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経理でリモートワークは可能なのか?在宅勤務できる企業の特徴や求人例・転職成功のノウハウを公開

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2025年8月5日 ジャスネットキャリア編集部

働き方改革の浸透とコロナ禍が一つのきっかけとなり、多くの企業でリモートワークが導入され、経理職においても在宅勤務の可能性が広がっています。従来は書類の取り扱いが多く、オフィス勤務が必須とされてきた経理業務ですが、クラウド会計システムの普及やペーパーレス化の推進により、場所を選ばない働き方が実現可能になってきました。

しかし、すべての経理業務がリモートワーク対応というわけではありません。どのような業務なら在宅で行えるのか、どんな企業がリモート経理を採用しているのか、転職を成功させるために必要なスキルは何かなど、経理職のリモートワーク実現に向けた具体的な情報をお伝えします。

目次

■なぜ経理職でもリモートワークが可能になったのか

(1)クラウド会計システムの普及

経理業務のリモートワーク化が進んでいる背景には、いくつかの技術的・制度的変化があります。

最も大きな要因は、クラウド会計システムの普及です。
従来の会計ソフトは、特定のパソコンにインストールする必要があり、そのパソコンがある場所でしか作業ができませんでした。しかし、クラウド型の会計システムでは、インターネット環境があればどこからでもアクセスできるため、自宅からでも会計処理が行えるようになりました。freeeやマネーフォワードクラウド会計、弥生会計オンラインなどの普及により、中小企業でもクラウド会計の導入が進んでいます。

(2)電子帳簿保存法の改正

電子帳簿保存法の改正も、リモートワーク推進の追い風となっています。2022年の改正により、請求書や領収書などの国税関係書類の電子保存要件が緩和され、スマートフォンで撮影した画像での保存も認められるようになりました。これにより、紙の書類を物理的に保管・管理する必要性が減り、デジタルデータでの処理が可能になったのです。

(3)銀行のAPI連携サービスの拡充

また、銀行のAPI連携サービスの拡充により、入出金データの自動取得が可能になりました。これまで銀行窓口やATMで通帳記帳を行い、手作業で会計システムに入力していた作業が、自動化によって大幅に効率化されています。

(4)多くの企業がテレワーク環境を整備

さらに、新型コロナウイルスの影響により、多くの企業が急速にテレワーク環境を整備しました。この過程で、経理部門においてもリモートワークの実現可能性が検証され、実際に運用されるケースが増加しています。

■さっそくリモートワーク可能な求人例を見てみる

【正社員求人例】
製薬会社で研究開発投資の拡大に伴い、専門的な会計処理を担当できる人材を募集

職種:経理スタッフ(リモートワーク可)
雇用形態:正社員
年収:350万円~500万円
勤務時間:9:00~18:00(休憩1時間、実働8時間)
休日:土日祝、年末年始、夏季休暇、有給休暇
仕事内容:月次決算業務、予算実績管理、請求書発行・管理、経費精算処理、将来的には税務申告業務への関与
応募資格:簿記2級以上、Excel中級レベル(関数・ピボット使用可)、クラウド会計システム(freee)使用経験歓迎

【派遣社員求人例】
東京都内の不動産管理会社で、賃貸物件の収支管理を中心とした経理業務を担当する人材を募集

職種:経理事務スタッフ
雇用形態:派遣社員(6ヶ月契約、更新可能)
時給:1,600円~1,800円
勤務時間:9:30~18:30(休憩1時間)
休日:土日祝
業務内容:賃貸収入管理、支払処理業務、月次収支報告書作成、データ入力・集計
応募資格:簿記3級以上、Excel基本操作、不動産業界経験歓迎

【派遣社員求人例】
全国展開する人材サービス会社で、給与計算業務を中心とした人事経理業務を担当する人材を募集

職種:経理アシスタント(給与計算メイン)
雇用形態:派遣社員(3ヶ月契約、長期継続前提)
時給:1,400円~1,600円
勤務時間:9:00~17:30(休憩45分)
休日:土日祝
業務内容:給与計算業務、勤怠データ処理、社会保険手続き、年末調整業務サポート
応募資格:給与計算実務経験1年以上、人事労務基礎知識、社労士資格・給与計算検定歓迎

