■経理転職におけるスキル不足のケース
(1)実務経験3年未満
経理の実務経験が3年未満の場合
、多くの企業で「スキル不足」と判断される可能性があります。これは、経理業務の年間サイクルを一通り経験するのに最低でも3年程度の期間が必要だと考えられているためです。1年目は基本的な日常業務を覚え、2年目でより複雑な業務に取り組み、3年目で年間を通じた業務の流れを完全に把握するというのが一般的なパターンです。
しかし、経験年数が短いからといって転職が無理というわけではありません。短期間であっても、担当した業務の幅や深さをアピールすることで、ポテンシャルを評価してもらうことができます。例えば、売掛金管理から始まって買掛金処理、そして月次決算の一部まで担当した経験があれば、その成長スピードの速さを強調することができます。
また、経験年数の不足を補うために、資格取得や独学での知識習得に積極的に取り組んでいることをアピールするのもよいでしょう。日商簿記2級の取得や会計ソフトの操作スキルの習得など、自主的な学習姿勢をアピールすることで、将来性のある人材として評価される可能性が高まります。
(2)ブランク期間がある
結婚や出産、介護などの理由で経理の仕事から離れていた期間がある場合、
ブランクの長さによってはスキル不足と見なされることがあります。
新しい会計ソフトの普及など、経理を取り巻く環境は常に変化していることもありますし、数年間業務から離れるとやはり仕事のカンが鈍り、またそれを取り戻すのに時間がかかる場合があります。
ブランク期間のある方が転職を成功させるには、まず現在の経理業務の標準的な流れや使用されているツールについて情報収集することが重要です。クラウド会計ソフトの普及やペーパーレス化の進展など、以前とは大きく変わっている部分もあるため、最新の業務環境について情報収集する必要があります。
また、ブランク期間中に何をしていたかを前向きに説明できることも大切です。家事や育児を通じて培った時間管理能力や、地域活動での会計担当経験など、一見経理とは関係ないように見える経験でも、業務に活かせる要素を見つけて積極的にアピールしましょう。
(3)企業規模によるスキルの不一致
中小企業から大企業への転職、またはその逆の場合、
企業規模の違いによってスキルの不一致
が生じることがあります。
中小企業では一人の経理担当者が幅広い業務を担当する
ことが多く、経理から人事労務、総務まで兼務することも珍しくありません。一方、
大企業では業務が細分化
されており、担当の分野に特化した深い知識が求められる傾向があります。
大企業では複数の担当者による承認プロセスや、厳格な業務手順に基づいた作業が求められることが多いため、これらの環境に適応できることをアピールする必要があります。
逆に大企業から中小企業への転職では、幅広い業務に対応できる柔軟性をアピールすることが重要です。一つの分野に特化した経験を、他の関連業務にも応用できることを具体的に説明し、即戦力として貢献できることを伝えましょう。
■年代別に求められる経理スキル
(1)20代に必要な基本的経理スキル
20代の経理転職では、基礎的なスキルの習得意欲と成長ポテンシャルが重視されます。完璧なスキルを持っている必要はありませんが、経理業務に対する真摯な姿勢と学習意欲を示すことが大切です。日商簿記2級の知識があれば、多くの企業で教育を受けながら実務を学ぶ機会を得ることができます。
Excel操作については、基本的な関数(SUM、AVERAGE、IF関数など)を使いこなせるレベルがあれば十分です。むしろ、新しいツールや技術に対する適応力の高さをアピールすることで、将来性のある人材として評価されやすくなります。
(2)30代に求められる決算業務スキル
30代の経理転職では、月次決算業務を一人で完結できるレベルのスキルが期待されます。売上から費用まで、すべての勘定科目について適切な処理ができ、試算表の作成から決算書の作成まで、一連の流れを理解していることが重要です。
また、会計ソフトの操作に習熟していることも必須条件となります。弥生会計、勘定奉行、freeeなど、主要な会計ソフトのいずれかについて実務レベルで使用できることが求められます。データの入力だけでなく、設定変更や帳票出力、バックアップ作業なども含めて対応できることが理想的です。
