新規登録 求人検索
新規登録

経理職の年収現状と傾向を徹底解説!転職で年収を上げる方法とは?

写真1

2025年8月5日 ジャスネットキャリア編集部

経理職は企業の財務を支える重要な職種として、多くの会社で欠かせない存在となっています。しかし、実際の年収水準や転職による年収アップの可能性について、詳しく把握している方は少ないのではないでしょうか。

本記事では、経理職の年収の現状から、転職を通じた年収アップの具体的な戦略まで、幅広く解説していきます。現在経理職で働いている方、これから経理職への転職を検討している方にとって、役立つ情報をお届けします。

目次

■経理職の年収の現状と傾向

(1)経理職の平均年収とは

経理・会計分野に特化した転職エージェント「ジャスネットコミュニケーションズ」の最新データによると、経理職(正社員)の平均年収は529万円です 。それに対し、国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると給与所得者の平均給与は460万円です。比較すると経理の平均年収は約69万円ほど高いため、 年収は決して低いとは言えません 。経理という専門性の高い職種であることが、この年収水準を支えている要因の一つです。

ただし、この平均値には大きな幅があります。 新卒で経理職に就いた場合の初任給は300万円台からスタートすることが多く、経験を積みながら徐々に年収を上げていく傾向にあります 。一方で、経験豊富な経理職や管理職クラスになると、700万円を超える年収を得ている方も珍しくありません。

近年、経理職の年収は緩やかな上昇傾向にあります。これは、企業の内部統制強化やコンプライアンス重視の流れにより、経理職の重要性が高まっていることが背景にあります。また、デジタル化の進展により、従来のオーソドックスな記帳業務だけでなく、より分析的で戦略的な業務への参加も求められており、高度なスキルを持つ経理職への評価が上がっていることも要因の一つです。

(2)年齢別の年収推移

経理職の年収は、年齢と経験年数に大きく左右される特徴があります。20代前半の新卒経理職の場合、年収は300万円から400万円程度からスタートすることが一般的です。この段階では、基本的な簿記知識や会計ソフトの操作方法を身につけながら、実務経験を積んでいく時期にあたります。

20代後半から30代前半にかけては、年収が400万円から500万円台に上昇する傾向が見られます。この時期には、月次決算や年次決算の一連の流れを独力で処理できるようになり、経理業務の中核を担う存在として認められるようになります。また、後輩の指導や他部署との調整業務なども任されることが多く、責任の範囲が広がっていきます。

30代後半から40代にかけては、多くの経理職にとってキャリアの分岐点となる重要な時期です。この年代では、年収500万円から700万円台の幅で推移することが多く、個人のスキルや所属企業の規模、担当業務の範囲によって大きな差が生まれます。管理職へのステップアップを果たした場合、年収800万円を超えるケースも珍しくありません。

50代以降になると、これまでの経験とスキルに基づいて、経理部門の責任者や財務担当役員といった上級管理職に就くケースが多くなります。この段階では年収1000万円を超える方もいますが、一方で専門職として現場にとどまる選択をした場合でも、豊富な経験を活かして安定した年収を維持している方も多く見られます。

(3)企業規模や業界による年収差

①企業規模による年収の違い

経理職の年収は、所属する企業の規模や業界によって大きく異なります 。まず企業規模による違いを見てみると、従業員数1000人以上の大企業では、経理職の平均年収が600万円を超えることも珍しくありません。大企業では組織が複雑で扱う取引量も多いため、高度な専門知識と経験が求められ、その分年収も高く設定される傾向にあります。

中規模企業(従業員数100人から1000人程度)では、年収450万円から550万円程度が平均的な水準となります。中規模企業の経理職は、大企業ほど細分化された業務ではなく、幅広い業務を担当することが多いため、オールラウンドな能力が評価される傾向にあります。

小規模企業や中小企業では、年収400万円前後が平均的な水準ですが、企業の成長性や業績によって大きく左右されることがあります。小規模企業では経理職が財務や人事などの他の管理部門業務も兼務することが多く、幅広いスキルを身につけられる反面、年収面では大企業に劣ることが一般的です。

②業界別にみる年収の違い

業界別に見ると、金融業界や商社、製薬業界などでは経理職の年収が高い傾向にあります。これらの業界では利益率が高く、複雑な取引を扱うことが多いため、高度な会計知識を持つ経理職への評価も高くなります。金融業界では、年収700万円を超える経理職も珍しくありません。

