■英文経理とは?通常の経理との違い
(1)「英文経理」とは何か
英語力を活かせる経理の仕事としてよく挙げられるのが「英文経理」です。
英文経理とは、単に英語を使う経理という意味ではなく、英語で作成された帳簿や資料を扱い、海外の本社・子会社・取引先・監査法人などと連携しながら行う経理業務を指します。
外資系企業や海外展開している企業では、このような英文経理のスキルが求められることが多く、通常の経理よりも英語を使う機会が多い点が特徴です。
通常の経理では日本の会計基準(JGAAP)に基づいて処理を行いますが、英文経理では海外の親会社への報告や海外拠点との連携のために、英語で資料を作成したり、海外の会計基準に合わせて数値を調整したりすることがあります。企業によっては、IFRS(国際財務報告基準)やUSGAAP(米国会計基準)などの国際基準で統一している場合もあり、英文の会計資料を読み解く力が求められます。
(2)「英文経理」と「英文会計」の違い
なお、「英文経理」と似た言葉に「英文会計」があります。明確な定義があるわけではありませんが、
一般的に英文経理は英語を使った日常的な経理業務を指し、英文会計はIFRSやUSGAAPなど国際会計基準に基づいた財務報告や分析など、より専門的な会計業務を指すことが多いとされています。
英語力に加えて会計知識も必要になるため、キャリアアップを目指す場合に重要な分野といえるでしょう。
〈英文経理の業務内容〉
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英語での請求書・領収書の処理
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海外取引先との支払い・入金管理
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英文メールでの経理関連のやり取り
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ERPシステムの使用
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外資系企業や海外子会社の経理サポート
〈英文会計の業務内容〉
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IFRS(国際財務報告基準)やUS GAAP(米国会計基準)に基づく財務諸表作成
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英語の財務報告書・決算書の作成・分析
■経理の仕事で英語が必要になる業種や場面は?
経理の仕事では、すべての企業で英語が必要になるわけではありません。しかし、海外と取引のある企業や外資系企業などでは、日常業務の中で英語を使う機会が多くなります。
特にグローバル化が進んでいる現在では、経理職でも英語力が求められる場面が増えています。
ここでは、英語を使うことが多い業種と、具体的な業務内容について解説します。
(1)経理職で英語を使う業種
経理職で英語を使う可能性が高いのは、主に海外と関わりのある企業です。代表的な業種・企業形態としては、次のようなものが挙げられます。
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外資系企業
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海外子会社を持つ上場企業
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商社・メーカーなど海外取引が多い企業
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IT企業・スタートアップなどグローバル展開している企業
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国際会計基準(IFRS)を採用している企業
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海外に親会社・関連会社がある企業
外資系企業では、社内の公用語が英語になっている場合もあり、メールや会議、レポーティングなどを英語で行うことがあります。また、日系企業であっても海外子会社を持つ企業では、連結決算や報告業務のために英語を使用する機会が増えます。
このように、海外とのやり取りがある企業ほど、経理職にも英語力が求められる傾向があります。
(2)経理職で英語を使う具体的な場面
実際の業務では、主に次のような場面で英語を使うことがあります。
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海外子会社とのメールやオンライン会議でのやり取り
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英文によるレポーティング資料の作成
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英文契約書・請求書・インボイスの確認
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連結決算時の海外拠点とのデータ調整
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IFRS(国際会計基準)など英文資料の読解
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SAPなど海外製の会計システムの操作
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海外監査法人・海外本社とのコミュニケーション
特に、上場企業やグローバル企業では、海外拠点を含めた連結決算や国際会計基準への対応が必要になるため、英文資料を読む機会が多くなります。また、外資系企業では会議資料や社内システムが英語表記になっていることもあり、日常的に英語に触れる環境になることもあります。
このように、経理職において英語は必須ではないケースもありますが、英語が使えることで担当できる業務の幅が広がり、転職やキャリアアップにおいて有利になるスキルの一つといえるでしょう。
■経理で英語力を身につけるメリットは?
