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40代経理の転職は難しい?年収・成功事例・後悔しない転職術を徹底解説

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ジャスネットキャリア編集部

経理職として長年のキャリアを積み重ねてきた40代の方々にとって、転職市場での自身の立ち位置を正確に把握することは、今後のキャリア戦略を描く上で極めて重要な要素となります。デジタル化の波が企業経営に大きな変革をもたらす中、経理職に求められる役割も従来の仕訳入力からの決算処理から、より戦略的な財務諸表の分析や経営判断のサポートへとシフトしています。

この変化の中、40代という豊富な実務経験を持つ経理職の方々は、転職市場においては年齢的に不利ということでではなく、むしろ独自の価値を発揮できる重要なポジションに立っていると言えるでしょう。

現在の転職市場では、即戦力として活躍できる経験豊富な人材への需要が高まっており、特に管理職候補や専門性の高い業務を担える人材への期待は年々増えています。

目次

■40代の経理転職市場の現状

(1)経理職の需要と供給

現在の経理職転職市場は、従来の予想を大きく覆す活況を呈しています。多くの企業がコロナ禍を経て事業の再構築を進める中、財務体質の強化や経営の効率化が急務となり、これまで以上に優秀な経理人材への需要が高まっているのが実情です。

特に中小企業から大手企業まで幅広い規模の会社において、経理部門の人材不足が深刻化しており、即戦力として活躍できる40代の経験豊富な経理職への期待は非常に大きなものとなっています。これは単純に人手不足というだけでなく、複雑化する会計基準や税制改正への対応、さらにはデジタル化による業務プロセスの変革といった課題に対処できる、高度な専門知識と豊富な実務経験を兼ね備えた人材が求められているためです。

一方で、供給面を見ると、40代の経理職の多くは現職に留まり続ける傾向が強く、転職市場に流入する人材の数は需要に対して不足している状況が続いています。この需給バランスの変化により、40代の経理職にとっては転職活動において有利な環境が整っていると考えられます。企業側も優秀な人材を確保するために、従来よりも柔軟な採用条件を提示するケースが増えており、年齢よりもスキルや経験を重視する傾向が強まっています。

(2)40代の転職者に求められるスキル

40代の経理転職者に最も強く求められているのは、単なる実務経験ではなく、その経験を活かしてチームを牽引し、組織全体の経理機能を向上させることができるリーダーシップ能力です。多くの企業では、経理部門の管理職候補や、若手スタッフの指導役として40代の経験者を迎え入れたいと考えており、技術的なスキルと同時に人材育成能力やマネジメント経験が重視されています。

また、近年のデジタル化の流れを受けて、従来の手作業による経理業務から、会計システムやERP(企業資源管理)システムを活用した効率的な業務プロセスの構築・運用スキルが強く求められています。これは単にシステムを操作できるというレベルではなく、システム導入プロジェクトの推進や、業務フローの改善提案ができる能力を意味しています。40代の転職者には、これまでの経験を基に、組織全体の業務効率化を実現できる力が期待されているのです。

さらに、国際会計基準(IFRS)の適用や連結決算、税務対応などの業務経験は、40代転職者の大きな武器となります。特に上場企業や海外展開を行っている企業では、これらの専門領域での実務経験を持つ人材への需要が非常に高く、年齢を問わず積極的な採用が行われています。

■40代の経理職の年収とその変動

(1)経理職の平均年収と年齢による変動

経理・会計分野に特化した転職エージェント「ジャスネットコミュニケーションズ」の最新データによると、経理職(正社員)の平均年収は529万円です。

また、登録者5万人のデータをもとにした情報によると、40代の想定水準年収は647万円となっています。ただしこれまでのキャリアパスや専門性の深度、働く業種によっても大きく変動するため、一般的には400万円から800万円の幅で推移しているのが現状です。

年齢 想定年収
20代前半 445万円
20代後半 456万円
30代前半 466万円
30代後半 584万円
40代 647万円
50代以上 796万円

※ ジャスネットコミュニケーションズ「年収診断」を利用。
勤務地東京・日商簿記資格あり・スタッフ(一般社員)職・在宅ワーク希望・強みは「年次決算経験」にて試算

年齢による年収の変動パターンを詳しく見ると、40代前半では実務経験の豊富さが評価され、従来の年功序列的な年収体系から脱却して、より成果や能力に基づいた年収設定がなされる傾向が強まっています。

