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経理経験が浅い人の転職成功術
キャリアの広げ方を徹底解説

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2025年7月25日ジャスネットキャリア編集部

経理職への転職を考えているものの、実務経験が浅くて不安に感じている方は多いのではないでしょうか。確かに経理職は専門性が高く、実務経験を重視される職種です。しかし、適切な戦略を立てれば、経験が浅い方でも十分に転職を成功させることができます。

本記事では、経理職の転職市場における実務経験の重要性から、経験の浅い方が取るべき具体的なアプローチまで、詳しく解説していきます。経理職としてのキャリアを築きたい方にとって参考になる内容となっています。

目次

■経理職の転職市場における実務経験の重要性

(1)職種の特殊性

経理職が実務経験を重視する背景には、この職種の特殊性があります。経理は企業の経営状況を数字で正確に把握し、適切な会計処理を行う責任のある業務です。一つのミスが企業全体に影響を与える可能性があるため、雇用する側も慎重にならざるを得ません。

同じ取引でも業界や企業規模によって会計処理の方法が異なる場合があり、これらのノウハウは実際の業務を通じてしか身につけることができません。また、経理システムの操作方法や社内の承認フロー、関連部署との連携なども、実務を通じて学ぶべき重要な要素です。

(2)期限内の正確な処理

さらに、経理業務は月次決算や年次決算など、決められた期限内に正確な処理を完了させる必要があります。このような時間的プレッシャーの中で確実に業務を遂行する能力は、実務経験を通じて培われるものです。そのため、多くの企業が経理職の採用において実務経験を重視する傾向にあります。

経理職の求人を見ると、「経理経験3年以上」や「決算業務経験者優遇」といった条件が多く見受けられます。これは決して経験の浅い方を排除するためではなく、企業が求める業務レベルを明確にし、適切な人材を確保するための現実的な判断なのです。

■経理に求められる具体的な実務経験

(1)日常業務

経理の日常業務は、企業の規模や業種によって多少の違いはありますが、基本的な流れは共通しています。まず、日々の取引に関する伝票処理(会計システムへの入力処理)があります。これには売上計上、仕入計上、経費処理、現金出納管理などが含まれます。

特に重要なのは、各種証憑書類の確認と適切な勘定科目への振り分けです。領収書や請求書、納品書などの書類を正確に読み取り、会計基準に従って適切に処理する力が求められます。この作業は一見単純に見えますが、実際には法的な知識や会計的な判断力が必要な場面が多く存在します。

また、銀行関連業務も日常業務の重要な部分です。入出金の確認、銀行残高の照合、手形や小切手の管理などを通じて、企業の資金状況を正確に把握する必要があります。これらの業務は企業の資金繰りに直結するため、正確性が求められます。

(2)月次決算

月次決算は経理業務の中でも特に重要な位置を占めており、多くの企業で経理経験者を採用する際の判断基準となっています。月次決算では、その月の業績を正確に算出します。この数字をもとに、企業によっては経営陣に報告するための資料を作成します。

具体的には、売上の計上漏れや重複がないかのチェック、仕入や経費の適切な期間配分、減価償却費の計算などを行います。これらの作業は会計基準に基づいて正確に実施する必要があり、実務経験なしには対応が困難な場面も多く存在します。

(3)年次決算

年次決算は経理業務の集大成とも言える重要な作業で、上場企業では特に厳格な基準が適用されます。年次決算では、一年間の企業活動をすべて正確に反映させた財務諸表を作成し、株主へ報告する必要があります。

年次決算の特徴的な業務として、棚卸資産の評価、固定資産の減損検討、税効果会計の適用、連結決算の処理などがあります。これらの業務は高度な会計知識と豊富な実務経験が必要であり、経理職のキャリアアップにおいて重要な経験となります。

■経理経験が年収に与える影響

経理職の年収は、経験年数によって大きく異なります。一般社団法人 人材サービス産業協議会が公開している「転職賃金相場2024」によると、転職市場にいる人材における経理経験と年収には以下のような関連性があるとされています。

(1)未経験

役職なしの担当者レベル。
他職種からの転職が多いが、経験者も含まれる。
20代後半~30代前半が多く、年収は300~399万円以下

(2)実務経験3年以上

経理のリーダー候補や課長、部長候補。
経理財務・IRなどで3年以上の経験があり、上場企業での経験、管理職経験がある場合も。
20代後半~40代で、年収範囲は400~799万円。転職経験は2回以上の方が多い。

