新規登録 求人検索
新規登録

会計事務所から転職する理由と魅力とは?|成功への道筋を解説

写真1

2025年10月8日 ジャスネットキャリア編集部

会計事務所で働く皆さんの中には、現在の職場環境やキャリアパスに疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。毎日の業務に追われながらも「このままで良いのだろうか」という思いを抱えている方に向けて、会計事務所からの転職について詳しくお話しします。

転職は人生における重要な選択肢の一つです。特に専門性の高い会計業界では、転職によって新たなキャリアの扉が開かれる可能性があります。この記事では、会計事務所からの転職を検討している方が知っておくべき情報を、実践的な観点から解説していきます。

目次

■会計事務所からの転職は本当に難しいのか?

(1)転職市場の現状と会計事務所出身者の需要

現在の転職市場において、会計事務所出身者への需要は決して低くありません。むしろ、 専門的な知識と実務経験を持つ人材として、多くの企業から注目されています。

クラウド会計ソフトの普及やAI技術の導入が進み、最新のシステムであれば動画からも仕訳生成が可能になるなど技術の進歩が著しい昨今、企業の経理業務は大きく変化しています。従来の記帳業務から、より戦略的な財務分析や経営サポートへとニーズが移行しているのです。このような変化の中で、税務や会計の専門知識を持ち、クライアント対応の経験が豊富な会計事務所出身者は、即戦力として期待されています。

特に中小企業では、経理部門の人材不足が深刻な問題となっています。会計事務所で培った幅広い業界知識や、限られた時間の中で正確な処理を行うスキルは、これらの企業にとって非常に価値のある能力です。また、税理士資格や簿記検定などの資格を保有している場合、さらに市場価値は高まります。

一方で、転職市場では単に資格を持っているだけでなく、実際にどのような業務を経験し、どのような成果を上げてきたかが重視される傾向にあります。会計事務所での経験を具体的にアピールできる準備が、転職成功の鍵となります。

(2)転職成功のための心構え

転職を成功させるためには、まず自分自身と向き合うことから始まります。 なぜ転職を考えているのか、どのようなキャリアを築いていきたいのかを明確にすることが重要です。

転職活動は短期間で結果が出るものではありません。特に希望する条件が明確であればあるほど、理想的な職場を見つけるまでに時間がかかる場合があります。焦らずに、じっくりと自分に合った転職先を探す姿勢が大切です。

また、現在の職場での経験を否定的に捉えるのではなく、どのようなスキルや知識を身につけることができたかを前向きに整理することもポイントです。会計事務所での経験は必ず転職先で活かされるはずです。その経験をどのように新しい職場で活用できるかを考えることで、転職への自信にもつながります。

転職活動中は、現在の仕事を疎かにしてしまいがちですが、最後まで責任を持って業務に取り組む姿勢を忘れないようにしてください。転職先が決まるまでの期間も、スキルアップの機会として捉え、積極的に学び続ける姿勢を保ちましょう。

■会計事務所から転職を考える理由とは

(1)キャリアの成長に対する不安

多くの会計事務所職員が転職を考える最も大きな理由の一つが、 将来のキャリアパスに対する不安 です。会計事務所では、基本的な記帳業務から始まり、徐々に複雑な税務業務を担当するようになりますが、その先のキャリアアップの道筋が見えにくいという現実があります。

特に大手会計事務所以外では、管理職のポジションが限られており、昇進の機会が少ないことが多いものです。また、税理士資格を取得しない限り、独立開業という選択肢も現実的ではありません。このような状況の中で、長期的なキャリア形成に不安を感じる方が多いのは当然のことです。

さらに、会計事務所の業務は専門性が高い反面、業務の幅が限定される傾向があります。税務申告や記帳代行が中心となるため、経営企画や財務戦略といったより戦略的な業務に携わる機会が少ないのが実情です。これにより、自身のスキルの幅を広げることに限界を感じる方も少なくありません。

(2)労働環境や待遇への不満

会計事務所の労働環境は、一般企業と比較して特殊な面があります。特に税務申告の繁忙期には長時間労働が常態化しており、プライベートの時間を確保することが困難になります。

