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経理に転職して後悔する理由と成功のポイントとは

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2025年7月28日ジャスネットキャリア編集部

転職市場において経理職は安定した需要があり、多くの方が関心を寄せる職種です。例えばベンチャー企業での経理職は、成長性と裁量の大きさから魅力的に映る方も多いでしょう。しかし実際に転職してみると、想像していた働き方とは異なる現実に直面し、後悔する方も少なくありません。

経理職への転職を成功させるためには、業務の実態を正しく理解し、自分に適した環境を見極めることが重要です。本記事では、経理職の具体的な業務内容から、転職で後悔しやすい理由、そして成功するためのポイントまで詳しく解説していきます。

目次

経理職の業務は企業の取引状況を数値で管理し、経営判断に必要な情報を提供することです。具体的には日々の取引記録から始まり、月次決算、四半期決算、年次決算といった定期的な決算業務があります。

日常業務では売上や仕入れ、経費の仕訳入力、請求書の発行や支払い処理を行います。これらの作業は正確性が求められ、一つのミスが会社全体の数字に影響を与える可能性があります。月末や期末になると決算業務が加わり、貸借対照表や損益計算書といった財務諸表の作成も重要な役割となります。

上場企業の経理職では、従来の経理業務に加えて投資家向けの資料作成なども担当することが多くなります。IPO準備段階では監査法人とのやり取りや内部統制の構築などの業務に携わる機会もあります。

■経理に転職して後悔する理由とは

(1)ルーティンワークの多さとその影響

経理職に転職して最初に感じる違和感として、ルーティンワークの多さが挙げられます。毎日同じような仕訳入力や帳簿記帳を繰り返すことで、仕事にやりがいを感じにくくなる方が多いのです。

特に前職で企画や営業など比較的自由度の高い業務を経験していた方にとって、数字の処理や確認作業が中心となる経理業務は物足りなく感じられることがあります。同じような作業を延々と続けることで、自分の成長を実感できず、キャリアの停滞感を覚える場合もあります。

(2)評価されにくい業務内容

経理職の業務は会社の根幹を支える重要な仕事でありながら、「間違えないのが当然」という前提があり、その貢献度が外部から見えにくいという特徴があります。

営業職のように売上という明確な成果や、開発職のように具体的な製品として結果が表れる業務と比べて、経理職の成果は数字の正確性や業務効率の向上といった目に見えにくい部分にあります。

この評価の難しさは昇進や昇格にも影響を与えます。経理職は専門性が高い一方で、その専門性を正しく評価できる上司や経営陣が限られているため、企業によっては適切な評価を受けにくい場合もあります。長年にわたって正確な業務を継続していても、それが当然視されがちで、プラスアルファの評価につながりにくい側面はあります。

(3)繁忙期のストレスと休暇の取りづらさ

経理職には避けて通れない繁忙期があります。月末月初の決算業務、四半期決算、年度末決算、税務申告など、特定の時期に業務が集中する傾向があります。これらの時期は企業によっては残業が多く、プライベートの時間を確保することが困難になります。

特に年度末から年度初めにかけては、決算業務と新年度の準備が重なり、非常に忙しい時期となります。この時期は有給休暇の取得も難しく、家族との時間や趣味の時間を犠牲にしなければならないことが多くなりがちです。

さらに、経理業務は「締め日」と言われる締切が厳格に決められており、延期することができません。税務申告や株主総会資料の作成など、法的な期限が設定されている業務が多いため、どれだけ忙しくても期限内に完了させる必要があります。

(4)経営層とのコミュニケーションの難しさ

経理職は経営層と密接に関わる機会が多い職種ですが、そのコミュニケーションには独特の難しさがあります。経営陣は事業の成長や戦略的な判断に関心があるのに対し、経理職は法的な遵守や リスク管理を重視する傾向があるため、時として意見が対立することがあります。

例えば、経営陣が新しい事業展開や投資を検討している際に、経理職としてはリスクやコストの面から慎重な判断を求めることがあります。このような場面で、経営陣から「消極的」「保守的すぎる」といった評価を受けることがあり、経理部門としての立場が理解されないことにフラストレーションを感じる方も多いです。

■経理への転職で後悔しないための準備

(1)自己分析とスキルの棚卸し

経理職への転職を成功させるためには、まず自分自身のスキルと適性を正確に把握することが重要です。経理業務は細かい数字の処理が中心となるため、集中力と正確性が求められます。また、長時間のデスクワークに耐える体力と精神力も必要です。

①自己分析

自己分析では、これまでの職歴で培ったスキルが経理業務にどのように活かせるかを整理しましょう。営業経験があれば数字への感度や目標達成への意識、事務職経験があれば正確性や継続性といった強みを見出せます。また、パソコンスキルやコミュニケーション能力も経理職では重要な要素となります。

②性格適性

性格面での適性も重要な要素です。経理職は責任感が強く、几帳面で継続的な作業を苦にしない方に向いています。一方で、変化に富んだ環境や創造性を重視する方には不向きな場合があります。

