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外資系経理への転職成功ガイド|仕事内容・年収・キャリアアップのすべて

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2025年7月4日ジャスネットキャリア編集部

外資系企業の経理職への転職を検討している方の中には、「実際の年収はどの程度なのか」「英語力はどこまで必要なのか」「日系企業との違いは何か」といった疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。

外資系企業の経理職は、高い年収水準と国際的なキャリア形成の機会がある一方で、厳格な成果主義や英語でのコミュニケーションなど、日系企業とは異なる特徴があります。

本記事では、外資系経理職の実態から転職成功のポイントまで、外資系専門の転職エージェントが詳しく解説します。転職を成功させるための具体的な戦略や、入社後のキャリア構築方法までお伝えします。

目次

■外資系経理職の魅力とは

(1)高年収とキャリアアップのチャンス

外資系企業の経理職で最も注目されるのは、やはり高い年収水準でしょう。
東京都内の経理職(経験5年)の年収相場は、日系企業では500~750万円、外資系企業では650~950万円程度とされ、特に外資系では成果に応じた報酬アップが見込めるのが特徴です。

【年収水準の比較例(東京都内、経験5年の場合)】

  1. 日系大手企業:500-750万円
  2. 外資系企業:650-950万円

この高年収を実現している背景には、いくつかの要因があります。

①成果主義の報酬体系

外資系企業では年功序列ではなく、成果に基づいた報酬設定が基本です。優秀な成果を出せば、年齢に関係なく大幅な昇給・昇格のチャンスが開けます。実力次第で急速にキャリアアップできるのは、やりがいのある環境ですね。

②グローバル水準の報酬設定

多くの外資系企業は世界各国で統一された報酬基準を設けており、日本市場でも国際的な水準の給与を支払っています。これにより、グローバルに通用する報酬レベルを受け取ることができます。

③株式報酬制度の充実

ストックオプションや従業員持株制度など、企業の成長に応じた追加報酬を得られる仕組みが整っています。会社の業績向上が直接自分の報酬アップにつながるため、モチベーション維持にも効果的です。

福利厚生に関しては、意外と必要最低限しかない企業が多い印象です。賞与などに還元されているのかもしれません。

④早期のキャリアアップ機会

実力重視の文化により、20代後半〜30代前半でもマネジメント職に就けるケースが珍しくありません。日系企業では部長職まで15~20年かかることが多いのに対し、外資系では7~10年程度でマネージャー職に就ける可能性があります。

(2)国際的なビジネス環境での経験

外資系企業では、日系企業では得られない貴重な国際経験を積むことができます。

①多国籍チームでの協働

さまざまな国籍・文化背景を持つ同僚と働くことで、自然と異文化理解能力やグローバルなコミュニケーション力が身につきます。これらのスキルは今後のキャリアで大きな武器となるでしょう。

②国際会計基準への対応

IFRS(国際会計基準)やUS GAAP(米国会計基準)に基づく財務報告業務を通じて、世界標準の会計知識を習得できます。この知識は国際的に通用するスキルとして、将来の転職やキャリアアップに大きく貢献します。

③本社・海外拠点との連携

本社や他国のオフィスとの定期的な連携業務により、グローバルな視点でのビジネス理解を深めることができます。海外出張や駐在などは、それほどありません(国内で完結できてしまっているため)。メールやチャット、MTGで完結するケースがほとんどです。

出張に関しては、日系グローバル企業の方が多い印象です。

■外資系経理職の職務内容および日系企業経理との違い

(1)日常業務の流れ

外資系企業の経理職は、基本的な業務内容こそ日系企業と共通していますが、スピード感や要求される精度が大きく異なります。

①月次決算業務(Month-end Close)

外資系企業では、月次決算を3-5営業日以内に完了することが当たり前です。日系企業の10-15日と比較すると、非常にタイトなスケジュールで進行することがわかりますね。

プラスして本国カレンダーに合わせるので、祝日などにも影響が出ます。

②四半期・年次決算業務

外資系企業では四半期決算も非常に重要視されます。特に上場企業では、SEC(米国証券取引委員会)への報告要件があるため、高い精度と厳格なスケジュール管理が求められます。

