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経理転職で高収入を得るためのスキルとキャリア戦略

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2025年9月29日 ジャスネットキャリア編集部

経理職は企業の財務基盤を支える重要な職種として、安定した需要がある一方で、転職によって高収入を実現できる職種でもあります。近年の転職市場では、経理職に対する企業の期待が高まり、それに伴って年収水準も向上しています。本記事では、経理職の転職を通じて高収入を得るための具体的な戦略とスキルについて解説していきます。

目次

■経理職の転職市場と年収の実態

(1)経理職年収の実態とその要因

経理職の年収は、経験年数、保有資格、企業規模、業界などの要因によって大きく異なります。一般的に、新卒で経理職に就いた場合の年収は300万円から400万円程度  からスタートしますが、経験を積むことで着実に年収アップが期待できる職種です。

20代後半から30代前半では年収400万円から500万円が平均的な水準となっています。30代中盤から40代にかけては年収500万円から700万円の水準に達することが多く、40代以降の管理職では年収800万円から1200万円以上を実現する人材も存在します。

年収に影響を与える主要な要因として、保有資格の重要性は非常に高くなっています。 日商簿記検定1級、公認会計士、税理士、USCPA(米国公認会計士)などの資格保有者 は、同じ経験年数でも20%から30%高い年収を実現している傾向があります。

実務経験の内容も年収に大きく影響します。 連結決算、開示業務、IPO準備、M&A関連業務、内部統制構築などの高度な業務経験 を持つ人材は、転職市場において高く評価され、それに見合った高い年収を実現できています。

(2)年収800万円以上の求人の増加傾向

近年の転職市場において、経理職の年収800万円以上の求人は顕著に増加しています。この背景には、企業のグローバル化、上場企業の増加、コンプライアンス強化、デジタル化推進などの要因があります。

特に注目すべきは、IPOを控えた成長企業における経理職の需要急増です。これらの企業では、 上場準備に必要な内部統制の構築、開示体制の整備、投資家向け資料の作成などの専門的な業務を担える人材 を求めており、経験豊富な経理職に対して年収1000万円以上を提示するケースも増えています。

M&Aが活発化している現在の市場環境において、 買収や統合に伴う財務デューデリジェンス、企業価値評価、統合後の会計システム統一などの業務を担える経理人材 への需要も高まっています。これらの専門性の高い業務を担当できる人材は希少価値が高く、年収800万円から1200万円での採用が一般的となっています。

(3)外資系企業と国内企業の収入比較

外資系企業と国内企業の経理職年収には、明確な差が存在します。一般的に、外資系企業の方が20%から50%高い年収水準を設定しており、この差は経験年数が上がるほど顕著になる傾向があります。ただし、外資系企業の収入は、年齢で変わるというよりはポジションで大きく変化していきます。

外資系企業が高い年収を提示できる理由として、本国との給与水準の統一、成果主義的な評価制度、株式報酬制度の充実などが挙げられます。ただし、外資系企業では高い年収と引き換えに、より厳しい成果要求、長時間労働、雇用の不安定性などのリスクも存在します。

■高収入を目指すためのスキルと資格

(1)経理職に役立つ資格とその重要性

経理職で高収入を実現するためには、適切な資格の取得が極めて重要です。資格は専門知識の証明であり、転職時の評価向上や年収アップに直結する要素となります。

日商簿記検定は経理職の基礎となる資格で、2級は最低限の要件として扱われることが多く、1級の取得により他の候補者との差別化を図ることができます。

公認会計士は経理職における最高峰の資格のひとつです。この資格を持つことで、監査法人、コンサルティングファーム、大手企業のCFOポジションなど、年収1000万円以上の高額求人への応募が可能になります。ただし、取得には数年間の集中的な学習が必要なため、働きながらの取得には強い意志と計画性が求められます。

