■外資系企業では経理未経験者の採用が難しい理由
⑴即戦力であることが求められる
外資系企業の経理部門が未経験者の採用に慎重な理由は、業務の特性と企業文化に深く関わっています。日系企業と比較すると、外資系企業では入社後の丁寧な研修体制が整っていないケースが多く、
入社初日から即戦力として業務を遂行することが期待されます。
新入社員に対して数ヶ月かけて基礎から教育するという日系企業的な育成文化は、多くの外資系企業には存在しません。
経理という職種の性質上、企業の財務状況を正確に把握し、適切な会計処理を行う専門性が求められます。外資系企業ではこの専門性に加えて、英語でのコミュニケーション能力、海外本社への報告業務、国際会計基準の理解といった追加のスキルが必要になります。未経験者がこれらすべてを短期間で身につけるのは現実的ではないため、企業側も経験者を優先的に採用する傾向が強くなります。
⑵ジョブ型採用が多い
さらに、
外資系企業の多くはジョブ型採用を採用しており、特定の職務に対して明確なスキルと経験を持つ人材を求める傾向があります。
日系企業で一般的なメンバーシップ型採用とは異なり、採用時点で「経理担当者」として何ができるかが明確に問われます。そのため、未経験者を一から育成するという前提での採用は行われにくく、即戦力として定められた職務を遂行できる人材が求められます。
経理部門は企業の財務の正確性を担保する重要な部署であり、ミスが許されない環境です。こうしたジョブ型採用の特性から、既に実務経験があり、即座に業務に貢献できる人材が優先的に採用されるのです。
⑶成果主義が徹底されている
また、外資系企業では成果主義が徹底されており、入社後早い段階で具体的な成果を求められることが一般的です。経理未経験者が基礎から学びながら成果を出すのは困難であり、本人にとっても大きなプレッシャーとなります。こうした複合的な理由から、外資系企業の経理職への未経験者の採用は極めて限定的になっているのが実情です。
■まずは日系企業での経理経験を積むべき
外資系企業への転職を最終目標とする場合でも、まずは日系企業で経理の基礎を固めることが最も確実な道筋です。日系企業では未経験者向けの研修制度が充実しているケースが多く、簿記の基礎から決算業務まで、段階的にスキルを習得できる環境が整っています。
日系企業で経理経験を積む際には、単に日常的な仕訳業務をこなすだけでなく、月次決算、四半期決算、年次決算といった一連の決算プロセスに関わることが重要です。決算業務を経験することで、企業の財務状況を総合的に理解する力が身につきます。これは外資系企業でも必ず求められる基礎的なスキルです。
経験を積む期間としては、
最低でも2年から3年は日系企業で実務経験を重ねることをお勧めします。この期間で、基本的な経理業務の流れを理解し、自分一人である程度の業務を完結できるレベルに到達することが目標です。
可能であれば、上場企業や会計基準がしっかりしている企業で経験を積むと、その後の転職活動でも評価されやすくなります。
日系企業での経験を積む過程で、将来の外資系転職を見据えて、英文の会計書籍を読んだり、会計英語の勉強を並行して進めたりすることも効果的です。実務経験と語学力を同時に高めていくことで、外資系企業への転職がより現実的なものになっていきます。
■どうすれば会計英語を効果的に習得できるのか
外資系企業の経理職では、英語で財務報告書を作成したり、海外の関係者とメールでやり取りしたり、オンライン会議で財務状況を説明したりする機会が日常的に発生します。そのため、
一般的なビジネス英語だけでなく、会計に特化した英語力が必要不可欠です。
会計英語の習得において最も重要なのは、会計用語を正確に理解し、使いこなせるようになることです。日本語で「売掛金」と言っている概念が英語では「Accounts Receivable」であり、「減価償却費」は「Depreciation Expense」であるといった、基本的な勘定科目の英語表現を覚えることから始めましょう。これらの用語は暗記するだけでなく、実際の財務諸表の中でどのように使われているかを確認することが重要です。
⑴会計英語に特化した参考書や教材を活用する
会計英語に特化した参考書や教材を活用することも有効です。市販されている会計英語の教材には、実務でよく使われる表現やフレーズが体系的にまとめられています。特に、メールでのコミュニケーションや会議での発言を想定した実践的な表現を学べる教材は、実務に直結するため非常に役立ちます。
⑵国際会計資格の学習を通じて、会計英語を習得する
さらに、USCPAなどの国際会計資格の学習を通じて、会計英語を習得する方法もあります。これらの資格試験は英語で実施されるため、試験勉強を通じて自然と会計英語に触れる機会が増えます。資格取得自体も転職活動でのアピールポイントになるため、一石二鳥の学習方法と言えるでしょう。
⑶日常的に英語で会計情報に触れる習慣をつける
日常的に英語で会計情報に触れる習慣をつけることも大切です。経済ニュースを英語で読んだり、海外企業の決算発表を英語で聞いたりすることで、リアルタイムの会計英語に慣れることができます。こうした継続的な学習を通じて、外資系企業の経理部門で求められる英語力を着実に身につけていくことができます。
■なぜ派遣社員からのスタートが現実的な選択肢なのか
外資系企業の経理職に未経験または経験が浅い状態で挑戦する場合、派遣社員としてスタートすることは非常に有効な戦略です。
正社員としての採用は高いハードルがある一方で、派遣社員であれば比較的門戸が広く、外資系企業での実務経験を積むチャンスが得られます。