③監査対応

Big4監査法人(PwC、Deloitte、EY、KPMG)による監査が一般的で、英語での監査対応が必要になります。日系企業と比較して、監査人とのコミュニケーションがより直接的で詳細になる傾向があります。

(2)外資系企業特有の業務

①本社レポーティング(HQ Reporting)

最も特徴的な業務の一つが、本社向けの定期レポート作成です。月次・四半期ベースで、財務数値、予算実績対比、業務指標等を英語でまとめ、本社の財務チームに報告します。

【レポート内容例】

  1. P&L Summary(損益計算書要約)
  2. Balance Sheet Analysis(貸借対照表分析)
  3. Cash Flow Statement(キャッシュフロー計算書)
  4. Budget vs Actual Analysis(予算実績対比)
  5. Key Performance Indicators(主要業績指標)
  6. Risk Assessment(リスク評価)

②移転価格税制対応

多国籍企業では、関連会社間取引の適正価格設定が重要な課題です。移転価格文書の作成や各国税務当局への対応業務も、経理職の重要な役割となります。

③SOX法対応(上場企業の場合)

米国上場企業では、サーベンス・オクスリー法(SOX法)に基づく内部統制評価が必須です。四半期ごとの内部統制テスト、文書化、監査法人との調整など、専門的な知識が求められます。

④為替リスク管理

外資系企業では為替変動による影響が大きいため、為替リスクの管理が重要です。ヘッジ会計の適用、為替予約の管理、影響度分析など、専門的な業務を担当することになります。

■外資系経理職の最新求人動向

(1)現在の求人市場の状況

2024年から2025年にかけて、外資系企業の経理職求人市場は非常に活発な動きを見せています。この好調な市場を支えているのは、主に3つの大きな変化です。

まず、デジタル化推進による業務変革が挙げられます。AI・RPAの導入により単純な入力作業や定型業務が自動化される一方で、データ分析や戦略立案といった高度な業務の重要性が急速に高まっています。その結果、単純作業をこなすだけでなく、分析力や提案力を持った経理人材への需要が急増しているのが現状です。

次に、ESG報告の重要性が高まり、上場企業を中心に開示義務の動きが進んでいます。環境・社会・ガバナンス(ESG)への取り組みが企業評価の重要な指標となる中、ESG関連の財務報告や開示業務ができる専門人材の需要が大幅に拡大しています。従来の財務会計だけでなく、サステナビリティ会計の知識を持つ人材が特に求められています。

さらに、リモートワーク制度の定着も転職市場に大きな変化をもたらしました。コロナ禍を経て多くの外資系企業でリモートワークが標準的な働き方として定着したため、地方在住者でも東京本社の外資系企業への転職が現実的な選択肢となっています。これにより、従来は地理的制約で諦めていた優秀な人材も転職市場に参入し、求人の選択肢も大きく広がっています。

(2)業界別の求人傾向

①IT・テクノロジー業界

最も求人が活発な業界の一つです。特にSaaS企業、AI関連企業での採用が増加しています。

<求められるスキル>

  1. 収益認識基準(ASC606/IFRS15)の深い理解
  2. SaaSメトリクス(ARR、MRR、チャーン率等)の分析経験
  3. 株式報酬制度の会計処理経験

②製薬・ヘルスケア業界

新薬開発の活発化により、経理人材の需要が高まっています。特に臨床試験費用の管理や知的財産の評価に詳しい人材が求められています。

<求められるスキル>

  1. 研究開発費の会計処理
  2. 知的財産権の評価・償却
  3. 規制当局への報告業務経験

③金融業界

規制強化に伴い、リスク管理・コンプライアンス関連の経理業務が拡大しています。

<求められるスキル>

  1. 金融商品会計の深い理解
  2. IFRS9/CECL等の最新基準への対応
  3. 規制報告書の作成経験

④消費財・小売業界

サプライチェーンの複雑化やD2C(Direct to Consumer)ビジネスの拡大により、多様な経理スキルが求められています。

<求められるスキル>

  1. 複雑なサプライチェーンの原価管理
  2. 多チャネル販売の収益管理
  3. 在庫評価・管理

■外資系経理職に求められる3つのスキル

(1)会計知識と実務経験

外資系企業の経理職では、日本の会計基準だけでなく、国際的な会計基準の知識が必須です。

【必須の会計基準知識】

  1. IFRS(国際会計基準)
  2. US GAAP(米国会計基準)

【実務経験要件】
外資系企業の経理職では、最低3年の経理実務経験が求められ、基本的な仕訳処理から決算業務まで一通りの業務を習得していることが前提となります。また、月次決算業務については完全に理解していることが必要で、決算スケジュールの管理能力や業務精度の向上に向けた取り組み経験が重視されます。