【アルバイト求人例】
急成長中のECサイト運営会社で、売上データの管理・集計業務を担当するスタッフを募集

職種:経理データ入力スタッフ
雇用形態:アルバイト(副業可)
時給:1,300円
勤務時間:シフト制(週2日~OK)土日勤務可能
休日:シフト制
業務内容:売上データ入力、在庫管理システム更新、月次レポート作成補助、発注データ処理
応募資格:Excel基本操作、ECサイト運営経験・ネットショップ販売経験歓迎

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■どのような経理業務がリモートワークに適しているのか

経理業務の中でも、リモートワークに適している業務とそうでない業務があります。

(1)データ入力業務

データ入力業務は、最もリモートワークに適している経理業務の一つです。売上データの入力、仕入データの入力、経費精算の処理などは、クラウド会計システムがあれば自宅からでも問題なく行えます。特に、OCR(光学文字認識)機能付きの会計システムを使えば、領収書を撮影するだけで自動的にデータが入力されるため、効率的な作業が可能です。

(2)月次決算業務

月次決算業務も、多くの部分でリモートワークが可能です。試算表の作成、前年同月比較、予算実績差異分析などは、すべてデジタルデータで完結するため、在宅勤務でも十分に対応できます。ただし、他部署との調整が必要な場合は、チームズ等のオンライン会議システムを活用したコミュニケーションが重要になります。

ただし、リモートでの対応には各企業の業務フロー(紙ベースでの稟議が残っているケースもある)や法務・監査上の制約も影響するため、実施状況には企業ごとに差があります。

(3)予算管理業務

予算管理業務についても、リモートワークとの親和性が高い分野です。予算の策定、実績との比較分析、レポート作成などは、表計算ソフトや専用システムを使って自宅から行うことができます。

(4)今後、リモートワークが広がる業務

一方で、現金の取り扱いが必要な業務や、原本の保管・管理が必要な書類業務については、完全なリモートワークが難しい場合があります。しかし、これらの業務についても、キャッシュレス決済の推進や電子帳簿保存法の活用により、徐々にリモート対応が進んでいます。

税務申告業務については、税理士との連携が重要になりますが、多くの税理士事務所でもクラウド化が進んでおり、オンラインでのやり取りが可能になっています。法人税申告書の作成や消費税申告書の作成も、専用ソフトとインターネット環境があれば自宅から行うことができます。

■どのような企業がリモート経理を積極的に導入しているのか

リモート経理を積極的に導入している企業には、共通した特徴が見られます。

業界・業種別では、下記のような企業になります。

あくまでも一般論であり、現場での業務自体はリモートに適していても、 「経理は出社すべき」という風土でリモート不可のケースもあります ので、ご注意ください。

  • IT・テクノロジー業界(SaaS企業、Webサービス企業、ITベンチャーなど)
  • 外資系企業・グローバル企業(欧米系の製薬会社、IT企業、消費財メーカーなど)
  • スタートアップ・ベンチャー企業
  • シェアードサービス会社・BPO(業務受託)業界(大企業のシェアードサービスセンター、経理アウトソーシング企業)

地方に本社を置く企業や、複数拠点を持つ企業でも、リモート経理のニーズが高まっています。 優秀な経理人材を確保するために、勤務地の制約を取り払い、全国から人材を採用する戦略を取っている企業 が増加しています。

(1)IT企業やスタートアップ企業

IT企業やスタートアップ企業には、リモート経理を導入しやすい土壌があります。これらの企業は創業時からクラウドサービスを活用していることが多く、ペーパーレス化も進んでいる傾向です。

また、従業員のITリテラシーも高く、新しい働き方への適応力があります。社内システムがクラウドベースで構築されているため、経理部門だけでなく全社的にリモートワークが可能な環境が整っています。

(2)知識集約型企業

コンサルティング会社や広告代理店などの知識集約型企業も、リモート経理の導入が進んでいます。これらの企業では、従来からプロジェクト単位での働き方が一般的であり、場所に縛られない業務スタイルに慣れ親しんでいます。

