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【日商簿記1級を活かせる仕事7選】年収・キャリア・将来性まで徹底解説|転職成功事例つき~最終チェックリストつき~

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2025年7月8日ジャスネットキャリア編集部

「日商簿記1級を取得したのに、どんな仕事で活かせるのかわからない」
「就職・転職で本当に評価されるのか不安…」
そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?

日商簿記1級は、簿記検定の最上級資格であり、持っているだけで“専門職としての証明”になる非常に価値の高い資格です。しかし、せっかく取得しても、その活かし方を知らなければ転職に失敗してしまう可能性もあります。

本記事では、日商簿記1級の資格を最大限に活かせる仕事を具体的に7つ紹介するとともに、実際に転職に成功した事例も紹介します。
「この資格でどんなキャリアを築けるのか」を明確にイメージできる内容です。

目次

■簿記1級の概要と合格率、勉強時間は?

(1)簿記1級とはどんな資格?

日商簿記1級は、日本商工会議所が主催する「日商簿記検定」の最上級グレードであり、企業会計の専門知識を体系的に学べる資格です。

▼日商簿記1級の特徴

項目 内容
試験区分 商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算(4科目)
合格基準 各科目10点以上、かつ合計で70点以上(100点満点)
試験日  年2回(6月・11月)
受験料   8,800円(2025年現在)

日商簿記2級が「実務寄りの基礎資格」であるのに対し、日商簿記1級は管理会計・財務会計の専門職レベルの内容になります。そのため、合格者は「高度な経理知識を持つプロフェッショナル」として企業から高く評価され、税理士試験の受験資格にも該当します。

(2)日商簿記1級の合格率は?

合格率の目安は平均10%前後です。日商簿記1級は、非常に難易度が高い資格として知られており、他の簿記検定と比べて合格率は圧倒的に低いです。毎回9割程度の受験者が不合格になる厳しい試験であり、対策なしでは合格は難しいと言えます。

(3)簿記1級に必要な勉強時間の目安

平均的な勉強時間は800〜1,000時間です。日商簿記2級までの学習と比較すると、日商簿記1級は「4科目制」かつ「記述式の理論問題も出題」のため、学習時間も一気に増えます。日商簿記2級に合格した方でも、さらにプラスで600~800時間は必要ではないでしょうか。1日2時間勉強しても、最低300日はかかる計算です。

理解に時間がかかる分野も多く、短期間の詰め込みよりも、長期的に計画を立てて学習を継続する姿勢が求められます。

■簿記1級が高く評価される理由とは?

(1)「簿記1級」は就職・転職市場で非常に高く評価される資格

日商簿記1級は就職や転職において強い武器になります。
特に大手企業や上場企業の経理職では、「応募条件として日商簿記1級以上を必須・または歓迎」とする求人が多数存在します。これは、日商簿記1級が「高度な会計知識を体系的に理解している」証明であり、財務・経理の専門職として即戦力になると評価されているからです。

また、転職市場においても「日商簿記1級 転職」「日商簿記1級 就職先」といった検索ニーズが多いことから分かるように、金融機関、監査法人、コンサルティング業界などでも高評価を得られます。特に、管理会計や連結決算などに対応できるスキルを持つ人材として、経営企画や内部統制のポジションでも重宝されます。

編集部内に以前、ある上場企業の経理部門で採用担当をやっていた者がいます。「日商簿記1級を持っていれば経理未経験でもいったんは会おうと思っていたが、そういった人は現れなかった」と言っていました。

(2)税理士試験の受験資格を得られる

「日商簿記1級 税理士試験」という検索キーワードが示すように、日商簿記1級は税理士試験の受験資格のひとつです。大学の商学部など指定学部で条件を満たしていない場合でも、日商簿記1級を取得すれば、税理士試験の税法科目への挑戦が可能になります。

これは、専門職を目指すうえで非常に大きな意味を持ちます。特に会計事務所や税理士法人で実務を積みながら、資格試験に進む「働きながら学ぶキャリア」を描いている人にとって、日商簿記1級は現実的かつ強力なスタートラインです。

そのため、会計の専門職としてキャリアを築きたい方には、“税理士への登竜門”としての役割も担う資格と言えるでしょう。

(3)社内での「キャリアアップ=年収アップ」に直結する

日商簿記1級は転職だけでなく、現在の職場での昇進や人事評価にも直結する資格です。

特に経理・財務部門では、日常業務に加えて、決算業務、予算編成、原価管理、連結会計、税務戦略などの「上流工程」を担える人材として評価されます。

「日商簿記1級 年収」で検索されるように、資格取得によって年収アップのチャンスも広がります。大企業では、課長職以上の昇格要件に「簿記1級以上」が設定されているケースもあり、昇給やボーナス評価の対象となることもあるようです。

