■経理の転職はリモートワークでも実現できるのか
結論から言うと、
経理職への転職でリモートワークを実現することは十分に可能
です。従来は書類の取り扱いが多く、オフィス勤務が前提とされてきた経理業務ですが、クラウド会計システムの普及、2022年の電子帳簿保存法改正、銀行のAPI連携サービスの拡充、そして新型コロナウイルスを契機としたテレワーク環境の整備が重なり、場所を選ばない働き方が現実的な選択肢になりました。freeeやマネーフォワードクラウド会計、弥生会計オンラインといったクラウド会計システムの浸透により、中小企業でもリモート対応の経理体制を整える動きが進んでいます。
ただし、すべての経理業務・すべての企業でリモートワークが可能というわけではありません。現金の取り扱いや紙の原本管理が残る業務、あるいは「経理は出社すべき」という社風の企業では、実務自体はリモートに適していても在宅勤務が認められないケースもあります。転職を成功させるには、リモートワークに適した業務内容と、実際に在宅勤務を運用している企業を見極めて求人を探すことが重要です。
実際にジャスネットキャリアで公開している求人を見ると、2026年8月時点で全求人5,829件のうち、リモートワーク可の求人は約690件と、全体の約12%にとどまります。決して多いとは言えない割合ですが、裏を返せば「探し方さえ間違えなければ、限られたリモート求人にしっかりたどり着ける」ということでもあります。次章で紹介する求人例や、後述の探し方のポイントを参考に、対象求人を効率よく絞り込んでいきましょう。
■経理の転職でリモートワークを叶えるには何から始めればいいか
リモート経理職への転職を成功させるためには、闇雲に求人を探すのではなく、段階を踏んだ戦略的なアプローチが欠かせません。
(1)在宅勤務可の求人を見極めて探す
まず重要なのは、リモートワーク対応企業の情報収集です。求人票に「リモートワーク可」「在宅勤務可」と明記されているかを確認するだけでなく、転職エージェント経由で実際のリモートワーク実施状況(完全リモートか、週数日の出社が必要かなど)を確認できる求人を探すことが、入社後のミスマッチを防ぐポイントになります。
(2)転職エージェントに登録し、内部情報を得る
転職エージェントの活用も効果的です。経理職に強いエージェントを利用することで、求人情報の幅を広げられるだけでなく、企業の内部情報や選考のポイントについてもアドバイスを受けられます。完全リモートワークと週数日のリモートワークのどちらでも良いか、給与水準はどの程度まで許容できるかといった条件面での妥協点を事前に整理しておくと、エージェントとの相談もスムーズに進みます。
(3)職務経歴書でリモート適性をアピールする
履歴書と職務経歴書の作成では、リモートワーク適性をアピールする内容を盛り込みます。クラウド会計システムの使用経験、Excel関数の活用実績、チームでのオンラインコラボレーション経験など、具体的なエピソードを交えて記載しましょう。面接では
「なぜリモートワークを希望するのか」「自宅での業務環境はどのように整備しているか」「コミュニケーション上の課題をどう解決するか」といった質問に対して、具体的で説得力のある回答を準備しておくことが重要
です。
(4)スキルアップを並行して進める
転職活動中に新しい会計ソフトの操作を覚えたり、関連資格の取得に向けて勉強したりすることも並行して進めましょう。学習の過程そのものが面接での話題になり、学習意欲の高さをアピールする材料にもなります。
ジャスネットなら経理正社員で在宅勤務が選べる転職を実現
■さっそくリモートワーク可能な求人例を見てみる
経理職の転職では「正社員でリモートワーク可」の求人を軸に探している方が多い傾向にあります。ここでは、正社員・契約社員(正社員登用あり)のリモート可求人例を紹介します。
【正社員求人例】
【フルリモート】経理・労務リーダーポジションの募集
職種:経理(月次決算業務)、会計事務(アシスタント業務)、社会保険・給与
雇用形態:契約社員