自分の性格と経理職の業務内容をよく比較検討することが大切です。

③動機の明確化

また、なぜ経理職を希望するのかという動機も明確にしておきましょう。安定性を求めるのか、どこでも通用する専門性を身につけたいのか、将来的に独立を考えているのかなど、目的に応じて転職活動の方向性も変わってきます。

(2)希望条件の明確化

転職活動を始める前に、自分の希望条件を明確にしておくことが重要です。給与や勤務時間、休日数といった基本的な条件に加えて、職場環境や企業規模、業界についても考慮しましょう。

勤務地についても重要な要素です。転勤の可能性や通勤時間、将来的な引越しの予定なども考慮して、長期的に働き続けられる環境を選びましょう。また、残業の頻度や繁忙期の働き方についても事前に確認しておくことが大切です。

キャリアアップの可能性についても考えてみるといいでしょう。経理職としてのスキルアップを目指すのか、将来的に管理職や経営陣を目指すのかによって、選ぶべき企業の規模や業界が変わってきます。

(3)企業文化のリサーチ

転職先の企業文化を事前に調査することは、入社後のミスマッチを防ぐために非常に重要です。企業のホームページや採用情報だけでなく、実際に働いている社員の声や企業の評判を多角的に収集しましょう。

企業文化を調査する方法として、転職サイトの口コミ情報、転職エージェントに登録してエージェントから直接聞くなどの方法があります。また、面接時には積極的に職場環境や働き方について質問し、実際の雰囲気を確かめることも大切です。

特に経理職の場合、他部署とのコミュニケーションの頻度や方法、経営陣との関わり方、業務の進め方などについて詳しく聞いておくことで、入社後の働き方をイメージしやすくなります。

(4)転職エージェントの活用法

前項でも少し触れましたが、転職エージェントは経理職への転職において強力なパートナーです。転職エージェントを活用する際は、経理・会計職に特化したエージェントを選ぶといいでしょう。業界の動向や求人市場の状況に詳しく、適切なアドバイスを受けることができます。

転職エージェントを利用する最大のメリットは、非公開求人へのアクセスや、応募書類の添削・面接対策などの手厚いサポートが受けられる点です。自分では気づきにくい強みや適性を客観的に見極めてくれるため、ミスマッチの少ない転職が可能になります。企業との条件交渉も代行してくれるため、安心して転職活動を進められます。

経理分野に特化した転職エージェント「ジャスネットコミュニケーションズ」は企業の内部情報も豊富に持っているため、求人票だけでは分からない職場環境や人間関係についても情報を把握。

紹介だけではなく派遣事業も行っているため、企業の人事部だけではなく経理部門の部門長や担当者とも直接繋がっています。このことで、企業ごとの経理部門の事情まで詳細に把握しています。

また、無料で面接対策や履歴書の添削など、転職活動全般をサポートしています。

■経理転職で評価される資格とスキル

(1)必要な資格

①日商簿記2級

経理職への転職において、資格は専門性をアピールする重要な要素となります。日商簿記検定は経理職の基本的な資格として最も重要視されており、2級以上の取得が一般的に求められます。日商簿記2級では商業簿記と工業簿記の基礎知識を身につけることができ、実務に直結する内容が多く含まれています。

②税理士の科目合格

また、税理士資格は経理職としての専門性を大幅に高める資格です。全科目合格でなくても、法人税法や所得税法などの個別科目の合格でも大いに評価されます。特にベンチャーや中小企業では税務処理も経理担当者が行うことが多いため、税務の知識は非常に重宝されます。

③その他の資格

その他にも、ビジネス会計検定や FASS(経理・財務スキル検定)など、実務に直結する資格も評価されます。これらの資格は比較的取得しやすく、転職活動でのアピールポイントとして活用できます。

(2)必要なスキル

①Excelスキル

経理職に必要なスキルは資格だけでなく、実務経験や技術的なスキルも重要です。Excel スキルは経理業務において必須のスキルであり、関数の使用方法や ピボットテーブルの作成、マクロの基本的な操作ができることが求められます。

②会計ソフトスキル

会計ソフトの操作スキルも重要な要素です。弥生会計、勘定奉行、freee、マネーフォワードクラウドなど、各種会計ソフトの操作経験があると転職において有利になります。

③コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルも経理職には欠かせません。他部署との連携や経営陣への報告、外部の会計事務所や金融機関との打ち合わせなど、様々な場面で円滑なコミュニケーションが求められます。専門的な内容を分かりやすく説明する能力も重要です。

