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財務の転職を成功に導くおすすめの資格3選と選び方を解説

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2025年9月18日 ジャスネットキャリア編集部

経理から財務への転職を検討している方にとって、どのような資格を取得すべきか迷うことは少なくありません。企業の財務戦略に携わり、数字を通じて経営に貢献する仕事は魅力的ですが、同時に専門性が求められる分野でもあります。転職市場において他の候補者との差別化を図るためには、適切な資格が重要となります。

本記事では、財務職への転職を成功させるために必要な資格について、その選び方から活用方法まで詳しく解説していきます。単に資格を羅列するのではなく、それぞれの資格が持つ価値や実務での活用方法を含めて、あなたのキャリア形成に役立つ情報をお届けします。

目次

■経理と財務の違いとそれぞれの資格

(1)経理は過去の管理、財務は未来の計画

経理と財務は同じ会計分野でありながら、その役割と求められる知識には明確な違いがあります。経理業務は、企業の日々の取引を正確に記録し、決算書を作成する過去・現在志向の業務が中心です。対して、 財務業務は資金調達や投資計画、リスク管理など、将来に向けた資金計画や戦略的な判断に重点を置く傾向があります。

経理職では正確性と継続性が重要視され、会計処理の基礎知識や税務に関する理解が不可欠です。毎月の月次決算や年次決算を通じて、企業のお金の流れを正確に把握し報告する責任があります。そのため、会計基準や税法の変更に常に敏感であり、細かな数字の管理能力が求められます。

一方財務職は、企業の成長戦略に直結する業務を担当し、経営陣との連携も密接になります。資金繰りの管理から始まり、設備投資の評価、M&Aの検討、金融機関との交渉など、企業の将来を左右する重要な意思決定に関わります。そのため、会計知識だけでなく、金融市場の動向や企業分析能力、プレゼンテーション能力なども必要となります。

(2)それぞれの業務に適した資格

経理業務に従事する場合、簿記の知識が基礎となるため、日商簿記検定は必須の資格といえます。 特に2級以上を取得していることで、企業の採用担当者に対して一定の会計知識があることを示せます。 さらに専門性を高めたい場合は、税理士試験や公認会計士試験の学習を通じて、経理から経営企画など幅広い領域にキャリアを展開する道も見えてきます。

ビジネス会計検定は財務諸表の分析能力を証明する資格として、財務職への転職において評価されることが多くあります。

どちらの職種においても、現代のビジネス環境ではITスキルが不可欠となっています。特にExcelを中心とした表計算ソフトの活用能力は、日常業務の効率化に直結します。MOSなどのIT関連資格も必須ではありませんが、Excelの実務スキル(ピボットテーブルやVLOOKUPなど)を習得していると、転職活動で実務力をアピールしやすくなります。

■財務職に転職するための資格とは?

(1)転職における資格の重要性

転職活動において資格が果たす役割は、単なる知識の証明以上の意味を持ちます。特に財務・経理分野では、数字を扱う専門性と信頼性が重要視されるため、資格取得は転職でプラスに働く要素の一つです。未経験から財務職へ転職する場合、実務経験の不足を補う手段として資格は非常に有効です。

採用担当者の立場から考えると、資格は候補者の学習意欲と専門知識を客観的に評価できる指標となります。同じような経歴の候補者が複数いる場合、関連資格を持っている人材の方が選ばれる可能性は高くなります。また、資格取得の過程で身につけた知識は、面接での質疑応答においても説得力のある回答を可能にします。

ただし、資格があれば必ず転職できるわけではありません。資格は入口に立つための条件の一つであり、実際の業務遂行能力やコミュニケーション能力、チームワークなども同様に重要です。資格取得と並行して、実務で活用できる知識の習得や、業界動向の把握にも努めることが転職成功への近道となります。

(2)資格取得がキャリアに与える影響

資格取得は転職時だけでなく、長期的なキャリア形成においても大きな影響を与えます。この分野において上位資格を取得することで、より責任ある役職への昇進や、専門性を活かした独立開業への道も開かれます。特に公認会計士や税理士などの国家資格は、専門家としての地位確立に直結します。

また、資格取得の過程で得られる体系的な知識は、日常業務の質向上にも貢献します。例えば、日商簿記2級を取得することで財務諸表の仕組みを理解し、数字の背景にある経営状況を読み取る能力が向上します。これにより、単純な作業者から戦略的思考を持った専門職へとステップアップできます。