さらに、日商簿記1級を足がかりに経営企画部門への異動やCFO候補への登用など、会社全体の数字を扱うポジションへのキャリアチェンジも可能です。これは「経理から経営へ」のステップアップを目指す方にとって、大きなチャンスとなります。

■日商簿記1級を活かせる仕事7選

(1)経理・財務(上場企業・大手企業)

平均年収:500万円〜800万円

「日商簿記1級=高度な経理職の証明書」として、最も活躍しやすいのが上場企業や大手企業の経理・財務部門です。中小企業ではあまり取り扱わない、以下のような高度な業務に関わることができます。

  1. 連結決算/四半期決算
  2. 開示資料の作成(有価証券報告書など)
  3. 財務分析・予算管理

(2)管理会計・経営企画

平均年収:600万円〜900万円

日商簿記1級の中でも、原価計算・管理会計の知識は経営層に近い部署でも強く求められます。
売上や利益の構造を分析し、改善策を提案する仕事です。「経営に近い数字を扱いたい」という志向の方には最適な職種です。

  1. 月次/四半期の経営レポート作成
  2. 原価管理/予算統制
  3. 収益性分析/部門別採算管理

(3)会計事務所・税理士法人(税務補助・財務分析)

平均年収:400万円〜700万円

会計事務所や税理士法人でも、日商簿記1級保持者は即戦力として歓迎されます。
特に以下のような業務に対応できるスキルがあると評価されます。会計事務所で経験を積み、税理士試験の受験資格を活かして合格することができれば独立を目指すことも可能です。

  1. 決算書作成の補助
  2. 財務諸表の分析と経営助言
  3. 法人税/消費税申告書の作成サポート

(4)税理士・公認会計士(試験合格後)

将来的な年収:800万円〜1,500万円超(独立含む)

日商簿記1級は、税理士試験の受験資格の一つであり、すでに取得していることで大きなアドバンテージになります。日商簿記1級合格者は会計分野の基礎が強く、以下のような受験・実務への橋渡しがスムーズです。

  1. 会計理論/財務会計論の理解が深まっている
  2. 学習習慣が身についている
  3. 税理士法人や監査法人での実務がしやすい

(5)経営コンサル・会計コンサル

平均年収:600万円〜1,200万円

「数字に基づいた改善提案」ができるという点で、日商簿記1級はコンサルティング業界にも評価されています。「会計士の資格はないが、数字に強い若手人材」として成長できる分野です。

ただ、コンサル業界では、「資格」よりも「実務経験・問題解決スキル」が最重要です。日商簿記1級だけでは即戦力とは見なされないので、注意が必要です。

  1. 財務デューデリジェンス(M&A支援)
  2. 経営数値の改善コンサル
  3. 中小企業の経理周りの体制整備支援

(6)ベンチャー・スタートアップ企業のCFO候補

年収レンジ:500万円〜1000万円(企業成長次第)

最近では、ベンチャー企業が若手で会計知識に強い人材をCFO候補として採用するケースが増えています。特に、日商簿記1級保持者であれば以下のような業務を任されやすくなります。「責任は重いが、成長企業のコアメンバーになりたい」という方におすすめです。

  1. 資金繰りの管理/資金調達資料の作成
  2. VC対応/決算報告資料の作成
  3. 社内の経理/財務フロー整備

(7)非営利法人・公的機関の会計職

年収目安:400万円〜700万円+安定雇用

日商簿記1級は、NPO法人や財団法人、行政機関の会計職でも評価されます。
特に、公会計・助成金処理・内部統制などの正確な帳簿管理が求められる環境において、有用と言えるでしょう。

  1. 予算管理/執行管理
  2. 公的資金の収支報告書作成

■日商簿記1級を取得した方の転職成功事例

事例1:中小企業経理から大手メーカー経営企画へ(28歳・男性)

中小規模の製造業で3年間、経理職として仕訳や月次決算、原価管理補助などの業務を経験していたKさん。日々のルーティン業務をこなす中で「このままで自分のキャリアは成長するのか?」と疑問を抱くようになり、経営に近い立場で働きたいという思いから日商簿記1級の取得を決意しました。

独学と通学講座を併用し、約1年半の学習で合格。その後、「日商簿記1級 経営企画 転職」で情報収集を行い、転職エージェントのサポートを受けながら、大手メーカーの経営企画部門に内定。現在は、月次収支分析や予算策定、部門別損益の管理など、経営に直結する数字を扱う業務に日々取り組んでいます。

「単なる経理業務では得られなかった視点が身につき、仕事の幅が広がった」と語り、将来的にはMBAの取得も視野に入れているとのことです。

事例2:営業職から会計事務所の税務補助へ(25歳・女性)