(※試用期間:3か月(同条件)※入社から半年後に正社員への転換あり)
年収:400万円 〜 450万円
勤務時間:09:00〜18:00(休憩時間 60分)
仕事内容:社内およびクライアントの経理・労務業務、および代表が行うエグゼクティブコーチング、酒販事業のサポート業務
応募資格:
-
基本的なPCスキルがある方
-
経理経験(月次決算レベル)、労務経験(給与計算、社会保険関連手続き、各種申請経験)をそれぞれ3年以上お持ちの方で基本的なことはお一人で完結できる方
-
各種使用するシステムの利用経験(種類は問いません)
【正社員求人例】
【リモート週数回】急成長中の東京拠点ラグジュアリートラベル企業で経理リーダー募集
職種:経理(日常業務)
雇用形態:正社員
年収:420万円 〜 600万円
勤務形態:フレックスタイム制
仕事内容:
-
会計ソフトへの仕訳入力作業全般
-
取引先からの請求書の受領、確認、入力
-
社員の業務関連立替経費の精算管理
-
売上入力
-
社内の予約チームとの請求内容確認
-
請求書の承認および支払スケジュール管理
-
請求書データのアーカイブ管理
-
取引先からの請求についての問い合わせ対応
応募資格:【必須要件】
-
経理分野での実務経験2年以上
-
弥生会計などの会計ソフト入力経験
もっとリモートワーク可能な経理の求人を見てみたい
■どのような経理業務がリモートワークに向いているのか
(1)データ入力業務
経理業務の中でも、リモートワークとの相性には差があります。
売上データや仕入データの入力、経費精算処理
といったデータ入力業務は、クラウド会計システムがあれば自宅からでも問題なく行える代表的な業務です。OCR機能付きの会計システムを使えば、領収書を撮影するだけで自動的にデータが入力されるため、在宅でも効率的な作業が可能です。
(2)月次決算業務
試算表の作成、前年同月比較、予算実績差異分析
といった月次決算業務も、多くの部分がデジタルデータで完結するため在宅勤務で対応できます。ただし他部署との調整が必要な場面ではオンライン会議システムの活用が欠かせず、各企業の業務フロー(紙ベースの稟議が残っているケースもある)や法務・監査上の制約によって実施状況には差があります。予算の策定や実績比較、レポート作成といった予算管理業務も、表計算ソフトや専用システムを使えば自宅から対応しやすい分野です。
(3)今後、リモートワークが広がる業務
一方、現金の取り扱いや原本の保管・管理が必要な業務は、完全なリモートワークが難しい場合があります。それでもキャッシュレス決済の推進や電子帳簿保存法の活用により、こうした業務も徐々にリモート対応が進んでいます。税務申告業務についても、税理士事務所のクラウド化が進んでおり、専用ソフトとインターネット環境があれば自宅から法人税申告書や消費税申告書の作成に携われるケースが増えています。
■どのような企業がリモート経理を積極的に採用しているのか
リモート経理を積極的に導入している企業には、共通した特徴があります。
IT企業やスタートアップ企業
は創業時からクラウドサービスを活用していることが多く、ペーパーレス化も進んでいるためリモート経理を導入しやすい土壌があります。コンサルティング会社や広告代理店といった
知識集約型企業
も、プロジェクト単位での働き方に慣れており、経費処理や収支管理においてリモートワークが効果的に活用されています。
外資系企業
では、本国のリモートワーク文化を日本法人にも適用し、グローバルで統一された会計システムを使う中で経理担当者もリモート勤務が可能になっているケースが多く見られます。
従業員数50〜300名程度の中堅企業
でも、大企業ほど複雑な組織構造を持たず中小企業よりIT投資に余裕があることから、リモート経理の導入が活発化しています。
一方、現場部門では、
工場の製造現場や接客、物流業務など、業務の特性上リモートワークが難しいケースがあります。
