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経理業務の中での「税務」とは?税務知識が経理担当者の市場価値を高める理由

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2026年6月9日 ジャスネットキャリア編集部

経理の仕事に携わっていると、「税務は税理士や会計事務所に任せればいいのでは」と感じる場面があるかもしれません。たしかに税務申告の代理は税理士の独占業務ですが、企業の経理担当者が税務の知識をまったく持たずに働けるかというと、話は別です。法人税や消費税の基本的な仕組みを理解していなければ、日々の仕訳や決算処理も正確には進められません。

さらに転職市場に目を向けると、税務知識を持つ経理担当者は、そうでない人材と比べて明確に評価が高くなる傾向があります。本記事では、経理業務の中での「税務」を整理したうえで、税務スキルがキャリアにどう影響するかを具体的に解説します。

目次

■経理業務の中で「税務」はどう位置づけられるのか

企業の経理部門が担う業務は、大きく 「財務会計」「管理会計」「税務会計」 の3つの領域に分類されます。

  • 財務会計は株主や投資家、金融機関など外部のステークホルダーに財務状況を報告するための会計であり、貸借対照表や損益計算書の作成が中心です。日々の入出金管理や請求書処理、売掛金・買掛金の管理といった経理のルーティン業務も、この財務会計の領域に含まれます。
  • 管理会計は経営層の意思決定を支えるための会計で、予算管理や原価計算などが含まれます。
  • 税務会計は、国や地方自治体に対して正確な税額を計算・申告するための会計です。

つまり「税務」は経理部門の業務範囲から外れた別の仕事ではなく、経理が担う会計業務の一領域です。大企業や上場企業では経理部の中に「税務グループ」「税務チーム」といった専門部署が設けられ、法人税や消費税の申告、税効果会計、連結納税などを専任で扱う担当者がいます。一方、中小企業では税務を含む経理業務全般を少人数でカバーするため、一人の経理担当者が税務会計まで幅広く関与するケースが一般的です。

このような背景から、経理担当者が税務の知識をどの程度持つべきかは、企業規模や所属する部門の体制によって異なります。ただし、 どのような環境であれ、税務会計が経理業務の一部であるという認識を持つことは重要です。 日々の仕訳や決算処理は税務上の取り扱いと密接に連動しており、税務の基本的な仕組みを理解していることが、経理担当者としての業務精度と視野の広さに直結します。

【参考記事】
経理の仕事の流れと仕組み 徹底解説
https://career.jusnet.co.jp/keiri_work/

■企業規模によって異なる「経理×税務」の実態

経理担当者が税務にどこまで関わるかは、働く企業の規模によって大きく異なります。

いずれの規模においても、経理担当者が税務の基礎知識を持っていることは業務の精度向上に直結します。中小企業では税務知識が実務そのものに必要であり、大企業では税務チームとの連携や会話の質を高めるために不可欠です。

自分が今どのような環境に置かれているかを把握したうえで、必要な税務知識の範囲を考えることが、キャリア形成の第一歩になります。

(1)中小企業の場合

従業員数が数十名程度の中小企業では、経理担当者が一人あるいは少人数で全社の会計業務を担うことが一般的です。このような環境では、日々の記帳から決算処理、さらに税理士への資料提供や税務申告のサポートまで、経理担当者が幅広く関与するケースが多くなります。場合によっては、法人税や消費税の申告書の下書きを自社で作成し、税理士に確認を依頼するという流れで業務が進む会社も珍しくありません。

(2)大企業や上場企業の場合

一方、従業員が数百名を超える大企業や上場企業では、経理部門の中に「税務担当」として専門のチームやポジションが設けられていることがあります。このような組織では、日常的な経理業務と税務業務が明確に分業されており、税務担当者はグループ通算制度や移転価格、タックスプランニングといった高度な税務実務に特化して取り組みます。

