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USCPA(米国公認会計士)はやめとけと言われる理由とは? 取得前に知るべき5つの現実

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2026年1月15日 ジャスネットキャリア編集部

「USCPAを取れば年収アップできる」「外資系企業への転職が有利になる」そんな情報を目にして資格取得を検討している方も多いのではないでしょうか。しかし実際にUSCPAを取得した人の中には、「思っていたほどキャリアに活かせなかった」「取得にかかった時間とお金に見合わなかった」という声も少なくありません。

ネット上では「USCPA やめとけ」という検索ワードも上位に表示され、取得を迷っている人が多いことが伺えます。この記事では、なぜUSCPAが「やめとけ」と言われるのか、その具体的な理由を詳しく解説します。

同時に、どのような人であればUSCPAが有効に機能するのかについても考察していきます。資格取得に数百時間と数十万円を投じる前に、冷静に自分のキャリアプランと照らし合わせてみてください。

目次

■USCPAとは? グローバル資格の実態を正しく理解する

USCPA(U.S. Certified Public Accountant)は、アメリカの各州が認定する公認会計士資格です。日本の公認会計士とは異なる試験制度と資格体系を持ち、会計、監査、ビジネス法、税法など幅広い分野をカバーする試験です。日本国内のテストセンターでも受験できる環境が整い、働きながら取得を目指す社会人が増えています。

2024年1月から試験制度が大きく変更され、「CPA Evolution」と呼ばれる新制度に移行しました。試験は英語で実施され、必須3科目(FAR:財務会計、AUD:監査、REG:税務・ビジネス法)に加えて、3つの選択科目(BAR:ビジネス分析、ISC:情報システム、TCP:税務計画)から1科目を選択する、合計4科目の構成になっています。合格までの学習時間は一般的に1000時間から1500時間程度必要とされ、受験料や予備校費用を含めると総額で100万円前後の投資が必要になります。

新制度では旧BECに含まれていた記述式問題は廃止され、試験はより実務的な選択式・シミュレーション中心の構成となりました。また選択科目の受験期間が1ヶ月間と短く設定されているため、戦略的な受験計画が求められます。州によっては実務経験や追加の単位取得が求められるケースもあり、ライセンス取得までのハードルは決して低くありません。

「グローバルで通用する資格」という響きは魅力的ですが、実際に日本国内でこの資格がどのように評価され、どんな場面で活用できるのかを理解しておくことが重要です。表面的な情報だけで判断すると、取得後に「思っていたのと違った」という事態に陥る可能性が高くなります。

■「やめとけ」と言われる理由①:想像以上に高い学習コストと時間投資

USCPAが「やめとけ」と言われる最大の理由の一つが、取得までに必要な時間とお金の膨大さです。予備校のパンフレットには「働きながら1年で合格可能」と書かれていますが、これは相当に楽観的な見積もりだと考えたほうがよいでしょう。

(1)実際の学習時間

実際には、仕事をしながら毎日2〜3時間の学習時間を確保し、休日はほぼ全てを勉強に費やすような生活を2年から3年続けることになります。特に英語での会計学習に慣れていない人は、最初の数ヶ月は専門用語の理解だけで相当な時間を取られます。「Revenue Recognition(収益認識)」「Subsequent Events(後発事象)」といった概念を英語で正確に理解し、問題演習をこなせるレベルに到達するまでには想像以上の努力が必要です。

2024年1月からの新試験制度では、必須3科目に加えて選択科目を1つ選ぶ必要があります。選択科目は受験期間が1ヶ月間と短く設定されているため、計画的な準備が求められます。BAR(ビジネス分析)、ISC(情報システム)、TCP(税務計画)のいずれを選ぶかによって学習戦略も変わってくるため、制度変更により受験の難易度が上がったと感じる人も少なくありません。

(2)予備校の費用

予備校の費用も決して安くありません。大手予備校のコースは50万円から70万円程度、それに加えて受験料(1科目あたり約250ドル×4科目)、テキスト代、再受験費用などを含めると、合格までに100万円を超える出費は珍しくありません。さらに受験するためには、多くの州で会計単位や業務単位の取得が求められ、日本の大学では満たせないケースでは追加で単位取得プログラムを受講する必要があり、これにも10万円から30万円程度かかります。