そのため、経理部門ではリモートワークが可能であっても、現場社員から「なぜ経理だけがリモートワークできるのか」という不公平感が生じることがあります。こうした不満や士気の低下を防ぐため、全社一律で出社勤務としている企業も少なくありません。経理職でリモートワークを希望する場合は、経理部門だけでなく、事業そのものがリモートワークと親和性の高い業種・業態であるかどうかも重要なポイントです。
■現役エージェントが語る、経理×リモート転職のリアル
正社員経理でリモートワークが可能な求人は、2026年に入ってから少しずつ潮目が変わってきていると感じています。コロナ禍直後はリモート前提の求人が急増しましたが、ここ1〜2年は「フルリモートから週2〜3日出社のハイブリッド型へ」「一度リモート可にした企業が出社回帰に転じる」といった動きも目立つようになりました。背景には、新人・若手の育成のしやすさや、経理特有の紙資料・押印対応、他部署との連携のしやすさを理由に、出社を再評価する企業が増えていることがあります。
とはいえ、完全になくなったわけではなく、外資系企業やIT・SaaS企業、クラウド会計システムを前提に業務フローを組んでいる企業では、引き続きリモートワークを維持する動きが根強くあります。求人を探す際は、「リモート可」という表記だけでなく、実際の出社頻度や今後の方針まで、エージェントを通じて確認しておくことをおすすめします。
選考の現場で感じるのは、リモート可求人は応募が集中しやすいという点です。特に大手企業や有名企業のフルリモート求人は、募集開始から数日で応募多数となり、書類選考の通過ハードルが通常求人より上がる傾向にあります。
そのため、職務経歴書では「リモート環境でも成果を出せる」ことを裏付ける具体的なエピソードが欠かせません。単に「オンライン会議に慣れています」ではなく、「前職で月次決算をリモート環境下で完結させ、締め日を一度も遅らせなかった」といった、成果と再現性が伝わる書き方が評価されやすいです。面接でも、「自宅の業務環境をどう整えているか」「進捗や不明点をどのタイミングでどう報告・相談するか」「トラブル発生時に自分でどこまで対応し、どこから周囲に相談するか」といった、リモートワーク特有の質問は頻出です。抽象的な回答ではなく、これまでの実務での具体的な行動で答えられるように準備しておくと安心です。
一方で、正直にお伝えすると、経理未経験からいきなりリモート求人に採用されるのは簡単ではありません。企業側からすると、実務の勘所やOJTでの細かなフォローがしにくいリモート環境で未経験者を育成するのはリスクが高く、多くの企業がまずは経理実務経験者を優先する傾向にあります。実際に採用されやすいのは、月次決算や経費精算などの実務を一人称で完結できる経験を数年積んでいる方や、すでにクラウド会計システム(freee、マネーフォワードクラウド会計など)の実務経験がある方です。また、これまで対面中心の職場であっても、社内チャットツールやオンライン会議を日常的に使ってきた経験があれば、その点をアピール材料にできます。
もし未経験からリモート経理を目指したい場合は、まずは出社ありの求人で実務経験と信頼関係を積み、社内でリモート勤務の許可を得たり、その経験を武器に次の転職でリモート求人に応募したりするステップを踏むのが、遠回りに見えて実は近道になることが多いです。
■経理の転職でリモートワークを目指すために必要なスキルや資格とは
(1)ITスキル
リモート経理で成功するには、従来の経理スキルに加えていくつかの力が求められます。最も重要なのはITスキルです。クラウド会計システムの操作はもちろん、Excel関数やピボットテーブル、マクロ機能を使いこなせると、リモート環境での業務効率が大きく向上します。対面でのやり取りができない分、メールやチャットで簡潔に分かりやすく伝えるコミュニケーション能力も欠かせません。
(2)セルフマネジメント能力