(3)実務経験5年以上

経理・IRの責任者、マネージャー、リーダー。
経理経験5年以上のほか、上場企業での経理財務経験、決算経験、IR経験や管理職経験が求められる場合も。
30代後半~50代が多く、年収は800~999万円

(4)実務経験10年以上

会社規模や業種問わず、財務・リスク管理・IFRS・IRの責任者や部長以上が中心。
上場企業の決算や上場支援などの高度な財務業務の経験、監査法人や会計コンサル企業での会計関連業務経験などが求められる場合も。公認会計士資格所持者の人材もいる。
40代~50代が多く、年収は1000万円以上

■経験の浅い人が経理の実務経験を積む方法

(1)派遣社員から正社員を目指す

経理経験が浅い方にとって、派遣社員からスタートする方法は非常に有効な戦略です。

派遣社員としての経理職は、求人によっては比較的応募しやすいものもあり、経験の浅い方が実務を積む足がかりとなる場合があります。ただし、派遣でも即戦力を求める求人が多いため、基礎知識や業務理解は必要です。

派遣社員として働く最大のメリットは、様々な企業での業務を経験できることです。業界や企業規模が異なる複数の会社で働くことで、幅広い経理業務に触れることができ、自分に適した企業風土や業務スタイルを見つけることも可能になります。

また、派遣期間中に良い評価を得られれば、派遣先企業から正社員としての採用オファーを受けることも珍しくありません。実際に一緒に働いた経験があるため、企業側も安心して採用を決断できる利点があります。

(2)会計事務所で働く

会計事務所での勤務は、経理経験を積むための非常に効果的な方法です。会計事務所では、複数の企業の経理業務を担当するため、短期間で多様な業務経験を積むことができます

会計事務所の業務は、クライアント企業の月次決算や年次決算のサポートが中心となります。様々な業界の企業を担当することで、業界特有の会計処理や税務処理について学ぶことができ、幅広い知識を身につけることが可能です。

また、会計事務所では所長や同僚の税理士から税務実務を直接、学ぶことができます。資格取得を目指している方にとっては、実務と理論を同時に学べる理想的な環境と言えるでしょう。

(3)中小企業で働く

中小企業での経理業務は、大企業と比較して業務の幅が広く、経理の全般的なスキルを身につけるのに適しています。中小企業では人員が限られているため、一人の担当者が日常業務から決算業務まで幅広く担当することが多くあります。ただし、企業によっては業務が限定的な場合もあるため、事前に確認が必要です。

中小企業の経理職の特徴は、経理以外の業務にも携わる機会があることです。人事労務や総務業務なども兼務することが多く、企業運営全般に関する知識を身につけることができます。これらの経験は、将来的に経理マネージャーや管理部門の責任者を目指す際に大きな武器となります。

■経理未経験者が取得すべき資格

(1)日商簿記検定

日商簿記検定は経理職を目指す方にとって必須の資格と言えます。特に簿記2級以上の取得は、実務経験が浅い方にとって大きなアドバンテージとなります。簿記の知識は経理業務の基礎となるため、資格取得を通じて体系的に学習することが重要です。

①日商簿記3級

簿記3級は基本的な商業簿記の知識を証明する資格で、経理業務の入門レベルとして位置づけられます。仕訳の基本的な考え方や試算表の作成方法など、経理業務に必要な基礎知識を学ぶことができます。

②日商簿記2級

簿記2級は工業簿記も含む幅広い内容をカバーしており、経理職としての実務レベルに近い知識を証明することができます。取得していると、実務において早いうちに即戦力となれる可能性が高まります。

経理経験が浅いという自覚のある方は、日商簿記2級は最低でも取得しましょう。

③日商簿記1級

簿記1級は公認会計士や税理士などを目指す方のステップとなる資格ですが、経理職においても大きなアドバンテージとなります。上場企業や大手企業の経理職を目指す場合には、取得を検討する価値があります。

(2)その他の関連資格

①ファイナンシャルプランナー技能検定

経理職に関連する資格として、ファイナンシャルプランナー技能検定があります。この資格は個人の資産管理に関する知識を証明するものですが、企業の資金管理や投資判断においても応用できる知識を学ぶことができます。

②MOSやエクセル検定

また、MOS(Microsoft Office Specialist)やエクセル検定なども、経理実務において非常に重要な資格です。現代の経理業務では、エクセルやその他のオフィスソフトを効率的に使いこなす能力が不可欠となっています。

③税理士の科目合格

税務に関する知識を深めたい方には、税理士試験の科目合格を目指すことも一つの選択肢です。法人税法や消費税法などの個別科目の合格は、経理職としての専門性を高める効果的です。