さらに、年次決算業務と監査対応の経験も重要な要件です。特に監査法人との調整業務を通じて、外部監査人とのコミュニケーション能力や適切な資料準備スキルを身につけていることが求められます。加えて、予算管理および分析業務の経験も必須であり、予算と実績の対比分析、差異の原因分析、そして具体的な改善提案ができる能力が評価されます。

(3)ITスキルとシステム理解

外資系企業で最も重要視されるスキルの一つが英語力です。ただし、単に英語が話せるだけでなく、ビジネスの場面での正確なコミュニケーションが求められます。

【必要な英語力レベル(TOEIC基準)】

●エントリーレベル(スタッフ):TOEIC700-800点

  1. 基本的な会計用語の理解
  2. 会計ソフト(ERP)操作スキル
  3. 簡単なメール対応
  4. 定型的な会議での発言

●ミドルレベル(シニア・スーパーバイザー):TOEIC800-900点

  1. 複雑な会計処理の英語での説明
  2. 海外関係者との電話会議参加(参加しても簡単な会話まで)
  3. 英語での資料作成・プレゼンテーション

●シニアレベル(マネージャー以上):TOEIC900点以上

  1. 本社との戦略的ディスカッション/li>
  2. 監査法人との高度な技術的議論
  3. 英語での部下指導・評価

その他にも重要な英語スキルとして、会計英語の習得、財務レポートの作成などのライティングスキル、数字を使った論理的な説明ができるプレゼンテーションスキルなどもポジションによって必要となります。

現代の外資系企業では、高度なITスキルが経理職にも求められています。

<必須ITスキル>

  1. ERP(統合基盤システム):SAP、Oracle等
  2. Excel高度操作:関数、ピボットテーブル
  3. データ分析ツール:Tableau、Power BI等

最新のシステムを使いこなすことで、効率的な業務処理と高度な分析が可能になります。

■外資系経理職の職種別・年収相場

外資系企業の経理職の年収は、職種・経験年数・業界・企業規模により大きく異なります。以下は東京都内での一般的な相場です。

  1. スタッフレベル(経験1-3年):450-700万円
  2. シニアスタッフ(経験3-6年):600-850万円
  3. スペシャリスト(経験5-8年):750-1,100万円
  4. マネージャー(経験7-12年):1,000-1,500万円
  5. コントローラー(経験10-15年):1,200-2,000万円
  6. ディレクター・VP(経験15年以上):1,800-3,200万円

■外資系経理職の職場環境

外資系企業の最大の特徴は、多様性に富んだ職場環境です。
経理部門の構成は企業や組織体制により異なりますが、日本人を中心に、アジア系・欧米系の多国籍メンバーと協働する場合が多いです。
この多様性により、異なる文化的背景から生まれる多様な解決策、国際的なビジネス感覚の自然な習得、日常的な英語使用による実践的なスキル向上などのメリットが得られます。

また、ジェンダー平等も積極的に推進されており、管理職の女性比率は30-40%と日系企業の15-20%を大きく上回ります。

コミュニケーション文化も日系企業と大きく異なります。明確な意思表示、建設的な議論、迅速な意思決定、定期的な相互フィードバックが重視される直接的なコミュニケーションスタイルが特徴です。会議運営では事前準備の徹底、時間厳守、全員参加、行動計画の明確化が求められ、効率性と生産性が重視されます。

異文化理解と社内文化への適応も不可欠で、個人主義的な責任体制、フラットな組織構造、変化への柔軟性などを理解し、段階的に適応していくことが成功の鍵となります。

■外資系経理職のキャリアパス

(1)一般職からマネジメント職へ

外資系企業では実力主義に基づいた早期のキャリアアップが可能で、段階的な成長プロセスが明確に設計されています。

スタッフレベル(入社1-3年目)では、日常的な仕訳処理や月次決算サポート、基本的な分析レポート作成、監査資料準備のサポートが主な業務となり、基本的な会計処理の習得、社内システムの完全理解、英語での基本的なコミュニケーション確立、チーム内での信頼関係構築が成長目標となります。

