日商簿記1級は取得難易度が高く、そのため転職などでも高く評価される資格のひとつです。ここでは10年以上に渡り簿記の講師を務める鯖江悠平さんに、その難易度や合格率などについてお話をお伺いしました。
資格取得を目指す方は、ぜひ参考になさってください。
簿記講師が語る!日商簿記1級を取得するのにかかる勉強時間、難易度は?
簿記講師 鯖江 悠平
日商簿記1級は取得難易度が高く、そのため転職などでも高く評価される資格のひとつです。ここでは10年以上に渡り簿記の講師を務める鯖江悠平さんに、その難易度や合格率などについてお話をお伺いしました。
資格取得を目指す方は、ぜひ参考になさってください。
日本商工会議所では日商簿記1級のレベルについて以下のように定義しています。
極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル。
合格すると税理士試験の受験資格が得られる。公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門。
(日本商工会議所WEBページより)
一般的には、上場企業の経理部を目指す方などにおすすめの資格です。
日商簿記1級に合格すると、会社全体の予算の立て方や資金の流れなどまで理解できるようになるため、経理としての視野が大きく広がる資格と言えるでしょう。
日商簿記1級の試験は、「商業簿記」「会計学」「工業簿記」「原価計算」の4つの試験で構成されています。
合格するには全体の70%以上に正解する必要があります。ただし1科目でも10点に満たないものがあると不合格になってしまうので注意が必要です。つまり、不得意科目で点が取れないのを、得意科目で補うことができず、まんべんなく点数を取る必要があります。
試験問題から連結会計の例をひとつ挙げても、M&A後の連結会計について問われるなど、非常に深いところまで理解していないと取得できないのが簿記1級です。
上場企業で働く場合は、その知識が必要とされますし、中小企業に勤務していたとしても、経理として総合的な視野を持って仕事ができるようになります。
また資格手当などを設定している企業も多く、給与面でもメリットがあり、転職時にも高い評価を得られるでしょう。
そのほかにも、取得には下記のメリットがあります。
最初から日商簿記1級の試験に挑戦する方は、非常に少ないのではないでしょうか。
今の日商簿記1級の試験問題は2級の知識がベースになっています。試験範囲も広く、2級のさらに深いところまで理解して勉強する必要があるため、まずは2級にチャレンジするのがよいと思います。
同じ連結会計のことを聞かれている設問でも、毎回、切り口や角度を変えて問われるため、本質的な理解が求められます。理論の丸暗記など付け焼き刃の知識では通用せず、試験範囲をまんべんなく理解しながら勉強を進める必要があります。
直近2年ほどの受験者数、合格者数、合格率は下記の通りです。やや上向きではあるものの、合格率はおおむね10%程度です。
回 | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
164(2023.6.11) | 9,295名 | 1,164名 | 12.5% |
162(2022.11.20) | 9,828名 | 1,027名 | 10.4% |
161(2022.6.12) | 8,918名 | 902名 | 10.1% |
159(2021.11.21) | 9,194名 | 935名 | 10.2% |
(日本商工会議所 WEBページより)
両者はよく難易度を比較されます。最近の合格率だけを見てみると、2022年の簿記論の合格率は23.0%のため、日商簿記1級より難易度が低いようにも思えます。
しかし、わたしはこの問い自体がナンセンスなのではないかと思っています。
税理士試験は国家試験であり、日商簿記は商工会議所主催の検定試験だからです。また試験範囲も違います。どちらも難しいことに変わりはありませんが、同列に議論するようなものではありません。
日商簿記2級に合格した方でも、さらにプラスで600~800時間は必要ではないでしょうか。1日2時間勉強しても、最低300日はかかる計算です。
社会人の方で、毎日2時間コンスタントに勉強時間を取るのは相当な精神力と根気が必要でしょう。すでに日商簿記2級を持っている方でも、1~2年はかかると想定するのがよいかと思います。
日商簿記2級の取得にかかる時間と難易度は、下記をご確認ください。
社会人の方の場合、独学は難しいため、フォロー体制や教材が整っている専門学校などで勉強するのが一番よいと思います。
独学に関しては、教材の選定やモチベーションの管理なども難しく、わからないことがあった時に気軽に聞ける人もいないため、非常に難易度が高いと言えます。日商簿記2級の独学とは、また次元の違う世界だと思った方がよいでしょう。
日商簿記1級を勉強する中で、合格のために何より大切なのが演習だと、わたしは思っています。今は無料動画などで独学にて、理論など知識面を勉強できるツールもありますが、どんな問題にも対応できる力は、やはり演習を重ねることでしか培うことはできません。
また最近の試験では、公認会計士や税理士の試験に近いようなレベルの高い問題が出題される傾向があり、商業簿記についてかなり深く問われる印象です。商業簿記、会計学については以前よりも難化傾向にあると思います。
あまり語られていませんが、工業簿記と原価計算は逆に以前よりもやさしくなっているようです。
人間は何か制限がないと必死に勉強するのは難しいものです。
日商簿記1級の試験日は年2回。簿記3、2級のようにネット試験はありません。
期限を決めることで自分が勉強しなければいけない状況を作り出すことが大事です。受付が開始した時点で、すぐに申し込んでしまいましょう。
わたしの教え子の中の合格が早い生徒は、4月に入学しその年の11月には合格していきます。目標に向かって努力すれば、合格を勝ち取ることができるのではないでしょうか。どうか頑張ってください。
簿記専門学校卒業後、専門学校の簿記会計講師を担当。
これまで簿記会計の授業だけではなく、テキストや問題集等の教材開発、学生の就職相談や卒業生の転職相談など幅広く業務に携わっている。
10問の質問に回答するだけで、
性格タイプやキャリア志向が明らかに!