3月の確定申告期や5月の法人税申告期には、深夜まで残業することが当たり前となっている事務所も多く、 ワークライフバランスの確保が難しい状況があります。 このような働き方が数年間続くと、体力的にも精神的にも負担が大きくなり、転職を考える大きな要因となります。

給与面での不満も転職理由として挙げられることが多いです。 会計事務所の給与体系は、一般企業と比較して昇給幅が小さく、長年勤務しても大幅な年収アップが期待できない場合があります。 特に資格手当や業績賞与などの制度が整っていない事務所では、モチベーションの維持が困難になることもあります。

(3)業務内容や社風への不満

会計事務所の業務は、正確性と効率性が重視される傾向が強く、創造性や主体性を発揮する機会が限られています。毎日同じような作業の繰り返しに飽きを感じたり、自分の能力をより活かせる場所を求めたりする方も多いです。

また、小規模な会計事務所では、所長の考え方や経営方針が職場の雰囲気に大きく影響します。所長との相性が合わない場合や、事務所の方針に疑問を感じる場合には、働き続けることにストレスを感じるようになります。

■会計事務所から一般企業の経理に転職するメリット

(1)スキルの適合性と即戦力

会計事務所で培った経験は、一般企業の経理部門において非常に高く評価されます。 特に、複数の企業の帳簿を扱ってきた経験は、様々な業界の会計処理に精通していることを示すものとして重宝されます。

一般企業の経理担当者は、自社の業務にのみ特化している場合が多いですが、会計事務所出身者は幅広い業界知識と多様な会計処理の経験を持っています。これにより、新しい取引や複雑な会計処理にも柔軟に対応できる能力があると評価されるのです。

また、税務の知識も一般企業では非常に重宝されます。法人税や消費税の申告書作成経験があることで、企業の税務担当として即戦力となることができます。特に中小企業では、税理士事務所に依頼していた業務を内製化したいと考えているところも多く、そのようなニーズにも対応できます。

月次決算や年次決算の経験も、企業経理では必須のスキルです。会計事務所では複数のクライアントの決算業務を担当するため、決算に関する知識と経験は一般企業の経理担当者よりも豊富であることが多いです。

(2)ワークライフバランスの向上

一般企業への転職により、ワークライフバランスの大幅な改善が期待できます 多くの一般企業では、会計事務所のような極端な繁忙期がなく、年間を通じて比較的安定した業務量で働くことができます。

有給休暇の取得についても、一般企業の方が取りやすい環境が整っていることが多いです。また、企業によっては在宅勤務制度やフレックスタイム制度などの柔軟な働き方が可能な場合もあります。このような制度を活用することで、プライベートの時間を有効活用し、趣味や家族との時間を大切にしながら働くことができます。

福利厚生についても、一般企業の方が充実している場合が多いです。健康保険組合による医療費補助や、住宅手当、家族手当などの各種手当、さらには退職金制度なども整備されていることが多く、長期的な生活設計を立てやすくなります。

(3)キャリアアップの可能性

一般企業では、経理部門から他の部門への異動や、管理職への昇進など、多様なキャリアパスが用意されています。 財務部門や経営企画部門への異動により、より戦略的な業務に携わることも可能です。

特に上場企業では、IRや開示業務、M&Aに関連する業務など、会計事務所では経験できない高度で専門的な業務に携わる機会があります。これらの経験は、将来的なキャリアアップにおいて大きな武器となります。

また、企業の成長とともに自身の役割も拡大していく可能性があります。スタートアップ企業や成長企業では、経理担当者が財務戦略の立案に参画したり、資金調達に関わったりすることもあります。このような経験は、将来的にCFO(最高財務責任者)などの経営幹部を目指す際にも役立ちます。

年収面でも、一般企業の方が昇給の機会が多く、長期的に見ると大幅な年収アップが期待できる場合があります。特に業績が好調な企業では、業績賞与やストックオプションなどの制度により、大きな収入アップの可能性もあります。

■別の会計事務所への転職のメリット

(1)即戦力としての評価

同業界内での転職である場合、現在持っているスキルや経験を最大限に活かすことができます。 新たに業界知識を学ぶ必要がないため、転職後すぐに戦力として活躍することが可能です。

特に特定の業界に特化した会計事務所への転職では、これまでの経験と新しい専門知識を組み合わせることで、より高いレベルの業務を担当できるようになります。例えば、医療業界や不動産業界など、特殊な会計処理が必要な分野での経験を積むことで、専門性を高めることができます。