■未経験から経理に転職した成功事例

事例1:営業職からベンチャー企業経理への転職

田中さん(仮名)は IT 系の営業職として5年間働いていましたが、数字に関わる仕事に興味を持ち、経理職への転職を決意しました。転職活動を始める前に、夜間の簿記スクールに通い、6か月で簿記2級を取得しました。
営業経験を活かして、数字への感度と目標達成への意識をアピールポイントとして転職活動を開始。IT 業界での営業経験があることから、IT 系のベンチャー企業を中心に応募しました。業界の知識があることで、経理職でも事業内容を理解しやすく、経営陣とのコミュニケーションも円滑に行えることを強調しました。
面接では、なぜ安定した営業職から経理職への転職を希望するのかという質問に対し、「営業で培った数字への感度を活かし、会社の成長を財務面からサポートしたい」と回答。また、将来的には CFO を目指したいという明確なキャリアビジョンも示しました。
結果として、従業員数50名程度のベンチャー企業に経理スタッフとして入社することができました。入社後は営業経験を活かして売上分析や予算管理にも積極的に取り組み、1年後には経理主任に昇格しました。現在は IPO 準備の中心メンバーとして活躍しています。

事例2:事務職からベンチャー企業経理への転職

山田さん(仮名)は一般事務として3年間働いていましたが、より専門性の高い仕事に就きたいと考え、経理職への転職を決意。事務職での経験を活かし、正確性と継続性をアピールポイントとして転職活動を行いました。
転職準備として、簿記3級から始めて2級まで取得し、Excel のスキルアップにも取り組みました。事務職での経験があることで、書類作成や データ入力などの基本的な業務には慣れており、経理業務への適応も早いことを強調しました。
面接では、「事務職での経験を活かして、正確で効率的な経理業務を行いたい」とアピールし、長期的に働き続けたいという意欲も示しました。また、ベンチャー企業を選んだ理由として、「成長企業で幅広い業務に挑戦したいため」と答え、積極性をアピールしました。
結果として、従業員数30名程度の E コマース系ベンチャー企業に経理アシスタントとして入社しました。入社後は基本的な仕訳入力から始めて、徐々に決算業務や税務申告にも関わるようになりました。現在は経理担当者として、会計事務所との連携や資金繰りの管理も任されています。

■経理から他の企業の経理への転職事例

事例1:大手企業からベンチャー企業への転職

佐藤さん(仮名)は大手メーカーの経理部門で5年間働いていましたが、より裁量の大きい環境で働きたいと考え、ベンチャー企業への転職を決意しました。大手企業では分業制で限定的な業務しか担当していませんでしたが、ベンチャー企業では経理業務全般に関わることができると考えました。
転職活動では、大手企業での経験を活かして、正確性と継続性をアピールしました。また、規模の大きな企業での経験があることで、内部統制や監査対応などの知識も豊富であることを強調。一方で、ベンチャー企業特有のスピード感や変化への対応力も身につけたいという意欲を示しました。
面接では、「大手企業での安定した環境から、なぜベンチャー企業への転職を希望するのか」という質問に対し、「より主体的に業務に取り組み、会社の成長に直接貢献したい」と答えました。また、将来的には IPO を経験したいという明確な目標も示しました。
結果として、従業員数100名程度のフィンテック系ベンチャー企業に経理マネージャーとして入社しました。入社後は経理業務の標準化や効率化に取り組み、IPO に向けた体制構築にも関わっています。現在は経理部門のリーダーとして、後輩の指導や経営陣への報告業務も担当しています。

事例2:ベンチャー企業から大手企業への転職

高橋さん(仮名)はベンチャー企業で4年間経理として働いた後、より安定した環境でキャリアを積みたいと考え、大手企業への転職を決意しました。ベンチャー企業では幅広い業務を一人で担当していましたが、大手企業でより専門性を深めたいと考えました。
転職活動では、ベンチャー企業での経験を活かして、主体性と問題解決能力をアピールしました。限られたリソースの中で効率的に業務を進めた経験や、新しい制度の導入や業務改善の実績を数字を交えて具体的に示しました。また、急成長する環境での変化への適応力も強みとして押し出しました。
面接では、「安定したベンチャー企業から、なぜ大手企業への転職を希望するのか」という質問に対し、「ベンチャー企業で培った実行力を活かしながら、大手企業の規模とリソースを活用してより大きな成果を上げたい」と答えました。また、将来的には管理職として組織運営に携わりたいという明確なキャリアプランも示しました。
結果として、従業員数5000名規模の製造業大手企業に経理主任として入社。入社後は大手企業の厳格なルールや手続きに慣れるまで時間がかかりましたが、ベンチャー企業で培った効率化のスキルを活かして、部門内の業務改善に取り組みました。現在は経理課長として、後輩の指導や部門間の調整業務も担当しています。

■まとめ

経理職への転職は、安定性と専門性を兼ね備えた魅力的なキャリア選択です。しかし、実際に転職してから後悔することのないよう、事前の準備と正しい理解が重要です。

転職で後悔しないためには、自己分析を十分に行い、自分の適性と経理職の特徴を照らし合わせることがポイントになります。また、希望条件を明確にし、企業文化をしっかりと調査することで、入社後のミスマッチを防ぐことができます。

成功事例からも分かるように、経理職への転職は十分に可能であり、適切な準備と明確な目標があれば、キャリアアップも実現できます。転職エージェントの活用や業界研究を通じて、自分に最適な転職先を見つけるようにしましょう。

執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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