「これからどうやって身を立てていくべきか?」
「今の会社でこのままでいいのだろうか?」
「自分の市場価値を高めるには、次にどんなスキルを身につけるべきか?」
これから社会人になる方、社会人になって自分の仕事に不安を抱える方、様々な悩みを抱えているかと思います。
今回は、会社の中で経理のプロフェッショナルとしてキャリアを積み上げていきたい方、既卒ではあってもこれから経理を目指す方、そして現在経理として働いている方々のために、キャリアパスの全体像を詳しく解説します。
【年齢別完全ガイド】経理のキャリアパス|20代→30代→40代で目指すべき職種とスキル
2026年1月30日 公認会計士 齊藤 健太郎
目次
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追記
公認会計士試験論文式試験に合格した試験合格者の場合は、以下をご参照ください。
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会計士を目指す人のための公認会計士のキャリアマップ
■経理のキャリアパスを理解する上で知っておくべきこと
「キャリアパス」は多様です。年齢が上がるにつれて、役職や、求められる経理スキルの内容、獲得した経理スキルが活かされる場は広がっていきます。このため、フローチャートでは、年齢が上がるにつれて経理職において求められるスキル、活かせる職種の説明を加えていきたいと思います。
また、 「経理職」とひと言でいっても、「企業の規模」によってキャリアパスの内実は大きく異なってきます。 「上場企業か否か」、「取締役会が機能しているか」、「内部監査室を置いているような規模の会社か」、「社内階層が、部長、次長、課長、係長ときれいに分かれているか」等々…どれ一つ取っても同じ会社はありません。むしろすべての会社が均等に存在していることはないという方がより真実に近いと思います。
こうした様々な前提条件が異なる中で、今回描くキャリアパスは、「上場企業or上場準備企業」「取締役会を構成」「監査役の設置」「内部監査室の設置」「経営企画室を設置」ということができるような規模の会社を想定して、より具体的でリアルなキャリアプランを年齢別に徹底解説します。
■20代経理のキャリアパス
先ほど「企業の規模」によってキャリアパスの内実は大きく異なるという話をしました。では、やはり中小よりも大手企業に入ったほうが活躍できるのでしょうか。経理職という点に絞って言うと、必ずしもそうとは言えないと思います。
大企業は業務が高度に専門化・細分化されています。他方、中小企業・零細企業になればなるほど「一人経理」として、経理業務はもちろん、総務、人事、労務など、バックオフィス業務全般を一人で担うことが多くなります。俗に「若いうちの苦労は買ってでもせよ」と言いますが、まさにその言葉を地で行くようなキャリアを積むことができます。
IPO市場に身を置いていた私がよく聞いたのは、当初は零細だった企業が成長して上場を成し遂げるとともに自身も成長し、そこのCFOになったという話です。
もちろん大企業に属してじっくり経理業務に取り組むことで得るものも多くあります。勘定科目ごとに業務が分担されることが想定されますが、科目ごとに行うべき作業、関係する部署、交渉事が異なるため大企業ならではの醍醐味を経験することができるでしょう。
経理職の転職市場という側面で見てみると、大小いずれの規模の企業を選んでもキャリアの価値はそれほど変わりません。むしろ、中小企業での経理職の経験が重宝されるという側面もあります。
こうしたことを念頭に経理職のキャリアをスタートさせてください。
経理キャリアで役に立つ資格
なお、
経理職で働いている以上、日商簿記2級の資格は取得しておきましょう。
簿記資格は、自身の経理キャリアをステップさせるための必須アイテムになるので必ず獲得することをおすすめします。
また20代で経理業務を行っていくうちに、何らかの専門家になりたいと思うこともあるかと思います。よくあるのが税理士資格の取得を目指す道です。その場合、会計事務所に属して、税理士資格の科目合格を積み重ねていくという方もいます。仕事を行いながら税理士試験の科目を積み重ねていくのはとても大変です。
このため、挫折する方も相当数いるのが実情ですが、会計事務所経由の人材は転職市場に出ると引く手あまた。このため、こうした選択は中期的にみると悪くはない選択といえるでしょう。
簿記論、財務諸表論の資格を取得した後、法律科目を1科目取得して、大学院に進学し、税理士資格を取得するというキャリアプランを描く方も相当数存在しています。こうしたキャリアプランも存在することを念頭に置いておきましょう。
■30代経理のキャリアパス
20代から経理を続けていれば、一定のキャリアが認められるようになります。経理職に関しては「一人前」とみられるようになるでしょう。役職としては、経理主任やマネージャー、課長といった役職に属することになります。
具体的な業務は、以下のようなものが挙げられます。
- スタッフを使い年次決算を取り仕切る
