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財務転職は本当に難しい?未経験からの成功ポイントと必要なスキルを徹底解説

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2025年9月19日 ジャスネットキャリア編集部

「財務の仕事に興味があるけれど、転職は難しそう…」そんな不安を抱えていませんか?確かに財務職への転職には特有の難しさがありますが、適切な準備と戦略があれば決して不可能ではありません。

この記事では、財務転職の実情から成功のためのポイントまで、転職を検討している方に役立つ情報を詳しくお伝えします。現在の職種に関わらず、財務職を目指すあなたの疑問や不安を解消し、転職成功への道筋を明確にしていきましょう。

目次

■財務職の転職が難しい理由

(1)求人数が限られている

財務職の転職が難しいとされる最大の理由の一つが、求人数の少なさにあります。財務職の求人は経理職などに比べると限られており、欠員補充や成長フェーズに合わせた募集が中心です。

これは財務部門の組織構成に起因しています。多くの企業では、財務部門は比較的少人数で構成されており、頻繁に人員の入れ替わりが発生する部署ではありません。大手企業でも十数名規模、中小企業では1~3名程度と、比較的少人数体制で運営されることが多いです。

また、財務職は企業の機密情報を扱う重要なポジションであることから、社内異動や昇進による補充が優先される傾向があります。外部からの中途採用は、急成長企業での増員や、特別なプロジェクトを推進するために専門性の高い人材が必要になった場合に限られることが多いのです。

(2)経験者優遇の傾向

財務職の求人では、即戦力となる経験者が強く求められる傾向があります。これは財務業務の特殊性と重要性によるものです。

財務部門では、資金調達や投資判断、リスク管理など、企業の将来を左右する重要な意思決定に関わる業務を担います。そのため、企業側としては、一から教育を行う時間的余裕がなく、すぐに成果を出せる人材を求めているのです。

特に中途採用においては、前職で類似の業務経験を持つ人材や、同業界での財務経験者が優遇されます。例えば、製造業の財務職への転職を考える場合、同じ製造業での財務経験があれば、業界特有の商慣行や会計処理について理解があるとみなされ、高く評価されるでしょう。

また、上場企業への転職では、開示業務や監査法人対応の経験が重視されます。未上場企業から上場企業への転職を考える際は、この点がハードルとなることがあります。逆に、上場企業での経験があれば、その知識とスキルは多くの企業で活かすことができるため、転職市場での価値は高くなります。

(3)専門知識が求められる

財務職では、会計や税務に関する深い知識に加え、金融や法務、さらには経営戦略についても理解が求められます。このような幅広い専門知識の習得には相当な時間と努力が必要であり、これが転職を困難にする要因の一つとなっています。

会計知識については、単純な仕訳や決算処理だけでなく、管理会計や原価計算、連結会計など、より高度な内容が求められます。また、税務については、法人税や消費税、地方税など基本的な税務知識は必須です。海外展開している企業では国際税務の理解も強みとなります。

金融に関する知識も不可欠です。資金調達の手法や金利動向の理解、為替リスクの管理、デリバティブ取引など、財務担当者として身につけておくべき知識は多岐にわたります。特に、グローバル企業では、海外子会社の財務管理や国際的な資金フローの最適化についても理解が必要です。

■未経験から財務職に転職する方法

(1)関連職種での経験を活かす

未経験から財務職への転職は困難とされていますが、関連職種での経験を上手にアピールすることで道は開ける可能性はあります。特に、数字を扱う業務や分析業務の経験は大きな武器となります。

①営業職経験

営業職の経験がある方は、予算管理や売上分析の経験をアピールできます。営業現場での数字への感度や、目標達成に向けた計画立案能力は、財務職でも活かすことができるスキルです。また、顧客との交渉経験は、金融機関との折衝や社内での予算調整において役立ちます。

②製造業経験

製造業での生産管理や品質管理の経験も、財務職への転職において有利に働きます。原価管理や効率性の追求、改善活動の経験は、財務部門でのコスト分析や収益改善施策の立案に直結するからです。

③金融機関での経験

金融機関での勤務経験は、特に評価される傾向があります。銀行や証券会社、保険会社での経験は、金融商品の知識や資金調達に関する理解があるとみなされ、企業の財務担当者として即戦力になると期待されます。

④コンサルティングファームでの経験

コンサルティングファームでの経験も魅力的です。財務分析や企業評価、M&Aアドバイザリーなどの経験は、企業内での財務戦略立案において非常に価値の高いスキルとなります。

(2)財務に関連する資格を取得する

未経験からの転職において、資格取得は知識レベルを客観的に示す有効な手段です。財務職に関連する資格は数多くありますが、転職に有利なものを選んで取得することが重要です。

