題形式と出題パターンへの慣れを重点的に積みます。2月は過去問の反復と苦手分野の補強に集中し、特に精算表の演習量を増やします。3月の試験直前2週間は予想問題や模擬試験を使って本番形式に慣れ、ケアレスミスのパターンを潰すことに注力します。

⑵9月試験を目標にする場合(6月〜9月の約3ヶ月)

基本的な流れは3月試験と同じです。6月に基礎固め、7月から過去問演習、8月に苦手分野の補強と精算表の集中演習、9月直前は模擬試験で仕上げ、という流れになります。梅雨から夏にかけての期間は学習のモチベーション管理が課題になりやすいため、週単位での進捗確認と小目標の設定が継続のコツになります。

どちらの試験回を選ぶにしても、「まずテキストを1冊買う」という最初の一歩が最も重要です。準備が整ってから始めようと思っていると、次の試験回が過ぎてしまいます。受験申込の締め切りを確認し、逆算して学習開始日を決めることが、計画を動かすための現実的な最初の行動です。

■まとめ:建設業経理士2級は転職の前後どちらで取るべきか

建設業経理士2級は、建設業界の経理職を目指す方にとって取得効果の高い実用的な資格です。経営事項審査の加点対象という業界固有の制度的背景があるため、採用する側にとっても確かな評価基準になっており、転職市場での価値は安定しています。

理想は転職活動を始める前に取得を済ませておくことですが、試験は年2回あり、合格に必要な勉強時間は多くの方にとって3ヶ月以内に収まります。転職活動と学習を並行しながら「今回の試験を受験予定」という形で進めるやり方も、十分に採用担当者への訴求力になります。

これから建設業の経理職を目指す方は、まず試験スケジュールを確認し、受験申込の日程を起点に学習計画を逆算してみてください。建設業経理士2級の取得は、業界未経験の方が最初の一歩を踏み出すための最も具体的なアクションのひとつです。

転職活動と学習を並行して進めることに不安がある方は、経理・会計に特化した転職エージェントへの相談も選択肢のひとつです。業界の内情や求人動向に詳しいエージェントであれば、資格取得前の段階でも応募できる求人の紹介や、経審に関連する知識など、実務的なアドバイスをもらえます。一人で抱え込まず、専門家のサポートを活用しながら準備を進めることが、建設業経理への転職成功への近道になります。

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執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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