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「経理事務」ってどんな仕事?業務内容と向く人、向かない人は?

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将来的には経理の仕事に就きたいと考えているが、未経験のため不安も多い…。

そんな方のために、税理士として数々の企業を見てこられた他、実業も営んでいる田中義晴氏に「経理事務」の仕事について解説いただきます。

税理士 田中義晴

目次

■「経理事務」とは?

■「経理事務」の業務内容

■経理事務に必要とされる志向性(どんな人に向いているか?)

■「経理事務」のやりがい、成長は?

■「経理事務」の採用ニーズ

■「経理事務」の時給はどのくらい?

■「経理事務」の経験を活かしたその後とのキャリアパスは?

■「経理事務」とは?

経理事務の仕事は、総務、営業事務、経理補助などと重なる部分も多いといえます。

どこまでが経理事務なのかという明確な線引きはありません。つまり、企業ごとにその企業での「経理事務」の範囲を決めているケースがほとんどです。

経理業務を下記表1の一般的な業務としたとします。その場合、「経理事務」とは多くの企業では①~③くらいまでを言っていることが多いでしょう。もちろん企業によっては①のみというケースもあります。

表1

  1. ①営業事務・経理補助 … 現金出納(小口現金含む)等
  2. ②日次業務 … 預金管理(手形、小切手管理)、請求書発行、支払い処理
  3. ③月次決算補助 … 売掛金、買掛金管理等
  4. ④月次決算主務
  5. ⑤月次・四半期・年次決算

大切なのは、求人票をみた際にその企業での「経理事務」はどこまでの範囲のことを指しているかの確認です。

中小企業の場合は、総務のなかに経理事務の担当を置くことも多いです。そのケースでは経理の経験を積みたいのに、メインで担当するものは違う業務になってしまうかもしれません。一方では、たった一人の経理担当として多くの業務をまかされることもあるでしょう。

また一方で、経理部にメンバーの多い大手企業の場合は、担当の分野は明確に決められています。中小企業で少ない人数で経理業務に対応するパターンよりも、狭い範囲を受け持つことも多いでしょう。

■「経理事務」の業務内容

ここでは、一般的に経理事務といわれることが多い表1①~③までを例に、主な業務を紹介します。

(1)仕訳入力:取引の記録を電子化し、会計ソフトに入力します。

かつては仕訳作業を伝票に手書きで行っていました。よって、経理には正確な作業を素早く行える人が求められていました。しかし現在は会計ソフトに入力の際に貸借(仕訳の右と左)で間違った数字を入力すると、ソフトがエラーを指摘してくれます。

そのため、この作業に最低限必要になるのは「仕訳の知識」になります。会社で行われている資金の流れを把握し、そもそもの数字の違和感などに気づくためには簿記の基本ルールである仕訳の知識が欠かせません。

日商簿記3級に合格していると万全ですが、いったんは書籍や講座などで、上記の基本ルールを確認するとよいでしょう。

取引の記録:勘定科目を使って仕訳しよう/経理職を目指す人のための『日商簿記3級講座』

(2)伝票処理:領収書や請求書などの伝票を処理し、データベースに記録します。

伝票の処理に関しては、下記のように会社によっても取引先数によっても様々です。

①すべて会計ソフト上で行う ②会計ソフトとExcel管理の組み合わせ ③手書き

それぞれの会社のルールは入社してから覚えるとして、経理事務未経験の場合は、転職後ではなく、いま現在働いている会社の資金と伝票の動き、流れなどを確認しておくとよいでしょう。

単に作業として業務にあたるのではなく、全体感を確認することはこれから経理事務の仕事に就く際に大きな助けになります。

また現在は会計ソフトに仕訳入力をして、試算表を作成している会社が大半です。しかし最近はインターネットバンキングのデータを会計ソフトに移行することで、とても簡単にできます。いずれは効率化の波が押し寄せて、入力業務からデータ移行に業務が変わるでしょう。

仕訳の知識がないとデータ移行の際に正確に仕訳がなされているかの判断ができません。やはりここでも、仕訳の基礎的な知識は必要となります。

(3)資金管理:小口現金管理、入出金管理、銀行取引の処理、請求書の支払いなどを担当します。

会社によってルールが違うため、それを把握した上での正確な処理が求められます。

(4)帳簿管理:総勘定元帳、売掛・買掛帳、固定資産台帳などの帳簿管理を行います。

これも会社によって紙でファイリングするか、すべてを入力してデータで保存するかなど、それぞれ管理方法は違うと思います。また電子帳簿保存法が改正され、2024年1月1日からは電子データでの保存が義務化されています。

経理の分野は会社によって、かなり効率化に差がでている部分です。昔からのやり方を踏襲している場合もありますし、また会社のトップである社長に経理の知識があるかないかでも大きく違ってくるところです。