40代後半になると、マネジメント経験や組織運営能力がより重視され、経理部門全体を統括できる管理職ポジションでの採用が中心となります。この層では、単純な実務能力だけでなく、経営陣との連携や他部門との調整能力、さらには経営戦略の策定に関与できる高度な分析力が求められ、それに応じて年収水準も上昇する傾向にあります。

(2)年収に影響を与える要因

40代経理職の年収を決定する最も重要なポイントは、これまでに携わった業務の専門性となってきます。単純な仕訳入力や月次決算業務しか経験していない場合と、連結決算や開示業務、税務申告まで幅広くカバーしている場合では、転職市場での評価に大きな差が生まれます。特に上場企業での経験や、M&Aに関連した財務デューデリジェンスの経験などは、評価される一つとなります。

また、保有資格も企業によっては年収に影響を与える要素の一つです。公認会計士や税理士といった最高位の資格はもちろんのこと、簿記1級や米国公認会計士(USCPA)、さらには中小企業診断士などの経営に関連した資格も、採用の場面において有利に働くケースが見られます。これらの資格は単なる知識の証明だけでなく、継続的な学習意欲や専門性向上への姿勢を示すものとして、企業から高く評価されています。

業界経験も年収に大きく影響する要因です。特に金融業界や一部の製造業、建設業界、IT業界など、特有の会計処理や業界慣行が存在する分野での経験は、同業界への転職時に高く評価されます。また、海外子会社の管理や国際取引の会計処理経験なども、グローバル展開を行っている企業では非常に重宝される経験として、年収アップの一つとなることが多いといえます。

■40代経理の転職理由

(1)キャリアアップを目指す

40代の経理職が転職を決意する最も多い理由の一つが、現職では実現困難なキャリアアップへの強い願望です。長年同じ組織で働き続ける中で、昇進の機会が限られていたり、より高度な業務に挑戦する機会が得られなかったりすることに対する不満が蓄積し、転職という選択肢を検討するケースが多くあります。

特に、経理職としてのスキルアップを図りたいにも関わらず、現職では単調な定型業務の繰り返しに終始してしまっている場合、40代という人生の中盤期において、より挑戦的で成長性のある環境を求める気持ちが強くなるのは自然な流れと言えるでしょう。新しい会計システムの導入プロジェクトへの参画や、M&Aにおける財務デューデリジェンス業務、さらには海外子会社の管理といった高度な業務経験を積むことで、自身の市場価値をさらに高めたいという意欲的な40代が転職市場に参入しています

また、管理職としての経験を積みたいという動機も強く、現職では部下を持つ機会がない、または限定的である場合に、より大きな組織の経理部門でマネジメント経験を積むことを目的とした転職を検討する人が多く見られます。40代という年齢は、管理職として活躍するには理想的な時期であり、この機会を逃さずにキャリアアップを図りたいという意識が転職への強い動機となっています。

(2)働き方の改善を求める

働き方改革の浸透により、40代の経理職の中でも、より良いワークライフバランスを求めて転職を検討する人が増加しています。特に月次決算や年次決算時期の長時間労働や、休日出勤が常態化している職場環境に対する不満が転職の大きな動機となるケースが多く見られます。

家族との時間を大切にしたい、趣味や自己啓発に時間を割きたいという価値観の変化により、単に年収の高さだけでなく、働きやすさや職場環境の良さを重視する40代が増えています。リモートワークの導入状況や、有給休暇の取得率、残業時間の実態など、従来の転職活動では重視されなかった要素が、現在では転職先選定の重要な判断材料となっています。

また、現職での人間関係や組織風土に対する不満も、転職を決意させる重要な要因の一つです。40代になると、自分の価値観や仕事に対する考え方が確立されており、それと合わない組織環境で働き続けることのストレスを強く感じるようになることも。より自分らしく働ける環境を求めて転職を検討する40代の経理職は決して少なくありません。

(3)年収のアップを狙う

経済的な安定を目的とした転職も、40代経理職の重要な転職理由となっています。子どもの教育費や住宅ローン、さらには老後資金の準備といった現実的な経済的課題に直面する40代にとって、年収アップは切実な問題です。

現職での昇給が期待できない、または昇給幅が小さすぎる場合、転職によって年収を大幅にアップを目指す40代が増えています。特に、これまでの経験やスキルが適正に評価されていないと感じている場合、転職市場での自身の価値を確認し、より高い報酬を得られる企業へ移ることを検討するケースが多く見られます。