メリット①
派遣社員として外資系企業で働くメリットは、まず
実際の業務環境を肌で感じられること
です。外資系企業特有の文化、コミュニケーションスタイル、業務の進め方などは、実際に働いてみないと分からない部分が多くあります。派遣社員として数ヶ月から1年程度勤務することで、外資系企業が自分に合っているかどうかを判断でき、将来のキャリア選択に役立てることができます。
メリット②
また、
派遣社員から正社員へのキャリアアップも十分に可能
です。多くの外資系企業では、派遣社員として優秀な働きを見せた人材を正社員として採用する「紹介予定派遣」や、派遣期間終了後に直接雇用へ切り替えるケースが珍しくありません。派遣期間中に自分の能力を証明し、信頼関係を築くことで、正社員への道が開けることがあります。
派遣社員として働く際には、与えられた業務をこなすだけでなく、積極的に学ぶ姿勢を持つことが重要です。経理の実務プロセスを理解し、会計システムの使い方を習得し、社内のコミュニケーションに積極的に参加することで、短期間でも大きく成長できます。特に、英語でのメールのやり取りや会議への参加は、派遣社員でも機会があれば積極的に関わることで、実践的な英語力を磨くことができます。
メリット③
派遣社員として
複数の外資系企業で経験を積むことも、キャリア形成において有効
です。異なる業界や規模の企業で働くことで、多様な会計実務や業務フローに触れることができ、幅広い知識とスキルを身につけられます。この多様な経験は、その後の転職活動において大きな強みとなります。
派遣会社を選ぶ際には、外資系企業への派遣実績が豊富で、経理職に特化したサポートを提供している会社を選ぶことが大切です。
優良な派遣会社は、スキルアップのための研修制度を提供していたり、キャリアカウンセリングを通じて正社員への転職をサポートしてくれたりします。こうしたサポートを活用しながら、着実にキャリアを築いていくことができます。
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■どのようにしてIFRSやUS GAAPの知識を身につけるのか
外資系企業で働く上で、国際会計基準であるIFRS(国際財務報告基準)やUS GAAP(米国会計基準)の理解は非常に重要です。日本基準のみで経理経験を積んできた方にとっては新たな学習が必要ですが、これらの知識を持つことで、外資系企業での採用可能性が大きく高まります。
⑴IFRSとUSGAAPとは
IFRSは世界中の多くの国で採用されている会計基準であり、欧州系の外資系企業では特に重要視されます。一方、US GAAPは米国企業や米国に本社を持つ企業で使用される会計基準です。どちらの基準も日本基準とは異なる考え方や処理方法があり、これらの違いを理解することが求められます。
⑵書籍から学ぶ
これらの国際会計基準を学ぶ方法として、まず専門書や教材を活用することが基本です。IFRSやUS GAAPに関する日本語の解説書も多く出版されており、基礎から体系的に学ぶことができます。特に、日本基準との比較表や具体的な会計処理の違いを説明している書籍は、実務に役立つ知識を効率的に習得できます。
⑶会計専門のセミナーやオンライン講座を受講する
また、会計専門のセミナーやオンライン講座を受講することも効果的です。会計事務所や研修会社が開催するIFRS・US GAAP研修では、実務経験豊富な講師から実践的な知識を学ぶことができます。特に、最新の基準改正や実務上の留意点など、書籍だけでは得られない情報を得られる点が大きなメリットです。
日常業務の中で国際会計基準に触れる機会があれば、積極的に関わることも大切です。日系企業でも、海外子会社の連結決算業務やIFRS導入プロジェクトなど、国際会計基準に関連する業務が発生することがあります。こうした業務に手を挙げて参加することで、実務を通じた学習機会を得ることができます。
■まとめ
外資系企業の経理職に転職できたとしても、それはゴールではなく新たなスタート地点です。外資系企業で長期的に活躍し、キャリアを発展させていくには、継続的な学習と成長が不可欠です。
外資系企業では、自己啓発やスキルアップに対する投資を惜しまない姿勢が評価されます。会計基準の改正や新しい法規制への対応、最新の財務システムやテクノロジーの習得など、常に学び続けることで、自分の市場価値を高めることができます。多くの外資系企業では、社員の学習を支援する制度や教育プログラムが用意されているため、これらを積極的に活用しましょう。
キャリアパスを明確に描くことも重要です。外資系企業では、マネージャー、シニアマネージャー、ディレクター、CFOといった明確な昇進ルートがあります。それぞれのポジションで求められるスキルや経験を理解し、自分が次のステップに進むために何が必要かを常に意識することで、計画的にキャリアを築いていけます。
経理・会計の転職エージェントを利用することで、初めての外資系経理への転職でも安心して転職活動ができますので、検討してみてもいいでしょう。日系企業とは違う様々な疑問にも答えてくれます。
外資系企業での経理キャリアは、決して平坦な道ではありませんが、努力と工夫次第で大きな可能性が開けます。未経験からのスタートであっても、段階的にスキルを積み上げ、継続的に学び続けることで、グローバルな舞台で活躍する経理プロフェッショナルへと成長していくことができるのです。
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