新卒で保険会社の営業職に就いたAさんは、日々の営業実績の数値管理や社内レポート作成に興味を持ち、「もっと数字を扱う専門職に就きたい」と感じるようになりました。働きながら約1年をかけて簿記1級に合格。その努力が評価され、日商簿記1級 未経験でも応募可能な会計事務所に転職を果たしました。

現在は税務補助スタッフとして、記帳代行や月次試算表の作成、法人税や消費税の申告書作成補助などを担当しながら、実務スキルを着実に積み上げています。「日商簿記1級の資格が、面接時に“本気で会計の道に進みたい”という意志を伝える決め手になった」と実感しており、今後は税理士試験へのチャレンジも視野に入れ、専門職としてのキャリア構築を目指しています。

■日商簿記1級があれば目指せる将来的なキャリアパス

【キャリアマップ①】企業内キャリアアップ型(管理部門志向)

経理スタッフ → 主任・係長 → 経理課長 → 経営企画 → CFO(最高財務責任者)

日商簿記1級の取得を起点に、企業内での着実なキャリアアップを目指すパターンです。
最初は経理スタッフとして仕訳や月次決算、年次決算などの実務を担当し、経験を積むごとに係長や課長といったマネジメントポジションへ昇進していきます。その後、会社全体の収益分析や予算統制などを行う経営企画部門に異動し、経営的視点を磨きながら、最終的には財務戦略や資金調達などを担うCFO(最高財務責任者)を目指す道です。

このキャリアでは、日商簿記1級に加えて管理会計や財務諸表の分析力、プレゼン力、さらにはリーダーシップも求められます。大企業では、昇進要件に「簿記1級以上」や「会計実務経験〇年以上」と明記されている場合もあり、簿記1級は管理職候補としての“基礎資格”とも言えます。安定した昇進と高年収を目指す人に向いています。

【キャリアマップ②】専門職・スペシャリスト型(会計・税務志向)

経理職 → 会計事務所 → 税理士法人勤務 → 税理士試験合格 → 開業税理士

会計や税務の専門家としてのキャリアを深め、最終的には税理士として独立を目指すパターンです。最初は企業の経理や会計事務所で実務経験を積み、日商簿記1級を取得後は税理士試験に挑戦。受験資格を得たことで、本格的な専門職ルートに進むことができます。税理士法人で法人税や所得税の申告業務を担当し、実務に即した知識を積み重ねたのち、数科目合格後に独立するという流れが一般的です。

この道では、日商簿記1級が単なる通過点ではなく、税法の理解や財務諸表作成能力の基礎として非常に重要です。特に、会計科目の合格に有利な基礎力が身についているため、税理士試験の初学者よりも優位に立てることが多いです。開業後は、顧問契約や資産税対策など、幅広いニーズに応える“町の税理士”や資産家向けの高単価案件を扱うことも可能です。

【キャリアマップ③】スタートアップ×経営者志向型(実践ビジネス志向)

ベンチャー経理 → 経営企画兼務 → 財務責任者 → CFO → 共同創業者・起業

変化を好み、将来的に起業や経営に携わりたい人に向いているのがこのパターンです。
まずはベンチャー企業やスタートアップで経理として実務経験を積み、日商簿記1級を活かして決算処理や資金繰り管理、事業計画の策定などに関わります。その後、経営企画や財務責任者(CFO)として会社の資金戦略や投資判断に関わるポジションに昇格。最終的には自ら起業や、共同創業者として経営に参画する道も開けます。

スタートアップ環境では、日々の業務が幅広く、経理・財務・労務をすべてこなすことも少なくありません。その中で日商簿記1級保持者は、信頼される“数字に強い人”として重宝されます。加えて、資金調達のためのピッチ資料作成や投資家対応、税務戦略の提案力なども求められ、実践的なスキルがどんどん磨かれていきます。数字と経営の両方を武器にしたい人には理想のキャリアです。

■まとめ:日商簿記1級は“使いこなせば強力な武器”になる資格

日商簿記1級は簡単に取れる資格ではありませんが、それだけに得られる価値は非常に大きく、正しく使いこなせば、キャリアを大きく切り拓く力になります。

企業の経理・財務だけでなく、経営企画や会計事務所、税理士法人、公的機関、さらにはコンサルティングやスタートアップのCFO候補まで、活躍のフィールドは幅広く、業種・職種を問わず高く評価される資格です。

また、単に資格を持っているだけでなく、実務経験やExcel・RPAなどのITスキルとの組み合わせによって、より市場価値の高い人材として見られます。実際の転職成功事例でも、日商簿記1級が「本気度を証明する武器」として信頼を得る要素になっており、若手人材にとっては“専門職への最短ルート”にもなり得ます。

「転職に強い資格を取りたい」「会計分野で一生モノのスキルを身につけたい」と考えているなら、日商簿記1級は間違いなくその選択肢にふさわしい一歩です。

執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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