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【企業のステージ別】経理部門リーダーに求められる役割と業務内容
プライム上場企業編

いろいろな企業の経理部門のリーダーを紹介するこのコーナー。

今回は「飲食店ドットコム」など、飲食業界の方向けのサービスを提供しているプライム上場企業の株式会社シンクロ・フードにて、少数精鋭の経理グループのグループマネージャーを務める松井雄太さんにお話をお伺いしました。

株式会社シンクロ・フード 経理グループ グループマネージャー 松井雄太
キャリアの変遷
  1. ①  金融グループの住宅ローンの販売会社 営業
  2. ②  金融グループの子会社   経理部門
  3. ③  金融グループの親会社   経理部門
  4. ④  株式会社シンクロ・フード 経理部門(現職)

■ 現在の会社の事業内容

わたしが今、勤めている株式会社シンクロ・フードは「飲食店ドットコム」などで、飲食業界の方への様々なサービスを提供させていただいている会社です。

飲食店を開業したいと考えている方に関連事業会社(不動産、内装、食材仕入れ、等)を紹介したり、飲食店の社員・アルバイトなどの求人情報サイト、また飲食事業を売却したい方と譲り受けたい方の最適なM&Aをサポートするサービスなど、様々な角度から飲食業界に関するサービスを提供し、飲食業の課題に真剣に向き合っています。

■ 現在の会社で担当されている業務

わたしは経理グループのグループマネージャーとして、制度会計・経理業務全般に加えて管理会計業務に取り組んでいます。

直属にCFOはおりますが、単体決算経理事務全般・連結決算・有価証券報告書等の開示書類の作成・会計処理の検討・監査法人の対応など、上場会社経理の行う業務を多岐に渡って行っています。通常の経理業務以外でやってきたことをいくつかご紹介します。

(1)経理部門の構築

入社直後、経理担当者はわたしを入れて2名。もう一人は経理を専門として行ってきてはいないメンバーで、経理業務全体をきちんと把握している人が社内にいないような状態でした。業務が可視化されておらず、まず何をすればよいのか、会社の各部門からどのようにデータを収集しているのかなどがわからず、最初は苦労したことを覚えています。

そのため、まず取り組んだのは業務を可視化すること。業務の引継ぎ・説明をされた際に文書化・図示化し、また経理業務はルーティン業務もあることから、毎月利用する集計シートを作成し業務を平準化することも併せて行いました。

(2)経理業務で使うシステムまわりの構築

現状の経理業務を覚えたのちには、会社全体の経理周辺業務・システムの改修を開発部門にお願いしました。

当社では、売上管理システムを自社で開発していますが、当時は経理が欲しい情報を抽出することができない仕様となっていて…。そのため経理業務が非効率的で、必要な処理が漏れていることがあったのです。

これを改善するために開発部門の方にシステムの概要・データがどのように流れているのか資料確認やヒアリングを通じて把握し、必要な改修を依頼。開発部門の方は経理ではないので、できるだけわかりやすい言葉を用いたり、どうしてこの改修が必要なのかということを説明したりして、双方が納得できる状態にすることに努め、2年以上かけて全体を整えていきました。

(3)管理会計業務

現在では、制度会計・経理業務全般に加えて、管理会計に取り組んでいます。

当社は上場してから赤字になったことはなく、売上・利益ともに順調に増加していたため、売上は各事業・サービスで見るけれども、利益までは可視化されていませんでした

しかし、コロナの影響を受けて初めての赤字を経験。その際に、各サービス・事業の損益がどのようになっているのか数値として見たいという声があがり、管理会計へ取り組むことにしたんです。

わたしも管理会計業務は初めての経験です。現在、管理会計は導入過渡期であり、策定・運用含めてブラッシュアップが必要ではあります。

ただ、制度会計とは異なり各事業・サービスがどのように動いており、どのサービスに経営資本の投下を行うかといった話を聞くことで、生きた数値を取り扱っている感覚が強くあります

■ これまでの経理経歴

(1)子会社経理から親会社での連結決算を経験

わたしは新卒で金融グループの住宅ローンを販売する会社に入社し、1年の営業経験の後、グループ内の組織再編があった際に、新規設立された会社の経理部門に配属されました。

その会社では経理事務担当者として、日次・月次・年次決算・親会社への報告等、単体子会社の経理全般を行っていました。その後、親会社の経理部門に異動し、配属されたのは連結グループ。

単体決算は行わず、連結決算(子会社からの数値報告の確認、連結グループ全体における会計処理の検討)、有価証券報告書等の開示書類の作成を行いました。

(2)経理業務のやりがい

子会社時代は経理の人数も少なく、もちろん締め切りもありましたが多少の余裕はあるような環境でした。それが親会社の連結となると、期限厳守、報告・管理なども非常に厳密に求められるようになります。

もちろん大変だとは思いましたが、ここで経理は単なる事務作業ではなく、会社の数字を作るうえで非常に重要な仕事だと実感して、経理で頑張って行こうと思うことができたのも事実です。上場会社の数字をまとめて開示するところまで経験することができたのは、わたしにとっては本当に重要な経験でした。

■ シンクロ・フードに転職された経緯

やりがいもあり仕事内容には満足していましたが、当時、社内には若いメンバーが多い環境でした。5,10年後を考え、いずれは一定の裁量をもって仕事がしたいと思い始めていた時に、当時働いていた会社の監査を担当してくれていた公認会計士の方と話す機会があり、現職を紹介されました。

「わたしの将来像とマッチするのではないか」という話ではあったのですが、前任者が辞めたばかりで、自分を入れて経理は2人と聞いて少し不安な面も…。しかし紹介してくれた方が当時、シンクロ・フードの監査も務めていらしたので、いい勉強の機会だと思い、思い切って転職を決意しました。

松井 雄太さん近影

■ 現在の業務の苦労

管理会計業務に関しては、わたしも勉強しながらの取り組みとなるため、難しいですがやりがいも感じています。経営企画を担当している知り合いに話を聞いたり、書籍を読んだりして、試行錯誤しながら進めている最中です。

そもそも、どのように数字を配分していくのかというのを経営陣で目線を合わせてもらうというのが難しい部分でしょうか。また利益目標を現場におろして、どのように運用していけば効果的かというのも、これからすり合わせをしていくところです。

■ 今後の業務上の目標

入社した当時は制度会計業務で、経理システムを土台から作り上げていくような難しい作業に熱中していました。今後は経営の判断に使ってもらえるような、管理会計の数字の仕組みを作り上げていくことが目標になります。

具体的には管理会計上の利益の見える化です。今は人数が少ない会社だからこそできる仕事の面白さのようなものがあり、これを提示できるようにして、会社がさらに成長する一材料にできたらいいなと思っています。

わたしが経理として働く中で心掛けているのが「経理は社内がお客様だ」という気持ちです。周りから数字がもらえなければ、経理という仕事はできないと思っているので、一緒に働く人に優しく気遣いをしていく、というのは常に気をつけていますね。

これからもそんな気持ちで頑張って行きたいと思っています。

執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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