■経理担当者が知っておくべき税務知識の範囲

経理担当者に求められる税務知識は、税理士が扱う専門的な申告実務の全領域を網羅する必要はありません。ただし、以下の3つについては日常的な経理業務と直接かかわるため、基本的な仕組みをしっかり理解しておくことが求められます。

(1)法人税

まずは法人税です。企業の課税所得は、会計上の利益をそのまま使うのではなく、税法上の加算・減算(税務調整)を経て算出されます。減価償却費の税務上の限度額や交際費の損金算入制限など、会計処理と税務処理のズレを理解していないと、決算仕訳の段階でミスが生じる可能性があります。

(2)消費税

次に消費税です。インボイス制度の導入以降、仕入税額控除の要件が厳格化されており、日々の請求書管理や勘定科目の振り分けにおいて消費税の知識は欠かせません。課税取引・非課税取引・不課税取引の区別を正確に把握できているかどうかが、決算の精度に直結します。

(3)源泉所得税

そして源泉所得税です。役員報酬や給与、外部の個人への報酬支払いには源泉徴収の義務があります。源泉徴収の対象となる支払いの種類や税率を誤ると、追加の納付や不納付加算税が発生するリスクがあるため、経理担当者として正確に把握しておくべき領域です。

これらの知識は「税理士に任せれば問題ない」と考えるのではなく、経理担当者自身が一次情報として理解したうえで税理士と連携することで、業務の質と効率が大きく向上します。

【経理実務の学校】
https://edu.jusnet.co.jp/

ジャスネットが運営する「経理実務の学校」では、簿記の知識と経理実務をつなぐための教育教材を提供しています。日商簿記3、2級の試験対策から日常経理、決算業務、管理会計など経理実務に役立つ300以上のセミナーやWEB動画講座など。150以上の動画が無料で視聴できるサービスですので、ぜひご活用ください。

■税務知識がある経理は転職市場でどう評価されるか

転職市場において、税務知識を持つ経理担当者は明確に差別化された存在として扱われます。理由は単純で、企業側が「会計と税務をある程度一人で完結できる人材」を求めているからです。特に以下の3つの場面で、税務スキルは高く評価されます。

(1)中小・中堅企業

一つ目は中小・中堅企業への転職です。経理部門が少人数で構成されている企業では、税務を含む幅広い業務をこなせる人材を必要としています。「税理士への丸投げではなく、税務側でも一定のコミュニケーションが取れる経理担当者」というポジションは、こうした企業にとって採用優先度が高く、年収交渉においても有利に働くケースがあります。

(2)外資系企業の経理ポジション

二つ目は外資系企業の経理ポジションです。外資系企業では本社への報告と日本の税務申告を並行して対応するケースがあり、国内税務の知識を持つ経理担当者は即戦力として評価されます。

(3)国内の上場企業

三つ目は国内の上場企業への転職です。上場企業では税務申告を外部の税理士に全面委託するのではなく、社内の税務担当者が中心となって申告業務を完結させるケースが多くあります。そのため、税務チームのポジションに応募する際はもちろん、一般の経理ポジションであっても「税務調整の仕組みを理解している」「税効果会計の処理に関与した経験がある」といった知識・経験は、即戦力性の高さとして評価されます。

いずれの場合も、「税務ができる」そして 「税務を理解したうえで経理業務の全体像を把握できる」という視点の広さが評価ポイント になります。ジャスネットに寄せられる求人を見ても、「税務経験歓迎」「税理士とのやりとり経験者優遇」という記載を持つ経理求人は一定数存在しており、該当スキルを持つ候補者への評価は高い傾向にあります。

■税務スキルを身につけるための3つのルート

税務知識を経理キャリアに組み込んでいくには、大きく3つのアプローチがあります。

ルート① 現職での実務を通じて学ぶ

最も手堅いのは、現在担当している業務の中で意識的に税務への関与を深めていく方法です。顧問税理士への資料提供や確認作業を単なる事務作業として流すのではなく、「なぜこの処理が必要なのか」「この仕訳はどう税務に影響するのか」を能動的に学ぶ姿勢が重要です。税理士との打ち合わせ同席を申し出る、申告書の内容を自分でも読み解いてみるといった小さな行動の積み重ねが、着実な理解につながります。