経理転職に関するカテゴリーごとにまとめたページです。
ビジネスの成否の裏には、
管理会計の優劣がある
公認会計士 金子 智朗
業務効率化と働き方改革が
経理現場にもたらすものは?
税理士 小島 孝子
調査官の手の内を知れば、
税務調査は怖くない
元国税調査官・税理士 松嶋 洋
企業経理部と会計事務所は、
コロナ後の世界をどう生き抜けばよいのか
税理士 小島 孝子
転職のコツ・決め手の
インタビュー集
転職に関するすべてのお悩みを
熟練のエージェントがズバッと解決
書類選考を突破するためには、
書き方の法則があります。
経理を始めるための
基礎知識
業務別の経理の仕事内容ガイド
仕事のやりがい、次のステップを知る
決算書を本格的に学ぶにあたっての
予備知識を得ることができる
10問の質問に回答するだけで、
性格タイプやキャリア志向が明らかに!
簿記講師 鯖江 悠平
簿記講師 鯖江 悠平
ジャスネットキャリア編集部
簿記講師 鯖江 悠平
ジャスネットキャリア編集部
税理士 定岡佳代
簿記講師 鯖江 悠平
ジャスネットキャリア編集部
ジャスネットキャリア編集部
ジャスネットキャリア編集部
税理士 定岡佳代
公認会計士 鯖江 悠平
公認会計士 江黒 崇史
公認会計士 江黒 崇史
公認会計士 江黒 崇史
公認会計士 江黒 崇史
公認会計士 江黒 崇史
公認会計士 江黒 崇史
ジャスネットキャリア編集部
ジャスネットキャリア編集部
ジャスネットキャリア編集部
簿記講師 鯖江 悠平
ジャスネットキャリア編集部
簿記講師 鯖江 悠平
ジャスネットキャリア編集部
ジャスネットキャリア編集部
ジャスネットキャリア編集部
公認会計士 三宅 博人
税理士 田中 義晴
税理士 宮本 晃
ジャスネットキャリア編集部
ジャスネットキャリア編集部
税理士 定岡 佳代
税理士 田中 義晴
税理士 小島 孝子
税理士 田中 義晴
税理士 田中 義晴
ジャスネットキャリア編集部
税理士 小島 孝子
税理士 小島 孝子
税理士 小島 孝子
税理士 小島 孝子
税理士 小島 孝子
税理士 小島 孝子
税理士 小島 孝子
税理士 小島 孝子
税理士 小島 孝子
税理士 小島 孝子
元国税調査官・税理士 松嶋 洋
税理士 小島 孝子
税理士 小島 孝子
元国税調査官・税理士 松嶋 洋
元国税調査官・税理士 松嶋 洋
税理士 小島 孝子
公認会計士 金子 智朗
税理士 小島 孝子
公認会計士 金子 智朗
公認会計士 金子 智朗
税理士 小島 孝子
税理士 小島 孝子
公認会計士 金子 智朗
10問の質問に回答するだけで、
性格タイプやキャリア志向が明らかに!
10問の質問に回答するだけで、
性格タイプやキャリア志向が明らかに!
Y.Kさん 20代 男性
S.Eさん 30代 女性
M.Fさん 40代以上 男性
K.Rさん 20代 男性
10問の質問に回答するだけで、
性格タイプやキャリア志向が明らかに!
「Accountant's Magazine」は、著名な会計プロフェッションにスポットをあて、その人生観・仕事観を紹介。会計・経理分野に従事する人と仕事の将来像を提示する、読者と共に考えるヒューマンドキュメント誌です。今なら新規登録していただくと、「Accountant's Magazine」(WEB版)の全記事を無料で閲覧することができます。