【ポジティブポイント】
ただし、明確なキャリアビジョンを持っている人にとっては、この投資は十分に回収可能です。外資系企業や米国基準を扱う企業への転職、海外赴任のチャンス獲得など、具体的な目標がある場合、100万円と2年間の投資は決して高くありません。
実際、USCPA取得後に年収が200万円以上アップした事例もあり、投資回収期間は1〜2年程度というケースも珍しくないのです。

■「やめとけ」と言われる理由②:日本国内での活用場面の限定性

USCPAは確かに国際的な資格ですが、日本国内での活用場面は意外なほど限られています。まず理解しておくべきは、 USCPAは日本の公認会計士資格とは全く別物であり、日本での監査業務を行う権限は一切ないという点 です。日本の上場企業の監査に携わりたい場合は、日本の公認会計士試験に合格する必要があります。

(1)求人数が少ない

外資系企業や国際的な業務を扱う企業での評価を期待する人も多いのですが、実際には「USCPA保有者」という条件で募集される求人はそれほど多くありません。 大手転職サイトで「USCPA」をキーワードに検索してみても、ヒットする求人数は日商簿記1級や税理士資格と比較すると少ない のが現実です。

(2)多くの企業が求めるのは「実務経験」

多くの企業が求めているのは「実務経験」であり、資格はあくまで補完的な要素に過ぎません。特に日系企業では、USCPAよりも日本の会計基準や税法に精通していることのほうが圧倒的に重視されます。経理部門の採用担当者にとっては、「USCPAは持っているけれど日本の実務経験がない人」よりも、「資格はないけれど5年間しっかり実務を積んできた人」のほうが即戦力として魅力的に映ります。

また、USCPAを取得したからといって、自動的に英語を使う業務に就けるわけでもありません。むしろ英語で業務ができるレベルの語学力がすでにある人にとって、USCPAは一つの証明ツールとして機能するという順序が正しいのです。TOEIC600点台の人がUSCPAを取得しても、外資系企業の経理職で英語を使ったコミュニケーションができるかは別問題です。

【ポジティブポイント】
一方で、活用場面が限定的ということは、その領域においては希少価値が高いということでもあります。Big4監査法人のアドバイザリー部門、外資系企業の財務部門、米国基準採用企業の連結決算部門など、特定の業界・職種では「USCPA保有者」は明確なアドバンテージになります。 求人数は少なくても、競争率が低く、高年収のポジションに就ける可能性が高い のです。ニッチな専門性だからこそ、適切な場所では高く評価されます

■「やめとけ」と言われる理由③:期待値とのギャップ、年収は上がるのか?

転職市場での評価を見ても、USCPAホルダーだからという理由だけで高年収オファーが来るわけではありません。採用企業が重視するのは、その人がこれまでどんな実務経験を積んできたか、どのような成果を出してきたかという点です。30代前半で年収500万円の経理担当者が、USCPAを取得したからといって、いきなり年収700万円のオファーをもらえるケースは稀です。

むしろ、 すでに年収600万円から800万円程度の実務経験豊富な経理財務担当者が、さらなるステップアップのためにUSCPAを取得し、外資系企業の管理職ポジションに転職して年収1000万円レベルに到達するというパターンのほうが現実的です。 つまり、USCPAは既に高いレベルにある人をさらに押し上げるツールであって、ゼロから年収を大幅に引き上げる魔法の杖ではないのです。

【ポジティブポイント】
すでに実務経験が豊富な人にとっては、USCPAは年収の大幅アップを実現できる有効な武器になります。特に外資系企業の管理職ポジションでは、「実務経験+USCPA」の組み合わせが高く評価され、年収1000万円超のオファーも視野に入ります。キーポイントは、資格単体ではなく実務経験との掛け合わせにあります。

■「やめとけ」と言われる理由④:資格維持の負担とキャリアの方向性

USCPAは取得して終わりではなく、ライセンスを維持するためには継続的な専門教育(CPE)の受講が義務付けられています。州によって要件は異なりますが、多くの場合3年間で120時間程度のCPEが必要です。

実際に業務でUSCPAの知識を活用していない人にとって、このCPE取得は純粋に「資格維持のための負担」になります。セミナーに参加したり、オンライン講座を受講したりする時間を捻出し、その費用も自己負担しなければなりません。数年経って「この資格、結局使わないな」と気づいたときには、すでに更新費用として数十万円を支払っていたというケースも珍しくありません。