30代では、上司からの指示を待つのではなく、自ら業務を計画し、効率的に進めることができる自立性も重要な評価ポイントです。月次決算のスケジュール管理や、他部署との調整業務なども含めて、主体的に取り組める姿勢を示すことが求められます。
(3)40代に必要な経営分析スキル
40代での経理転職では、単なる記帳業務を超えた経営支援能力が強く求められます。財務諸表を読み解き、企業の経営状況を分析して、経営陣に有益な情報を提供できるスキルが必要です。予算実績差異分析や、部門別収益性の分析など、経営判断に役立つ資料を作成できると、なおよいでしょう。
また、税務に関しても法人税申告書の作成経験や、税務調査への対応経験があると、企業からの評価は格段に高くなります。
(4)中堅層に必要なマネジメントスキル
経理部門の中堅層には、業務の標準化や効率化を推進するマネジメントスキルが求められます。業務プロセスの見直しや改善提案、新しいシステムの導入検討など、組織全体の生産性向上に貢献できる能力が重要です。
部下の育成についても、
単に業務を教えるだけでなく、個々の成長段階に応じた指導ができること
が期待されます。新人には基礎から丁寧に教え、経験者にはより高度な業務にチャレンジする機会を提供するなど、人材開発の視点を持った管理能力が必要になります。
また、他部署との連携においてもリーダーシップを発揮することが求められます。経理部門は企業活動の様々な側面に関わるため、営業、購買、人事など、他部署との円滑な関係構築と業務調整ができることが重要な役割となります。
■経理転職前に取得すべき資格
(1)日商簿記2級
経理転職を目指す方にとって、日商簿記2級は最も重要な資格の一つです。
この資格は、経理の基礎知識を体系的に身につけていることを客観的に証明してくれます。日商簿記2級では、商業簿記に加えて工業簿記も学習するため、製造業での原価計算についても理解を深めることができます。
日商簿記2級の学習を通じて、仕訳の基本から決算整理事項まで、経理業務の全体像を把握することができます。また、試験勉強の過程で身につく論理的思考力や、正確性を重視する姿勢は、実際の経理業務でも大いに役立ちます。
転職活動においては、日商簿記2級を持っていることで、未経験者であっても経理に対する真剣な取り組み姿勢を示すことができます。多くの企業が応募条件に「日商簿記2級以上」を設定していることからも、この資格の重要性がうかがえます。
(2)ビジネス会計検定
ビジネス会計検定は、財務諸表を読み解く能力を証明する資格です。簿記が「作る」スキルを評価するのに対し、ビジネス会計検定は「読む」「分析する」スキルを重視しています。この資格を取得することで、財務分析や企業評価に関する知識があることをアピールできます。
特に、転職を希望する企業の財務諸表を事前に分析し、面接で具体的な改善提案ができるレベルまで理解を深めることができれば、他の候補者との差別化を図ることができます。経営陣との距離が近い中小企業では、このような分析能力が特に高く評価される傾向があります。
■転職活動を有利に進めるためのポイント
(1)転職活動のスキル整理
転職活動を始める前に、
自分のスキルを客観的に整理することが重要
です。これまでの経験を振り返り、どのような業務を担当し、どの程度のレベルまで習得しているかを明確にしましょう。
単に「経理業務を担当していた」というだけでなく、「月商○億円規模の企業で、月次決算を○日以内に完了させる業務を担当していた」といった具体的な表現で説明できるようにすることが大切です。
スキルの棚卸しを行う際は、技術的なスキルだけでなく、業務改善の提案経験や、チームワークを発揮した場面なども含めて整理しましょう。経理業務では、正確性だけでなく効率性も重要視されるため、業務プロセスの改善に貢献した経験があれば、それは大きなアピールポイントになります。
また、不足しているスキルについても正直に向き合い、転職前にどの程度補強できるかを検討しましょう。完璧を目指す必要はありませんが、最低限必要なスキルについては事前に身につけておくことで、転職活動での選択肢を広げることができます。