税理士資格も高い評価を受ける資格です。特に税務に関連する業務が多い企業や、税理士法人での勤務を希望する場合には必須の資格となります。科目合格制度を活用することで、働きながら段階的に取得を進めることが可能です。

USCPA(米国公認会計士)は、外資系企業や海外展開企業への転職において極めて有効な資格です。英語での会計知識を証明でき、年収1200万円以上の求人への応募機会が大幅に広がります。また、日本の公認会計士より取得難易度が比較的低いことも魅力のひとつです。

IFRS(国際財務報告基準)関連の資格も注目度が高まっています。多くの上場企業がIFRSの適用を進めており、この分野の専門知識を持つ人材は希少価値が高く、年収800万円以上での採用が期待できます。

(2)高収入を目指すために必要なスキル

資格だけでなく、実務で活用できるスキルの習得も高収入実現には不可欠です。ITスキルは現代の経理職には必須となっており、Excel、Access、PowerBIなどのツールを高度に活用できる能力は基本的な要件となっており、さらにSAP、Oracle、NetSuiteなどのERPシステムの操作経験は転職時に高く評価されます。

プログラミングスキルを持つ経理職は特に希少価値が高く、年収1000万円以上での採用も珍しくありません。SQL、Python、VBA、Rなどの言語を習得し、データ分析や業務自動化を実現できる人材は「デジタル経理」として高く評価されています。

英語力は外資系企業や海外展開企業への転職には必須のスキルです。TOEIC800点以上、理想的には900点以上のスコアがあると、転職時の選択肢が大幅に広がります。また、財務会計に関する英語理解や、英語での財務資料作成能力も重要なスキルとなります。

分析スキルも高収入実現には重要な要素です。財務データから経営課題を発見し、改善提案を行える能力は、経営陣から高く評価されます。データを読み解き、ビジネスの観点から解釈できる能力は、年収アップに直結するスキルです。

(3)経理職に求められる実務経験

高収入の経理職求人では、特定の実務経験が重視される傾向があります。どのような経験を積むかによって、転職時の市場価値が大きく変わるため、戦略的にキャリアを構築することが重要です。

連結決算の経験は、上場企業や大手企業への転職において重要な要素です。親会社と子会社の財務諸表を統合し、グループ全体の財務状況を把握する業務は高度な専門知識を要求され、この経験を持つ人材は年収700万円以上での採用が期待できます。

開示業務の経験も高く評価されます。有価証券報告書、四半期報告書、決算短信などの作成経験は、上場企業への転職において必須とも言える経験です。特に金融商品取引法や会社法に基づく開示要件を理解し、適切な開示資料を作成できる人材は希少価値が高く、年収800万円以上での求人も多く存在します。

IPO準備の経験は、近年特に注目度が高い実務経験です。内部統制の構築、監査法人対応、投資家向け資料の作成など、IPOに関わる一連の業務を経験した人材は、成長企業から高く評価され、年収1000万円以上での採用も珍しくありません。

M&A関連業務の経験も高い評価を受けます。財務デューデリジェンス、企業価値評価、統合後の会計システム統一などの経験を持つ人材は、M&Aが活発化している現在の市場において重宝されています。

■転職サイトとエージェントの活用法

(1)転職サイトの選び方とポイント

経理職の転職を成功させるためには、適切な転職サイトの選択と効果的な活用が重要です。総合型転職サイトは求人数が多く、幅広い業界や職種の情報を収集できる利点があります。

専門特化型転職サイトは、経理・財務職に特化した求人情報を提供しており、より専門性の高い求人や詳細な職務内容の情報を得ることができます。公認会計士や税理士などの資格を活かせる求人や、年収800万円以上の高額求人も多く掲載されています。

転職サイトを利用する際のポイントとして、複数のサイトに登録することが重要です。サイトによって掲載されている求人が異なるため、幅広い選択肢を確保するためには複数のサイトを併用することが効果的です。