さらに問題なのは、USCPA取得に注力する過程で、本来進むべきだったキャリアの方向性を見失ってしまうケースです。たとえば、税務の専門性を深めて税理士を目指したほうがよかった人が、「グローバル」という言葉に惹かれてUSCPAに時間を費やし、結果的にどちらも中途半端になってしまうパターンです。

日本の税理士資格は、税務申告書の作成権限という明確な独占業務があり、開業も視野に入れられます。一方、 USCPAにはそうした独占業務がなく、あくまで「知識とスキルの証明」に留まります。 30代半ばになって「やはり税理士にすればよかった」と気づいても、そこから税理士試験の5科目を受験するのは現実的ではありません。

【ポジティブポイント】
CPE(継続的専門教育)の義務は、見方を変えれば専門性を常に最新の状態に保てるというメリットでもあります。会計基準は日々進化しており、定期的な学習を通じて最新の知識をアップデートできることは、プロフェッショナルとしての価値を維持する上で重要です。
また、CPEセミナーを通じて同じUSCPAホルダーとのネットワークを構築でき、キャリアの選択肢が広がったという声も聞かれます。資格維持のコストは、自己投資と割り切れば決してマイナスだけではありません。

■「やめとけ」と言われる理由⑤:実務とのギャップ、試験知識は役立つのか?

USCPA試験で学ぶ内容は、主に米国会計基準(US GAAP)や米国の税法、監査基準に基づいています。しかし日本企業の多くは日本の会計基準(J-GAAP)で決算を行っており、税務処理も日本の税法に従います。つまり、試験勉強で得た知識を実務で直接活かせる場面は限られているのです。

たとえば、USCPA試験では「Lease Accounting(リース会計)」について詳しく学びますが、これは米国基準での処理方法です。日本企業の経理担当者として実際に処理するのは日本基準でのリース取引であり、試験で学んだ知識をそのまま適用することはできません。もちろん、会計の基本的な考え方は共通していますが、「試験に合格したから実務ができる」というわけではないのです。

また、USCPAは監査論も試験科目に含まれていますが、前述のとおり日本での監査業務を行う権限はありません。せっかく学んだ監査の知識も、日本の公認会計士でない限り、実際の監査業務で活かす機会はほとんどありません。一般事業会社の経理担当者として監査対応をする際に役立つ程度です。

【ポジティブポイント】
米国基準を採用している企業や米国親会社との取引がある環境では、USCPAで学んだ知識が日常業務に直結します。米国本社への報告資料作成、連結決算の処理、国際的なM&A案件への対応など、実務でUSCPAの知識をフル活用できる場面は確実に存在します。
また、会計の「考え方」を英語で理解していることで、海外の経理チームとのコミュニケーションがスムーズになり、グローバルプロジェクトでリーダーシップを発揮できるようになったという声も聞かれます。
適切な環境に身を置けば、試験知識は強力な武器になるのです。

■それでもUSCPAが活きる場面 ~資格が武器になるキャリアパス

ここまで厳しい現実を述べてきましたが、USCPAが明確に価値を発揮する場面も確かに存在します。それは、 米国会計基準を採用している企業や、米国親会社を持つ外資系企業で働く場合 です。

(1)米国基準で連結決算を行っている上場企業

たとえば、米国基準で連結決算を行っている上場企業の連結決算担当者にとって、USCPAの知識は実務に直結します。米国本社への報告資料を作成する際、「なぜこの処理が必要なのか」「米国基準ではどう考えるのか」を理解していることで、業務の質が大きく変わります。このような環境では、USCPAは単なる資格ではなく、実務を支える専門知識として機能します。

(2)Big4会計事務所のアドバイザリー部門

また、Big4会計事務所のアドバイザリー部門や、外資系コンサルティングファームのファイナンシャルアドバイザリー職においても、USCPAは評価されます。クライアントが国際的な取引を行う際、米国会計基準や国際会計基準の知識が求められる場面は多く、USCPAホルダーとしての専門性が信頼につながります。

(3)海外赴任

さらに、海外赴任を視野に入れているビジネスパーソンにとっても、USCPAは有効です。アメリカやアジアの関連会社で財務経理業務に携わる際、現地のチームと同じ会計言語を話せることは大きなアドバンテージになります。「日本から来た経理担当者」ではなく、「米国会計基準を理解している専門家」として認識されることで、任される業務の幅が広がります。

