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SEから経理への転職は可能? システムエンジニアのスキルを活かした会計業務への道筋を徹底解説

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2025年10月7日 ジャスネットキャリア編集部

「SEから経理への転職なんて無謀だ」と思っていませんか?

実は、システムエンジニアとしての経験は経理業務と驚くほど多くの共通点があり、むしろ有利に働くケースが少なくありません。データ処理能力、論理的思考力、プロジェクト管理経験など、SEとして培ったスキルは現代の経理業務において極めて重要な要素です。

本記事では、なぜSEから経理への転職が可能なのか、どのような準備が必要なのか、そして実際の転職成功事例を交えながら、具体的な転職戦略を詳しく解説します。

目次

■なぜ、SEから経理への転職を考える人がいるのか

近年、システムエンジニアから経理への転職を検討する人がいる背景には、IT業界特有の働き方への疑問と、より安定したキャリアパスへの憧れがあります。長時間労働が常態化しがちなSE職において、ワークライフバランスの改善を求める声は決して珍しくありません。また、技術の進歩が早いIT業界では、常に新しい言語やスキルの習得が求められ、その重圧から解放されたいと考える人も多いのです。

一方で、経理職は企業経営の根幹を支える重要なポジションであり、年間を通じて計画的に業務を進めやすい点が魅力です。ただし、決算期や監査対応の時期は残業や休日出勤が増えることもあり、「常に安定している」というわけではありません。安定性と繁忙期のメリハリを理解した上で選択することが大切です。

デジタル化が進む現代において、経理業務でもシステムへの理解が不可欠になっています。 会計ソフトの活用、データ分析などの場面、場合によっては新しいシステムの導入の局面で、SEとしての経験が大きなアドバンテージとなる のです。このような時代の流れが、SEから経理への転職を後押ししているといえるでしょう。

■経理業務に活かせるSEのスキル

(1)論理的思考力

システムエンジニアとしての経験が経理業務に活かされる理由は、両職種に共通する本質的な特徴にあります。SEの日常業務で培われる論理的思考力は、経理業務における数字の整合性チェックや分析において非常に重要な能力です。 プログラムのデバッグ作業で身につけた「問題の原因を特定し、解決策を見つける」というプロセスは、経理における差異分析や勘定の不一致解決にそのまま応用できます。

(2)データベース管理の経験

中小企業の経理では、会計ソフトやExcelが中心でデータベース操作に触れる機会は多くありません。しかし、大手企業や上場企業ではERPやデータベースを利用した経理業務も多くあり、そのような環境ではSE経験が強みとして活かせます。

(3)プロジェクト管理経験

プロジェクト管理経験も見逃せないポイントです。SEとして培ってきたスケジュール管理能力は、月次決算や年次決算といった期限が厳格に定められた経理業務において重要な武器となります。また、クライアントとのコミュニケーション経験は、社内各部署との連携が必要な経理業務でも大いに活用できるでしょう。

システム導入プロジェクトに参加した経験があるSEなら、会計システムの導入や改善プロジェクトにおいて、技術面だけでなく業務プロセスの理解も併せ持つ貴重な人材として重宝される ことは間違いありません。

■どのように経理業務とSE業務の親和性を理解するか

SEの開発工程と経理の決算プロセスは「プロセスを積み上げて成果物を完成させる」という点で似ています。ただし、経理は日々の仕訳や伝票処理など地道なルーチンワークが多いことも特徴です。この現実を理解した上で、親和性を捉えると実務イメージがより正確になります。

データの正確性を重視する姿勢 も共通しています。プログラムにバグがあってはならないように、経理データにも誤りがあってはなりません。SEが行うコードレビューと、経理担当者が行う帳簿のチェック作業は、品質管理という観点で同じ目的を持っています。また、バックアップやセキュリティを重視するSEの感覚は、重要な財務データを扱う経理業務においても必須の要素です。

システムの自動化を追求するSEの思考は、経理業務の効率化においても大いに発揮されます。定型的な仕訳処理の自動化や、Excelマクロを活用した帳票作成の効率化など、SEのスキルを活用できる場面は数多くあります。 RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入においても、業務プロセスを理解しつつシステムの知識も持つSE出身者は、理想的なプロジェクトメンバーとなる でしょう。

さらに、問題解決へのアプローチ方法も非常に似ています。システムトラブルの原因究明と解決策の検討というSEの日常業務は、経理における差異分析や不正防止策の検討と同じ思考プロセスを必要とします。

■なぜ経理未経験でも採用される可能性があるのか

人手不足が深刻な経理業界において、異業種からの転職者を積極的に受け入れる企業が増えています。特に、論理的思考力やデータ処理能力に長けたSE出身者は、経理業務に必要な基本的な資質を既に備えていると判断されることが多いのです。 会計知識は後から学習できるが、基本的な思考力や分析力は一朝一夕には身につかないという採用担当者の考え が背景にあります。

採用の可能性は年齢層によっても変わります。20代であればポテンシャル採用として未経験でも受け入れられるケースがありますが、30代以降では簿記資格や何らかの経理に関わる実務経験を求められることが多いのが現実としてあります。

■どうすれば経理の基礎知識を効率的に習得できるか

(1)会計の基礎知識を理解する

SEから経理への転職を成功させるためには、会計の基礎知識を身につけることが不可欠です。まず重要なのは簿記の理解です。複式簿記の仕組みを理解することで、企業の経済活動がどのように帳簿に記録されるかを把握できます。SEとしての論理的思考力があれば、借方・貸方の概念や仕訳のルールは比較的早く理解できるはずです。