一方、小売業や飲食業、サービス業などでは、経理職の年収は相対的に低めの水準となることが多いです。これらの業界では利益率が比較的低く、人件費を抑制する傾向があるためです。ただし、これらの業界でも上場企業や大手チェーンなどでは、相応の年収水準が期待できる場合があります。

■経理で年収が高い人の条件

経理職で高年収を実現している方には、いくつかの共通した条件があります。まず最も重要なのは、豊富な実務経験です。 単に年数を重ねるだけでなく、様々な規模の企業や異なる業界での経験を積んでいる方は、幅広い知識とノウハウを持っているため、高く評価される傾向にあります

①決算や開示の経験

特に、上場企業での決算業務や開示業務の経験は、高年収につながりやすい要素の一つです。上場企業の経理業務は、一般企業以上に厳格な会計基準と法令遵守が求められるため、この経験を持つ経理職は多くの企業から重宝されます。また、M&Aや組織再編などの特殊な会計処理の経験も、高年収を実現するための重要な要素となります。

②マネジメント経験

マネジメント経験も、高年収を実現するために欠かせない条件の一つです。経理部門を統括し、チームを率いて成果を上げた経験のある方は、多くの企業で管理職候補として高く評価されます。部下の育成や業務効率化の推進、他部署との調整能力なども重要な評価ポイントとなります。

③語学力

語学力、特に英語力も高年収につながる要素として注目されています。グローバル展開する企業が増える中、海外子会社の管理や国際会計基準への対応ができる経理職への需要は高まっています。TOEIC800点以上の英語力を持ち、実際に英語を使った業務経験がある方は、外資系企業や国際的な日系企業から高い評価を受けることができます。

■経理職で年収を上げるためのスキル

スキルが上がることで年収水準の高い企業や求人にも転職できる可能性が高くなります 。あきらめずにスキルアップを目指していくことが肝心です。

(1)年収アップに必要なスキル

①日商簿記2級から1級

経理職で年収アップを実現するためには、まず基礎的な会計スキルを確実に身につけることが重要です。 日商簿記検定2級レベルの知識は最低限必要とされており、1級レベルまで習得できれば、より多くの企業から評価されるでしょう 。ただし、資格だけでなく、実際の業務で活用できる実践的なスキルを身につけることが何より重要です。

②ITスキル

ITスキルの重要性も近年ますます高まっています。 Excel の高度な機能を使いこなすことはもちろん、会計ソフトやERPシステムの操作に精通することも必要です 。さらに、RPA(業務自動化ツール)やBI(ビジネスインテリジェンス)ツールなどの新しい技術についても理解を深めることで、業務効率化を推進できる人材として評価されます。

(2)経理の年収アップに必要な資格

①公認会計士

経理職の年収アップに役立つ資格として、まず挙げられるのは公認会計士です 。公認会計士の資格を持つ経理職は、一般的な経理職と比較して大幅に高い年収を期待できます。監査法人での勤務経験を経て事業会社の経理職に転職する場合、年収800万円以上のオファーを受けることも珍しくありません。

②税理士の科目合格

税理士資格も、経理職の年収向上に大きく寄与する資格の一つです 。税務に関する深い知識を持つ経理職は、多くの企業で重要なポジションを任されることが多く、年収面でも優遇される傾向にあります。特に、法人税や消費税などの実務に直結する科目の合格は、即戦力として高く評価されます。

③中小企業診断士

中小企業診断士の資格も、経理職のキャリアアップに役立つ資格として注目されています。経営全般に関する幅広い知識を持つことで、単なる会計処理担当者から経営パートナーとしての役割を担えるようになり、年収アップにつながることが多いです。

④USCPAやCIA

USCPA(米国公認会計士)やCIA(公認内部監査人)などの国際的な資格も、グローバル企業での年収アップに有効です。これらの資格を持つ経理職は、外資系企業や海外展開している日系企業から高い評価を受け、年収700万円以上のポジションに就くことも可能です。

⑤FASS検定

FASS検定(経理・財務スキル検定)は、経理職の実務能力を客観的に証明できる資格として、近年注目を集めています。この検定での高スコア取得は、転職活動において自身のスキルレベルを明確にアピールする材料となり、年収交渉でも有利に働くことがあります。

■転職による年収アップの戦略

(1)高年収企業への転職

転職による年収アップを実現するためには、高年収を期待できる企業の特徴を理解し、戦略的にアプローチすることが重要です。

①上場企業や大手企業

まず、 上場企業や大手企業への転職は、年収アップの最も確実な方法の一つです 。これらの企業では、経理職の年収水準が高く設定されていることが多く、福利厚生も充実している傾向にあります。