経理業務についても、プロジェクトの収支管理や経費処理において、リモートワークが効果的に活用されています。

(3)外資系企業

外資系企業では、本国でのリモートワーク文化を日本法人にも適用するケースが多く見られます。特に、グローバルで統一された会計システムを使用している企業では、日本の経理担当者も海外と同じようにリモートワークが可能です。

また、働き方に柔軟で、成果重視の評価制度を取り入れているため、経理職でもリモート勤務が許容されやすいという土壌があります。

(4)中堅企業

従業員数50名から300名程度の中堅企業において、リモート経理の導入が活発化しています。これらの企業は、大企業ほど複雑な組織構造を持たず、中小企業よりもIT投資への余裕があるため、新しい取り組みを導入しやすい環境にあります。

(5)リモートワークを導入しにくい業界例

一方、以下のような業界では、経理業務であっても出社を求められる傾向があります。

① 建設業や製造業

工場や現場との調整が多く、紙資料や現物確認が必要なことがある。

② 中小企業全般

ITインフラやクラウド化が遅れており、紙書類や印鑑文化が根強く残っている場合がある。

③ 会計事務所(特に小規模)

クライアント対応や情報漏洩対策の都合から、出社が求められるケースが多い。

■なぜ特定のスキルや資格が重要になるのか

リモート経理において成功するためには、従来の経理スキルに加えて、いくつかの特別なスキルや資格が重要になります。

(1)ITスキル

最も重要なのは、ITスキルです。クラウド会計システムの操作はもちろん、Excelのスキル、オンライン会議システムの使用、ファイル共有システムの活用など、様々なデジタルツールを効率的に使いこなす能力が求められます。特に、Excel関数やピボットテーブル、マクロ機能を使いこなせると、リモート環境での業務効率が大幅に向上します。

(2)コミュニケーション能力

コミュニケーション能力も、リモートワークにおいては特に重要です。対面でのやり取りができない分、メールやチャットツールを使った文章でのコミュニケーションが中心となります。簡潔で分かりやすい文章を書く能力、相手の状況を推察して適切なタイミングでコミュニケーションを取る能力が必要です。

(3)セルフマネジメント能力

セルフマネジメント能力も欠かせません。自宅での作業では、自分で時間管理を行い、集中力を維持する必要があります。締切を守る責任感、計画的に業務を進める能力、問題が発生した時に自分で解決策を見つける能力などが求められます。

(4)日商簿記2級

簿記検定については、2級以上を取得していることが望ましいとされています。リモートワークでは、分からないことをすぐに同僚に聞くことができないため、基礎的な会計知識をしっかりと身につけておく必要があります。

(5)その他、評価の高いスキル

Excel関連の資格として、MOS(Microsoft Office Specialist)も有効です。特に上級レベルの資格を持っていると、リモート環境での業務効率化能力をアピールできます。

税理士や公認会計士の資格を持っている場合は、リモートワークでの転職においても非常に有利になります。これらの資格保有者は、税務申告業務や監査業務を自宅から行うことができ、企業にとって価値の高い人材として評価されます。

■どのように効果的な転職活動を進めるべきか

リモート経理職への転職を成功させるためには、戦略的なアプローチが必要です。

ステップ①:リモートワーク可の求人を探す

まず重要なのは、リモートワーク対応企業の情報収集です。実際の求人票でリモートワーク可能と明記されているかをチェックしたり、転職エージェント経由で、実際のリモートワーク実施状況を確認できる求人を探しましょう。

ステップ②:転職エージェントに登録・相談

転職エージェントの活用も効果的です。リモートワーク求人に特化したエージェントや、経理職に強いエージェントを複数利用することで、求人情報の幅を広げることができます。エージェントからは、企業の内部情報や選考のポイントについてもアドバイスを受けられます。

転職活動では、条件面での妥協点も明確にしておきます。完全リモートワークと週数日のリモートワークのどちらでも良いか、給与水準はどの程度まで許容できるか、といった点を事前に整理しておくことで、スムーズな転職活動が可能になります。

ステップ③:履歴書と職務経歴書の作成

履歴書と職務経歴書の作成においては、リモートワーク適性をアピールする内容を盛り込みます。クラウド会計システムの使用経験、Excel関数の活用実績、チームでのオンラインコラボレーション経験など、具体的なエピソードを交えて記載します。