(2)転職エージェントのサポートを受ける
経理職の転職では、専門性の高い転職エージェントのサポートを受けることが非常に有効です。経理職に特化したエージェントであれば、求人企業が本当に求めているスキルレベルや、面接でのアピールポイントについて具体的なアドバイスを受けることができます。
転職エージェントは、あなたのスキルレベルと企業の要求水準との間にギャップがある場合、そのギャップをどのように埋めるべきかについても相談に乗ってくれます。また、スキル不足を理由に諦めかけている求人についても、エージェントが企業との交渉を通じて、ポテンシャル採用の可能性を探ってくれることもあります。
さらに、転職エージェントは業界の最新動向や、各企業の採用傾向についても詳しい情報を持っています。どのようなスキルが今後重要になってくるか、どの程度のレベルまで習得すべきかといった戦略的な相談も可能です。
会計・税務・経理分野に特化した転職エージェント「ジャスネットコミュニケーションズ」には経理出身のほか、公認会計士や税理士としての実務経験を持つキャリアコンサルタントが在籍しており、実務に即したアドバイスが受けられるのが強みです。
また、ジャスネットは紹介だけではなく、派遣事業をやっていることも特徴の一つです。派遣事業をやっていることで、人事部だけではなく企業経理部の現場の部課長や担当者と繋がっていることが多いです。このことから各企業の事情に精通しているので、転職をお考えの方それぞれにフィットする職場をご提案することができます。
非公開求人も豊富で、スキルやキャリアに合ったマッチング精度の高い求人紹介が可能。初めての転職でも安心して相談できます。
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■スキル不足を乗り越えて転職に成功した事例
事例1:営業事務から経理への転職(27歳女性)
営業事務として3年間働いていたA子さんは、より専門性の高い仕事を求めて経理への転職を決意しました。しかし、経理の実務経験はゼロで、簿記の知識も3級レベルでした。彼女は転職活動と並行して簿記2級の勉強を開始し、6ヶ月間で合格を果たしました。
A子さんの強みは、営業事務での経験を通じて培った顧客とのコミュニケーション能力と、売上データの管理経験でした。面接では、この経験が経理業務の売掛金管理にどのように活かせるかを具体的に説明し、「数字に対する責任感」をアピールしました。結果として、中堅メーカーの経理職として採用され、現在は月次決算業務を担当しています。
事例2:5年のブランク後の復職(42歳女性)
出産を機に経理の仕事から離れていたB美さんは、子育てが一段落した42歳で経理職への復帰を決意しました。5年というブランクの間に、会計ソフトのクラウド化や電子帳簿保存法の施行など、経理を取り巻く環境は大きく変化していました。
B美さんは復職準備として、最新の会計ソフトの操作を学ぶため、オンライン講座を受講しました。また、ブランク期間中にPTA会計を担当していた経験を活かし、「予算管理と実績管理の経験がある」ことをアピールポイントとして整理しました。転職エージェントのサポートを受けながら、段階的にスキルを証明できる企業を選択し、最終的に地元の会計事務所での勤務を実現しました。
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まとめ
経理への転職でスキル不足を感じていても、適切な準備と戦略があれば成功の道は必ず開けます。重要なのは、現在の自分のスキルを正確に把握し、不足している部分を段階的に補強していくことです。
年代や経験に応じて求められるスキルレベルは異なりますが、共通して重要なのは学習意欲と成長への姿勢です。日商簿記2級やビジネス会計検定などの資格取得を通じて基礎知識を固め、転職エージェントのサポートを活用しながら戦略的に活動を進めることで、理想の経理職への転職を実現できるでしょう。
スキル不足は一時的な課題に過ぎません。適切な努力と準備によって、必ず克服できるものです。あなたの経理への転職が成功することを心から応援しています。
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