②外資系企業

外資系企業への転職も、大幅な年収アップを期待できる選択肢の一つです。外資系企業では成果主義的な評価制度を採用していることが多く、高いスキルと実績を持つ経理職には相応の報酬が支払われます。ただし、英語力や国際会計基準への理解など、追加的なスキルが求められることも多いため、事前の準備が重要です。

③スタートアップ企業

急成長中のベンチャー企業やスタートアップ企業への転職も、年収アップの可能性を秘めています。これらの企業では、経理体制の整備や上場準備などの重要な業務を任される機会が多く、成果に応じて大幅な年収アップや株式報酬などのインセンティブを得られる可能性があります。

また、 マネジメント経験の有無はさまざまな業界で年収の高さに影響しますが、スタートアップ企業の場合は若くてもマネジメント経験が積めるという意味でも魅力的です

④コンサルティングファーム

コンサルティングファームへの転職も、経理職のキャリアアップ戦略の一つとして注目されています。会計系コンサルティングファームでは、経理業務の豊富な経験を活かしながら、より高い年収を実現することができます。クライアントへのアドバイザリー業務を通じて、さらなるスキルアップも期待できます。

(2)業界選びのポイント

①金融業界

転職による年収アップを目指す際には、業界選びが極めて重要な要素となります。金融業界は、経理職にとって最も高年収を期待できる業界の一つです。銀行、証券会社、保険会社などでは、複雑な金融商品の会計処理や厳格な規制対応が求められるため、高度なスキルを持つ経理職への評価も高くなります。

②製薬業界

製薬業界も経理職の年収が高い業界として知られています。研究開発費の管理や薬事法に関連する会計処理など、業界特有の専門知識が求められるため、経験豊富な経理職は高く評価されます。また、グローバル展開している製薬会社が多いことも、年収水準の高さに寄与しています。

③IT業界

IT業界への転職も、近年注目されている選択肢の一つです。急成長するIT企業では、IPO準備や海外展開に伴う経理体制の整備が急務となっており、経験豊富な経理職への需要が高まっています。特に、SaaS企業やフィンテック企業などでは、従来とは異なる収益認識や新しい会計処理が求められるため、柔軟性と学習意欲を持つ経理職が重宝されます。

(3)マネジメントポジションを狙う

経理職で大幅な年収アップを実現するためには、マネジメントポジションへのステップアップが重要な戦略となります 。経理マネージャーや経理部長といった管理職ポジションでは、一般的な経理スタッフと比較して最大数百万円程度の年収アップが期待できます。

マネジメントポジションへの転職を成功させるためには、これまでの実務経験に加えて、チームマネジメントの経験やリーダーシップ能力をアピールすることが重要です。部下の育成経験、プロジェクトリーダーとしての実績、他部署との調整経験などを具体的な成果と合わせて説明できるよう準備しておきましょう。

CFOや財務担当役員といった上級管理職への転職も、十分な経験とスキルを持つ経理職にとっては現実的な選択肢となります。これらのポジションでは年収1000万円を超えることも珍しくなく、経営戦略の策定にも深く関わることができます。ただし、高度な財務知識と経営感覚、そして豊富な実務経験が求められるため、長期的なキャリア計画が必要です。

■経理職の年収アップに成功した事例

事例1:中小企業から大手メーカーへの転職成功

田中さん(仮名、35歳)は、従業員数50名の製造業で7年間経理業務を担当していました。年収は420万円でしたが、より専門性を高めキャリアアップを図りたいと考え、転職活動を開始しました。中小企業での経験では、経理業務全般を一人で担当しており、月次決算から年次決算まで一通りの業務を経験していたことが強みでした。
転職活動では、自身の経験を活かせる製造業界に絞って活動を行いました。特に、原価計算の経験と管理会計の知識をアピールポイントとして、大手メーカーの経理職に応募しました。面接では、中小企業で培った幅広い業務経験と、一人で複数の業務を効率的に処理する能力を強調しました。
結果として、従業員数3000名の大手自動車部品メーカーから内定を獲得し、年収580万円での転職に成功しました。転職後は連結決算チームに配属され、より専門的な会計処理を学びながら、キャリアアップを続けています。年収は160万円のアップとなり、福利厚生の充実も相まって、大幅な待遇改善を実現しました。