①日商簿記

日商簿記検定は最も基本的で重要な資格です。3級では基礎的な会計知識を、2級では商業簿記と工業簿記の知識を証明できます。未経験者であれば2級取得が一つの目安となります。さらに専門性を高めたい方は1級取得を目指すと評価が高まります。1級取得者は、会計に関する高度な知識を持っているとみなされ、転職市場での評価も高くなります。

②中小企業診断士

中小企業診断士資格も財務職への転職に有効です。企業経営に関する幅広い知識と、経営分析能力を持っていることの証明となります。特に、経営企画や事業開発にも関わりたいと考えている方には適した資格です。

(3)経理職からのステップアップ

経理職から財務職への転職は、最も現実的で成功率の高いキャリアパスの一つです。経理業務で培った会計知識と実務経験は、財務職への転職において大きな強みとなります。

経理職では日次、月次、四半期、年次の決算業務を通じて、企業の財政状態や経営成績を数字で把握する能力が身につきます。この能力は財務職においても基礎となる重要なスキルです。また、予算作成や実績管理の経験も、財務部門での予算統制業務に直結します。

経理職から財務職への転職を成功させるためには、日常的な記帳や決算業務に加え、数字の分析や予算管理など、一歩進んだ業務に積極的に取り組むことで、財務職へのステップアップがしやすくなります。売上分析、コスト分析、収益性分析などの経験を積み、数字の背景にある要因を探る習慣をつけましょう。

また、経理職にいる間に、できるだけ幅広い業務に関わることをお勧めします。税務申告書の作成、監査法人対応、開示業務、連結決算などの経験があれば、転職市場での価値は大幅に向上します。特に上場企業での開示業務の経験は、多くの企業で求められるスキルです。

■財務職に必要なスキル

(1)分析力と問題解決能力

財務職において最も重要なスキルの一つが、数字を分析し、そこから意味のある情報を読み取る能力です。単純に数字を集計するだけでなく、その背景にある要因を探り、将来への示唆を導き出すことが求められます。

財務分析では、売上高の推移、利益率の変動、キャッシュフローの状況などを多角的に検証します。例えば、売上が増加しているにも関わらず利益率が低下している場合、その原因が原材料コストの上昇なのか、人件費の増加なのか、あるいは価格競争の激化なのかを突き止める必要があります。

問題解決能力も財務担当者には欠かせません。資金繰りの悪化、収益性の低下、投資効果の不振など、企業が直面する様々な財務的課題に対して、具体的な解決策を提案することが期待されます。この際、複数の選択肢を検討し、それぞれのメリット・デメリットを整理して、最適解を見つける能力が重要となります。

(2)コミュニケーション能力

財務職では高度な専門知識を扱いますが、その知識を専門外の人にもわかりやすく説明する能力が求められます。経営陣への報告、各部門との調整、金融機関との交渉など、様々な場面でコミュニケーション能力が試されます。

経営陣への報告では、複雑な財務データを簡潔にまとめ、意思決定に必要な情報を的確に伝える必要があります。グラフや図表を効果的に使い、視覚的にもわかりやすい資料を作成することが重要です。また、数字だけでなく、その数字が示す意味や今後の対応策についても明確に説明できなければなりません。

各部門との調整においては、それぞれの部門の事情を理解しながら、全社的な視点での最適解を見つける必要があります。営業部門の売上目標と製造部門の生産能力、人事部門の採用計画などを総合的に勘案し、実現可能で効果的な予算を策定することが求められます。

(3)会計・経理の知識

財務職の基盤となるのが、会計・経理に関する深い知識です。これは単純な簿記の知識を超えて、企業会計原則、会計基準、税法などの幅広い知識が求められます。

財務会計については、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の作成と分析ができることは基本中の基本です。さらに、連結会計、外貨換算、リース会計、減損会計など、複雑な会計処理についても理解している必要があります。

管理会計の知識も重要です。予算管理、原価計算、損益分岐点分析、投資判断に用いるNPV(Net Present Value)やIRR(Internal Rate of Return)の計算など、経営意思決定を支援するための会計手法を習得する必要があります。

税務については、法人税、消費税、地方税の基本的な仕組みを理解し、税務申告書の内容を把握できることが求められます。また、税務調査への対応や税務リスクの評価についても知識があることが望ましいです。

■転職活動の成功ポイント

(1)自己分析とスキルの棚卸し

財務職への転職を成功させるためには、まず自分自身のスキルと経験を客観的に分析することが重要です。これまでの職歴を詳細に振り返り、財務職に活かせる経験やスキルを洗い出しましょう。

職歴の整理では、各職場での具体的な業務内容、成果、身につけたスキルを詳しく記録します。例えば、営業職であれば予算管理や売上分析の経験、製造業であれば原価管理やコスト削減の取り組み、金融機関であれば与信管理や資金調達支援の経験などを具体的に整理します。

