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経理スキルアップの「7つの戦略」
第1章 スケジュールを“見える化”する

写真1

ジャスネットキャリア編集部

ここでは、これから経理スキルを磨きゆくゆくはキャリアアップしたい方に向け、具体的なスキルアップの方法を “7つの戦略”として提案しています。

第1章はスケジュール管理のためのツールとして、Excelを使ったスケジュール表の作成についてお話いたします。

進捗の見えづらい経理の現場において、いかにスケジュールを守るとこが重要か、またどうすればそれを可能にすることができるかをお伝えいたします。

目次

■計画的な行動の基本は“見える化”すること

■スケジュール表は共有しよう

■スケジュールをどう守っていくか

■チェックリストと未了事項リスト

■毎月のカイゼンは怠らない

■計画的な行動の基本は“見える化”すること

簡単に行動予定の全体を把握できるスケジュール表があれば、明日、明後日のタスクを常に念頭に置いて行動できますし、トラブルの際にも柔軟に日程を再調整できます。

スケジュールを“見える化”しておくことで、「トラブルが発生したから、次の作業を急いでやろう」という精神論的な考え方から、「どう作業を組み替えれば締め切りを守れるだろうか」という合理的な発想に転換できるのです。

(1)シンプルで一覧性の高いスケジュール表が経理向き

経理では2種類のスケジュール表

を作成しましょう。

ひとつは経理部全体のスケジュール表であり、もうひとつは担当者各個人のスケジュール表です。

スケジュール表というと、Googleカレンダーなどの専用ツールを使っている会社もあるかと思いますが、ここではExcelで自作することをおすすめします。

理由としては、経理のスケジュール表に必要なのは下記の2点からです。

  • 全体を俯瞰できること
  • 簡単に予定の組み換えができること

(2)全体スケジュール表は3つの視点で作る

まず経理部全体レベルでのスケジュールの作り方、管理の仕方を説明いたします。

ポイントは「確定日程」「経理部内日程」「監査日程」の3つの視点でスケジュールを作成することです。

【図表1-1】経理部全体のスケジュール
図表1-1

具体的には【図表1-1】のように。3本の列を使用して大まかな日程を決めていきます。

① 「確定日程」に入れるもの

「確定」の列は、決算開示日程や法定書類の提出日などの法定期限が定められているもの。または経営会議や取締役会の日程などの、変更困難なスケジュールを記入します。

② 「経理部内日程」に入れるもの

続いて「経理部内日程」の列に経理部全体のスケジュールを記入していきます。

当然、「確定」のスケジュールを横目で見ながら、それに間に合うようにスケジュールを組んでいきましょう。

③ 「監査日程」に入れるもの

最後に「監査」の列に監査法人や税理士の往査日程を書き込んでいきます。

いずれにせよ、3つのスケジュール全体を俯瞰しながら、バランスの取れた無理のないスケジュールを作ることが重要です。

(3)個人のスケジュール表は再調整がしやすいように

個人用のスケジュールは【図表1-2】のようなフォームで作成しましょう。

【図表1-2】スケジュール表の例
図表1-2

縦軸に日付を取り、半日で一行使用します。横軸には全体日程、個別日程(会議や外出の日程)および担当している業務区分を並べます。

テーブル内には、それぞれの日に行う予定のタスクを書き込んでいきます。

ポイントは下記になります。

  • 自分の業務の全体像が一覧できること
  • コピー&ペーストで簡単にスケジュールを組み替えられること

全体を一望しながら、どのように組み替えれば全体スケジュールを維持できるか考えやすいフォーマットが必要なのです。

(4)個人用スケジュール表、活用のコツ

個人用スケジュールは毎月作成することをおすすめします。一方で内容の多寡は臨機応変に考えてもいいでしょう。

新しい担当業務は、業務フローを確認しながら細かく手順を記載しておき、慣れてきたらより簡単に書き込めばいいと思います。

業務が翌日に持ち越しになってしまった場合などは、必ずスケジュールを組み替えるなどの作業が必要ですが、あまり厳格に運用しすぎると、それ自体が手間となり結局見なくなってしまいますので、適度に活用してください。

■スケジュール表は共有しよう

部署レベルでの行動管理は部門リーダーの仕事です。

個人別のスケジュール表は、締め日までの各担当者の作業が俯瞰できるという点で、リーダーが部下の進捗状況を把握するのにも非常に有用なツールです。

部門リーダーは各担当者にスケジュール表を作らせ、これを集めて進捗をチェックするとよいのではないでしょうか。集め方は2パターンあります。

(1)スケジュール変更時に再提出させる

事前にスケジュールを集めておき,何か変更が生じたときに再提出させる方法です。

タイムリーにスケジュール変更が把握できるため、トラブルが起きていることがすぐにわかりますし、状況や今後の見込みについて担当者にヒアリングしやすい方法です。

ただし、部門リーダーの手もとに似たようなExcelシートがたくさん集まるため、全体の状況を把握することがやや難しくなりますし、集められたシートのバージョン管理にも手を焼く恐れがあります。