また、規模の大きな会計事務所への転職では、これまで経験したことのない大企業のクライアントを担当する機会も得られます。連結決算や国際税務など、より高度な業務に携わることで、スキルアップを図ることができます。

(2)自分に合った業務に出会える可能性

会計事務所によって、得意とする業務分野や経営方針は大きく異なります。現在の職場では経験できない業務や、自分の興味のある分野に特化した事務所に転職することで、新たなやりがいを見つけることができます。

例えば、資産税に特化した事務所では相続税や贈与税の専門知識を深めることができますし、国際税務に強い事務所では海外展開企業のサポートという貴重な経験を積むことができます。また、経営コンサルティングにも力を入れている事務所では、単なる税務処理を超えた経営支援の業務に携わることも可能です。

職場の雰囲気や働き方についても、事務所によって大きく異なります。チームワークを重視する事務所や、個人の裁量を尊重する事務所など、自分の性格や働き方に合った環境を選ぶことで、ストレスなく働くことができます。

(3)年収アップの可能性

同業界内での転職では、現在の経験とスキルが正当に評価されやすく、年収アップが実現しやすいという特徴があります。特に人材不足が深刻な会計業界では、経験豊富な人材に対して好条件を提示する事務所も多くなっています。

大手税理士法人への転職では、組織としての給与体系が整備されており、定期昇給や賞与制度も充実していることが多いです。また、資格取得支援制度や研修制度も整っており、長期的なキャリア形成にも有利です。

独立系の会計事務所でも、売上規模が大きく収益性の高い事務所では、高い給与水準を設定しているところがあります。特に所長との距離が近い小規模事務所では、成果に応じた給与アップや、将来的なパートナーシップの可能性もあります。

■転職活動における志望動機と自己PRの重要性

(1)志望動機の構築方法

転職活動において志望動機は最も重要な要素の一つです。 特に会計事務所から転職する場合、なぜ現在の職場を離れるのか、そしてなぜその転職先を選んだのかを論理的に説明する必要があります。

志望動機を構築する際には、まず転職理由をネガティブな表現ではなく、ポジティブな将来への展望として表現することが重要です。例えば「残業が多いから」ではなく「より効率的な業務環境で自分のスキルを活かしたい」といった前向きな表現に置き換えます。

次に、転職先の企業や事務所についての研究を十分に行い、その組織の特色や強み、将来性について具体的に言及することが必要です。可能ならばホームページや求人情報だけでなく、業界誌や企業の財務情報なども調べ、深い理解に基づいた志望動機を作成しましょう。

自分の経験やスキルが転職先でどのように活かせるかを具体的に示すことも重要です。これまでの業務経験の中から、転職先で求められている能力に関連するエピソードを選び、具体的な成果とともに説明します。

(2)自己PRのポイントと具体例

自己PRでは、会計事務所での経験を通じて身につけた能力や実績を、転職先で求められるスキルと関連付けて説明します。 単に業務内容を羅列するのではなく、その業務を通じて何を学び、どのような成果を上げたかを具体的に示すことが大切です。

例えば、「50社以上のクライアントの月次監査を担当し、正確性99.5%を維持しながら、前年比20%の業務効率化を実現しました」といった具体的な数字を交えた表現が効果的です。また、「新人スタッフの指導を通じて、チーム全体の業務品質向上に貢献しました」といった、個人の成果だけでなく組織への貢献も盛り込みます。

コミュニケーション能力についても、クライアントとの折衝経験や、複雑な税務内容をわかりやすく説明した経験などを具体的に説明します。会計事務所では専門用語を多用しがちですが、一般企業への転職の場合は、専門的でない言葉で説明できる能力も重要なアピールポイントになります。

(3)よくある失敗例とその回避法

転職活動でよくある失敗の一つが、現在の職場への不満ばかりを述べてしまうことです。面接官は、同じような不満を転職先でも抱くのではないかと懸念するため、ネガティブな転職理由は避けるべきです。

また、志望動機が曖昧で具体性に欠ける場合も失敗の原因となります。「成長したい」「スキルアップしたい」といった抽象的な表現だけでは、真剣さが伝わりません。具体的にどのような成長を目指し、そのために転職先で何をしたいかを明確に示す必要があります。