(1)年収アップが図れる
日系企業に比べ外資系企業の方が、
年収ベースが高い場合が多い
といえます。同様の業務でも年収を上げたい場合は、ぜひ英語力を身につけて転職の選択肢に入れて欲しいところです。
また役職があがるほど、年収の伸び率も高いのが外資系の特徴なので、英文経理ができるだけで、年収アップの可能性も大きく広がります。
日系グローバル企業でも役職が上になるにつれて、英語力が必要な場面は増えていきます。また、転職の際に「経理×英語力」をアピールすることができれば、
今より上の役職で転職できる可能性もあります。
英文経理やIFRSを理解していることで、転職市場で大きく他者との差別化を図ることができるのです。
(2)グローバルな企業に転職できる
英語ができるようになると、
外資系企業や海外子会社を持つ上場企業、海外取引の多いメーカーや商社など、グローバルに事業を展開している企業の経理職へ転職できる可能性が高まります。
これらの企業では、海外拠点とのやり取りや英文レポートの作成、連結決算、国際会計基準(IFRS)への対応など、英語を使う業務が発生するため、一定レベルの英語力を持つ経理人材が求められる傾向があります。英語ができることで応募できる求人の数が増え、年収やポジションなど条件の良い企業にチャレンジしやすくなる点は大きなメリットです。
(3)実務での幅が広がる
経理で英語を身につけると、
業務の選択肢が増え、キャリアの幅も広がります。
具体的には、財務レポートの理解、海外取引先・監査法人との対応、国際的な会計トレンドの把握などがスムーズにできるようになります。
例えば、IFRSやUS GAAPの基準書は英語で書かれているため、英語力があると新しい基準をスムーズに理解することができます。
また海外企業との取引では、請求書のやり取りや支払い条件の交渉を英語で行う必要があります。なにか疑問点があった際など、自分で直接やり取りすることで迅速に仕事を進めることも可能です。
■経理で求められる英語力のレベルは?
経理職で必要とされる英語力のレベルは、企業の種類や担当する業務によって異なります。
すべての経理に高い英語力が求められるわけではありませんが、外資系企業や海外展開している企業では、英文資料の読解やメール対応ができる程度の英語力が必要になることがあります。
ここでは、一般的に求められる英語レベルの目安について解説します。
(1)求められる英語力の目安(TOEICスコア)
経理職の求人では、英語力の目安としてTOEICスコアが提示されることがあります。一般的な目安は次の通りです。
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TOEIC650点前後
→英文メールの読み書きができるレベル。日系企業の英文経理で求められることが多い
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TOEIC700点〜800点
→外資系企業や上場企業の英文経理で評価されやすいレベル
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TOEIC800点以上
→海外本社とのやり取りや英語での会議対応なども期待されるレベル
ただし、実務ではスコアよりも「英文を読めるか」「メールを書けるか」といった実務対応力が重視される傾向があります。
(2)経理で必要なのは会話より読み書きが中心
経理業務で使う英語は、日常会話よりも読み書きが中心になることが多いのが特徴です。例えば次のような業務では、英語の文章を理解したり作成したりする力が求められます。
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英文メールでのやり取り
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英文レポートの作成
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海外子会社からの資料の確認
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IFRSやUSGAAPなど英文の会計基準の読解
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英語表記の会計システムの操作
外資系企業であっても、スタッフレベルでは英会話を頻繁に使うとは限らず、まずは英文の読み書きができることが重視されます。ただし、管理職やマネージャーになると、英語での会議やプレゼンテーションが必要になる場合もあります。
(3)企業によって求められる英語力は大きく違う
英語の必要度は、企業の特徴によって大きく異なります。
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日系中小企業
→英語を使わないことも多い
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海外取引のある企業
→メール・書類対応で英語を使用
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上場企業・グローバル企業
→連結決算・海外拠点対応で英語を使用
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外資系企業
→社内資料・システム・会議が英語の場合もある
このように、経理職における英語力は必須ではない場合もありますが、英語ができることで担当できる業務の幅が広がり、転職やキャリアアップで有利になることが多いスキルといえるでしょう。
■英文経理で使えるおすすめの資格
(1)日商簿記2級
まず何か資格の勉強をするとしたら日商簿記2級を取得しておくことをおすすめします。
日商簿記2級は、経理の基礎を学んだ証として評価されますが、
外資系企業ではUSGAAPやIFRSといった国際基準への理解、また実務経験がより重視
されます。
〈参考記事〉
日商簿記2級は転職に有利!?経理だけじゃない活かせる仕事を徹底解説
https://career.jusnet.co.jp/keiri/keiri_68_01.php
(2)USCPA(米国公認会計士)
必須条件ではありませんが、マネージャー以上の管理職採用の場合には評価される資格です。USCPAの試験はすべて英語で行われるため、
高い英語力と経理・会計の知識があるという証明
になります。
USCPA資格の予備校では、TOEIC500点台あれば取得できるといったことが喧伝されることもあります。ジャスネットキャリア編集部内で、科目合格の実績のある部員の話によると、「
最低でもTOEIC700点台以上はないと難しいという印象
」とのことです。
また、海外本社のマネージャーやCFOなども取得している場合も多いため、外資系企業専門の会計事務所などでは資格手当がでるなど、給与面でもメリットがあります。
〈参考記事〉
USCPA(米国公認会計士)が活躍できる転職先と、そのメリット、デメリットは?