まずはその会社のやり方を身につけたうえで、経理事務の効率化の提案ができるとよいのではないでしょうか。

(5)税務申告:消費税や法人税などの申告業務の準備を担当します。

通常、税務申告は税理士が行うことが多いため、申告のための書類の準備をします。

決算申告時には、主に「決算書」「勘定科目内訳書」「事業概要説明書」「法人税、消費税の申告書」などの書類を作成する必要があります。

また日常業務の中で税務判断が必要かどうかを判断するため、消費税の課税区分がわかる、資本的支出と修繕費の違いがわかる、上場企業の場合は交際費と交際費以外の判断ができるなどの知識も必要です。

わからない場合は、職場の先輩や税理士に確認すればいいでしょう。まずは数字の違和感に気づけるかどうかが重要になります。


(6)予算管理:収支予算の策定や、実績との比較を行い、予算管理をします。

(7)連絡調整:他部署や顧客との連絡調整を行い、業務を円滑に進めます。

(8)レポーティング:月次や年次の財務報告書の作成や、経営者に対する報告を行います。

※(6)(7)(8)の業務については、経理事務としてはエキスパートレベルになります。

書類作成などは、Excelで関数が使えるレベルのスキルがあれば問題なくできると思います。一方で、上記業務の全体の遂行には、営業なり生産現場なりの知識や経験も必要になってきます。

レベルアップしていくと、営業部長などが前年度の予算をもとに今年度の予算を組んできた際に、その根拠を求められるといったこともあるでしょう。経営者の片腕として、数字を読み解いて判断のサポートができるようになります。

また、これらは単純作業は今後AIに代替されていく中で、人間でなくてはならない経理スキルとして、とても重要なものになると思います。

■経理事務に必要とされる志向性(どんな人に向いているか?)

経理事務はどのような人に向いているのでしょうか。ここではわたしのこれまでの経験やこれまでわたしが税理士事務所や事業会社を経営するなかで、触れてきた方々の傾向から考えてみたいと思います。

(1)四則演算が暗算レベルですぐにでき、数字に強い人

「数字に強い」。これは経理をする上で最も重要な適性です。

数字に対し、暗算でだいたいのイメージがつかめるかどうかや、数字への感度が高いことでミスに早く気がつくことができるかなどが重要です。これらは仕事の速さや出来不出来に大きく影響を与えます。

過去の資料と見比べて違和感を見つけたり、クライアントからの入金金額の中でどの請求書の分が未入金なのかにすぐに気づくことができたりといった、日々の業務の中で経理事務になくてはならない能力です。

(2)データなどのデジタルに強い人

これからの経理事務はデータでの情報管理が主流になるため、デジタルスキルは大変重要になってきます。基礎的なパソコンスキルは身につけておいた方がいいでしょう。

Excelのスキルに関しても、データをcsvファイルに変換し、会計ソフトにインポートなどができるレベルであれば十分です。ただ、今はできなくても、先に述べた通り基礎的なExcelの操作ができれば問題はありません。

(3)細かい作業が得意な人

経理事務の業務は、膨大な量の数字やデータを扱うことが多く、その中で細かい作業が求められます。そのため細かい作業が得意で、できるだけミスを少なくすることができる人が向いています。

(4)論理的思考ができる人

経理事務は、数字を扱う仕事です。そのため、論理的思考ができ、数字のパターンや傾向を見極める能力が必要です。

(5)責任感が強い人

経理事務は、企業や組織の財務状況や資金繰り、税務申告などに関わるため、社会的な責任を負う仕事です。そのため責任感が強く、誠実な人が向いているのではないでしょうか。

(6)コミュニケーション能力がある人

他の部署と協力しながら仕事を進めることが多く、またクライアントや税務署とのやり取りもあります。必要ないと思われがちですが、経理事務にはコミュニケーション能力があることが望ましいです。

(7)ストレスに強い人

経理事務の業務は、繰り返しの作業や納期が迫る状況など、ストレスを感じることが多いです。そのためストレスに強く、冷静に対処できる人が向いています。

■「経理事務」のやりがい、成長は?

ここでは経理事務の業務の特性とそれに伴うやりがいについて考えていこうと思います。

(1)精度と正確性が求められる仕事

数字を扱う仕事である経理事務には、精度と正確性が求められます。

会社の財務状況や資金繰り、税務申告などに関わり、社会的な責任を負う仕事であるため、仕事の正確性を維持することで、やりがいを感じることができます。

(2)組織運営に関わる貢献

経理事務は、企業や組織の財務を支える仕事です。そのため、会社の成長に大きな貢献をすることができます。また経理の仕事が円滑に進んでいることで、組織全体の運営がスムーズになります。組織にとって重要な仕事を担うことは、やりがいにつながるでしょう。

