50代という人生の節目を迎えた女性にとって、経理職への転職は新たなキャリアの可能性を広げる重要な選択肢です。人生経験豊富な50代女性が経理分野で活躍する場面が増えており、企業も即戦力として高く評価しています。この記事では、50代女性が経理職に転職する際の市場動向から具体的な転職戦略まで、成功に導くための情報を詳しく解説します。
50代女性の経理転職事情と求人情報の探し方

2025年7月4日ジャスネットキャリア編集部
目次
■経理職における50代女性の転職市場の現状
(1)経理職の求人状況と求人数の変化
現在の経理職における転職市場は、50代の転職希望者にとって追い風となっています。日本の労働市場全体で深刻な人手不足が続く中、経理職も例外ではありません。特に2025年問題と呼ばれる団塊世代の大量退職により、豊富な経験を持つ中堅層への需要が急激に高まっています。
経理職の求人倍率は継続的に増加傾向を示しており、50代の転職者数も右肩上がりで推移している傾向が伺えます。これまで「転職は35歳まで」とされていた通説が完全に覆され、企業は即戦力となる経験豊富な人材を積極的に求めるようになりました。
経理職の求人内容も変化しており、記帳作業だけでなく、業務改善提案や部門間調整、マネジメント業務など、50代の豊富な経験を活かせる職域が拡大しています。AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入により単純作業は自動化されつつあるものの、判断力や経験値が求められる高付加価値業務への需要は増加の一途をたどっています。
(2)経理職における女性の活躍とその影響
近年の働き方改革により、企業は多様な人材の活用に積極的になっており、ライフステージに応じた柔軟な働き方を提供する企業が増加しています。50代女性の場合、子育てがひと段落し、時間的な制約が少なくなることで、企業側も安定的な労働力として期待を寄せています。
また、女性活躍推進法の施行により、女性管理職の登用を積極的に進める企業が増えており、経理部門でも女性リーダーへの需要が高まっています。50代女性の豊富な人生経験と円滑なコミュニケーション能力は、チームマネジメントにおいて大きな強みとなります。
■50代女性が経理職に転職するメリット
(1)豊富な経験を活かせる
50代女性が経理職に転職する最大のメリットは、これまでの人生で培ってきた豊富な経験を仕事に直接活かせる点です。他業種での勤務や家計管理など、様々な場面で培った数字への感覚や計画性、責任感は、経理業務において貴重な財産となります。
社会人としての長いキャリアの中で身につけた問題解決能力や対人スキルは、経理部門が他部署との調整業務を行う際に威力を発揮します。営業部門からの売上報告の確認、購買部門との支払い調整、人事部門との給与計算連携など、経理職には高いコミュニケーション能力が求められるからです。
また、50代女性の多くが持つ「長期的な視点」は、経理業務の中でも特に重要な資質です。月次決算、四半期決算、年次決算といった継続的な業務サイクルや、予算計画から実績管理まで、長期間にわたる一貫した管理能力は、若手にはない大きなアドバンテージといえるでしょう。
(2)柔軟な働き方が可能
50代女性にとって、経理職の大きな魅力の一つは働き方の多様性です。正社員としてフルタイムで働くことはもちろん、パート、契約社員、派遣社員など、ライフスタイルに応じた様々な雇用形態を選択できます。
特に経理業務は、月末月初の繁忙期と平常時のメリハリが明確で、時間管理がしやすい職種です。そのため、介護や家庭の事情に応じて、時短勤務や週3〜4日勤務といった柔軟な働き方を受け入れる企業が多くあります。
在宅勤務制度を導入する企業も増えており、経理業務の多くがパソコンを使った作業であることから、リモートワークとの親和性も高い職種です。通勤時間の削減により、プライベートの時間を有効活用しながら、専門性の高い仕事に従事できる環境が整いつつあります。
■50代女性の経理転職に必要なスキル
(1)基本的な経理知識と資格
50代女性が経理職への転職を成功させるためには、まず基本的な経理知識の習得が不可欠で、日商簿記検定2級以上の取得を強く推奨します。簿記2級は商業簿記と工業簿記の両方を学習するため、幅広い業種の経理業務に対応できる基礎力が身につきます。
既に経理経験がある方でも、現在のスキルレベルを客観的に証明するため、資格取得は重要です。経理の実務では、仕訳の理解、勘定科目の適切な選択、試算表の作成、決算書の読み取りなどの基本スキルが日常的に必要とされます。
税務関連の知識も重要で、源泉徴収、年末調整、消費税計算などは多くの企業で経理担当者が行う業務です。給与計算業務を兼務する場合も多いため、社会保険や労働保険に関する基礎知識も習得しておくと転職活動で大きなアドバンテージとなります。
(2)ITスキルの重要性
現代の経理職において、ITスキルは必須要件となっています。50代女性の転職成功には、基本的なパソコン操作スキルに加えて、Excel、Word、PowerPointといったオフィスソフトの習熟が求められます。
特にExcelスキルは経理業務の中核を担っており、関数の活用、ピボットテーブルの作成、グラフ作成などの応用機能を使いこなせることが重要です。VLOOKUP関数、SUMIF関数、IF関数などは日常的に使用されるため、しっかりと習得しておきましょう。
会計ソフトの操作経験も強いアピールポイントになります。弥生会計、勘定奉行、freee、マネーフォワードなど、主要な会計ソフトの操作経験があれば、即戦力として評価されます。未経験の場合でも、無料体験版を活用して基本操作を習得しておくことをお勧めします。
