企業経営において、財務データの正確な把握と迅速な分析は、経営判断の鍵となります。しかし、これらのデータは専門的かつ膨大であり、経営者や経理担当者が直感的に理解することは容易ではありません。
この度、クラウド会計ソフト「マネーフォワード クラウド 会計 for GPT」と「ChatGPT」がAPI連携するという機能が実装されました。
会社数字については「ChatGPT」がリアルタイムで分析を行い、経営者や担当者が求める情報を瞬時に提供するサービスとのことです。実際の使い勝手はどうなのか、税理士であるわたしが早速試してみました。
■ テストデータを使っての検証
(1)当年の売上データを入力
最初にマネーフォワードクラウドに簡単に、焼肉店という設定でテストデータの数字を入力しました。
焼肉店
売上 5,000,000円
水道光熱費 5,000円
旅費交通費 44,000,000円
わかりやすように、あえて旅費交通費を多額にしてみました。
(2)経営分析に関する質問する
そして次の質問をしました。
(プロンプト)「経営者目線に立って焼肉店として2024年度の経営数値について分析してください」
回答は下図のとおり:
(3)前年の数値を入力
単年度での分析だけでは、数値を拾って一般的な回答をするだけという印象です。
次に前年である2023年度の数値も以下のように入力してみました。
売上10,000,000円
水道光熱費1,000円
旅費交通費9,000,000円
(4)質問の仕方(プロンプト)を工夫
そして次の質問として、具体的な立地と注目すべき点について追加してみました。
(プロンプト)「新橋エリアの物価や競合状況を踏まえ、2023年度と2024年度を比較したコスト削減の戦略を提案してください。特に、どの経費項目に注目すべきか教えてください。」
回答は、下図の通り。
■ ChatGPTをどのように使うのが適切か
(1)データ分析や異常値の発見など、経営分析に使える
税理士であるわたしが使った所感とすれば、例えば経理の予算担当の方が細かい数値について「ChatGPT」に質問するという使い方よりも、経営者がリアルタイムに前年比較等を分析し、対策できるツールとして威力を発揮すると感じました。
特に前年や前月との比較、さらには競合分析など、さまざまな角度からデータを分析し、数値の裏にあるトレンドや異常値を素早く把握できます。これにより、問題の早期発見と解決策の立案が可能になります。
(2)使い方次第では経営者の右腕になりうる
またChatGPTを活用することで、経営者は市場の変化や内部環境の変化に即応した戦略の立案や修正が可能になります。戦略をタイムリーに修正することで、事業運営の精度が向上します。
迅速なデータ分析により、リスク要因を早期に特定し、対応策を講じることができまると感じました。使い方次第では経営者の右腕になるという印象です。