ルート② 税理士試験の科目合格を目指す

より体系的に税務を学びたい場合は、税理士試験の科目合格が有効です。特に「法人税法」や「消費税法」の科目合格は、経理担当者としての専門性を証明するうえで評価されやすく、履歴書・職務経歴書にも記載できる実績となります。税理士資格の完全取得を目指す必要はなく、経理キャリアの延長として税務科目1〜2科目の合格を目標に据える方も多くいます。

ルート③ 会計事務所・税理士法人での実務経験を積む

事業会社の経理から一度会計事務所や税理士法人に転職し、税務の実務経験を集中的に積むというルートもあります。この経験を経て再び事業会社の経理に戻ると、「税務側の視点を持つ経理担当者」として市場価値が大きく上がるケースがあります。このルートの詳細については、 【経理経験者が税理士事務所へ転職するメリットとは?】 もあわせてご覧ください。

■転職成功事例

【大阪から東京の大手企業への転職を求めて活動】
(T.Nさん・30代男性)

もともとは設計の仕事に携わっていたNさんは、一念発起して経理や税務の勉強を開始。日商簿記検定1級や税理士試験に2科目合格後、大阪にある上場企業に転職し、3年ほど経理として勤めていました。しかし子会社のとりまとめをお一人で任されていたため残業が多い割に給料が少なく、このことに次第に疑問を抱くように。
そこで転職先を求めて、当社にご登録されました。 Nさんの第一の希望は年収アップ。また大阪ではなく、東京に本社を置く、より大きな企業で働くことを希望していました。果たしてどのように転職を成功させたのでしょうか?

→転職成功事例はこちら

【正社員として長く働ける環境を求めて転職】
(M.Hさん・30代女性)

Hさんは大手広告代理店で、長年経理業務に携わってこられました。年次決算や開示資料の作成、税務申告を任されるなど、これまでの経験やスキルについては申し分ない方でした。しかしHさんはその会社で契約社員として雇用されており、正社員への登用制度もありません。同社でのキャリアアップは難しいと感じ、転職を決意してジャスネットにご登録されました。果たしてどのように転職を成功させたのでしょうか?

→転職成功事例はこちら

■「経理×税務」で転職を考えるなら、どう動くべきか

税務知識を持つ経理担当者が転職活動を進めるうえで意識したいのは、「何ができるか」を具体的に言語化するという点です。「税務もやっていました」という曖昧な表現よりも、 「自社の法人税申告・消費税申告を担当していた」「法人税申告のための税務調整資料を自社で作成し、顧問税理士に提出していた」「消費税の課税区分の整理と申告書の確認を担当していた」という形で、業務の具体性を持たせることが評価につながります。

転職の時期については、 決算期直後が最もキャリアの棚卸しをしやすいタイミング です。直近の決算・申告業務での経験を生々しく語れる状態で転職活動に入ることで、面接での説得力が増します。

ジャスネットでは、会計・経理・税務分野に特化したエージェントが、個々の経験を転職市場での強みとして整理するサポートを行っています。「自分の税務経験がどう評価されるかわからない」という段階でも、まずはご相談いただければ、適切な求人ポジションと転職戦略をご提案することが可能です。

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■まとめ

経理と税務は、担う役割が異なりながらも業務上は深く連動しています。税務知識を持つ経理担当者は、中小企業・上場企業・外資系企業のいずれにおいても高い評価を受けやすく、転職市場での選択肢と年収の幅が広がります。

現職での実務を通じた学習、税理士試験への挑戦、会計事務所での実務経験など、自分のペースと目標に合ったルートでスキルを積み上げていくことが、経理のプロフェッショナルとしてのキャリアを着実に前進させることにつながるでしょう。

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執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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