自己PRにおいては、業務内容の説明に終始してしまい、自分の強みや特徴が伝わらないケースがあります。「何をしたか」だけでなく「どのように工夫したか」「どのような成果を上げたか」を重点的に説明することが重要です。

面接での受け答えが準備不足で的確でない場合も失敗につながります。想定される質問に対する回答を事前に準備し、同時に転職先への質問も用意しておくことで、積極性と関心の高さをアピールできます。

■転職エージェントの活用法

転職エージェントは、会計事務所からの転職を成功させるための強力なパートナーとなり得ます。特に会計・税務分野に特化したエージェントは、業界の動向や求人市場の状況について詳しい知識を持っており、適切なアドバイスを提供してくれます。

エージェントを活用する最大のメリットは、非公開求人へのアクセスです。優良企業の多くは、一般には公開されない求人をエージェント経由で募集しています。これらの求人は競争率も比較的低く、より良い条件で転職できる可能性があります。

また、履歴書や職務経歴書の添削サービスも重要なメリットです。会計事務所での経験をどのように企業向けにアピールするか、専門的な知識を持つエージェントからアドバイスを受けることで、書類選考の通過率を向上させることができます。

面接対策についても、企業ごとの面接傾向や求められる人物像について事前に情報を提供してもらえます。特に初めて一般企業を受ける場合には、企業面接特有の雰囲気や質問内容について知っておくことが重要です。

エージェントの転職サポートに申し込む(無料)

■会計事務所からの転職成功事例

(1)一般企業への転職者の成功事例

税理士事務所で5年間勤務していたAさんは、製造業の中堅企業の経理部に転職し、現在は経理課長として活躍しています。転職当初は会計事務所との業務の違いに戸惑いましたが、幅広い会計知識と税務経験を活かして、社内の経理業務を大幅に効率化しました。
Aさんの転職成功のポイントは、面接で具体的な改善提案を行ったことでした。企業の財務諸表を事前に分析し、経理業務の課題点と改善案を提示したことで、即戦力として期待される人材であることをアピールできました。転職後は年収も30%アップし、ワークライフバランスも大幅に改善されました。

(2)別の会計事務所への転職者の成功事例

地方の小規模事務所から都市部の中規模事務所に転職したDさんは、より専門性の高い業務に携わることで大きく成長しました。転職前は一般的な法人税務が中心でしたが、転職後は国際税務や組織再編税制など、高度な税務業務を習得することができました。
Dさんの成功要因は、転職前に国際税務に関する勉強を始めていたことです。転職先で求められるスキルを予め身につけていたことで、転職後すぐに重要な案件を任されるようになりました。現在は主任クラスとして若手の指導も行っており、年収も転職前の1.5倍になっています。

■まとめ

会計事務所からの転職は決して困難なものではありません。むしろ、専門的な知識と実務経験を持つ会計事務所出身者は、多くの企業や他の会計事務所から求められている人材です。

転職を成功させるためには、まず自分がなぜ転職を考えているのか、どのようなキャリアを築いていきたいのかを明確にすることが重要です。その上で、現在の経験とスキルをどのように転職先で活かせるかを具体的に整理し、説得力のある志望動機と自己PRを構築する必要があります。

現在の職場で感じている不満や不安は、転職によって解決できる可能性があります。しかし、転職は人生における大きな決断でもあります。十分に検討し、準備を整えた上で、新たなキャリアへの第一歩を踏み出してください。あなたの会計事務所での経験は必ず新しい職場で活かされ、より充実した職業人生につながることでしょう。

関連リンク

執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

新着記事一覧

経理のためのコラム集

経理転職に関するカテゴリーごとにまとめたページです。

会計人の人生観・仕事観を紹介「Accountant's Magazine」最新号

「Accountant's Magazine」は、著名な会計プロフェッションにスポットをあて、その人生観・仕事観を紹介。会計・経理分野に従事する人と仕事の将来像を提示する、読者と共に考えるヒューマンドキュメント誌です。今なら新規登録していただくと、「Accountant's Magazine」(WEB版)の全記事を無料で閲覧することができます。

新規登録をしてWEBマガジンを読む(無料)

関連コンテンツ