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経理スキルアップの「7つの戦略」
第2章 情報はしっかり整理整頓

写真1

ジャスネットキャリア編集部

ここでは、これから経理スキルを磨き、ゆくゆくはキャリアアップしたいという方に向け、具体的なスキルアップの方法を“7つの戦略”として提案しています。

第2章では、月ごとに社内・社外の関係者から経理に大量に送られてくる情報を、いかにしっかり整理整頓しておくことが重要か、またその具体的な方法についてお話します。

目次

■迷わないフォルダ体系を意識する

■フォルダ管理のよくある悪い例

■イベントに備えて台帳を用意しておく

■ファイル名の名付けルールの例

■フォルダやファイルの順番にもこだわる

■迷わないフォルダ体系を意識する

(1)紙保存よりデータ保存が原則

情報の保存には、紙と電子データの両方があります。各種法令や内部統制上の要請で、必ず紙で保管しなければならないもの以外は、極力、電子データで保管することをおすすめします。当然、ウイルス対策や情報管理、定期的なバックアップは前提になります。

さらには紙で保管する資料であっても、重要なものはPDF化して電子データでも合わせて保存しておくことが大切です。

理由は紙よりもデータの方が整理しやすく、検索しやすいから、つまり後から探しやすいという利点があります。

(2)整然としたフォルダ体系を意識しよう

その際、いかにフォルダ体系を整理できるかが経理スキルの見せどころ言えます。

あとで探すことを考えたら、1つのフォルダに何年分もの月次データが並んでいたり、同一担当者というだけであまり関連のないデータが混在しているのはよくありません。フォルダは勘定科目や作業内容、何年何月分の作業かなどの基準で、何階層にもわたって整理されていることが望ましいのです。

■フォルダ管理のよくある悪い例

以下では、わりと多くの会社でやってしまっている悪い情報保存の方法を紹介します。

(1)手書きで完結し、データ化されていない

請求書のような紙資料に書いてある数字について、合算や差引など、何らかの計算を施してから仕訳を切る場合があります。この際に計算過程を残しておかないのは論外ですが、残し方にも注意しましょう。

あまりよくない例として、紙の請求書に手書きで計算過程をメモしておき、それを紙の伝票に添付して保存しているケースです。簡単手軽なため、ついやってしまいがちなのですが、後で計算過程を確認しようとしたときに原紙を探さなければならず、無駄な時間がかかってしまいます。

少しでも数値を加工して仕訳を切るなら、計算過程をExcelで記録しておくのが原則です。毎月発生するような取引の場合、最初にExcelを作る作業が面倒くさいものの、それ以降はコピーして使っていけばよいので、結果的に高速化につながることが多いです。

(2)担当者のPCや個人フォルダに保存

多くの会社では社内サーバーを使って社員間のデータ連携を図っています。情報管理上の必要がなければ、データは他の経理部員と共有したほうがよいでしょう。特に管理職は、担当者がどのようなデータを使ってどのように作業しているか理解しなければならないため、いつでもみられる状態にしておくべきです。

【図表1】
図表1

非常に多いのが、データはサーバー上にあるものの、各経理部員の個人名がついたフォルダが並んでいて、ほとんどすべての作業データがその中に保存されているケースです(図表1)。

データは一元管理されていなければ意味がないのです。

3年前の会計処理を確認しなければならないことがあったとして、そのときの担当者が誰かわからないこともあるでしょう。担当者変更のたびにいろいろな場所にデータが分散されていたら、それを確認するだけで時間がかかってしまうのです。

(3)最終ファイルしか残されていない

経理ではひとつの作業を何日かに分けて進めることや、一度完成させたExcelデータを修正し、やり直さなければならないこともよくあります。

このような場合、毎回のデータを上書き保存するのではなく、古いバージョンも保管しておいた方がいいでしょう。「結局、前のバージョンが正解だった」ということが往々にしてあるからです。