先に触れたように、経営者の片腕として頼られるレベルになれれば、それは大きなやりがいにもつながります。

(3)多くの情報に触れることができる

経理事務は、会社の財務状況や資金繰り、税務申告などに関わるため、多くの情報に触れることができます。この情報を分析し、財務戦略を立てたり、問題解決に取り組むことができたりするところまでレベルアップできれば、自身の大きな成長につながるでしょう。

(4)自分自身の成長

経理事務のレベルがあがると、法律や税務制度、会計基準など、より多くの知識やスキルが必要になってきます。これらの知識を習得することで、自分自身が成長することができます。

また経験を積むことで、将来的には経理部門のリーダーやマネージャーなど、より上位のポジションを目指すこともできます。このような成長を実感することで、やりがいを感じることができるでしょう。

■「経理事務」の採用ニーズ

(1)求められるスキル、人材

前に述べた志向性の部分をある程度兼ね備えた方であれば、あとは人間性を見られると思います。

真面目で責任感か強く、素直に教わることができる人物が求められるのではないでしょうか。

(2)採用されるポイント

採用の際には、なるべく長く働いて欲しいという気持ちがあるので、組織になじめるかどうかを重視します。

その人にとって社風が合う合わない、ということはあると思います。何社か落とされても気にせず、自分に合った会社を探してください。

(3)転職で気を付けるポイントや難易度

職務経歴書はなるべく詳細に記入しましょう。

例え経理事務の経験がない場合でも、過去にどのような仕事をしてきたのか、その際に課題をどのように克服してきたのか、経験や実績などで、その方の人物像を把握します。

■「経理事務」の時給はどのくらい?

派遣の時給としては、完全な未経験の表1①ですと1,600~1,700円、表1②~③の日次・月次補助レベルで1,650~1,850円、表1④の月次担当1,800~2,000円、表1⑤年次やさらに高度な業務や外資系の企業ですと、2,000~4,000円となっています(ジャスネットコミュニケーションズ調べ)。

パート・アルバイトの場合はこれより低い傾向にあり、地域によっても変動があります。詳しくは登録をし、担当エージェントに希望を伝えるのがよいでしょう。

■「経理事務」の経験を活かしたその後とのキャリアパスは?

経理事務を経験したあとは、経理パーソンとして転職することは可能なのでしょうか。もしくは会計事務所で働くことは可能なのか。

この仕事を経験したあとのキャリアについて、ここでは典型的な例をいくつかあげてみます。

(1)経理スタッフや経理担当者への昇進、税理士事務所への転職

経理事務の業務をこなし、会計や税務に関する知識を身につけたあと、経理スタッフや経理担当者として、より高度な業務に携わることができます。

知っている範囲ではそれほど多くはありませんが、経理事務からスタートし、会計・税理士事務所で働くことを選ぶ方もいらっしゃいます。

(2)会計士や税理士への資格取得

経理事務の経験したことで、簿記や会計、税務に興味を持ち、会計士や税理士の資格取得目指す方もいらっしゃいます。税理士の試験科目は1つでも合格していると、転職の際の評価は大きく変わってきます。

資格を取ることで、さらに高度な会計や税務の業務に携わることができます。

(3)マネジメント職へのキャリアチェンジ

経理事務の業務において、他部署との調整やプロジェクト管理などの経験を積むことで、マネジメント職への転身も可能です。

(4)総務・人事

総務や人事の部門で、経理事務で培った事務的なスキルを活かすことができます。具体的には、社員の給与計算や社会保険手続きなどを担当することができます。

(5)CFO

経理事務を志している方で、ここまでのキャリアップを目指している方は少数かもしれません。ただ、経理に必要なスキルを極めていくと、最終的には財務責任者として会社の経営に関わることも可能です。

どなたも、最初は未経験から仕事をはじめます。経理は一つ一つの業務を経験として積み上げていく仕事であり、汎用性の高いスキルといえます。この記事が経理の道に進むことのきっかけになれば幸いです。

執筆者プロフィール

田中 義晴(たなか よしはる)
税理士

大学卒業後、父の経営する税理士事務所に勤務し、2000年に税理士資格を取得。
2011年にはグロービス経営大学院を卒業し、MBAも取得した。

中小企業の事業経営を通じて税務署対策、資金繰りや人の問題、上場企業のようにコスト削減ができないジレンマを経営者の立場から実感している。また、税理士業とは別に小売業、飲食業の経営者としても実業を営んでおり、りそな総研・東京商工会議所などでセミナー講師も務めている。

経営の実情と理論に裏付けられた実践的指導は、多くの経営者から絶大な信頼を得ており、その信念は「経営者が活き活き、精力的に会社経営ができるお手伝いをすること。そして経営者が自分の進むべき道に行くためのサポートをすること」。

経理部門の地位向上を図るために経理合理化プロジェクトを推進中。

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