シニアスタッフレベル(入社3-5年目)に昇進すると、月次決算の主担当業務、四半期決算プロセスの参画、詳細な財務分析・レポート作成、新人スタッフの指導・教育を担当し、高度な会計処理の習得やプロジェクト管理スキルの開発、英語でのプレゼンテーション能力向上が求められます。

さらにスーパーバイザー・アシスタントマネージャー(入社5-7年目)では小規模チームの管理・指導やプロセス改善プロジェクトのリード、予算策定・管理業務を担い、最終的にマネージャーレベル(入社7-10年目)では経理部門全体の管理・統括、経営陣への財務報告・提言を行い、大規模組織のマネジメントや事業戦略への財務面からの貢献が期待されます。

(2)国際的なキャリアの構築

外資系企業では国際的なキャリア構築の機会が豊富に用意されており、多様なキャリアパスを選択することができます。

企業によっては、アメリカ・ヨーロッパの本社への出張、アジア各国や新興市場での事業立ち上げ、グローバルシステム導入やM&A支援等の国際プロジェクトへの参画が可能です。

また、特定分野の専門性を極めてグローバルレベルでの専門職を目指すパスもあり、国際税務の専門家、資金管理・為替リスク管理の専門家、企業買収・合併の財務専門家、ESG報告・サステナビリティ会計の専門家などの道があります。

■外資系経理職の転職成功のポイント【経理職務経歴書・英文レジュメの書き方】

外資系企業への転職では、日本語の職務経歴書に加えて、英文レジュメの提出が求められることが一般的です。英文レジュメの書き方については、以下の記事を参照ください。

(1)職務経歴書作成のポイント

①数値を使った具体的な成果の記載

単に「月次決算業務を担当」ではなく、「月次決算業務を5営業日から3営業日に短縮し、本社報告の迅速化に貢献」のように具体的な成果を記載します。

②国際会計基準への対応経験

IFRS、US GAAPの適用経験があれば必ず記載し、具体的にどの基準のどの項目に対応したかを明記します。

③システム・ツールのスキル詳細

使用可能なERPシステム、Excelの習熟度、分析ツールの経験を具体的に記載します。

■外資系経理職の求人情報の探し方

外資系企業への転職では、転職エージェントの活用が成功の重要な鍵となります。特に経理・財務専門のエージェントや外資系企業特化のエージェントを選ぶことが肝心です。

優秀なエージェントは経理・財務職種への深い理解と外資系企業の採用プロセスに精通しており、国際会計基準や税務の知識も豊富に持っています。また、外資系企業の採用担当者との強固な関係により非公開求人への独占アクセスが可能で、企業の内部情報や競合他社の動向も把握しています。

転職エージェント以外にも、企業の公式採用サイトから企業文化や具体的な職務内容を把握することが重要です。LinkedIn、Indeed、Glassdoorなどの転職サイトでは豊富な求人情報と企業の評判・年収情報を収集できます。

さらに、会計・財務関連セミナーや転職フェア、業界団体イベントへの参加により、企業との直接面談機会を得ることも可能です。外資系企業では推薦による採用が重視されるため、LinkedInを活用した業界関係者とのつながり構築や、転職経験者との面談によるネットワーキングも転職成功の重要な要素となります。

■まとめ

外資系企業の経理職は、高い年収水準と国際的なキャリア形成の機会がある魅力的な選択肢ですが、成功するためには戦略的なアプローチが必要です。

転職成功のための重要ポイントとして、

  1. 国際会計基準や高度なITスキル
  2. 英語力の継続的な向上による専門スキルの向上
  3. 異文化理解と直接的なコミュニケーションスタイルへの適応による文化的適応力

などが挙げられます。

外資系企業の経理職は確かに挑戦的ですが、適切な準備と心構えがあれば充実したキャリアを築くことができます。重要なのは自分の強みを理解して、継続的に成長し続ける姿勢を持つことです。高い年収と国際的な経験を求める経理職の方にとって、外資系企業は大きな可能性を秘めたキャリアの選択肢となります。
あなたの豊富な経験とスキルが、外資系企業で大いに活かされることを願っています。

執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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