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経理の年収を上げるには?実務×再現性で“基本給”を伸ばす8つの方法

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2025年9月4日 ジャスネットキャリア編集部

経理の年収は「資格の有無」だけでは決まりません。担当領域の難度、再現性のある成果、等級テーブル、そして企業の報酬設計——複数要素の掛け合わせです。本稿では“どの実務をどう積めば基本給が伸びるのか”を、転職の現場データとともに解説します(数値は相場であり、企業/個人要件により変動します)。

目次

■なぜ経理職の年収に差が生まれるのか

経理職の年収には、同じ職種でありながら大きな差が生まれることがあります。この差はどこから生まれるのでしょうか。

(1)企業規模

まず企業規模による違いが挙げられます。 大手企業と中小企業では、同じ経理業務を行っていても年収に数十万円以上の差が生じる場合もあります。 大手企業では福利厚生も充実しており、実質的な年収差はさらに大きくなります。

(2)担当業務

次に、担当業務の範囲と深度が年収に大きく影響します。単純な仕訳入力や請求書処理のみを行う経理担当者と、予算策定や財務分析、税務申告まで幅広く担当する経理担当者では、市場価値が全く異なります。後者の場合、経営陣に近いポジションで戦略的な業務を担うため、年収も高くなる傾向があります。

(3)保有資格やスキルレベル

また、保有資格やスキルレベルも重要な要素です。簿記検定の級数はもちろん、税理士資格や公認会計士資格の有無、さらにはITスキルや語学力といった付加価値のあるスキルが年収に直結します。

(4)業界による年収格差

業界による年収格差も見逃せません。 金融業界や商社、製造業の大手企業などでは経理職の年収が高い 一方、小売業や飲食業では相対的に低くなりがちです。同じスキルレベルでも、選択する業界によって年収が大きく変わることを理解しておく必要があります。

■どのように自分の市場価値を正確に把握するか

年収アップを目指すためには、まず自分の現在の市場価値を正確に把握することが重要です。しかし、多くの経理職の方が自分の市場価値を過小評価していることが問題となっています。

(1)転職サイトの定期的なチェック

市場価値を把握する最も効果的な方法は、転職サイトや求人情報を定期的にチェックすること です。自分と同じ経験年数、同じスキルレベルの求人がどの程度の年収で募集されているかを調査することで、客観的な市場価値を知ることができます。ただし、求人票に記載された年収は幅があることが多いため、実際の提示額は面接を通じて確認する必要があります。

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(2)転職エージェントとの面談

転職エージェントとの面談も有効な手段です。経理職専門のエージェントであれば、豊富な転職実績データを基に、より具体的で正確な市場価値を教えてくれます。また、自分では気づかない強みやアピールポイントを発見してもらえる可能性もあります。

(3)知人などとの情報交換

同業他社で働く知人や同期との情報交換も参考になります。ただし、年収は非常にデリケートな話題であるため、直接的に聞くよりも、業界全体の傾向や転職事情について情報交換する形で進めることが望ましいでしょう。

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■社内での評価を高めて年収をあげるには

現在の職場での年収アップを目指す場合、社内での評価向上が不可欠です。経理職として社内での存在感を高め、昇進・昇格につなげる具体的な方法を見ていきましょう。

ステップ①

まず、 日常業務の品質向上に徹底的に取り組む ことが基本となります。期限を守ることはもちろん、ミスのない正確な処理を継続することで信頼を積み重ねていきます。

さらに、 業務の効率化提案や改善案の提出を積極的に行う ことで、単なる手を動かす処理担当者から戦略的思考を持つ人材として認識してもらえます。

ステップ②

経営陣とのコミュニケーション機会を増やすことも重要です。月次決算報告や予算会議などの場面で、数字の背景や傾向について的確な分析とコメントを提供することで、経営判断に貢献する存在として評価されます。 経理データを単に報告するのではなく、ビジネスの視点で解釈し、改善提案とセットで報告する ことがポイントです。

ステップ③

他部署との連携強化も評価向上につながります。営業部門の売上予算達成支援や、購買部門のコスト削減プロジェクトへの参画など、経理の専門性を活かして他部署の業績向上に貢献することで、社内での影響力を拡大できます。ただし、業務の越境は内部統制上の問題となる場合もあるので、勝手に行わずに上長への承認を得てからするのがポイントになります。

ステップ④

資格取得への継続的な取り組みも重要です。会社によっては資格取得に対する報奨金制度があるほか、昇進の条件として特定の資格が求められる場合もあります。簿記検定の上位級はもちろん、税理士資格や中小企業診断士資格など、より高度な資格にチャレンジすることで、専門性の高さをアピールできます。

■年収に直結するスキルアップとは

経理職において、スキルアップが年収に与える影響は非常に大きく、戦略的にスキルを身につけることで確実に市場価値を向上させることができます。

(1)高度な会計関連スキルと実務経験

まず、基礎的な簿記スキルから発展的な会計知識まで、会計関連スキルの深度が年収に大きく影響します。日商簿記3級レベルの基礎知識しか持たない人材と、日商簿記1級や税理士試験の科目合格レベルの知識を持つ人材では、担当できる業務範囲が全く異なります。