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(2)転職エージェントの利用方法とメリット

転職エージェントの活用は、特に高収入を目指す経理職の転職において極めて有効です。経理・財務専門のエージェントを利用することで、一般的な転職サイトでは公開されていない非公開求人にアクセスできる可能性が高まります。

エージェントとの面談では、現在のスキルや経験を客観的に評価してもらい、市場価値を正確に把握することができます。また、目指す年収や希望する職務内容に基づいて、最適なキャリアパスの提案を受けることも可能です。

年収交渉においても、エージェントの活用は極めて有効です。市場相場に基づいた適切な年収交渉を代行してくれるため、自分では難しい条件交渉も成功する可能性が高まります。

(3)経理職の求人情報の探し方

効率的な求人情報の探し方を身につけることで、より良い転職機会を見つけることができます。転職サイトでの検索では、「経理」だけでなく、「財務」「会計」「連結決算」「開示」「IPO」「IFRS」などの関連キーワードも組み合わせて検索することで、より多くの求人情報を見つけることができます。

企業の採用ページを直接チェックすることも効果的です。特に上場企業や成長企業では、自社のホームページで経理職の募集を行っていることが多く、転職サイトには掲載されていない求人情報を見つけることができる場合があります。

ネットワーキングも重要な情報収集手段です。同業者との交流、業界のセミナーや勉強会への参加、LinkedInなどのプロフェッショナルネットワークの活用により、非公開の求人情報や転職機会を得ることができる場合があります。

■高収入を狙える経理職の求人例

(1)上場企業の経理職

上場企業の経理職は、安定性と高収入の両方を実現できる魅力的な選択肢です。東証プライム市場上場企業の経理職では、年収600万円から1200万円の範囲での求人が一般的です。特に時価総額1000億円以上の大型株企業では、経理課長レベルで年収800万円から1000万円、経理部長レベルで年収1200万円から1800万円という高い水準が設定されています。

上場企業の経理職で特に高収入が期待できるのは、連結決算業務を担当するポジションです。親会社と複数の子会社の財務諸表を統合し、四半期ごとに決算短信や四半期報告書を作成する業務は高度な専門性を要求され、年収800万円以上での採用が一般的です。

開示業務担当者も高い年収水準となっています。有価証券報告書や内部統制報告書の作成、監査法人との調整、IR活動のサポートなどを担当し、年収700万円から1000万円での求人が多く見られます。

(2)外資系企業の経理職

外資系企業の経理職は、国内企業を大幅に上回る高い年収水準が設定されており、経理職で高収入を目指す人材にとって非常に魅力的な選択肢です。

外資系IT企業の経理職では、年収800万円から1500万円の範囲での求人が一般的です。特にGoogle、Microsoft、Amazon、Appleなどの大手テック企業では、シニアレベルの経理職で年収1200万円から2000万円という高額報酬を提示するケースも多くあります。

外資系コンサルティングファームの経理職も高収入が期待できる分野です。McKinsey、BCG、Bainなどの戦略コンサルティングファームや、PwC、EY、KPMG、Deloitteなどの会計系コンサルティングファームでは、年収1000万円から2500万円での採用が行われています。

外資系金融機関の経理職は最も高い年収水準を誇ります。投資銀行、資産運用会社、保険会社などでは、年収1500万円から3000万円という高額報酬も珍しくありません。

■年収を上げるためのキャリアパス

(1)経理職のキャリアアップ戦略

経理職で継続的な年収アップを実現するためには、明確なキャリア戦略の設計と実行が不可欠です。まず重要なのは、自分の強みと市場価値を正確に把握することです。現在保有するスキル、経験、資格を棚卸しし、転職市場でどの程度の価値があるかを客観的に評価します。

専門性を深めることは年収アップの確実な方法のひとつです。連結決算、開示業務、税務、M&A、IPO準備など、特定の分野で高度な専門知識を身につけることで、その分野のエキスパートとして高い市場価値を獲得できます。

