目次
【企業のステージ別】経理部門リーダーに求められる役割と業務内容
2 中小企業(上場は目指さない、売上は数億円から数十億円、資本金は1億円、会社全体で数十名から1百名程度)

公認会計士 江黒 崇史
■このステージの経理部門リーダーの役割は?
中小企業の場合、経理部で行っている業務は日常の仕訳記帳から月次決算業務、試算表の作成、銀行対応などとなります。
決算書を経理部で作ることもあれば、税務申告書作成と合わせて月次は自社内作成でも年度の決算書は外部の会計事務所に任せていることも多いです。
(1)中小企業での経理部門リーダーの最重要の役割は?
そのような中小企業での経部門リーダーの最も重要な任務は、決算に間違いがないよう月次及び年度決算を締めること、その決算業務に向け社内業務が円滑に進むよう社内を取りまとめることになります。
(2)中小企業での経理部門リーダーにはどのような苦労がある?成長のポイントは?
中小企業では経理業務への理解が低い方も多いといわれる中、決算業務がスムーズに進むよう社内をまとめていきましょう。
また経営層に積極的に自社の経営数値を報告し、経理部の存在価値を高めることで自身の成長と会社の成長が結びつきます。さらに、銀行借入が多い会社では銀行対応や金利交渉、返済スケジュール交渉といった資金繰り業務も任されることが多く、銀行からも頼りにされるとともに社長の右腕として活躍することができます。
(3)記帳に限らない経験の可能性
近年、成長意欲の高い中小企業の中では、M&Aに積極的な会社が増えてきています。M&Aの際は経理部の方もM&A業務を担当することが多く、多岐に渡る経験が積めるでしょう。
通常、経理業務は記帳を中心とするイメージがありますが、実際には企業の資金繰りやM&Aにおいても重要な役割を果たしています。これには銀行やM&A仲介業者、様々なコンサルタントとのミーティングや経営計画の策定などが含まれ、年齢に関係なく様々な経験を積むことができます。
会社の創業期には業績を伸ばすため営業の社員を増やすことが重視されがちですが、その次は後継者候補として、経理・財務などに強い経理部リーダーを推す企業も増えてきています。
(4)ワークライフバランス重視の方が選ぶべき企業は?
経営が安定している中小企業では、上場企業よりも業務量が少なく、自分の希望する働き方(時短勤務やテレワーク勤務)ができる場合も多いでしょう。ワークライフバランス重視の方にも人気が高いです。
■中小企業で経理部門リーダーになるための資質、ヒント
このような会社での経理部門リーダーは、会社の管理業務全般を底上げする力を求められることが多いです。
そのため経理のみならず管理業務を幅広く向上できるスキルや上場会社でのすぐれた事例への知見、業務改善の提案力等、経理スタッフのみならず管理業務部全体のレベルアップに貢献したい、貢献できる、という方が向いていることでしょう。