自宅での作業では、自分で時間管理を行い集中力を維持するセルフマネジメント能力も重要です。締切を守る責任感や、問題発生時に自分で解決策を見つける力が求められます。資格面では、日商簿記2級以上を取得していると、分からないことをすぐ同僚に聞けないリモート環境でも基礎的な会計知識で対応しやすくなります。MOS(Microsoft Office Specialist)の上級資格や、税理士・公認会計士資格を持っている場合は、税務申告業務や監査業務を自宅から行える人材としてさらに高く評価されます。
■リモートワーク転職での給与・待遇の注意点
(1)給与や待遇面でオフィス勤務と異なる場合がある
リモート経理職への転職では、給与や待遇面でオフィス勤務と異なる場合があることも押さえておきましょう。通勤手当がない代わりに基本給が高めに設定されていたり、在宅勤務手当が支給されたりする企業がある一方、リモートワークのメリットを考慮して給与水準を抑えている企業も存在します。
福利厚生についても、社員食堂や社内イベントといった施設利用型のものは活用できない代わりに、在宅勤務環境整備の支援金やオンライン健康管理サービスの補助が用意されている場合があります。
(2)成果主義的な評価制度を採用しているケースが多い
リモートワーク中心の企業では成果主義的な評価制度を採用しているケースが多く、勤務態度よりも
業務成果や目標達成度で昇進・昇格が判断される傾向があります。
研修もオンライン形式が中心となり、eラーニングやオンラインセミナーを活用した学習機会が充実している企業が多いのが特徴です。
社会保険や労働条件は基本的に通常勤務と同様に扱われますが、労働時間の管理方法や残業代の算定方法に企業独自のルールが設けられている場合があるため、事前確認が重要です。転職時には、パソコンやモニター、インターネット回線費用など在宅勤務に必要な機器の支給・費用補助についても確認しておきましょう。
■よくある質問(FAQ)
Q. 経理は本当にリモートワーク・在宅勤務で転職できますか?
A. データ入力や月次決算、予算管理などクラウド会計システムで完結する業務を中心に、リモートワーク可の求人は増えています。ただし全ての企業・業務が対象ではないため、求人票や転職エージェントを通じて実施状況を確認することが大切です。
Q. 経理のリモート転職で有利になる資格はありますか?
A. 日商簿記2級以上に加え、MOSなどのExcel関連資格、税理士・公認会計士資格が評価されやすい傾向にあります。特に税理士・公認会計士資格保有者は、税務申告業務や監査業務を在宅で担える人材として高く評価されます。
Q. フルリモートと週数日のリモートでは、どちらの求人が多いですか?
A. 企業や業界によって差がありますが、完全リモートよりも週数日の出社を伴うハイブリッド型の求人の方が見つけやすい傾向にあります。希望条件に幅を持たせて探すことで、選択肢を広げやすくなります。
Q. リモートワークの経理は給与が下がりますか?
A. 一律に下がるわけではありません。在宅勤務手当が支給されたり基本給が高めに設定されたりする企業がある一方、通勤コストが不要な分を考慮して給与水準を抑えている企業もあり、求人ごとの条件確認が必要です。
■まとめ:経理の転職でリモートワークを実現するために
経理職の転職においてリモートワークは、もはや特別な働き方ではなく、多くの企業で実現可能な選択肢になっています。クラウド会計システムの普及や電子帳簿保存法の整備、働き方改革の加速によって、経理業務の多くが在宅勤務で対応できるようになりました。
転職を成功させる鍵は、リモートワークに適した業務・企業を見極めて求人を探すこと、そしてITリテラシーとセルフマネジメント能力を磨きながら、職務経歴書や面接でリモート適性を具体的にアピールすることです。正社員から派遣、アルバイトまで幅広い雇用形態でリモート経理職の募集が行われているため、経験レベルや希望する働き方に応じた選択肢を見つけることができます。
経理職に強いエージェントを活用しながら、理想のリモートワーク転職を実現していきましょう。
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