■財務におすすめの資格3選

(1)日商簿記検定

①日商簿記3級

日商簿記検定3級は、 財務・経理職を目指す方にとって最初に取得すべき資格です。 商業簿記の基礎知識を身につけることで、企業の日常的な取引記録や基本的な財務諸表の理解が可能になります。仕訳の概念から損益計算書、貸借対照表の作成まで、会計の根幹となる知識を体系的に学習できます。

3級レベルの知識があることで、経理部門での基本的な業務に対応できる素地が形成されます。現金出納や売掛金管理、買掛金管理といった日常業務において、なぜそのような処理が必要なのかを理論的に理解できるようになります。これは単純作業から脱却し、より付加価値の高い業務に携わるための第一歩となります。

転職市場においても、日商簿記3級は最低限の会計知識を持っていることの証明として認識されています。特に経理職への転職においては、3級取得が応募条件となっている企業も多く見受けられます。学習期間も比較的短く、働きながらでも取得しやすい資格であるため、転職準備の初期段階で取得することをお勧めします。

②日商2級

日商簿記2級は 財務・経理職への転職において最も重要視される資格の一つ です。商業簿記に加えて工業簿記も学習範囲に含まれ、製造業における原価計算や損益管理についても理解が深まります。この知識は多くの企業で直接活用できるため、実務での即戦力として期待されます。

2級レベルでは、商業簿記に加えて工業簿記を学び、製造業における原価計算や損益管理について理解を深めます。これらは多くの企業で直接役立つ知識です。また、管理職を目指す場合にも、部下への指導や業務改善提案においても、この資格取得の勉強で得た知識が活かされます。

転職活動においては、 日商簿記2級を取得していることで応募できる求人の幅が大きく広がります。 特に経験者採用の場合、2級以上を求める企業が多いため、転職成功の確率を高める重要な要素となります。学習には一定の時間を要しますが、その投資に見合う価値のある資格といえるでしょう。

③日商簿記1級

日商簿記1級は 会計のエキスパートレベルの知識を証明する資格 です。商業簿記、工業簿記に加えて原価計算、会計学まで幅広い分野をカバーし、企業会計の全体像を深く理解できます。

1級レベルの知識があることで、高度な会計理論や処理方法を理解でき、財務分析や経営分析のもととなる知識を深められます。連結会計や国際会計基準、税効果会計など、企業で求められる高度な会計処理についても理解が深まります。これらの知識は財務部門において戦略的な業務に携わる際に直接活用されます。

転職市場においては、1級取得者は非常に高い評価を受けます。特に上場企業や外資系企業、会計事務所での採用において優遇される傾向があります。ただし、取得には相当の学習時間と努力が必要であるため、挑戦する場合は、今一度、自身のキャリア計画を考えた上で始めましょう。

(2)公認会計士

公認会計士は 会計・監査分野における最高峰の国家資格 です。上場企業の監査業務や株式公開支援、経営コンサルティングなど、企業の根幹に関わる業務を担当できる資格として、転職市場でも非常に高い価値を持ちます。

公認会計士の業務範囲は非常に広く、財務諸表監査だけでなく、内部統制監査、株式公開支援、M&Aアドバイザリー、経営コンサルティングなど多岐にわたります。これらの業務を通じて企業経営の最前線に関わることができ、経営者レベルの判断に参画する機会も多くあります。

転職における公認会計士資格の価値は絶大で、監査法人だけでなく一般企業の財務部門、コンサルティング会社、金融機関など様々な業界で重宝されます。年収面でも他の資格と比較して高水準であり、キャリアの選択肢も豊富です。

ただし、合格率は10%程度と非常に低く、数年間の集中的な学習が必要です。もし挑戦する場合は、よく下調べをしてからにしましょう。

(3)ビジネス会計検定

ビジネス会計検定は 財務諸表を読み解く力を証明する資格 です。簿記検定が財務諸表の作成能力を問うのに対し、ビジネス会計検定は完成された財務諸表から企業の経営状況を分析する能力を評価します。財務職において企業分析や投資判断を行う際に、この能力は不可欠となります。

この資格の学習を通じて、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の詳細な読み方や、財務指標の計算方法、業界比較の手法などを習得できます。これらの知識は投資先企業の評価や取引先企業の信用調査において直接活用されます。

