【企業のステージ別】経理部門リーダーに求められる役割と業務内容
5 上場企業(売上数千億規模)
公認会計士 江黒 崇史
■このステージの経理部門リーダーの役割は?
(1)上場企業(売上数千億規模) の経理部門リーダーに求められる役割は?
この規模の大企業となると、経理部だけで数十名、財務や主計、開示、子会社決算担当者、連結決算担当者等、経理関連スタッフ全体を見ると100名以上ものチームとなることがあります。
そうなりますと経理部の業務も現金担当者、売掛金担当者、棚卸資産担当者など1勘定科目につき1担当者がいるような体制になっているため、経理部門リーダー(経理部長)としては、すべての業務が円滑に行われるための全体のコントローラーとしての役割が大きくなるでしょう。
(2)上場企業(売上数千億規模) の経理部門リーダーに求められる大局的視点
特に決算業務シーズンは各担当者の業務進捗はどうなっているのか、決算発表に向けた資料作成はどのようなスケジュールで準備すべきか、監査法人の監査スケジュールはどのようになっているか等、大局的な視点がより重要となってきます。
また、様々な部署やグループ会社からも相談や報告を受ける立場でもあるため、自社グループ全体の状況、はもちろん、過去から今後の計画、方向性等もしっかりと把握し、決算をまとめているため経理部内はもちろん、他部門のスタッフからも一目置かれる存在となります。
■上場企業(売上数千億規模) で経理部門リーダーになるための資質、ヒント
このようなクラスの大手企業の部長ともなると、わたしが見てきた重厚長大な企業では、新卒から様々な部門の業務を見ながら、いわゆるたたき上げで経理部長になっている人が多い印象です。
とはいえ近年では外部から、会社のステージを次へと導くリーダーとなるCFOを招聘し、さらなる飛躍を目指す会社もあります。
このような会社では経理、バックオフィス関連業務の一定の経験はもちろん、マネジメント経験や経営者としての経験値も求められることとなります。
特に一度上場企業で経理をはじめとするバックオフィス業務を統括し、成長させた実績、企業価値を上昇させた実績が問われることでしょう。
そのため、これまでの自らの経験の集大成として大企業をより成長させることから、幅広い経験と実績を持った方が向いていることでしょう。
■おわりに
経理部というとバックオフィスという言葉から裏方のイメージがあるかもしれません。
しかし筆者は、経理業務は会社の様々な情報を管理し、その情報を活かす素晴らしい業務と思います。時には会社を守る立場、時には成長に向けた攻めの立ち場にもなる、まさに会社の成長を支える部門と言えるでしょう。
ぜひ素晴らしい経理部門リーダーを目指してください。