また、現在の年収水準では将来的な経済的不安を解消できないという危機感から、より収益性の高い業界や、成長性のある企業への転職を通じて年収向上を図ろうとする40代も少なくありません。この場合、単純な年収アップだけでなく、中長期的なキャリア成長と収入増加の両方を実現できる転職先を慎重に選定する傾向があります。

■40代経理の転職でのよくある悩み

(1)年齢による不安

40代の経理職が転職活動を開始する際に最も深刻に感じる悩みの一つが、年齢による採用への影響に対する不安です。多くの求人情報で「35歳まで」といった年齢制限が設けられているのを目にすることで、自身の転職可能性に対して過度に悲観的になってしまうケースもあるでしょう。

しかし、実際の転職市場では、年齢制限よりもスキルや経験を重視する企業が増えており、40代の豊富な実務経験や安定性は多くの企業にとって魅力的な要素となっています。特に即戦力として活躍できる人材を求めている企業では、年齢よりも業務遂行能力や組織への貢献度を重視する傾向が強まっています。

年齢に対する不安を克服するためには、自身の経験やスキルの棚卸しを行い、年齢を武器として活用できる点を明確にすることが重要です。若手にはない落ち着きや判断力、豊富な業務経験から生まれる効率性や問題解決能力など、40代ならではの強みを前面に押し出すことで、年齢を採用のハードルではなく、むしろ採用理由の一つとして位置づけることが可能になります。

(2)スキル不足の懸念

急速に進むデジタル化の流れの中で、40代の経理職の多くが自身のITスキルや新しい会計システムへの対応能力に対して不安を抱いています。特に、クラウド会計システムやAIを活用した業務自動化ツールなど、従来の経理業務とは大きく異なる新しい技術への適応に対する懸念が転職活動の障壁となるケースが多く見られます。

しかし、これらの技術的な不安は、実際には過度に心配する必要がない場合が多いのが実情です。企業側も新しいシステムの導入時には十分な研修期間を設けており、むしろ豊富な業務経験を持つ40代の方が、システムの特性を理解した上で効果的な活用方法を見出すことができる場合も多いからです。

重要なのは、新しい技術に対する学習意欲と適応力を示すことです。転職活動においては、これまでの経験に安住することなく、常に新しい知識やスキルの習得に意欲的に取り組む姿勢をアピールすることで、スキル不足の懸念を払拭することができます。実際に、簿記の上位級取得やパソコンスキルの向上など、具体的な学習成果を示すことで、企業からの評価を高めることが可能です。

■40代経理の転職成功のためのポイント

(1)自己分析とキャリアプランの明確化

40代での転職成功の鍵となるのは、これまでのキャリアを客観的に分析し、自身の強みと市場価値を正確に把握することです。単に転職したいという漠然とした思いではなく、なぜ自分に転職が必要なのか、転職によって何を実現したいのかを明確にすることが重要です。

自己分析においては、これまで担当してきた業務内容を詳細に洗い出し、その中で特に成果を上げた事例や、他の人にはない独自の経験や知識を特定することが必要です。

例えば、特定の業界での長期間の経験、複雑な連結決算の経験、システム導入プロジェクトでの中心的役割、部下の指導・育成経験など、40代ならではの豊富な経験の中から差別化要因を見つけ出すことが転職成功の基盤となります。

また、今後5年から10年のキャリアビジョンを明確に描くことも重要です。管理職としてのさらなる成長を目指すのか、専門性を深めてスペシャリストとしての道を歩むのか、はたまた起業などの別の道を歩むのかなど、この機会にしっかりと考えてみましょう。

将来の方向性を明確にすることで、転職先を選ぶ際の基準が明確になり、面接での説得力も高まります。

(2)ネットワークの活用

40代の転職活動において、人的ネットワークの活用は極めて重要な成功要因となります。長年のキャリアの中で築いてきた人脈は、若手にはない大きなアドバンテージであり、これを効果的に活用することで、一般には公開されていない優良な求人情報にアクセスすることが可能になります。

自分から動かないと難しいですが他社の経理職との情報交換や、税理士や公認会計士とのネットワークづくり、もしくは社内の他部署の人たちなど、様々な角度からの情報収集が転職成功の可能性を大幅に高めます。特に、実際の職場環境や企業文化、経営陣の考え方など、求人票では知ることができない生の情報を得ることができる点で、ネットワークの価値は計り知れません。