企業経理の年収を決める要素は、決算・連結・開示・税務・原価・管理会計・内部統制/JSOX・IFRS/USGAAP対応・IPO準備等の実務×再現性のある成果 となります。資格は“補助線”で、年収を直接押し上げるのは、先に書いた実務幅と難度の高い業務をこなしてきたか・責任範囲・マネジメント有無です。

高度な会計知識を持つ人材は、連結決算や開示業務、税務申告といった専門性の高い業務を担当でき、これらの業務を担当できる人材の市場価値は非常に高くなります。

(2) ITスキル

ITスキルの重要性も年々増しています。従来の経理業務は手作業や単純なExcel操作が中心でしたが、現在では各種ERPシステムの操作スキル、データ分析ツールの活用スキル、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の運用スキルなど、IT関連スキルを持つ経理職の需要が急速に高まっています。

(3) 英語などの語学力

語学力、特に英語力も年収アップに大きく貢献します。グローバル企業では英語での財務報告や海外子会社との連携が求められるため、英語力を持つ経理職は重宝されまます。

会計×英語の実務能力(英文メールの読み書き、英語での会議のファシリ)あれば、外資系企業や海外展開している日系企業での転職機会が大幅に広がり、年収アップの可能性が高まります。

(4)コミュニケーション能力や プレゼンテーション能力

コミュニケーション能力や プレゼンテーション能力も、上位職への昇進に欠かせないスキルです。経理職は数字を扱う仕事というイメージがありますが、実際には社内外の多くの関係者とのコミュニケーションが必要な職種です。特に管理職レベルになると、経営陣への報告や他部署との調整が主要な業務となるため、これらのスキルが年収に直接影響します。

■転職で年収アップを実現するには

転職による年収アップは、経理職にとって効果的な手段の一つです。しかし、闇雲に転職活動を行っても成功は望めません。戦略的なアプローチに必要な視点をお伝えします。

(1) 転職のタイミングを見極める

転職タイミングの見極めが重要です。一般的に、経理職の転職に最も適しているのは決算業務が落ち着く4月から6月、そして9月から11月の期間と言われています。これは、3月/12月期の企業には当てはまるものの、 通年採用・即戦力採用が主流 です。監査・開示・決算早期化の事情で“むしろ繁忙期前に前倒し採用”も多いです。

自分のスキルレベルや市場価値が十分に高まったタイミングでの転職が最も重要であり、何月といった時期よりもタイミングを重視すべきです。

「企業側の採用背景×決算期など×入社希望時期」の三点でその人にとっての転職タイミングの最適解が変わります。 よい求人を見つけた時に動ける準備(履歴書、職務経歴書の準備・実績の定量化)を先に整えるのが勝ち筋です。

(2)転職先企業は、将来性も考慮する

転職先企業の選択では、 年収だけでなく将来性も考慮する ことが大切です。成長業界や上場予定企業、海外展開を積極的に行っている企業などは、将来的な年収アップの可能性が高くなります。また、経理職の位置づけや重要度が高い企業を選ぶことで、より責任のある業務を担当でき、それに見合った年収を得られる可能性があります。

(3)面接で年収交渉をする

面接での年収交渉も重要なポイントです。 現在の年収を基準に10~20%アップを目標とし、自分のスキルや経験がどのように企業の業績向上に貢献できるかを具体的に説明すること が必要です。また、基本給だけでなく賞与や各種手当、福利厚生なども含めた総合的な待遇で判断することが大切です。

(4) 転職エージェントを活用する

転職エージェントの活用も効果的です。特に 経理職専門のエージェントであれば、非公開求人の紹介や年収交渉のサポートなど、個人では難しい部分をプロフェッショナルな視点でサポートしてもらえます。

■まとめ:どうすれば継続的な年収成長を実現できるか

一度年収アップを実現しても、それで満足してしまっては長期的なキャリア成長は望めません。継続的に年収を成長させるためには、戦略的なキャリア設計が必要です。

まず、5年後、10年後の目標年収を設定し、そこから逆算してキャリアプランを策定することが重要です。経理職であれば、一般的なキャリアパスとして、経理担当者→主任→係長→課長→部長といった昇進ルートがあります。各段階で必要なスキルや経験を明確にし、計画的に習得していくことで、確実な年収アップを実現できます。

専門性の継続的な向上も欠かせません。会計基準の変更や税制改正など、経理を取り巻く環境は常に変化しています。これらの変化にいち早く対応し、新しい知識を習得することで、常に市場価値の高い人材であり続けることができます。また、新たな資格取得にも継続的に挑戦し、専門性の幅を広げることが重要です。

副業やフリーランス活動も選択肢の一つです。税理士資格を取得すれば、平日夜や週末に税務相談や確定申告業務を受託することで、追加収入を得ることができます。また、これらの活動を通じて実務経験を積むことで、本業での年収アップにもつながる可能性があります。ただし、副業は就業規則・守秘義務・利益相反の確認が前提。税理士業務は登録要件等も伴います。まずは社内申請とリスク確認を。

経理職として継続的に年収を成長させるためには、現状に満足することなく、常に向上心を持ち続けることが最も重要です。スキルアップ、キャリアアップ、そして市場価値の向上に継続的に取り組むことで、確実に年収成長を実現できるでしょう。

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執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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