■USCPAをおすすめできる人とは?投資に見合うリターンが期待できる条件

それでは、どのような人であればUSCPA取得が有効な選択となるのでしょうか。

(1)一定の実務経験がある人

まず第一に、すでに一定の実務経験を持ち、キャリアの次のステージを目指している人です。具体的には、 日系大手企業の経理部門で5年以上の経験があり、連結決算や国際税務に関わっている30代前半の方 などが該当します。

このような方がUSCPAを取得すると、外資系企業の経理マネージャーや、日系企業の海外子会社CFOといったポジションへの道が開けます。年収も800万円から1200万円レベルのオファーを受けられる可能性があり、資格取得への投資に見合うリターンが期待できます。

(2)英語力がすでにビジネスレベルにある人

第二に、英語力がすでにビジネスレベルにある人です。 TOEIC800点以上、あるいは英語での業務経験がある人 にとって、USCPAは語学力と専門知識を組み合わせた強力な武器になります。逆に、英語力が不十分な状態でUSCPAを取得しても、その資格を活かせる職場に転職すること自体が難しくなります。

(3)「米国会計基準を扱う業務」に携わっている人

第三に、明確に「米国会計基準を扱う業務」に携わっている、または携わることが決まっている人です。すでに米国基準での決算業務に関わっているが体系的な知識を整理したい、あるいは米国親会社への出向が決まっているので準備として取得する、といったケースでは、学習内容が直接業務に活かせるため学習効率も高く、モチベーションも維持しやすくなります。

(4)選択科目の選び方も重要に

2024年からの新試験制度では、選択科目の選び方も重要になります。

BAR(ビジネス分析) :会計・ファイナンスを中心とした科目で、事業会社の経理・財務・経営企画などを目指す人に適しています。

ISC(情報システム) :IT統制やサイバーセキュリティに関する知識が問われ、監査法人やコンサルティングファームでのキャリアを考えている人に向いています。

TCP(税務計画) :米国税法の専門的知識が必要で、国際税務のスペシャリストを目指す人に適していますが、日本人受験生には難易度が高めです。

自分のキャリアプランと照らし合わせて、どの選択科目が最も役立つかを慎重に検討する必要があります。単に「合格しやすそう」という理由で選ぶのではなく、将来のキャリアで実際に使える知識が身につく科目を選ぶべきです。

逆に言えば、「とりあえず何か資格を取りたい」「なんとなくキャリアアップしたい」という漠然とした動機でUSCPAに手を出すことはおすすめできません。簿記2級レベルの知識しかない状態で、いきなりUSCPAに挑戦するのも非効率です。まずは日商簿記1級や、実務での経験を積むことを優先すべきでしょう。

■まとめ:資格より大切なのは戦略的なキャリア設計

「USCPA やめとけ」という声が多いのは事実ですが、それは資格そのものに価値がないからではありません。多くの人が、自分のキャリアプランや現在のスキルレベル、働く環境を考慮せずに取得を目指し、結果として期待したリターンを得られないからです。

2024年からの新試験制度の導入により、選択科目の選び方という新たな判断要素も加わりました。BAR、ISC、TCPのどれを選ぶかで、その後のキャリアの方向性が変わってくる可能性があります。制度変更直後の不確実性も考慮すると、取得を決断する前に今まで以上に慎重な検討が必要です。

資格は手段であって目的ではありません。USCPAという資格を取得することで、どんなキャリアを実現したいのか、そのビジョンが明確でない限り、膨大な時間とお金を投じる価値はないでしょう。逆に、米国会計基準を扱う実務に携わっている人や、グローバル企業での財務経理キャリアを明確に目指している人にとっては、USCPAは確実にプラスに働きます。

重要なのは、資格取得の前に自分自身のキャリア戦略を練ることです。今の自分に足りないものは何か、目指すポジションに就くために本当に必要なものは何か、それを冷静に分析してください。その結果、USCPAが最適な選択だと判断できたなら、迷わず挑戦すればよいのです。

もし少しでも迷いがあるなら、まずは実務経験を積むことに集中したり、日商簿記1級や税理士科目など、より実務に直結する資格から始めることも一つの選択肢です。資格取得に使う時間とお金は、あなたのキャリアという長い道のりにおける貴重な資源です。その投資が確実にリターンを生むよう、戦略的に判断してください。

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執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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