【企業のステージ別】経理部門リーダーに求められる役割と業務内容
3 上場準備企業(N-1期)
公認会計士 江黒 崇史
■このステージの経理部門リーダーの役割は?
(1)上場準備企業の経理部門リーダーに求められる役割は?
上場準備企業において、まず経理部門リーダーに期待されるのは、上場業務を円滑に進めることです。
具体的には上場までのスケジュールや直前期と呼ばれるN-1期の1年間で、下記の上場準備業務を問題なく進める能力です。
- 上場に向けた社内の決算体制や月次の予実管理体制の構築
- 取締役会で用いる数値関連資料の作成
- これまで監査法人や証券会社から提示された課題を適時適切に解決
(2)上場準備企業の経理部門リーダーに求められる具体的な能力は?
そして社内の様々な部署との連携や監査法人や証券会社対応するコミュニケーション力、知識レベルの向上、上場にふさわしい経理体制の整備、J-Soxで求められる業務フロー・内部統制の構築、内部監査運用、取締役会運営の対応など、非常にタフな仕事内容になるでしょう。
(3)どのような苦労がある?成長のポイントは?
上場準備企業の場合、経理部の中で上場準備専門の部署を立ち上げ、部員の配置をすることは人数面から難しい場合も多く、通常の経理業務も行いつつ、上場準備業務をプラスで行うことになります。
大変やりがいがあり、例えばこれまで監査法人勤務などの公認会計士が、会計監査経験を活かしつつ、さらに多くの経験を積んでキャリアアップできるため、公認会計士が転職先として選ぶケースも多くあります(公認会計士の資格がないとできないわけではありません)。
■上場準備企業で経理部門リーダーになるための資質、ヒント
このような会社では、監査法人や証券会社、コンサルティング会社等でIPO支援をした経験のある方や上場企業の経理関連業務を経験したことのある方、そして何より自らリーダーとしてIPOを達成したいという強いマインドをお持ちの方が向いていることでしょう。
また上場直前期ということで近年の上場におけるトピックスや傾向など、上場に関する最新の幅広い知見も求められることから知識の研鑽に意欲的な方が向いていると思います。