- 税務甲告書を作成する(ある程度外部者の協力があってもよい)
- 連結財務諸表、キャッシュフロー計算書等を作成する
- 監査法人監査対応を取り仕切る
- 決算から財務数値の外部公表 (IR)業務も実質的な責任者として取り仕切る
- 内部統制の構築作業を行う
会社によって事情は様々ですが、経理部内の中間管理職として様々なタスクが課せられるポジションになります。
中小零細企業経験者が転職する際に大企業から高く評価されるのも、こうした様々な作業を一人で切り盛りした経験があると見られるからです。専門特化した人材よりも、幅広い業務をこなせる人材は採用側からは輝いて見えてしまうもの。 30代になって大企業に転職する際に、中小企業で経理を切り盛りしていた人材が重宝されるということはよくある光景です。
大企業などにおける経理専門職種のキャリアパス
これまで培ってきた経理経験やスキルを基にして、30代以降は専門的な業務に従事する機会も増えてくるかもしれません。ここでは、大企業などで見られる専門職種のキャリアパスについて説明したいと思います。
これらは、経理としての市場価値をさらに高める可能性を秘めています。
・主計
経理の根幹であり、全てのキャリアの基礎となります。
会社単体の決算を担い、会計基準の変更などにも対応します。また子会社に行って経理業務を取り仕切ることも考えられます。
この主計で経験を積んだ後、連結、管理会計、税務などへキャリアを広げていくことになります。最終的には経理部長を目指す王道のキャリアパスです。
・連結・開示
子会社を含めたグループ全体の決算を取りまとめ、有価証券報告書などを作成する、上場企業に不可欠な部署です。高度な会計知識が求められ、監査法人とも直接やり取りを行う場面があります。
この分野で専門性を追求すれば市場価値を高めることができ、転職市場でも引く手あまたです。また、IR部門へのキャリアチェンジも可能です。
・税務
法人税申告書の作成や税務調査対応、国際税務、組織再編に伴うタックスプランニングなど、税の専門家として企業の利益に直接貢献します。専門性が非常に高いので、税理士として、税理士法人へ転職したり、事業会社の税務の専門家としてキャリアを全うしたりする道もあります。
・IR (Investor Relations)
投資家や証券アナリストへ自社の経営状況や財務内容を説明する「会社の顔」とも言える仕事です。企業のステークホルダー対応を行う部署といえます。高いコミュニケーション能力が求められ、経営企画など、より経営の中枢に近い部署へ進む可能性もあります。
・財務
銀行から資金調達や社債発行、M&Aの実行、為替リスクの管理など、会社の「攻め」の部分を担う部署です。大企業ほど大掛かりなファイナンスを行う機会があります。
・内部監査
経理として培った業務フローや内部統制の知識を活かせるキャリアです。経営活動を経営陣の目として客観的な立場で評価・助言し、ガバナンス強化に貢献します。社長が必要と認めて設置する部署のためこうした内部監査室を置いてはじめて大企業と言えます。不正防止や業務の効率化といった守りの側面が強いですが、経営層への直接的なレポーティングも多く、会社全体を俯瞰する視点が養われます。
・経営企画
経理で培った計数管理能力や分析スキルを活かし、会社の未来を描く仕事です。中期経営計画の策定、予算編成、M&A戦略の立案、新規事業のフィジビリティスタディなど、経営の意思決定に最も近い場所で活躍します。
■40代以降の経理キャリアパス
経理業務で築いたキャリア、スキルを土台に経理部長、経営企画室長、内部監査室長といった部長職につくといった会社内の重要なポジションを射止める、ベンチャー企業のCFOとして転職するといった様々なキャリアが考えられます。コツコツと築いてきたキャリアが花開く段階で、大企業のCFOや監査役、独立開業、上場企業の社外役員など、様々な可能性が広がります。
経理業務一つ一つの地道な業務経験の積み上げと長いスパンを俯瞰したうえでのキャリア獲得。両方の視点を有しつつ、キャリアを積み上げていった者が自身の望むキャリアを獲得できるのです。
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- 執筆者プロフィール
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齊藤 健太郎(さいとう けんたろう)
ジャスネットコミュニケーションズ株式会社 エグゼクティブエージェント
公認会計士・税理士/齊藤公認会計士事務所横浜国立大学経済学部卒業
横浜国立大学国際経済法学研究科修了:専攻は会社法
- 2003/2-2006/9
- エイチエス証券株式会社引受審査部所属
- 2006/9-2010/7
- あずさ監査法人第5事業部(IPO専門部署)所属
- 2010/8-2012/10
- あずさ監査法人 IT監査部所属
- 2012/10-2017/11
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