https://career.jusnet.co.jp/cpa/cpa_98_01.php
(3)IFRS検定(国際会計基準検定)
IFRS検定(国際会計基準検定)は、国際会計基準(IFRS)に関する知識を証明する資格 ですが、
「英文経理」の転職市場での評価は採用ポジションによる
、という印象です。
外資系企業・グローバル企業のマネージャー職や、海外子会社の経理、英文財務諸表を扱うポジションを目指すのであれば、強いアピールポイントになります。
日常的な英文経理の範囲を超えて、財務報告や管理会計部門にランクアップを狙うのであれば有効な資格ではないでしょうか。
■経理で英語力を活かし、年収をアップさせるポイント
英語力を活かして経理として年収アップを目指すには、単に英語ができるだけでなく、経理としての専門性や実務経験をあわせて身につけることが重要です。
外資系企業やグローバル企業では即戦力が求められることが多く、英語力と会計スキルの両方を備えている人材ほど、高い評価を得やすくなります。
年収アップにつなげるための主なポイントは次の通りです。
(1)資格を取得し、スキルを客観的に証明する
日商簿記2級やTOEICなどの資格は、経理知識や英語力を客観的に示す指標として評価されやすくなります。さらにUSCPAなどの国際会計資格を取得すれば、IFRSやUSGAAPに対応できる人材として評価され、外資系企業や上場企業への年収アップを見据えた転職で有利になる可能性があります。
(2)英文レジュメを準備する
外資系企業や海外関連のポジションでは、書類選考の段階から海外本社や外国人マネージャーが応募書類を確認することもあります。そのため、
日本語の職務経歴書だけでなく、英文レジュメを用意しておくことが重要
です。これまでの経理経験や担当業務を英語で分かりやすく説明できるように準備しておきましょう。
(3)経理の実務経験をしっかり積んでおく
日系グローバル企業、外資系企業ともに、経理職では実務経験が重視される傾向があります。たとえ英文経理の経験がなくても、決算業務、連結決算、税務、管理会計などの経験があれば評価につながります。これまでどのような業務を担当してきたのかを具体的に説明できるよう整理しておくことが大切です。
このように、英語力に加えて資格や実務経験を積み重ねることで、応募できる求人の幅が広がり、結果として年収アップにつながる可能性が高まります。グローバル企業への転職を目指す場合は、長期的な視点でスキルを準備しておくことが重要です。
■英語を活かせる経理求人の探し方
英語力を活かせる経理求人を探す際は、企業の特徴や募集条件を意識して求人情報を確認することが大切です。経理職の中でも英語を使用する機会が多いのは、外資系企業、海外子会社を持つ上場企業、商社やメーカーなど海外取引の多い企業です。
求人票では「英文経理」「海外子会社対応」「連結決算」「IFRS」「外資系」「英語使用あり」などのキーワードが記載されているかをチェックすると、英語を活かせるポジションを見つけやすくなります。
「英語力を活かす」求人一覧を見る
また、英語力を求める求人は専門性が高いことも多いため、
経理・財務職に強い転職エージェントを利用するのも有効な方法です。
自分では見つけにくい非公開求人を紹介してもらえるほか、求められる英語レベルや業務内容について詳しく確認できるため、ミスマッチを防ぎやすくなります。英語を活かしたい場合は、求人の数だけでなく、企業のグローバル展開や業務内容までしっかり確認しながら探すことが重要です。
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■まとめ
企業のグローバル化が進む中で、経理の分野でも英語力の重要性は高まっています。
「経理×英語力」を身につけることができれば、自分自身の市場価値をより高め、必要とされる人材になることができます。英語力は一朝一夕で身につくものではないため継続的な努力が必要ですが、可能性を広げるためにもぜひチャレンジしてみてください。
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