(2)Excelシートを共有する

① Excelシート共有の方法

共有サーバー上にひとつのExcelシートを作成しておき、そこに各担当者が入力していく方法があります。これは一般的な方法でしょう。

また、MicrosoftのSharePointやTeams等でExcelを共有するという方法や、ExcelではなくGoogleスプレッドシートを使う方法もあります。

② Excelシートを共有するメリット

この方法では部門リーダーの手元に大量のExcelシートが集まることがないため負担が少なく、またすでに一覧表になっているため、全体を把握しやすいという利点があります。

一方で「いつの間にか予定が変更されていた」という問題が起きやすいため、スケジュール変更時の部門リーダーへのレポーティングルールを別途作る必要があります。

■スケジュールをどう守っていくか

スケジュールをどう守っていくかについてです。まず基本的に予定は必達であるべきで、予定の変更はやむを得ない場合にのみ可能であるという認識を持つことです。

そのうえで、さらに上手く運営していくためのポイントをお伝えいたします。

(1)トラブル発生を織り込んだスケジュールを立てる

社内外から証憑が届くのが予定よりも遅れ、それが原因でスケジュールが狂うことはよくあります。

また締め切り前には請求書などの証憑がいっせいに届くため、所要時間ギリギリまで提出を受け付けていたのでは、ちょっとしたトラブルに対処する余裕がなくなってしまいます。

締め切りを1日以上前倒しにすることで、予定通りに集まった証憑を処理しつつ、遅延している証憑のチェックや催促に手を回す余裕ができます。

(2)相手にスケジュールを守らせるのは自分の仕事

一部証憑の遅延に備えて日程にバッファーを設けておく一方で、各部署に対して証憑提出期限を守らせる意識づけも必要です。

特に遅延の常習者に対しては、提出期限の2~3日前に、請求書の集まり具合はどうか、締め切りどおり提出できそうかについて声をかけると非常に効果的です。

できれば直接、会って聞くのがいいでしょう。

(3)社外の相手にはどうすればいいか

社外の取引先から請求書が送られてこない場合もあります。

その場合でもあきらめず、取引先に直接電話をし、請求書送付を早めてもらうようお願いするぐらいのことはしてみましょう。

郵送で送られてくる証憑をPDF化してメールで送ってもらえば時間の短縮になります。

発注部署の担当者宛てに送られてくる請求書のメールは、CCに自分も加えてもらうことで、発注部署と同時に入手できるようになります。

なお取引先の重要度にもよりますが、社外に電話する際は上司か担当部署に断ってからの方がよいでしょう。ただし、多くの場合では協力を求めることは失礼なことではなく、多少の追加作業であれば快く応じてくれます。

(4)「簡単でない」と「できない」は別の概念

とはいえ他部署や取引先に対しての協力要請は常識的な範囲で行いましょう。

どうしても請求書が間に合わない場合は、納品書で仕訳を切ったり、各部署に経費一覧を作成させたりといった対応が必要になります。

(5)毎月の振り返りを継続する

最後に重要なポイントとして、毎月締日のあとにスケジュールの達成具合を振り返る時間を設けましょう。これは経理部全体でミーティングを開き、意見を出し合うことが効果的です。

こうしたミーティングは経理業務の高速化という点では間違いなく効果のある会議ですので、継続して開催しましょう。

■チェックリストと未了事項リスト

スケジュール表は細かい業務内容を逐一記載するものではなく、大まかな流れをコントロールするためのものです。スケジュール表の作成管理とは別に、個々の作業を効率的に進める必要があります。

広範かつ複雑な個別業務を漏れなく効率的に進めるために有効なのが、チェックリストと未了事項リストです。

① チェックリスト

チェックリストは事前に用意しておくもので、毎月の作業を漏れなく行うために非常に有効です。

次に必要な作業は何かと考える時間もなくなり、大幅な時間削減と判断ミスの排除ができます。

【図表1-3】チェックリストの例
図表1-3
② 未了事項リスト

一方の未了事項リストですが、これは作業中のイレギュラーに柔軟に対応するものです。

必要な作業をあえてスキップした際などに、あとで忘れずにタスクを実行するために備忘録としてリストアップしておくと効率的です。

【図表1-4】未了事項リストの例
図表1-4

■毎月のカイゼンは怠らない

今回紹介したスケジュール表を導入しても、最初の数カ月はしっかり守れず、日程変更ばかりすることになるかもしれません。しかし、毎月反省を踏まえながら作りこみ、日々意識しながら業務を行っていくことで、いずれ必ず守れて当たり前になっていきます。

ぜひそこで満足することなく、さらなる高みを目指して仕事をしてほしいです。

このような担当者による業務効率アップのためのトライ&エラーによる探求を「カイゼン」と呼びます。

もともとはトヨタ自動車で重視していた工場現場レベルの作業効率化活動のことですが、世界トップクラスの自動車メーカーに成長した背景には、現場の作業者ひとりひとりの飽くなきカイゼン活動があったのです。

経理として、あなたもトライ&エラーでカイゼンを進め、さらなるスキルアップをどん欲に目指していただきたいです。

執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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