(2)簿記資格の取得

簿記学習は日商簿記3級から始めるのが理解を深めやすい王道です。時間や学習効率を優先するなら日商簿記2級から挑戦するのも選択肢ですが、基礎を飛ばすと挫折のリスクもあるため、自分の学習スタイルに合わせた計画が必要です。

(3)会計ソフトに触れる

実際の会計ソフトに触れることも重要です。弥生会計やfreee、マネーフォワードクラウドなどの主要な会計ソフトは無料体験版が提供されているため、これらを活用して実務に近い環境で学習することができます。

SE経験者なら、ソフトウェアの操作習得は問題ないでしょう。むしろシステムの仕様や限界を理解する能力は他の学習者よりも優れているはずです。またすでに、SEとしての業務で、会計ソフトの知識はお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

■どのような転職準備を進めるべきか

とはいえ経理未経験の状態で転職を成功させるためには、多角的なアプローチが必要です。

(1)SE経験を経理業務に絡めてアピール

まず、履歴書や職務経歴書においてSE経験をどのように経理業務にアピールするかが重要なポイントです。単純にプログラミング言語やシステム構築経験を列挙するのではなく、 データ分析能力、プロジェクト管理経験、問題解決能力といった経理業務に直結するスキルを強調する ことが大切です。

経理採用ではプログラミングやアプリ開発よりも「簿記資格」「会計ソフト操作経験」「仕訳の正確性」といった実務に直結する部分が重視されます。ポートフォリオを作るよりも、資格取得や(経験があれば)会計システムに関連する業務をまとめておくことがアピールにつながります。

(2)面接対策

面接対策においては、なぜSEから経理への転職を希望するのかを明確に説明できるよう準備することが重要です。単なる転職理由ではなく、 SE経験をどのように経理業務に活かしたいかという前向きなビジョンを語れるようにしましょう。 例えば、経理業務のデジタル化推進に貢献したい、データ分析を通じて経営判断をサポートしたいといった具体的な目標を示すことで、採用担当者に強い印象を与えることができます。

(3)業界研究

業界研究も欠かせません。転職を希望する業界の会計処理の特徴や、使用されている会計システムについて調べることで、面接での質疑応答に深みを持たせることができます。

製造業なら原価計算、小売業なら在庫管理といった業界特有の会計処理について理解を深めることが重要です。

■どうすれば転職活動を有利に進められるか

(1)経理や財務に特化したエージェントを活用

経理への転職を有利に進めるためには、戦略的なアプローチが必要です。まず、転職エージェントの活用が重要です。IT業界に強いエージェントではなく、 経理や財務に特化したエージェントを選ぶことで、業界の動向や求人情報をより詳しく把握できます。 また、SE出身の経理転職事例を多く扱っているエージェントなら、具体的なアドバイスも期待できるでしょう。

(2)SE経験を活かせる企業を選ぶ

ITスキルを評価する企業もある一方、応募条件に「経理実務経験者必須」とする求人も多い経理業界。応募企業の選定においては、SE経験を活かせる環境かどうかを重視すべきです。 経理のデジタル化を推進している企業、ERPシステムの導入を予定している企業、データ分析に力を入れている企業などは、SE出身者を歓迎する可能性が高い です。
求人票の記載内容だけでなく、企業のIR情報や採用情報を詳しく調べることで、そうした企業を見つけることができます。

(3)具体的なエピソード、働くイメージを

面接では具体的なエピソードを用意することが重要です。SE時代にデータベースを構築した経験を経理データ管理に活かせることや、プロジェクト管理経験を決算業務に応用できることなど、 実体験に基づいた説明ができれば説得力が格段に増します。 また、簿記の学習状況や会計ソフトの使用経験についても具体的に説明できるよう準備しましょう。

年収については、未経験職種への転職では下がることが一般的です。そのため、SE時代の給与水準をそのまま期待するのではなく、市場相場を調べた上で現実的な希望額を設定することが重要です。

■なぜ長期的なキャリアプランが重要なのか

SEから経理への転職を成功させるためには、短期的な転職の成功だけでなく、長期的なキャリアプランを描くことが重要です。経理職は専門性が高く、経験を積むことで市場価値が向上していく職種です。 転職直後は年収が下がる可能性もありますが、専門スキルを身につけることで、将来的にはSE時代を上回る年収を得ることも十分可能 です。

経理のキャリアパスは多様で、一般的な仕訳業務から始まり、決算、管理会計、経営企画などへステップアップしていきます。未経験で入った場合は、まず基礎業務で経験を積み、数年かけて専門性を広げていく流れが現実的です。

■まとめ

SEから経理への転職は、一見すると大きなキャリアチェンジのように思えますが、実際には多くの共通点と親和性があります。システムエンジニアとして培ってきたスキルや経験は、デジタル化が進む現代の経理業務において大きな武器となります。適切な準備と戦略的なアプローチを取れば、未経験からでも経理職への転職は十分に可能です。

重要なのは、なぜ経理に転職したいのかを明確にし、SE経験をどのように活かしていきたいかというビジョンを持つことです。短期的な困難を乗り越えて、長期的なキャリアプランを描くことができれば、SEから経理への転職は必ずや成功するでしょう。技術と会計の両方を理解する貴重な人材として、新しいキャリアを築いていってください。

経理・会計専門のジャスネットでSE経験を活かしたキャリアアップを

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執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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