その場合、最終版と同じフォルダ内に「ゴミ箱」というフォルダを作っておき、そこにボツになったデータを溜め込んでおくといいでしょう。

【図表2】
図表2

(4)過去のデータが1つのブックに収まっている

毎月のデータをファイルごとにコピーするのではなく、ひとつのブック(Excelファイル)内のシートをコピーすることで、過去のデータを保存しているケースがあります。

【図表3】
図表3

つまり運用から1年で12のシート、2年で24のシートを持つExcelファイルが作成されます。この方法はバージョン管理でミスする可能性が非常に高く、間違って新しいシートを作らずに上書き保存してしまうことがよく発生します。

データ容量も重くなりますし、必ず別ファイルに切り分けておき、期間管理はフォルダ体系によって行うべきでしょう。

(5)過去のデータが1つのフォルダ階層に収まっている

過去のデータが1つのフォルダ階層に投げ込まれているという状態も避けるべきです。

【図表4】
図表4

過去のファイルやフォルダをひたすら同じフォルダ内でコピーしていると、時間の経過とともにとんでもない量になり、探すのに時間がかかってしまいます。

【図表5】
図表5

ある程度たまったら、必ず上記の図表5のように整理していきましょう。

■イベントに備えて台帳を用意しておく

法定調書のように年1回しかないものの、非常に時間と労力のかかる作業を強いられるイベントはいくつかあります。しかし日常業務をほんの少しだけ工夫すれば、劇的に作業負担が減ることが多いのです。

例えば、土地代の支払い先について請求書綴りをひっくり返して探すようなことをしてはいけません。年間の土地代支払い履歴の台帳を作り、そこに法定調書や固定資産税申告書で必要になる情報を記載するようにしておけばよいのです。

【図表6】
図表6

このような台帳のフォーマット作りは、1回でなかなか完成するのは難しいものです。後になってこの情報も盛り込んでおけばよかった、となった時に確認できるよう、請求書は伝票に添付する前にコピーしておき、専用クリアファイルなどで収集しておくとよいでしょう。

■ファイル名の名付けルールの例

例として、ファイル名の名付けルールを紹介します。取り上げるのは2023年11月分の買掛金計上額が理論値と合っているかを確認するExcelファイルのファイル名です。

202311_買掛金帳簿一致確認_山田_20231201_final.xlsx
①    ②        ③   ④   ⑤

① 最初の「202311」は対象月を意味し、202311年3月分の仕訳を切るためのものであることを示しています。

② 次にファイルの内容を具体的、かつ簡潔に表記します。少なくとも関連作業で作成したExcelファイルとは明確に区別できる名前であることが必須です。

③ 次に作業者の名前を漢字で記入します。業務担当者ではなく、最後にExcelを更新した人の名前です。仕事の責任の所在が明確になるうえ、監査法人が監査する際に誰に質問すればいいのかが明確になり、スムーズに対応できることになります。

④ 最後に最終更新日付(この例では2023年12月1日)を記入します。同日に再更新を行った場合は「20231201-2」となります。

⑤ お尻に「final」とついている場合は、最終確定版であることを示しています。作業中の場合は●(黒丸)をつけたり、修正版の場合は修正内容をカッコ書きで記載したりします。

ファイル名の名付けルールにおいて重要なのは、ファイル名を並べただけで、どのファイルを開けばよいか確認できるようにしておくことです。

■フォルダやファイルの順番にもこだわる

最後にWindowsの画面上で表示されるファイルの順番にもこだわっていきましょう。

【図表7】はグループ会社各社の連結パッケージを格納したフォルダを示しています。

【図表7】
図表7

このときのフォルダの並び順は、名前により昇順で並んでいます。

しかしグループ企業というものは、最上位の親会社をはじめとして、設立順や重要度順など、何らかの並び順が決まっているのが一般的です。特に連結決算においては、この並び順が統一されていないと、思わぬミスが発生するリスクがあります。

そこで4つのフォルダを間違いがないよう並べる方法ですが、以下の図表8のように、フォルダ名の頭に数字を入力すればよいだけです。とても単純ですが、フォルダを整理整頓する上では非常に有効な方法です。

【図表8】
図表8

このような手法をつかいながら、フォルダやファイルの並び順にはこだわっていきましょう。

作業フローや使用頻度順など、並び順を工夫することで作業の流れがイメージしやすくなったり、ファイルを探す時間が短縮できるのです。

執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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