税理士試験科目は1科目だけであっても、その取得までの努力を評価されることが多いです。

■経理経験が浅い場合のアピールポイント

(1)関連業務の経験を強調する

経理経験が浅い方でも、関連する業務経験があれば大きなアピールポイントとなります。営業職での売上管理経験は、経理の売上計上業務に活かすことができます。顧客との取引条件や売上のタイミングについて理解していることは、経理業務において重要な知識となります。

また、購買や調達部門での経験も経理職に活かすことができます。仕入先との取引条件や支払い条件について詳しく理解していることは、仕入計上や買掛金管理において有利に働きます。

そのほか人事部門での経験がある方は、給与計算や社会保険関連の業務において即戦力となる可能性があります。労働関連法規の知識や従業員データの管理経験は、経理部門でも重要なスキルとなります。

(2)資格やスキルを活かしたアピール

①日商簿記などの資格取得

日商簿記検定などの資格取得は、経理職への転職において最も効果的なアピール材料となります。実務経験が浅くても、資格取得を通じて体系的に学習した知識があることを示すことができます。

特に、働きながら資格を取得した場合は、学習意欲の高さと継続力をアピールすることができます。仕事と勉強を両立させた経験は、実務においても計画的に業務を進める能力があることを証明します。

②エクセルなどのパソコンスキル

パソコンスキルも重要なアピールポイントです。エクセルの関数やピボットテーブルの使用経験、マクロの作成経験などは、現代の経理業務において非常に重要なスキルとなります。

③語学力

語学力も、特に外資系企業や海外展開している企業では大きなアドバンテージとなります。英語での会計用語の理解や、海外子会社とのコミュニケーション能力などは、高く評価される要素です。

■将来的に目指せる経理職の求人事例

以下は、経理・会計分野に特化した転職エージェント「ジャスネットコミュニケーションズ」にて掲載された実務経験の応募条件がある経理求人例です。

求人例①:【IPO準備中】急成長スタートアップの事業拡大を支える経理責任者を募集!

仕事内容
  1. 月次、四半期、年次決算業務
  2. 日次経理業務のクオリティマネジメント
  3. 会計論点の整理、各部署との調整等
  4. 開示書類(決算短信・有価証券報告書等)作成
  5. 監査法人、税理士法人対応 など
応募条件
  1. 経理のご経験(5年以上)
  2. 上場企業での開示書類作成のご経験(決算短信、有価証券報告書)
  3. 連結決算を主導されてきたご経験
  4. 経理責任者やマネージャーのご経験
想定年収 600万円〜1100万円

求人例②:営業支援サービスを展開する企業で日常経理~決算業務

仕事内容
  1. 伝票起票承認業務
  2. 現金出納 関連承認業務
  3. 経費精算、支払請求書のチェック・承認業務
  4. 単体、子会社の月次・四半期・年次決算業務及び関連資料のレビュー
  5. 決算開示書類作成業務
  6. 監査、税務対応
応募条件
  1. 経理実務経験が3年以上の方。
想定年収 500万円 〜 700万円

求人例③:【経理スペシャリスト・海外担当/プライム上場】「住まい」に関わる企業グループ

仕事内容
  1. 海外子会社の経理に関わるオペレーション、決算業務
    (月次財務諸表回収・分析・管理、子→親会社への申請書類精査・検討)
  2. 単体決算業務全般(会社法/金商法)
  3. 管理会計に関する業務(予実管理等)
  4. 会計基準、法令等に関する知識の習得・情報収集
  5. 監査法人との情報交換・調整
応募条件

■必須条件

  1. 英語の簡単な読み書き、会話ができること(メールでのやりとりがメインです)
  2. 海外事業における経理経験(現地基準と日本基準の違いを理解して業務を進めた経験)

■歓迎条件

  1. ビジネスでの英語使用経験
  2. 海外企業、支店等との経理に関する経理業務連携経験
想定年収 700万円 〜 1,000万円

■まとめ

経理職の転職において実務経験は確かに重要な要素ですが、経験が浅い方でも適切な戦略を取ることで転職を成功させることは十分可能です。

まず重要なのは、経理業務に必要な基礎知識を資格取得を通じて身につけることです。日商簿記検定2級以上の取得は、実務経験の不足を補う強力な武器となります。

実務経験を積むためには、派遣社員からのスタートや会計事務所での勤務、中小企業での幅広い業務経験などが有効です。それぞれに特徴があるため、自分のキャリアプランに合わせて選択するようにしましょう。

執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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