転職市場においては、特に財務職や企画職への転職で評価される傾向があります。経営陣への報告資料作成や事業計画の策定において、財務分析能力は重要視されるためです。簿記資格と組み合わせて取得することで、会計知識の幅と深さを示すことができ、転職活動において差別化要因となります。

■財務・経理の実務に役立つIT関連資格

(1)ITパスポート

ITパスポートは 情報処理技術に関する基礎的な国家資格 です。現代の財務・経理業務において、ITシステムの理解は不可欠となっています。会計ソフトの導入や運用、データベースの活用、セキュリティ対策など、IT知識があることで業務効率化に大きく貢献できます。

財務・経理部門では、ERPシステムの導入プロジェクトに参画することも多く、その際にITの基礎知識があることで、システム部門との円滑なコミュニケーションが可能になります。また、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入や活用においても、ITの基礎知識は重要な要素となります。

転職活動においては、IT知識を持つ財務・経理職として差別化を図ることができます。特にDXを推進している企業においては、IT知識を持つ財務・経理人材は非常に重宝されます。学習内容も実務に直結するものが多く、取得後すぐに業務で活用できる知識が得られる点も魅力的です。

(2)MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)

MOS資格は、Microsoft Officeの操作スキルを証明する資格です。財務・経理業務において、Excel、Word、PowerPointは日常的に使用するツールであり、これらのスキルレベルが業務効率に直結します。特にExcelの高度な機能を活用できることで、複雑な財務分析や予算管理を効率的に行えます。

Excelにおけるピボットテーブル、VLOOKUP関数、マクロの活用などは、大量のデータを扱う財務・経理業務において必須のスキルとなっています。 これらの機能を効率的に使いこなすことで、月次決算の早期化や、より詳細な財務分析の実施が可能になります。

PowerPointスキルは、経営陣への報告や社内プレゼンテーションにおいて重要です。財務データを分かりやすく視覚化し、説得力のある資料を作成する能力は、財務職において高く評価されます。転職活動においても、即戦力として業務に貢献できることをアピールする材料となります。

■経理・財務職に必要なスキルと資格の関係

(1)経理に求められるスキルと資格

経理職に求められる基本的なスキルは、正確性、継続性、そして会計処理に関する専門知識です。これらのスキルを身につけるために、日商簿記検定は最も効果的な資格といえます。簿記の学習を通じて、会計処理の原理原則を理解し、正確な帳簿記録を行う能力が養われます。

また、経理業務では税務処理も重要な要素となるため、税理士試験科目の一部合格や簿記などの資格が特に評価されます。

経理職における重要なスキルの一つに、月次決算の早期化があります。これは単に作業を速く行うのではなく、効率的なプロセス設計と自動化の推進が必要です。そのためには、Excel VBAやRPAなどのIT技術を活用できる能力も求められ、IT関連資格の取得も意味があります。

(2)財務に求められるスキルと資格

財務職に求められるスキルは、戦略的思考、分析能力、そして経営判断を支援する能力です。これらのスキルを磨くために、ビジネス会計検定やファイナンシャルプランナー資格が効果的です。財務諸表分析能力や投資理論の知識は、財務戦略の立案において直接活用されます。

また、財務職では資金調達や投資判断において金融市場の知識が不可欠です。証券アナリスト資格やCFA(Chartered Financial Analyst)などの金融系資格は、これらの知識を体系的に学習できる機会を提供します。

さらに、財務職では経営陣とのコミュニケーションが頻繁にあるため、プレゼンテーション能力や報告書作成能力も重要です。これらのスキルは資格だけでは身につかない部分もありますが、MBA取得や経営学の学習を通じて向上させることができます。

■まとめ

財務・経理職への転職を成功させるためには、適切な資格選択と計画的な学習が重要です。まず、自身のキャリア目標を明確にし、それに応じて必要な資格を選択することから始めましょう。まずは日商簿記検定2級以上を取得することをおすすめします。その上で財務職を目指すならビジネス会計検定やファイナンシャルプランナーの取得を検討してみてください。

最も重要なことは、資格取得を目的とするのではなく、実務で活用できる知識とスキルを身につけることです。資格学習で得た知識を日常業務に活かし、継続的にスキルアップを図ることで、財務・経理のプロフェッショナルとして成長し続けることができるでしょう。

転職市場において求められる人材像は常に変化していますが、確実な専門知識と実践的なスキルを持つ人材の価値は普遍的です。適切な資格取得を通じて専門性を高め、理想のキャリアを実現してください。

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執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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