また、推薦や紹介による転職は、企業側にとっても安心感があり、書類選考の通過率や面接での評価においても有利に働くケースが多いのが実情です。普段から接する人間関係を大切にし、互いに情報交換や相談ができる関係性を構築しておくことが、いざ転職を検討する際に思わぬ武器となることもあります。

(3)転職エージェントの利用

40代の転職活動では、転職エージェントの専門的なサポートを受けることで、成功確率を大幅に向上させることができます。特に経理職専門のエージェントや、40代以上のミドル層に特化したエージェントを利用することで、年齢やキャリアに応じた適切なアドバイスを受けることが可能になります。

転職エージェントの最大のメリットは、企業との条件交渉を代行してもらえることです。年収の交渉や入社時期の調整、勤務条件の確認など、直接的には聞きにくい事項についても、エージェントを通じて円滑に進めることができます。また、面接対策や履歴書・職務経歴書の添削サービスなど、転職活動全般にわたるサポートを受けることで、より効率的で効果的な転職活動が可能になります。

会計・経理に特化した転職エージェント「ジャスネットコミュニケーションズ」では経理職の業務内容や市場動向にも詳しく、40代の経理の方々の転職事情にも精通しています。不安が多い転職活動においても、最後まで継続的で親身なサポートを提供します。

■40代経理の転職の成功事例

ここでは、ジャスネットの事例から、40代以降に経理の転職に成功した方々の事例を紹介します。ぜひともキャリアアップの参考にしてみてください。

【ケース1】体力的に無理なく定年まで長く働ける会社を求めて転職したMさん

転職前 転職後
勤務先 ホテル会社 ホテル職種
職種 経理 経理
年収 420万円 450万円

40代半ばのMさん。10年以上にわたって経理職としてホテル事業会社で働いてきましたが、年間の休日数が少なく、また残業時間も毎月40時間程度ありました。「今後のことを考えると、今の会社で働き続けるのは難しい」と考え、年間休日数が通常並みにあり、また定年まで長く働くことができる会社を求めてジャスネットに登録しました。

簿記の資格を持っていないことや、会社側から年齢の割にスキルが弱いと見なされたことから当初は転職活動で苦戦を強いられました。ところがエージェントがあいさつに出向いたホテル事業会社が「経理部門でも即戦力で働ける人がほしい」と漏らしたときに、エージェントがすかさずMさんを紹介。面接でも意気投合し、無事に内定を得ることができました。

さらにMさんの成功事例を読む

【ケース2】本気でIPOを目指している会社に転職したいOさん

転職前 転職後
勤務先 不動産会社 ウェブメディア事業会社
職種 経理 経理
年収 800万円 840万円

いずれは経営管理の仕事にも携わりたいと考えていたOさんは、「本気でIPOを目指している会社」を求めてジャスネットに登録しました。ジャスネットのエージェントが紹介したのは2年前に創業したばかりのウェブメディア事業会社でした。真剣にIPOを目指しているためOさんに紹介されたのですが、実際にはIPOの実現までには一山も二山もありそうな様子。

ですがOさんは「この会社であれば、組織づくりにゼロから携わることができ、経営管理の仕事にも関われそうだ」と判断し、会社側からもOさんのIPO準備に関する知識量と経験の豊富さをひしひしと感じ取ったようで、「ぜひ採用したい」という発言に至りました。

さらにMさんの成功事例を読む

■まとめ

40代の経理職にとって、現在の転職市場は決して不利な環境ではありません。むしろ、豊富な実務経験と安定した職務遂行能力を持つ40代の経理職への需要は高まっており、適切な戦略と準備を行うことで、キャリアアップと年収向上の両方を実現することが可能な状況にあります。

転職成功の鍵となるのは、自身の経験とスキルを客観的に分析し、市場価値を正確に把握することです。年齢を不利な要因として捉えるのではなく、豊富な経験や安定性、判断力といった40代ならではの強みとして位置づけ、それを効果的にアピールすることが重要です。

また、転職活動においては、人的ネットワークの活用や転職エージェントとの連携など、様々なチャネルを駆使して情報収集と機会創出を図ることが成功確率を高める要因となります。単独での転職活動には限界があるため、専門的なサポートを積極的に活用することをお勧めします。

執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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