■転職活動の進め方と注意点
(1)履歴書の効果的な書き方
50代女性の履歴書作成においては、これまでの豊富な経験を経理業務にどう活かせるかを明確に示すことが重要です。職歴欄では、直接的な経理経験がない場合でも、数字を扱った業務、予算管理経験、チーム管理経験などを具体的に記載し、経理職への適性をアピールしましょう。
志望動機では、なぜ50代というタイミングで経理職を選択するのかを論理的に説明する必要があります。「安定した職種だから」という消極的な理由ではなく、「これまでの経験を活かして企業の財務基盤強化に貢献したい」といった前向きな動機を示すことが大切です。
資格・免許欄には、簿記検定だけでなく、関連する資格も積極的に記載します。ファイナンシャルプランナー、マイクロソフトオフィススペシャリスト、税務会計能力検定など、経理業務に関連する資格は全て記載対象となります。
(2)面接でのアピールポイント
面接では、50代女性ならではの強みを具体的なエピソードとともに伝えることが重要です。責任感の強さ、継続力、チームワーク、問題解決能力など、これまでの人生経験から培った能力を経理業務にどう活かせるかを具体的に説明しましょう。
年齢を気にする面接官は、「考え方が硬直的ではないか。今の会社のやり方に合わせられるのか」「年下の上司に対してきちんと耳を傾けられるような姿勢を持っているのか」「PCスキルなどITリテラシーが一定程度あるか」などを不安視しています。質問にしっかりと答えて不安を払拭し、学習意欲と適応力の高さを積極的にアピールするようにしましょう。
長期勤務への意欲も重要なアピールポイントです。50代での転職は「最後の転職」となる可能性が高いため、安定的に長く働きたいという意思を明確に伝えることで、企業側の採用リスクを軽減できます。
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(3)経理求人の探し方
50代女性の経理転職においては、複数の求人探索ルートを並行して活用することが効果的です。まず、大手転職サイトでは幅広い求人情報を収集できるため、市場動向の把握と条件比較に活用しましょう。ハローワークは地元企業の求人が豊富で、50代歓迎の求人も多く掲載されています。
派遣会社への登録も有効な手段です。派遣から正社員への登用実績がある企業も多く、まずは派遣として経験を積んでから正社員を目指すという段階的なアプローチも可能です。
■転職エージェントの活用法
(1)非公開求人へのアクセスや面接サポートも
50代女性の経理転職では、転職エージェントの活用が特に重要です。管理部門特化型のエージェントであれば、経理職の専門知識を持つキャリアアドバイザーが在籍しており、より具体的で実践的なアドバイスを受けられます。
転職エージェントでは、非公開求人へのアクセスが可能で、50代歓迎の優良企業の求人情報を優先的に紹介してもらえます。また、企業の内部情報や職場環境についても詳しい情報を得られるため、転職後のミスマッチを防ぐことができます。
面接対策や履歴書添削などのサポートサービスも充実しており、50代ならではの転職課題に対する具体的なアドバイスを受けられます。年収交渉や入社条件の調整もしてもらえるため、より有利な条件での転職が期待できます。
(2)経理に特化したエージェントならジャスネット
経理に特化した転職エージェント「ジャスネットコミュニケーションズ」には、業界出身のキャリアアドバイザーが多数在籍しており、専門職ならではのキャリアパスや求人のマッチングに強みがあります。また、非公開求人も多く、希望条件に合った精度の高い転職サポートが受けられます。
50代女性で経理職に転職したい方でも広い求人を紹介することが可能です。
■成功事例:50代女性の経理転職
実際に50代で経理転職を成功させた女性の事例をご紹介します。
Fさん(52歳)は、20年間専業主婦として過ごした後、家計管理の経験を活かして経理職への転職を決意しました。
まず日商簿記2級の取得から始め、6か月間の集中学習により合格を果たしました。その後、パートタイムの経理補助として中小企業に入社し、2年間で実務経験を積み重ねました。持ち前の責任感と丁寧な仕事ぶりが評価され、正社員への登用が決定。現在は経理課長として部下3名のマネジメントも担当しています。
Fさんの成功要因は、段階的なキャリア形成と継続的な学習姿勢でした。いきなり正社員を目指すのではなく、まずはパートで実務経験を積み、徐々にステップアップしていく戦略が功を奏しました。また、転職活動中も簿記1級の学習を継続し、向上心の高さを企業にアピールできたことも大きな要因です。
■まとめ
50代女性の経理転職は、適切な準備と戦略があれば十分に実現可能です。現在の転職市場は人手不足により、経験豊富な50代女性への需要が高まっており、これまでの人生経験を活かせる絶好のチャンスが到来しています。
成功のカギは、基本的な経理知識とITスキルの習得、そして50代ならではの強みを活かした転職戦略の実行です。正社員、パート、派遣など多様な働き方の選択肢があるため、自分のライフスタイルに合った形で経理職にチャレンジできます。
転職活動では、転職エージェントの活用や複数の求人探索ルートの並行利用により、より多くの機会を獲得することが重要です。50代という人生の新たなステージで、経理職として充実したキャリアを築いていきましょう。
- 執筆者プロフィール
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ジャスネットキャリア編集部
WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。