事例2:経理経験を活かしたコンサルティング業界への転職

佐藤さん(仮名、32歳)は、上場企業で8年間経理業務に従事し、特に決算業務と開示業務に専門性を持っていました。年収は520万円でしたが、より高い年収とやりがいのある仕事を求めて転職を決意しました。公認会計士の資格取得も目指していたため、実務経験を積みながら勉強時間を確保できる環境を希望していました。
転職活動では、これまでの上場企業での経理経験を活かせるコンサルティング業界に注目しました。特に、会計系のコンサルティングファームに焦点を絞り、IPO支援やM&Aアドバイザリー業務を手がける中堅ファームに応募しました。面接では、上場企業での決算業務経験と、複雑な会計処理への対応能力をアピールしました。
結果として、会計系コンサルティングファームから年収720万円のオファーを受け、転職に成功しました。200万円の年収アップを実現しただけでなく、多様なクライアントとの業務を通じてスキルアップの機会も大幅に増加しました。現在は、IPO準備企業の経理体制構築支援などの業務に従事し、より専門的な知識とスキルを身につけています。

■経理の求人事例

以下は、ジャスネットにて掲載された経理求人例です。

【IPO準備中】急成長スタートアップの事業拡大を支える経理責任者を募集!

仕事内容

・月次、四半期、年次決算業務
・日次経理業務のクオリティマネジメント
・会計論点の整理、各部署との調整等
・開示書類(決算短信・有価証券報告書等)作成
・監査法人、税理士法人対応 など

応募条件

・経理のご経験(5年以上)
・上場企業での開示書類作成のご経験(決算短信、有価証券報告書)
・連結決算を主導されてきたご経験
・経理責任者やマネージャーのご経験

想定年収

600万円 〜 1100万円

【経理スペシャリスト・海外担当/プライム上場】「住まい」に関わる企業グループ

仕事内容

・海外子会社の経理に関わるオペレーション、決算業務
(月次財務諸表回収・分析・管理、子→親会社への申請書類精査・検討)
・単体決算業務全般(会社法/金商法)
・管理会計に関する業務(予実管理等)
・会計基準、法令等に関する知識の習得・情報収集
・監査法人との情報交換・調整

必須条件

・英語の簡単な読み書き、会話ができること(メールでのやりとりがメインです)

・海外事業における経理経験(現地基準と日本基準の違いを理解して業務を進めた経験)

歓迎条件

・ビジネスでの英語使用経験
・海外企業、支店等との経理に関する経理業務連携経験

想定年収

700万円 〜 1,000万円

BPOサービスを提供する企業での経理管理事業部 リーダー・スタッフ

仕事内容

・月次・四半期・年次決算
・各種税務申告書作成支援業務 等
※スキルや希望に応じて下記の業務も経験可能です。
・連結決算・連結納税
・資産流動化SPCの月次・四半期・年次決算、税務申告作成支援業務
・社会福祉法人向け会計・税務支援業務
・スタッフ指導・マネジメント 等

応募条件

・日商簿記2級
・経理業務経験のある方(BPO推進部 リーダー候補)
・税理士科目または公認会計士試験合格者(経理管理事業部)

想定年収

400万円~800万円

まとめ

転職による年収アップを実現するためには、まず自身の現在のスキルレベルを正確に把握し、市場価値を高めるための具体的な行動計画を立てることが重要です。資格取得、実務経験の積み重ね、マネジメントスキルの習得など、多角的なアプローチでキャリアアップを図ることが成功への鍵となります。

また、業界選びや企業選びも年収アップには欠かせない要素です。成長性の高い業界や、経理職を重要視する企業への転職を検討することで、より高い年収を実現できる可能性が広がります。転職活動においては、これまでの経験と実績を具体的にアピールし、転職先企業にとっての価値を明確に示すようにしましょう。

関連リンク

執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

新着記事一覧

経理のためのコラム集

経理転職に関するカテゴリーごとにまとめたページです。

会計人の人生観・仕事観を紹介「Accountant's Magazine」最新号

「Accountant's Magazine」は、著名な会計プロフェッションにスポットをあて、その人生観・仕事観を紹介。会計・経理分野に従事する人と仕事の将来像を提示する、読者と共に考えるヒューマンドキュメント誌です。今なら新規登録していただくと、「Accountant's Magazine」(WEB版)の全記事を無料で閲覧することができます。

新規登録をしてWEBマガジンを読む(無料)

関連コンテンツ