数値での成果表現も重要です。「売上向上に貢献した」ではなく、「前年比120%の売上向上を達成」「コスト削減により年間500万円の経費圧縮を実現」など、具体的な数字で成果を表現できるよう準備しましょう。

(2)企業の求めるスキルを把握する

転職を成功させるためには、応募する企業が求める人物像やスキルを正確に把握し、それに合わせて自己PRを構築することが重要です。同じ財務職でも、企業の規模や業界、事業フェーズによって求められるスキルは大きく異なります。

大手企業では、複雑な連結会計処理、開示業務、監査法人対応などの経験が重視される傾向があります。また、グローバル企業では英語力や国際会計基準の知識も必要となります。一方、中小企業では幅広い業務を一人で担当することが多いため、経理から財務まで総合的なスキルが求められます。

成長企業では、資金調達や投資判断に関するスキルが特に重視されます。IPO準備中の企業であれば、上場に向けた体制整備の経験が高く評価されるでしょう。また、M&Aが活発な企業では、企業価値算定やデューデリジェンスの経験も重要な要素となります。

企業研究は徹底的に行いましょう。有価証券報告書、決算説明資料、中期経営計画などから企業の財務状況や戦略を把握し、自分がどのような貢献ができるかを具体的に考えることが重要です。

(3)応募書類の充実と面接対策

履歴書と職務経歴書は、あなたの第一印象を決定する重要な書類です。特に財務職への転職では、論理的で正確な文書作成能力も評価の対象となるため、完璧な書類を作成することが求められます。

①応募書類の作成

職務経歴書では、これまでの経験を財務職への適性という観点で整理して記述しましょう。単純な業務内容の羅列ではなく、どのような課題に直面し、どのような解決策を考え、どのような成果を得たのかを具体的に記述します。

財務職未経験の場合は、関連するスキルや経験を積極的にアピールします。数値分析の経験、予算管理の実績、改善活動への参加など、財務業務に活かせる経験を具体例とともに紹介しましょう。

志望動機は、その企業でなければならない理由を明確に述べることが重要です。企業の事業内容や財務戦略について調査し、自分のスキルや経験がどのように貢献できるかを具体的に説明します。

②面接対策

面接対策では、財務に関する基本的な知識について質問される可能性があります。損益計算書と貸借対照表の見方、キャッシュフローの重要性、ROE(自己資本利益率)やROA(総資本利益率)などの財務指標について、わかりやすく説明できるよう準備しておきましょう。

また、ケース面接が行われることもあります。「売上が減少している原因と対策を考えてください」「新規事業への投資判断をどのように行いますか」など、実際の業務に近い質問に対して、論理的に回答できるよう練習が必要です。

■財務職の転職に強いエージェント

財務職への転職を成功させるためには、この分野に特化した転職エージェントの活用が非常に有効です。転職エージェントを利用すると、非公開求人に応募できるほか、業界に精通したコンサルタントからアドバイスを受けられます。

財務職の求人の多くは非公開で募集されており、転職サイトや企業のホームページには掲載されていません。財務職は機密性の高い業務を担うため、企業としては募集していることを外部に知られたくないという事情があります。また、応募者が殺到することを避け、質の高い候補者のみを効率的に選考したいという意図もあります。

ジャスネットコミュニケーションズは会計、税務、経理・財務分野に特化した転職エージェントです。人材紹介に加え、人材派遣やアウトソーシングを通じて人事部門だけではなく、採用の決定権を持つ経理部の現場責任者とも密な関係を築いています。経理部から多種多様なパターンの求人をいただいており、常に現場のニーズを把握。豊富な求人先からあなたの希望する企業とのマッチングを行います。

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■まとめ

財務職への転職は確かに簡単ではありませんが、適切な準備と戦略があれば十分に実現可能です。求人数の少なさや経験者優遇の傾向、高度な専門知識の要求など、転職を困難にする要因は存在しますが、これらを理解した上で対策を講じることが成功への鍵となります。

未経験からの転職を目指す場合は、関連職種での経験を活かし、資格取得により知識レベルを向上させ、経理職からのステップアップを図るなど、段階的なアプローチが効果的です。また、分析力と問題解決能力、コミュニケーション能力、会計・経理の知識という三つの基本スキルを身につけることが重要です。

転職活動においては、自己分析とスキルの棚卸しを十分に行い、企業が求めるスキルを正確に把握し、それに合わせて応募書類を充実させ、面接対策を万全に行うことが成功につながります。専門エージェントの活用により、非公開求人へのアクセスや専門的なアドバイスを得ることも大きなアドバンテージとなるでしょう。

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執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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