面接対策では、リモートワークに対する姿勢や考え方を明確に伝えられるよう準備します。「なぜリモートワークを希望するのか」「自宅での業務環境はどのように整備しているか」「コミュニケーション上の課題をどう解決するか」といった質問に対して、具体的で説得力のある回答を用意しておきます。

経理業界に強いエージェントであれば、あなたの強みを活かせる適切なアドバイスをくれるので、ぜひ活用しましょう。

ステップ④:スキルアップ

スキルアップも並行して進めます。転職活動中に新しい会計ソフトの操作を覚えたり、関連資格の取得に向けて勉強したりすることで、面接での話題にもなり、学習意欲の高さをアピールできます。

■リモートワークを希望する場合の給与や待遇面での注意点

リモート経理職への転職において、給与や待遇面での注意点があります。

(1)給与面

リモートワーク可能な求人では、従来のオフィス勤務と比較して給与水準が異なる場合があります。一部の企業では、通勤手当の支給がない代わりに基本給が高めに設定されていたり、在宅勤務手当として月額数千円の支給があったりします。逆に、リモートワークのメリットを考慮して、給与水準を若干抑えている企業も存在します。

(2)福利厚生

福利厚生についても、従来とは異なる内容になることがあります。社員食堂や社内イベントといった施設利用型の福利厚生は活用できませんが、その代わりに在宅勤務環境整備のための支援金や、健康管理のためのオンラインサービス利用料補助などが提供される場合があります。

(3)昇進・昇格

昇進・昇格に関しては、リモートワーク中心の企業では成果主義的な評価制度を採用している場合が多く見られます。これは、勤務態度や職場での存在感よりも、実際の業務成果や目標達成度で評価される傾向があることを意味します。

積極的に成果を上げられる人にとっては有利ですが、従来の年功序列的な評価に慣れている人には戸惑いを感じる可能性があります。

(4)研修や教育機会

研修や教育機会については、オンライン形式が中心となります。従来の集合研修に参加する機会は減りますが、eラーニングシステムやオンラインセミナーを活用した学習機会が充実している企業が多いのが特徴です。

(5)社会保険などの労働条件

社会保険や労働条件については、リモートワークでも基本的に通常勤務と同様の扱いになります。ただし、労働時間の管理方法や残業代の算定方法について、企業独自のルールが設けられている場合があるため、事前の確認が重要です。

転職時の交渉ポイントとしては、在宅勤務に必要な機器の支給や費用補助について確認しておくことが大切です。パソコン、モニター、プリンター、インターネット回線費用などについて、どこまで会社負担になるかは企業によって大きく異なります。

■まとめ:経理のリモートワーク転職を成功させるために

経理職におけるリモートワークは、もはや特別な働き方ではなく、多くの企業で実現可能な選択肢となっています。クラウド会計システムの普及、電子帳簿保存法の整備、そして新型コロナを契機とした働き方改革の加速により、経理業務の多くが在宅勤務で対応できるようになりました。

成功の鍵となるのは、従来の経理スキルに加えて、ITリテラシーとセルフマネジメント能力を身につけることです。簿記検定2級以上の取得、Excel関数の習得、クラウド会計システムの操作経験、そして文章によるコミュニケーション能力の向上が、リモート経理職への転職において重要な要素となります。

現在の求人市場では、正社員から派遣、アルバイトまで幅広い雇用形態でリモート経理職の募集が行われており、経験レベルや希望する働き方に応じて選択肢を見つけることができます(正社員よりも、派遣社員や業務委託、パート・アルバイトの求人で先行してリモート対応が進んでいるケースも)。

特に、IT企業、コンサルティング会社、中堅企業において積極的な採用が行われており、今後もこの傾向は続くと予想されます。

経理職のリモートワークは、ワークライフバランスの向上、通勤時間の削減、地方在住者の就業機会拡大など、多くのメリットをもたらします。適切な準備と戦略的な転職活動により、理想的な働き方を実現することが十分に可能です。変化する働き方の潮流を捉え、新しいキャリアの可能性を積極的に探っていくことをお勧めします。

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執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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