一方で、スキルの多様化も重要な戦略です。ITスキル、データ分析能力、英語力、プロジェクトマネジメント能力などを身につけることで、より幅広い職種や業界への転職が可能になり、結果として年収アップの機会が増加します。

(2)管理職への昇進

経理職における管理職への昇進は、大幅な年収アップを実現する最も確実な方法と言えるでしょう。経理課長クラスへの昇進では、年収700万円から1000万円の水準が一般的です。経理部長クラスでは、年収1000万円から1500万円の水準となります。

CFO(最高財務責任者)レベルでは、年収1500万円から5000万円以上という高額報酬も可能です。管理職への昇進を実現するためには、リーダーシップ、コミュニケーション能力、戦略的思考力、問題解決能力などの総合的な管理能力の習得が必要です。

(3)専門性を高めるための選択肢

経理職で高収入を実現するもうひとつの重要な方法は、特定分野での専門性を極めることです。公認会計士や税理士などの国家資格取得は、専門性向上の王道です。

IFRS(国際財務報告基準)の専門家も高い需要があり、年収1000万円以上での採用が一般的です。M&A関連の専門性も注目度の高い分野で、年収1200万円から2000万円の高額報酬が期待できます。

ITと会計の融合分野も将来性の高い専門領域です。「デジタル経理」のエキスパートとして高い市場価値を獲得できます。

■成功事例から学ぶ高収入経理職の転職

実際の転職成功事例を通じて、どのような戦略とスキルが高収入実現につながるかを具体的に見ていきましょう。

【ケース1】USCPA取得と英語力アップで外資系企業の経理マネージャーへ

Sさん(32歳、男性)は、中堅製造業の経理職から外資系IT企業の経理マネージャーに転職し、年収を650万円から1100万円に大幅アップさせました。成功の要因は、働きながらUSCPAを取得し、英語力をTOEIC900点まで向上させたことです。また、前職でERP システムの導入プロジェクトリーダーを務めた経験が高く評価され、ITスキルと経理の専門知識を併せ持つ希少な人材として採用されました。

【ケース2】豊富な実務経験が評価されてスタートアップ企業のCFOへ

Tさん(29歳、女性)は、上場企業の経理職からIPO準備中のスタートアップ企業のCFOに転職し、年収を580万円から900万円(ストックオプション含む)にアップさせました。前職で連結決算と開示業務を担当し、監査法人との調整経験を豊富に積んでいたことが決定的な要因でした。IPO準備というプレッシャーの高い環境でしたが、豊富な実務経験により短期間で成果を出し、IPO達成後にはストックオプションにより更なる資産形成に成功しています。

【ケース3】簿記1級取得と税理士試験の科目合格で大手金融機関の経理へ

Mさん(35歳、男性)は、地方の中小企業から大手金融機関の経理部門に転職し、年収を480万円から800万円にアップさせました。日商簿記1級に加えて税理士試験の科目合格を持ち、特に税務に関する深い知識が評価されました。また、前職で培った中小企業への融資審査の経験が、金融機関での与信管理業務に活かされ、異業界転職でありながら高い評価を受けました。

■まとめ

経理職での転職による高収入実現は、適切な戦略と継続的な努力により確実に達成可能な目標です。成功の鍵となるのは、市場動向の正確な把握、必要なスキルと資格の戦略的習得、効果的な転職活動の実行、そして転職後の継続的な成長です。

経理職は企業の根幹を支える重要な職種であり、その専門性と責任の重さに見合った高い報酬を得る権利があります。デジタル化、国際化、規制強化などの環境変化により、経理職に求められるスキルは高度化していますが、それは同時により高い報酬を得る機会が拡大していることを意味します。

今こそ行動を起こし、戦略的なキャリア構築を通じて経理職での高収入実現への第一歩を踏み出してください。適切な準備と実行により、理想の年収を実現し、充実したキャリアを築くことができるでしょう。

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執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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